Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「すごい本屋!」井原万見子著(朝日新聞出版)

2009-08-09 | エッセイ・実用書・その他
「すごい本屋!」井原万見子著(朝日新聞出版)を読みました。
イハラ・ハートショップは和歌山県の山奥にある、住人約100人の村の小さな本屋。地域には店がないため、食品や日用雑貨も一緒に売っています。
そんな本屋が『怪傑ゾロリ』の原ゆたかさんのサイン会、
写真家・今森光彦さんとの交流会、都築響一さんのトーク・イベントなど、
村の子どもたちと次々と楽しい「事件」を起こしていきます。
過疎や出版不況のなか、「田舎の子どもたちにもたくさんの本との出会いを」という思いで動き続ける井原店長の挑戦の日々がつづられた本です。

私の住むマンションが10部屋×10階建てで100世帯、住人400人弱・・・と考えると、うちのマンションより、ハートショップのある村全体の人口の方が少ない!
そんななかで子供たちにもっと本を読む機会を与えようと努力し、店長ひとりで店が休めない中、旅費を算段して東京の出版社まで出向き、著名な作家の方々を呼ぶ熱意、バイタリティ。
本当に「すごい本屋!」です。
当時アリス館の編集長をしていらした後路さんがハートショップを訪れた際の言葉が印象的でした。

「こんなお店、はじめてみたぞ!そうか、本はラーメンやパンや醤油と同じ日用品なのだ!としごく納得させられる。」

この言葉、とても素敵です。

実用書は別として、本に即時的な実利を求める考え方(恋愛のノウハウや、悲しみを癒す方法を本に教えてもらうこと)は、私はあまり好きではないのです。
だから本を「実用品」と考えることにはなじめません。
けれど「日用品」と考えることは好き!
微妙・・・な違い?

田舎だからこそネット書店で本を買う人が多いと思いますが、書店で手にとって本を見、書店の方と言葉を交わす喜びはネットでは味わえないもの。
これからもイハラ・ハートショップにはがんばってほしいです!

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