Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ」都築響一著(晶文社)

2009-08-18 | エッセイ・実用書・その他
「だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ」都築響一著(晶文社)を読みました。
東京では出会えない個性派書店を求めて、人口2200人の山村から奄美大島、はてはタイ・バンコクにまで足をのばす。台湾の知られざるビジュアル・ブックの美しさに息を呑み、「今やらなければ間に合わない」と語る出版社主のことばに深くうなづく。「スキャナーのように」表面を完璧に写しとる写真家・篠山紀信や、「希有なジャーナリスト」でもあったデザイナー・堀内誠一ら、その時々に出会った人たちの仕事に心打たれる。
気になる本と本屋を追いかけた、15年間170冊の書志貫徹。
個性的な本屋紹介と、あまり人がとりあげない本を意識して都築さんが書評としてとりあげたものを、まとめた本です。

一年のうち2/3は旅暮らし、これから作りたい本が2~300はあるという都築さんのバイタリティに圧倒されます!
本屋のオリジナル文庫帯があるという盛岡のさわや書店にびっくり。
バンコクの紀伊国屋書店では、日本では絶版になった「アジアを舞台にした日本の文庫」が復刊されていて買えるらしいです。
レディース雑誌「ティーンズロード」の書評も面白かった。

著者あとがきより。
「本書に再録した中には、とうに絶版になったり、出版社が消滅したりして、手に入りにくい本もずいぶんある。でも、これは自分の体験からつくづく思うのだが、自分にとって絶対に必要な本なら、いつの日か、かならず手に入る。出会うべき運命の本ならば、いつかかならず出会う。
だからもし、この中に一冊でも気になる本が見つかったら、あきらめずに探し続けて欲しい。その一冊が、どこか埃にまみれた本棚の暗がりで、ずっと君を待っていると信じて。
だって、ほんとうに、だれも買わない本は、だれかが買ってあげなきゃならないのだ。」

「場末」に面白さを見出し、「名所も何もないただの田舎」めぐりに惹かれる。
毎月何千冊と発行されるピカピカの新刊の並んだ平台ではなく、店の角の棚にひっそりと並んだ本に光をあてる。
世間の大多数とは違うところに価値観を見出す。
そしてそれを楽しく私たちに伝えてくれる都築さんの視点に、私も「新しい目」が開かれる思いです。

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