Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「菊地君の本屋 ヴィレッジヴァンガード物語」永江朗著(アルメディア)

2009-08-19 | エッセイ・実用書・その他
「菊地君の本屋 ヴィレッジヴァンガード物語」永江朗著(アルメディア)を読みました。
最近「本屋」本を集中して読んでおります。
世の中にはいろいろな専門書店がありますが、その中でも個性的で楽しい本屋がビレッジヴァンガード。

あえて「専門書店」の「なんでも揃ってます」の啓蒙感をなくし、新刊にこだわらず、書誌番号にこだわらず、「この本の隣にこの本を並べるんだ!?」という驚きと楽しさを大事にする。
本の隣に服も雑貨もCDもお菓子もおく。平台はビリヤードの台。店の上には本物の飛行機。
こういう複合型書店も最近は増えてきましたし、書店のPOPも注目されるようになってきましたが、ヴィレッジヴァンガードが始めた頃は、お客さんもとても新鮮な驚きで通いつめたんでしょうね。

「お客には親切にしたい。でもお客との距離は確かに難しい。特定のお客からの甘えを他の客が見ると、なんだあれはっていうことになる。友達になったら買ってくれなくなる。お客はみんな平等だ。特定の客への特別待遇は、他の客から見ると不愉快だ。」

あ、これ。よくわかります。
常連が増えるのはその店が愛されている証だけれど、店員と常連がずっとしゃべているような店は、あまりいい感じを受けません。
店員として「親切」と「馴れ合い」の線引きは難しいところだと思いますが。

そして印象的だったのはこの言葉。
「ぼくはやっぱり本屋の日常業務が好きだ。棚の整理が終わって、店内を見回すと、本の背がきれいに並んでいる時のあの感じ。他の仕事では味わえないものがこの仕事にはある。」

ヴィレッジヴァンガードのような、今までの「書店」の常識を破った本屋をつくった菊地さん。アクが強い人なんだろうなぁ、なんて勝手に思い込んで読んだらこういうシンプルな言葉を目にしてちょっと驚いたりしました・・・。

専門用語が多くて「?」な部分もありましたが、逆にそれが菊地さんの肉声を聞いている感覚で面白かったです。