Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「柴田元幸ハイブ・リット」柴田元幸編訳(アルク)

2009-08-04 | 柴田元幸
「柴田元幸ハイブ・リット」柴田元幸編訳(アルク)を読み(聞き)ました。
「ハイブ・リット」とは、hybrid(混成の)とliterature(文学)の合成語で、文学を楽しみながら多面的にすぐれた英語に親しめるCD-BOOK の呼称。
村上春樹さんバージョンも出版されています。

収録作品は以下の通り。朗読はすべて作者自身!豪華です。

ハッピー・バースデイ/バリー・ユアグロー
私たちがやったこと/レベッカ・ブラウン
大いなる離婚/ケリー・リンク
ペット・ミルク/スチュアート・ダイベック
雪人間/スティーヴン・ミルハウザー
オーギー・レンのクリスマス・ストーリー/ポール・オースター

どの作品もすべて既に出版されているものですが、改めて作者の声で聞き、読み返してみるとまた違った味わいです。
朗読の技術や英語の文章表現については、残念ながら私の英語力が足りなくて批評できるほどの違いはわかりません。
でも著者自身の声を聞ける、というのはとても貴重な体験。

ダイベックさんの温かみのある声は作品にぴったり。
ミルハウザーさんの声は、イギリスの知的紳士といった趣。(アメリカ人だけど。)
日本にはこういうリーディングのイベントってないですね。
「朗読」といえば江守徹さんのような声のいい人がやるもの、という固定概念があるような気がします。
朗読の上手下手にかかわらず、「耳で聞く物語」も私は大好きですけどね。


「鴨川ホルモー」万城目学著(角川書店)

2009-08-04 | 日本の作家
「鴨川ホルモー」万城目学(まきめ まなぶ)著(角川書店)を読みました。
このごろ都にはやるもの、勧誘、貧乏、一目ぼれ。
葵祭の帰り道にふと渡されたビラ一枚。謎のサークル京大青竜会に入った安倍を待ち構えていた「ホルモー」とは。
恋に、戦に、チョンマゲに、若者たちは闊歩して、魑魅魍魎は跋扈する。
京都の街を舞台にした狂乱絵巻。この作品は第4回ボイルドエッグズ新人賞を受賞しています。ネタバレありますのでご注意ください。

とにかく、面白かった!!です。

私は阿倍晴明好きなので、千年前から伝わる陰陽道と、現代大学生のサークルの馬鹿騒ぎが交差する様子がたまらなくおかしかった。
式神(オニ)や、黒い得たいのしれないものがいまだに土地に確かに根付いていると感じさせられる京都。
しかしこの作品では、そこに歴史と伝統の重みはなく(笑)、やっていることはレナウン踊りにちょんまげ男。
設定は「ありえない!」のですが、さえない男子大学生・阿倍の心模様はひとつひとつリアルで共感してしまいます。
恋に心とらわれ周りが見えず、行動できない自分にぐじぐじと悩み、他人の恋の道具にされたことに傷つき・・・まるで私自身の大学時代を見ているかのよう。

「自分の呪縛は自分で解くしかない」。
阿倍くんが少しずつ変化していく様子、応援したくなります。

そして恋愛下手くんには恋愛下手ちゃん。
似たもの同士(!?)のハッピーエンド。
ときどき凡ちゃん頭がなつかしくもなる、なんて今どれだけふみちゃんが可愛くなったのか?のろけ~。


この作品は今年のGWに映画化されている(未見です)のですが、楠ふみちゃん(栗山千明さん)が早良さんより美人・・・ありえん。
オニも私のイメージだとまるい感じではなく、ハリポタ映画の屋敷しもべみたいなイメージなんだけどな。でもDVDになったらちょっと見てみたいです。

映画公式HP
http://www.horumo.jp/index.html

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11/10 追記
「鴨川ホルモー」DVD見ました!面白かった。
もちろんオニは後からCGで付け加えているんでしょうけれど、画面を見ていると、オニがない状態で演技しているとは思えない演技力。楽しかったです。
原作にはないホルモー中継車もシャレが効いてますね。
映画では「ホルモー六景」の伏線もあちこちにありました。
「六景」もいつか映像になったらいいのにな。

主演の山田さんの表情が豊かですごいなーと思いました。
でも個人的によかったのは高村役の濱田岳 (ハマダガク)さん。
シャンプーハットの信長姿サイコーです♪