戦後の50年代、60年代、そして70年代が成長経済成長期でした。
高度経済成長期は、いわゆる「労働者の力が強い」時代でした。
当時、企業は成長を続け、そして拡大、拡大。
いわゆる、人手が足りない時代です。
「労働者の力が強い時代」において
「非正規雇用」と「正規雇用」では労働者は正規雇用の正社員を選択します。
給与が高い会社とそうでない会社では高い方を選択するのが当然です。
同様に、昇給がある会社と無い会社では昇給のある方を選ぶでしょう。
おまけに保養所がある会社と無い会社では保養所の方を選択するに違いありません。
対して90年代以降から現在までは
「労働者の力が弱い時代」となっています。
企業の成長は鈍化し、人手は要らなくなります。
機械に代用されてしまう仕事も多々出現しました。
いわゆる、人手が余っている時代です。
そのように会社が強く、労働者の力が弱い時代においては
正社員でなくても、仕事があるだけマシと思う人々が増加します。
パート、アルバイトや派遣でも生活のために何が何でも仕事に就かなければならない人が多くなっているわけです。
今や、15歳から24歳までの若者の非正規雇用率は48.6%にもなっています。
非正規雇用され、不安定な身分での労働、そして安月給(年収200万以下が7割)。
そのような状況では実家に住み続けなければ生活できない人々が増加します。
かつて、経済的に余裕のある親と同居する未婚の若者のことをパラサイトシングルとして社会問題化されました。
しかし、今やパラサイト自体が、それほど問題ではなくなってしまいました。
年収200万円以下というあまりにも低収入。
自活できるような状況にはありません。
ある調査では、正規雇用者と比べて非正規雇用者が結婚する割合も少ないことが明らかにされています。
非正規雇用同士の結婚はさらに生活レベルを下げる可能性があるわけですから、結婚しない、結婚できないことも当然のことです。
その流れの中で、
日本では、結婚していなければ子どもを産むことも殆どないわけです。
政府は「希望出生率を1.8」にしたいといっています。
少子化問題は子ども園を増やすなどの対策だけでは解決されない問題です。
それは雇用の問題とも絡んでいるからです。
1995年に日経連(現在の経団連)は
「新時代の『日本的経営』—挑戦すべき方向とその具体策」において、
正社員中心だけでなくパートタイマーや派遣労働者への転換を提案しました。
そこでは
パートや派遣労働者などとは言わずに、かっよく
「高度専門能力活用型」「雇用柔軟型」とぼやかしています・・。
実際に現在は、それが定着してしまいました。
政府は人口減が問題であり出生率を上げなければならない等と軽々しく言わないでほしいと思います。
非正規雇用、不安定な雇用、そして低賃金などの雇用の問題とも少子化問題は大いに絡んでいるからです。