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若年性或いは老人性痴呆症にならない為にもね?

小野田寛郎氏の話は重い

2006年08月27日 | Weblog
 WILL10月号も反中に燃えていて、たいへん結構なことである。
 今月の特集は「靖国問題に白黒をつける!」である。
 
 小野田寛郎氏は大東亜戦争時に陸軍中野学校からフィリピン戦線へ派遣され、以後30年間終戦を信じることなく任務を遂行し、1974年上官の任務解除命令が言い渡されるまで、ルパング島で作戦を遂行した方である。その後ブラジルに移住し、立派に成功され、現在では小野田自然塾をも経営なされている。いつも凛としているお姿に敬服している。

 小野田さんが今般の「富田メモ」に対して感じる所は、「こんなに信憑性のないものに、腹の減った魚が餌に食いつくみたいに食いついて馬鹿らしいな」ということらしい。大体このような文章を出す際には、徹底的な検証をすべきである。
 彼のように陸軍中野学校で情報を専門に教育されてきた人からすれば、「こんなものは偽情報決まっている」ということだ。

 それでは、誰が何のためにこのような偽情報を出したか、諜報という観点でいうと、敵方(中国、中国に進出した経済人、その小間使いたる反日政治家やメディア)どもは大方小泉首相は8月15日に靖国参拝を決行すると予想し何とか首相参拝を阻もうと画策している最中にこの富田メモは開帳されたのである。小野田氏がことさら疑問を持つのは、このスクープが朝日新聞ではなくて日経新聞から出て来たことだ。日経新聞などが皇室にさしたるコネもないのにスクープできたのは、中国の人民日報とも親しいし、日本株式会社の広報紙だから、財界の意向を受けてやったのではないか」とさえ考えられると氏は言うのだ。「これは、民主党の偽メールの二番煎じではないか」

 当然のことであるが、天皇陛下も開戦から敗戦という修羅場をくぐって来られたのであり、敗戦という痛ましい現実に対して、「相手から見れば戦犯であっても、私にとっては忠臣だ」と仰せになり、陛下にあらせられても責任は痛感なされていたはずであり、忠臣たちが処刑されることは忍びがたきことであらせられたと思う。陛下のご身分は、「天皇は神聖にして侵すべからず」の憲法によって、結果として守られ、また東条英機氏などは天皇のお命だけはお守りしなければならないという意志をもって極東軍事裁判の判決を受け入れ戦犯として絞首刑に処されたのではなかったか。勿論負ける戦争をした責任も死をもって同時に果たしたのである。

 極東軍事裁判を主催した連合国とて、それなりに日本の本質を研究して裁判に臨んだのであり、闇雲に天皇の戦争責任を問わなかったというものではあるまい。彼らの研究成果として、日本国の天皇は元来司祭であって、為政者ではないという暗黙の前提条件があったのだ。日本史の中で、君主に替わって家臣が腹を切って、ことをおさめた事例はいくらでもあろう。現在でも任侠道に生きるものには馴染み深い日本的手法である。

 こういう日本的な価値観(センチメンタリズム)に照らし合わせてみても、「富田メモ」には大きな矛盾があると、小野田氏は指摘する。(陛下がそのようなことを仰せになることは日本の作法に鑑みてもありえない)

 A級戦犯と戦争責任とは

 何度も言い古されたことであるが、戦犯は日本の国内法で裁かれたのではなくて、連合国側の「日本人の足腰が二度と立たないようにしてくれるという悪意に満ちた意志によって裁かれた」事実を認識すべきである。
 サンフランシスコ条約で日本は独立国家となり、翌昭和28年、国会で「遺族援護法」の改正が決議され、日本には戦犯はいないということになった。満場一致の決議であったという。
 小野田氏が言うように、戦争責任は第一に時の流れであったのだ。時代の流れの中で、日本は追い詰められて行き、アメリカは日本制圧のための「オレンジ計画」を立てたという。この内容は、「米国と日本は歴史的に友好関係を保っているが、何時の日か他国の支援なしの二国間戦争が勃発する。日本は国益を賭した戦争ために国力を総動員する。そして準備が整った時点で突如攻撃を開始する。南太平洋上の目標地点を簡単に攻撃するが、戦域を米本土沿岸まで拡大することはできない」といったものだという。どっちにしても、日本も対米戦争を視野に入れていただろうし、アメリカも対日戦争は想定内のことであった。これは、アメリカが中国を侵略する上で日本が邪魔であったため、兵糧攻めという形で日本を干しにかかったため、『窮鼠猫を噛む』の諺どおり、ハワイの真珠湾奇襲に打って出たのであるが、戦闘の前に宣戦布告しなかったことが、日本人は卑怯者という謗りを今でも受けている所以である。今では、官僚の職務怠慢により布告できなかったということも分っている。

 当時、アメリカもヨーロッパの列強もソ連も日本もみんな侵略者であり、帝国主義国家であって、それが当時一流国家のステータスであったのだから、負けた日本やドイツが全て一方的に悪いということでもあるまい。それどころか、彼ら勝ち組の罪まで背負わされ、未だに負け国勘定を負わされている。こんな不平等があってよいはずがない。彼らとて、負け組み以上に人を殺戮し、挙げ句に原爆で人体実験したのだ。これをもって、戦争責任は相殺されているという強いメッセージを世界に発信しよう。

 (WILL10月号の小野田寛郎氏の記事を一部使わせていただきました。悪しからずや)