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「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

2023年春アニメの感想と評価 2

2023-07-06 10:08:58 | 症例から考える

粒ぞろいという前評判だった2023年春アニメについての、ネタバレなしの感想と評価。今期は12作を見て、途中切りはなし。この記事では、そのうち放送終了が7月になったものと現在も放送が続いているもの3本について述べる。

ちなみにアニメの評価については、私の場合、何より物語が面白いことが重要で、作品全体の評価の少なくとも半分はそれで決まる。逆に萌えやエロといった要素にはさほど興味はないし、作画崩壊も(目に余るほどヒドくなければ)問題にはしない。

以下、並びは50音順で、評価はA~E。

『青のオーケストラ』放送継続中

高校オーケストラ部を舞台にした、いわゆる部活もの。主人公、青野一(はじめ)は世界的ヴァイオリニストの父の下で幼い頃からヴァイオリンの英才教育を受け、かつてはコンクールを席巻するほどの腕前だったが、その父が不倫の末、離婚して家を出て行ってからは楽器に振れることがなくなっていた。だが中学3年のある日、ひょんなことから同学年の秋音(あきね)律子にヴァイオリンの手ほどきをする羽目になった一は、再びヴァイオリンに目覚めていく。そして同じ高校に受かった2人は揃ってオケ部に入部するが、そこは毎年全国大会で上位に入る名門だった。
入学式の後の、新入生の勧誘を目的とした各部紹介でオケ部が演奏を披露するシーンがCGになっていいたことを批判する声がネットに溢れていた。確かに京アニ制作の『響け!ユーフォニアム』などと比べると演奏シーンが物足らないというのはあるが、CG使用は「音楽アニメなので、演奏シーンは嘘のないようにしたい」ということで最初からの方針のようなので、それは容認するしかないだろう(とはいえ、これを見ると改めて『響け!~』の凄さを実感する)。
高校生たちによる青春群像劇で、新規さはないが手堅い王道展開で「またか…」という感じはない。ただ、やはりこの作品ならではのエッジの効いた何かはほしい。
評価はC+~B-。

『神無き世界のカミサマ活動』

腐るほど作られてる異世界転生ものだが、この作品のキモは宗教ネタをテーマにしているところ。安倍元首相暗殺によって旧統一協会が自民党と二人三脚で、この国で暗躍してた実態が明らかになり、大きな社会問題になっている今だから、その宗教を徹底的にしゃれのめしている点で非常にタイムリーなアニメである(狙ってた?)。
新興宗教の教主の息子、卜部征人(ゆきと)は、父親から強要された荒行によって死に、異世界に転生する。そこは宗教という概念のない世界だったが、その反面、村人は皇都にいる皇帝によって生き死にを管理されていた。そんな皇帝と皇都の体制に怒りを覚えた征人は、皇帝に対抗するため、前世で彼のいた教団の神様だったミタマの協力の下、村に自らを教祖とする教団を立ち上げるのだが…。
しょうもないギャグとお下劣な下ネタ満載の上、アニメーションもドット絵になったり、CGが笑えるほど手書きの部分と合ってなかったりの超B級アニメ。ドット絵やCGも予算や制作日数を切り詰めるための苦肉の策なのだろうが、制作陣がそれを悪びれず、むしろネタとしてやっていることで、意外にもそれが作品の「味」になっている(その当たりは、『新世紀エヴァンゲリオン』が制作体制の破綻から最後は投げ出しのような形になってしまったのを、ファンが勝手に「庵野は天才」と勘違いして支持したのと似ていなくもない)し、それだけフザけた作りながらストーリーも一応ちゃんとあって、それなりに見れる作品。最終回では「つづく…?」とあって、反響次第では2期も作る気はあるようだ。
かなり人を選ぶ作品ではあると思うが、私の評価はC+。

『地獄楽』1期

江戸時代後期、将軍の命により幕府が神仙境、極楽浄土、蓬莱とも呼ばれる謎の島に死罪人を調査隊として送り、刑の執行免除と引き替えに「不老不死の仙薬」を手に入れようとする。だが彼らが足を踏み入れたそこは想像を絶する魔の島だった。
原作は『鬼滅の刃』と同じ「ジャンプ」系列のマンガで、「ポスト『鬼滅』」との評判もあるようだが、私はあまり評価しない。例えば、第1話で主人公の忍び、画眉丸(がびまる)は斬首刑、火刑、牛裂き刑など、どんな処刑法を試しても殺せない、という下りがあるが、ハッタリとしてもあれはやり過ぎだと思う。物語冒頭で主人公の強さを印象づけ、読者/視聴者の心をガッチリ掴む、という目的でああいうシーンを入れているのだろうが、そもそも主人公がそこまで不死身なら、不老不死の仙薬を手に入れるためにわざわざ蓬莱島まで行かずとも、将軍には画眉丸の血でも飲ませておけばいい、ということにならないか?
それに当の蓬莱島だが、物語の中では琉球の更に南にあるとされる。であれば、そこの調査は幕府が直接行うことはできず、薩摩藩を通じて琉球にやらせる、という形でなければならないように思う(「物語の中の江戸時代の制度は現実のそれとは違う」というのであれば、それについての説明がなければならない)。あるアニメYouTuberが『地獄楽』を「パチモン」と評していたが、その理由はそういうところにもあるのかもしれない。
原作は既に完結しているようだが、アニメは「俺たちの戦いはこれからだ」というところで終わり。ただ、最後にこれまでの設定をひっくり返す(かもしれない)どんでん返しを仕掛けてきたのはよかった。2期も制作が決定している。
人間の死生観を問う作品のテーマは悪くないが、作品全体から漂う嘘くささから、評価はC~C+。


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