深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

今は時代のターニング・ポイントか?

2015-06-23 15:25:09 | 一治療家の視点

 「ノストラダムスの大予言」が流行った頃からだろうか、「今が歴史のターニング・ポイント」だという論をよく見かけるようになった。いや、多分それ以前から似 たようなことは言われていたのだと思うが、全てが例の「1999年7の月」に収斂されて、単に見えにくかっただけなのかもしれない。最近では 「2012年にアセンション(次元上昇)が起こる」という話が、スピリチュアル系だけでなくビジネスの世界でもまことしやかに語られていた。

そうした予言とか宇宙人からのメッセージとか「歴史の○○年周期説」といったものについては、このブログでも過去にいくつかの関連記事を書いてきた。例えば──

 時代認識 1』(2013-01-13)、『同 2』(2013-01-17)、『同 3』(2013-01-30)

 『2014年の予言』(2014-08-30)

 それとは違う文脈でも、20世紀末にドミノ式に社会主義体制が崩壊した時には、「ここから時代は変わる。新しいルネサンスが始まる」みたいな話を、しばしば新聞やテレビで目にした。また今、世界各地で大きな自然災害が頻発するのを見るにつけ、何か大きな転換点にさしかかっているのではないか、とふと思うことがある。

 

そんな中、神里達博の『文明探偵の冒険 ~今は時代の節目なのか~』という本が出されたのを知って、多分この人も似たようなことを考えている1人なんだろうと感じた。そう、この『文明探偵の冒険』も、そんな時代の空気の中で、書かれるべくして書かれた本、と言えるのかもしれない。読んでみると、この本は時代の空気とともに人々の持つ時代精神みたいなものを描こうとした本だった。


この本では、十二支と陰陽の名前の入った14の章を通じて、「時代の節目」について様々な角度から考察を試みる。取り上げられたトピックは、時を区切る仕 組みとしての暦の成立から始まって、「自由」と「リスク」について、「プロジェクト」と「プロフェシー(予言)」について、科学とその限界、そもそも「歴史」とは何か、時代と身体、そして時代精神的なものへと及んでいく。

ただ、それぞれのトピックはとても面白いのだが、全体としてそれらが明確な像を結ばない。もとより「今は時代の節目なのか」という問いに明確な答えが出せるはずもないが、まるで著者である神里自身が無意識的に?問いへの答えを出すことを避けているかのようにも見える。
それでも最後の2章「陰の巻 時代と身体」「陽の巻 時代とは何なのか」で述べたことは、その問いに神里がギリギリまで肉薄した結果として、読み手に非常に多くの示唆を与えてくれるものだと思う。


ここで、この本を離れて私自身の考えを述べると、「今は時代の節目なのか」という問いは、その裏に「今は時代の節目であり、その節目の時代に 生きている『私』は特別な存在だ」と思うことで自分の存在価値や生きている意味を何とか確認したい/そう思うことでしか自分の存在価値や生きている意味を確認できない、私たち自身の「生きること」への強烈な不安があるのだと思う。

そこで登場するのがスピリチュアル商売人たちだ。彼らは

「時代が大きく切り替わろうとしています。世界は人々の意識レベルによって異なるパラレル・ワールドへと分化していきます。今、私たちと繋がらなければ、あなたは負け組の世界に入って二度と浮上できませんよ」

とか

「歴史の転換期という、この特別な時代に生きているあなたは特別な人間のはずだ。そんなあなたが特別になれないのはインナーチャイルドが癒されていない/マインド・ブロックがある/過去生が邪魔している…からです。でも私ならそれを解いてあげられる」

といった脅し文句や甘い言葉で、不安を抱える人たちに近づいてくる。

ネットを開けば電脳空間がどれだけそうした言葉で溢れているか一目で知ることができる。それが「私が誰かを救いたい」「この世の中を自分の手で良くしたい」という使命感からなのか(それはそれで「余計なお世話」と言ってあげたいが)、自己顕示欲の現れか、単なるカネのためかはわからないが、本当のところは、そうした言葉を発している人自身が強烈な不安を抱えていて、何か(例えば、空虚な使命感、自己顕示欲、金銭的な豊かさ、など)にすがりたいだけ、なのかもしれない。

もちろん、そんな中にも「本物」はいるだろう。ただ自称「本物」はともかく、本当の「本物」は圧倒的に少ないから、普通そんな「本物」と出会う確率は天文学的に低いと思わなければならない。だから私は基本的に、そうした言説を売りにしている人たちからは距離を置くようにしている。

 

さて、話を元に戻すが、もし私が「今は時代のターニング・ポイントか?」と尋ねられたとしたら、答は間違いなくYesだ。ただし、その「今」とは今この瞬間のことではなく、遥かな過去から遥かな未来まで連綿と続く「今」のことである。


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