深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

医療系国家資格の意味?

2005-10-01 15:48:59 | 一治療家の視点
私はカイロプラクターで鍼灸師という、いわゆる無資格治療と有資格治療の両方に足を突っ込んでいる者なのだが、ネットで治療関係のサイトをいろいろ見ていると、時々、カイロプラクティックや整体を弾劾しているものに出会う。彼らの主張は、おおよそのところ、こうだ。

1.カイロプラクティックで行っているアジャストメント(脊椎矯正)というのは、極めて危険な施術だ。実際、カイロの施術を受けて体を損なった人がいる。

2.そもそもカイロや整体というのは、国家資格化されていない。カイロや整体を行う施術者には、3カ月程度の講習会で学んだだけで治療院の看板を出して、患者を診ている人も少なくない(これは、リフレクソロジーやアロマテラピーなども同様である)。

3.それに比べて私たち(=カイロや整体を弾劾しているサイトの管理者)は、きちんと国が定める時間数、医学を学び、国家試験に合格した、信用できる有資格者である。

4.皆さんは、カイロや整体のような無資格者の治療ではなく、有資格者の安全で安心できる治療を選ぶべきである。

5.ただ、カイロプラクターの中には、米国の大学で正式に医学教育を受け、米国で国家資格を得た人もいるので、そういう人の治療を受けるのは、(本意ではないが)容認できる。

要するに、「(最近街でよく見かける)カイロや整体、リフレ、アロマのような無資格者の怪しげな治療院やサロンではなく、資格を持っている(ウチの)治療院にしろ。じゃないと、どうなっても知らねーよ」というワケだ。

ところで、彼らの主張を改めて検証していくと…

1についてはYes & Noだ。カイロの施術は、決して安全なものではない。私の知り合いにもカイロのせいで体を損なったという人がいる。

しかし、こういった主張をする彼ら(=ほぼ間違いなく、鍼灸マッサージ師や柔道整復師)がやっている施術は、カイロのアジャストメントと比べて安全だと言えるのだろうか

例えば、鍼治療では、2002年3月に世田谷の治療院で患者死亡事故が起こっている。報道によると、原因は鍼による気胸(=肺胞に穴が開き、呼吸困難を起こす)だったらしい。患者が死亡することはまれだが、鍼による気胸はしばしば起こっている。それ以外にも、特に頭顔面部への刺鍼による内出血、また使い捨て鍼の普及で最近では少ないが切鍼事故(=鍼が体内で折れてしまう事故)などもある。

結局、治療というのは体に何からの働きかけを行い、体を変化させる行為だから、カイロに限らず、100%安全な治療などありはしないのだ。

2は全くその通り。こういう、知識も技術もない施術者がカイロや整体の評判を落としているのだ。こういう連中は、施術者じゃなくて詐術者だよ、まったく(-_-#)。

3については、大いに異論がある。私も、はり師・きゅう師という2つの国家資格を持つ有資格者だけど、鍼・灸・マッサージ・柔道整復といった資格全般について言えることは、「有資格者だからって信用するなってこと。

有資格者とは、国が定めた養成校を卒業し、国が定めた試験に合格し、国に登録した人、ということだけど、例えばそれは運転免許でも同じこと。運転免許というのは「あなたは車を運転してもいいですよ」という、ただの許可証であって、「あなたは一流のドライバーであることを国が保証します」という証明書ではない。医療系の国家資格も同じ。私が持っている、はり師・きゅう師という国家資格も、「治療という名目で、他人に鍼や灸をしてもいいですよ」という許可証でしかないのだ。

有資格者というのは、「無資格者に比べたら、多少勉強したかもしれないくらいに思っておくといい。いわゆる無資格の中には、並みの有資格者なんか足元にも及ばないくらい勉強して、高い知識と技術を持った人も数多くいる。だから私は、自分が患者として治療を受けるなら、少なくとも「私ハ国家試験ニ合格シタ、有資格者デゴザイマス」などとふんぞり返っている先生の治療は避けたいと思う--それが4についての私の意見。

5についても、同様。

米国ではカイロプラクティックは正式な医療として認められていて、カイロプラクターとなるには、そのための大学を卒業し国家試験に通らなければならない。これに合格すると、D.C.(= Doctor of Chiropractic)の称号を得ることができる。タウンページのカイロ治療院の広告に、「米国政府公認カイロプラクター」という肩書きを入れているところが時々あるが、それはこのD.C.のこと。

米国内では、D.C.はM.D.(= Medical Doctor いわゆる医師)と同等の権限と責任を有する。が、日本では何の権限もない(誤解があるといけないので付け加えると、これは日米間で医療系資格の相互承認がないため。例えばM.D.も日本政府が認める「医師」ではないので、特別の許可なく日本国内で医療行為を行った場合は、医師法違反となってしまう)。

私自身はD.C.を持っているわけではないので、D.C.になるための履修内容や国家試験のレベルについてはよくわからない。ただ、カイロの学校で学んでいた時にD.C.の施術を受ける機会は何度かあり、その時の感想を言えば、「D.C.もピンキリだな」ということ。医師(これも考えてみれば、日本政府公認メディカル・ドクターだ)にもとんでもないヤブから世界的レベルの名医までいるように、「D.C.だから凄い」というのは全くのウソ

私が鍼灸学校で学んでいた時に、先生から「(学校を)出てからが勝負です」とよく言われた。学校で教えてくれることはホンの入り口に過ぎないのであって、更にその先を自分で勉強していかなければならない、という意味だ。

結局、有資格者が「私は有資格者です。安心して治療を受けに来て!」と胸を張って言うためには、勉強している無資格者以上に勉強しなければならない、ということに尽きる。少なくとも、ネットで無資格者を攻撃してるヒマがあったら、もっと他にやることがあるのでは・・・。

ネットで無資格者を攻撃している有資格者に問いたい。
そもそも、あなたの治療院がはやらないのは、無資格者があなたの患者を奪っているから?
それなら、当局が無資格の治療院を根こそぎ摘発すれば、次の日から、あなたの治療院は患者が行列を作る?
・・・そんなワケないでしょ(笑)。それとも、本気でそう思ってるんですか

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