深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

臨床の現場から 16

2024-07-30 11:08:05 | 症例から考える

定期的に来てくれてるYさんの、ある回の施術でのこと。「今、左上顎の歯の治療中だが、歯茎が腫れているような感じがあって、それが治療を受けていない右上顎の同じ部分にもある。歯の治療のせいでそんなことになっているのか不安だ」と。

キネシオロジーでは施術の前に「スイッチング」の有無を調べ、あるならそれを除去する処理を行わなければならない。この時のYさんには「TOXIN(毒素)のスイッチング」があった。身体には体にとって良くないもの、例えば毒物(あるいは、その波動を転写したもの)を乗せると筋肉がロック(=強い状態)からアンロック(=弱い状態)に変わる性質がある。ところが時折、毒物を乗せても筋肉がアンロックせずロックしたままになることがある。これが「TOXINのスイッチング」で、体が物質を正しく認識できない状態になっている、ということだ。

「TOXINのスイッチング」に限らず、スイッチングのチェックとその除去は施術に入る前にルーチンでやることで、それぞれのスイッチングには除去するための標準的なやり方があるから、スイッチングがあれば通常はそれを機械的に使って取り除き、本当の施術に入る。けれどもその時は、Yさんの体のどこに「TOXINのスイッチング」があるのか、ちょっと気になった(私は施術中の「ちょっと気になったこと」や「ふと思いついたこと」には意味があると思っている)。

通常、「TOXINのスイッチング」があると、毒物(の波動を転写したもの)を体のどこに置いても筋肉がアンロックしないものだが、Yさんの場合は上半身のかなりの部分(全てではない)と下半身の一部だけに「TOXINのスイッチング」が生じていた。そこでスイッチングを除去する標準的なやり方ではなく、通常の施術としてその「TOXINのスイッチング」を取ることにした。これで件(くだん)の「TOXINのスイッチング」は消えた──のだが、これもふと思いつきで、毒物と一緒に「職場の人」と書いた紙を置いてみた。

実は以前から、Yさんには「職場(にいる人たち)のことがストレスになっている」という話を聞いていていて、その前の回で「職場の人」と書いた紙を体に置いて、それによって生じる変化を調べて取るという施術を行っていたのだ。その流れで、この回では毒物と一緒に「職場の人」を乗せてみると、消えたはずの「TOXINのスイッチング」が再び現れた。ただし、スイッチングが現れた部位は左右の前胸部と上顎部に減っていた。

そこで、スイッチングが現れた前胸部から肺の状態を調べ、そこをケアする処理を行うと、上顎のスイッチングも消えた。試しにYさんにその時点での上顎の歯茎の感じを聞くと、「腫れた感じがずいぶん薄らいだ」とのこと。

おのころ心平さんは、呼吸器である肺は同時に“空気を読む”器官だと言っている。だから“空気”(=雰囲気)の悪い場にいると肺を損なうのだと。してみるとYさんの場合、職場の悪い“空気”に当てられて、そのままだと肺に影響が出かねないため、体が身を守るために毒を感じにくくしていたのかもしれない。では、それがなぜ上顎の違和感という形で現れたのか?

これは私の想像だが、東洋医学(中医学)では肺と大腸は五行の中の同じ「金(こん)」のエレメントの上で裏表の関係にあり、経絡では肺経と大腸経は互いに表裏経となっている。そして大腸経は上顎に流注(るちゅう)する。なので、Yさんの肺へのダメージが表裏経である大腸経を通じて、治療中で損傷を受けている上顎に出たのではないか。

そういうわけで、この回の施術の主要な部分は(本来、施術の前にルーチンでやる)スイッチングの処理で粗方終わってしまったのだった。


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