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「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

2023年冬アニメの感想と評価 3

2023-04-05 10:39:41 | 趣味人的レビュー

2023年冬アニメについての、ネタバレなしの感想と評価。3月末までに放送が終わったものについては「1」、「2」に述べたので、「3」は4月になって放送が終わったものと、この先も放送が続くものについて。

ちなみにアニメの評価については、私の場合、何より物語が面白いことが重要で、作品全体の評価の少なくとも半分はそれで決まる。逆に萌えやエロといった要素にはさほど興味はないし、作画崩壊も(目に余るほどヒドくなければ)問題にはしない。

以下、並びは50音順で、評価はA~E。

『ヴィンランドサガ』2期第1クール

ヴァイキングが北の海を席巻した時代を生きた青年、トルフィンの物語。1期ではアシェラッドに父を殺された少年、トルフィンが、その敵討ちのためにアシェラッド率いる軍団に入り、アシェラッドの命を狙いながら自身もヴァイキングとして略奪行為に荷担していく話が描かれた。そして物語の終盤、アシェラッドたちはデンマーク王、スヴェンの次男、クヌートの王位継承問題に関わり、トルフィンが人生の目標を見失うところで幕を閉じた。そして2期の「農場編」は、故郷である北イングランドの村がヴァイキングに襲われ、奴隷としてデンマークに連れてこられた青年、エイナルが、とある農場で奴隷として働くトルフィンと出会うところから始まる。
制作が1期のWIT StudioからMAPPAに変わったが全く違和感なし。MAPPAのアニメはこれまで、OPやEDの曲が作品に合ってない、という批判もあったが、この『ヴィンランドサガ』に関してはドンピシャ。もちろん肝心の物語も完璧で、『ヴィンランドサガ』2期は疑いなく、今期トップクラスの1本と言えるだろう。
この2期は、バトルものの要素が強かった1期よりグッと内省的なものになっているが、第2クールに向けて、それだけでは終わりそうにない不穏な雰囲気が濃くなってきた。クヌートとトルフィンの物語は、どこか手塚治虫の『火の鳥 鳳凰編』の茜丸と我王に重なる部分があるように感じられる。
評価は文句なしのA。

『東京リベンジャーズ』2期「聖夜決戦編」

橘日向(ひなた)が死ぬ(というか殺される)未来を回避するため、日向の弟、直人の助けを借りながら、花垣武道(タケミッチ)が過去へと戻って奮闘するアニメの2期。1期では見事にミッションを達成したはずだったが、最後に現代に戻ったタケミッチは巨大組織、東京卍會(トーマン)の最高幹部になっていて、しかも裏切り者として粛正されようとしていた! トーマンがブラックドラゴンのメンバと稀咲(きさき)鉄太によって凶悪化したことを知ったタケミッチは、ブラックドラゴンの総長を兄に持つトーマン弐番隊副隊長、柴八戒に接触する。
『Steins;Gate』もそうだが、未来を変える=世界線を超えるためには、とんでもなく無茶なことをしなければならない。というわけで、今回もタケミッチは死ぬほどの苦労でミッションに挑むのだが、むしろあんなことになったら完全に死ぬだろ普通。それでも死なずにピンピンしてるのは、いかにもマンガ/アニメだよなぁ、と思う。
だがそれ以上に、『Steins;Gate』の岡部倫太郎は椎名まゆりの死を回避するため、何度も過去に戻り事象の改変を行うが、それは同時に、別の誰かの幸せな未来をなかったことにしてしまう自分勝手な行為であることを自覚していたのに対して、『東リベ』にはその視点が完全に欠けている。タケミッチの奮闘でトーマンが巨大犯罪組織になるのを避けられるなら、他はどうなろうがそれでいいだろう、と。個人的にはそこが見ていて気になるんだよな。
なので評価もC+~B-。3期「天竺編」の制作も発表された。

『NieR:Automata ver1.1a』第8話まで放送

タイトルは「ニーア・オートマタ」と読む。ゲーム原作のアニメで、本来は2022年秋アニメだったが、新型コロナなどにより制作が遅れ、2023年冬アニメとして仕切り直しなった。それでも第9話以降の放送は延期され、現時点でその後の予定は公表されていない。
謎のエイリアンにより地球が侵略され、一部のレジスタンスを残して大半の人類が月へと逃れた世界。その後、エイリアンが生み出した機械生命体が支配する地球に向け、月面人類会議は何度もアンドロイドを送り込み、アンドロイドと機械生命体による戦闘がいつ果てるともなく続いている。そんな中、知性を持ち独自に進化する機械生命体が現れる。
基本は侵略者と戦うバトルものだが、進化して人類に近づいていく機械生命体と対峙する、進化することのないアンドロイドの困惑と苦悩が、そこに織り込まれている。しかも、アンドロイドたちにこの不毛な戦いを強いる月面人類会議には、何か隠された意図があるようだ。
第1話はCGと手書きの部分の絵の質感が全く合っていなくて、見ていてかなり萎えたが、第2話以降はそこまで違和感はなく、何より機械生命体の進化を盛り込んだ物語が面白いので、度重なる放送の中断は本当に残念。制作会社(A-1 Pictures)には、何とか最後まで作品を完成させてほしいと願うばかりだ。
評価はここまでの放送分だけになるが、B~B+をつけたい。

『もういっぽん!』

高校女子柔道部が舞台の部活もの。なので、キャラデザも流行の萌えキャラとは真逆のずんぐりむっくりで、萌えブタはそれだけで見るのを止めるかもしれないけど、実は今期の中でも抜きん出た作品の1つ。
主人公の園田未知は中学の頃から柔道が大好きだったが、高校生になったらもう柔道は止めるつもりだった。けれど中学最後の開会で勝つことができず、その悔しさから、一緒に中学で柔道をやってきた親友の滝川早苗と一緒に、部員不足で廃部になっていた柔道部を復活させる。すると、そこに中学最後の大会で未知を打ち負かした氷浦永遠(とわ)も入ってくる。
この手の作品では、主人公がその競技で最初からメチャメチャ強いか、最初はシロウトだったのが実は隠れた才能があってメキメキ強くなる、というパターンが多いが、『もういっぽん!』では未知も早苗も中学時代から熱心に練習もしてるのに大して強くない。つまり主人公と副主人公が揃ってモブ、というちょっと珍しいタイプの作品。でも彼女たちは何より柔道が好きで、その分、柔道することの楽しさが純粋にストレートに伝わってくる。
この作品はとにかく見ていて気持ちよくて、私も柔道がやってみたくなるほど(興味のなかった人間までやってみたくなるのは、良作の証拠)。柔道アニメなのにEDではダンスシーンがあるなど、熱血とは対極の軽いノリなのもいい。同じ高校部活もので、しかも共に伝統武道ということで『ツルネ』と比べてみるのも面白いと思う。
評価は自信を持ってA。


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