深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

2023年夏アニメの感想と評価 2

2023-10-08 19:14:15 | 趣味人的レビュー

2023年夏アニメについての、ネタバレなしの感想と評価。「1」では秋期も放送継続中のものを挙げたが、この「2」では放送を終えたものについて述べる。なお、夏期は途中切りしたものはなかった。

ちなみにアニメの評価については、私の場合、何より物語が面白いことが重要で、作品全体の評価の少なくとも半分はそれで決まる。逆に萌えやエロといった要素にはさほど興味はないし、作画崩壊も(目に余るほどヒドくなければ)問題にはしない。

以下、並びは50音順で、評価はA~E。

『青のオーケストラ』第2クール(1期後半)

千葉県にある幕張高校がモデルの、海幕高校オーケストラ部を舞台にした部活もの。季節が春から夏へと移りゆく中、オケ部は定期演奏会に向け準備に余念がない。今回の第2クールではメンバがふるい落とされるオーディションや、主人公、青野一(はじめ)が先輩やライバルの演奏に心を震わせたり打ちのめされたりするところ、そして青野と彼のライバル、佐伯との関係が描かれた。
物語自体は定番の展開で、高校の部活もののアニメは運動部が多いせいか、普通は物語がカラッとした感じに進むのだが、この作品は主人公を始め登場人物がやたらと悩む、ウジウジ系の青春群像劇になっている。それを批判する人の気持ちも分かるけど、私はそれほど嫌いではない。そもそも、みんな普段そんなに何でも鷹揚に構えてサバサバしてるんだっけ?
それと最終回を見ていて思った。何でも本気でやらなければ見えてこない風景がある、と。
評価はC~C+。そして2期も制作されるようだ。今度は2年生になった青野たちが描かれると思われる。私は見るつもり。

『AIの遺電子』

ヒューマノイドが普通に人と暮らしている近未来。主人公、須堂光はヒューマノイドを治す新医科の医者として、表と裏の顔を使い分けながら、人とヒューマノイドが共存する社会がもたらす「新たな病」に向き合っていく。
物語全体を貫くテーマもありつつ、基本1話完結(というか回によっては1回に2話)で、内容的にも形式的にも『ブラックジャック』の系譜に位置づけられる作品と言えるだろう(実際、原作は『ブラックジャック』と同じ「少年チャンピオン」に連載中のマンガ)。『ブラックジャック』もそうだが、1話完結の作品は連続もの以上に作り手の高い技量が要求される。中には今一つ意味のよく分からない話もあったものの、全体としては、現実に社会にAIが導入されていく中で、これからの社会と人間の意識やあり方について、作り手と問題意識を共有できるいい作品だったと思う。
評価はB+~A-。

『AYAKA-あやか-』

いくつかの島々からなる綾ヵ島で暮らしていた少年、八凪幸人(やなぎ ゆきと)は、島の1つの突然の噴火によって島を離れ、本土の児童養護施設に移るが、彼の持つ奇妙な力のため周囲から疎んじられていた。そんな幸人の元に沙川尽義(さがわ じんぎ)と名乗る男が現れ、幸人は尽義とともに10年ぶりに島に戻ることになる。ミタマと呼ばれる、命の欠片が物に憑依した存在があちこちに現れる島で、尽義は命脈を操る「脈接ぎ」の1人であり、幸人は尽義に脈接ぎの技を習い始めるが…。
命脈、荒御霊(アラミタマ)といった存在、また脈接ぎの唱える祝詞が『老子』の一節だったりと、東洋思想をベースにした奇譚。それなりに見所もあるし、伏線も全て回収して終わり方も綺麗だった反面、いい意味でも悪い意味でも上手くまとまりすぎて突出した何かがなく、全体として薄味の印象。
評価はC~C+。

『アンデッドガール・マーダーファルス』

原作は第22回鮎川哲也賞を受賞した、特殊設定ミステリ小説。異形の者たちが人とともに住まう19世紀末、首だけが鳥籠に入った不老不死の少女、輪堂鴉夜(りんどう あや)が“鬼殺し”の異名を持つ半人半鬼の真打津軽らとともに、奪われた自らの体を探して欧州で探偵稼業を行うのだが、人ならぬ彼らを待つものは、吸血鬼や人狼などが絡む、警察や普通の人間の探偵には手に余るものばかり。はてさて鴉夜の脳髄は、不可解な謎を快刀乱麻の如く解き明かせるや否や。
「ファルス(笑劇)」をうたうだけあって、どこか舞台劇のような雰囲気を漂わせる。そして、とにかく声優たちの語り芸が素晴らしい。特に鴉夜と津軽の掛け合いなどは絶品で、仮に物語がスカスカであっても(もちろん、そんなことはないが)、あの語りだけで十分面白く見られるだろう。ストーリーで見せるアニメやアニメーションの凄さで見せるアニメは多いが、これは語りで見せる(聴かせる?)数少ないアニメの1つだろう(私が他に思いつくのは『昭和元禄落語心中』と『Occutic;Nine』くらいだ──と思ったら、この作品で監督を務めた畠山守は『昭和元禄落語心中』の監督もしてた)。
物語はまだまだ終わっていないが、今回のアニメ化で原作4巻中3巻まで消化してしまった(ちなみに第4巻は短篇集らしい)ので、仮に2期があるとしても当分先のことだろう。
評価はA-~A。

『呪術廻戦』2期「壊玉・玉折、渋谷事変」第1クール

『呪術廻戦』2期は過去編となる『劇場版 呪術廻戦0』を挟んで、その『0』より更に前のエピソードである「壊玉・玉折」と、1期からの続きである「渋谷事変」からなる。そのうちの「渋谷事変」がまだ途中で、このまま秋期に続く形となるのだが、1期、『0』、そして2期のここまで放送された分で、あるサプライズ?が仕掛けられていたことが判明した。このサプライズはミステリでは「叙述トリック」に当たると言ってもいいものなのだが、狙ったような驚きを視聴者に与えられたかどうかは正直言って疑問だ。私も意味が分かるまでに結構な時間がかかった。ミステリの中にも、トリックが大技過ぎて多くの読者にはそれがトリックであることすらよく分からなかった作品があるが、それに近いかもしれない。
夏油傑(げとう すぐる)が闇落ちするまでの経緯を全3話で描いた「壊玉・玉折」は、それなりに見応えがあって、1エピソードは3話くらいでやってくれた方が見やすいと思った。
評価は「壊玉・玉折」はB-~B、「渋谷事変」は9/末時点まででC+~B-。

『SYNDUALITY Noir』1期

タイトルは「シンドュアリティ・ノワール」と読む。SYNDUALITYとは多分「特異点」を表すsyngulatityと「双対性」を表すdualityの合成語だろう。そしてnoirはフランス語で「黒」の意味だが、この作品ではヒロインの名前になっている。
舞台は近未来の地球。大災害によって一時は地下へと避難した人類は、地下都市国家、アメイジアの崩壊を経て再び地上に戻り、各地にネストと呼ばれる都市を建設し、そこで暮らしている。そのネストでエネルギーの採掘や謎の機械生命体、エンダーズと戦うために結成されたのがドリフターズである。
ネスト〈ロックタウン〉でドリフターズになることを夢見る少年、カナタは、ある日、旧文明の遺跡から過去の記憶を失った少女を発見して連れ帰るが、そこに突然エンダーズが現れ、ドリフターズでもないカナタが応戦しなければならなくなる…。
登場人物紹介と合わせて物語の世界観に視聴者を馴染ませるためだったと思うが、1話完結の軽い(というか、しょうもない)話が延々と続いて、根幹の物語が動き出すまで時間がかかりすぎ。一部のアニメYouTuberから「(以前放送していたアニメ)『サクガン』(の悪夢)を思い出す」と評されたのもよく分かる。『サクガン』との違いがあるとすれば、『サクガン』は物語がやっと動き始めたところで終わってしまったが、『SYNDUALITY Noir』はまだ2期があるところだろう(放送予定は2024年冬期)。
評価は、ここまで来てまだほとんど何も始まっていないのでD~D+。

『好きな子がめがねを忘れた』

GoHandsは『K』や『ハンドシェイカー』など、エッジの効いたストーリーラインと映像表現で見せる作品を制作してきた会社だが、これの前に制作を予定していた作品がキャラデザでパクリ疑惑が生じて制作中止となり、一部で存続を危ぶむ声も出ていた。
この『好きな子が~』は、中学生の小村楓(かえで)が隣の席のド近眼のくせにメガネをよく忘れる三重あいのことが気になってたまらず、いつしかそれが恋であったことに気づく、という話。春期の『僕の心のヤバいやつ』と同系統だが、『僕ヤバ』から陰キャネタを全て取っ払ったような作品。その意味では物語は『僕ヤバ』の出がらしのようなもので、ほとんどないに等しいが、その分、映像表現はヤバくて、第1話などは脳がバグりそうになるほど凄い(恐らくVRなども意識した絵作りになっている)。映像のヤバさの方向性はまるで違うが、物語の方は申し訳程度で映像表現の凄さに特化したという点ではufotableの『鬼滅の刃』とよく似ている。それだけでなく、この2作は物語が希薄であるがゆえに、ちょっとそれを濃いめにするだけで妙に感動的に見えてしまうところもそっくりだ。
一番最初にも書いているように、私は何より物語としての面白さでアニメを評価しているが、『好きな子が~』に関してはストーリー展開ではなく映像で語る物語性で評価したい。
評価はC+~B-。

『スパイ教室』2期

悲惨な世界大戦の経験から、世界は正面切って戦火を交えるよりスパイによる影の戦争へと舵を切った。そんな世界で、伝説のスパイチーム〈焔(ほむら)〉のメンバだったクラウスが少女たちを集めて組織した〈灯火〉の活躍を描くアニメの2期。
豪華な声優陣を揃えながら話題ならないアニメ。1期の第1エピソードは叙述ミステリを映像でやる、という挑戦的なもので、一部の視聴者(特に原作既読者)からはかなり批判を浴びたが、ミステリ読みを自認する私は非常に上手く作られていたと思った。その1期のは「〈灯火〉のメンバ同士で殺し合いか?」と思わせるシーンで幕を閉じたが、2期はまさにそのエピソードで幕を開ける。
その2期の最初のエピソードは、どんでん返しの果てに〈灯火〉のメンバたちの意外な側面が垣間見える、という意味で1期の第1エピソードと並ぶ、このアニメにとっての「勝負回」とも言えるものだったが、個人的には(つまらなかったわけではないが)あまり刺さらなかった。何話か使った長編エピソードはまだ見られるものの、1話完結の短編エピソードになると途端に物語の質が落ち、それが『スパイ教室』という作品全体の印象を引き下げているような気がする(正直、『スパイ教室』の30分(正味20分くらい)の短編1話より、『AIの遺電子』の15分(正味10分くらい)の短編1話の方が、見ていて満足感があった)。
評価は長編エピソードだけならC+をつけてもいいと思うが、短編エピソードを含む全体評価はD+~C。

『スプリガン』

かつて地球上に存在した超高度な文明が残した「我々の遺産を悪しき者より守れ」というメッセージを受けて、そうした超古代文明の遺産を現代のさまざまな勢力から守るために活動する、スプリガンと呼ばれる特殊工作員の物語。主人公は高校生で、周りからは(任務のために)やたら欠席が多く、たまに学校に来ても居眠りしてばかりの不良と見られている。
原作は1999年代に「少年サンデー」に連載されていた作品で、アニメの公式サイトで原作者であるたかしげ宙が「拙作『スプリガン』に関してどんな言い方をしようと事実古い作品であり、現在大仰な表現で例えるなら『前世紀の作品』と呼ばれるようになってしまいました」と述べているように、ストーリーライン自体から強烈な“世紀末臭”が漂ってくる。以前、再アニメ化された『ブギーポップは笑わない』が時代の空気感と合わず受け入れられなかったように、『スプリガン』もまたその“世紀末臭”ゆえに時代の空気感との乖離を感じた。ただ個人的には、『スプリガン』には『ブギーポップ』のような見ていてイタい感じはなかった。それは2話で1エピソードというテンポ感と、かつてエーリッヒ・フォン・デニケンやグラハム・ハンコックが主張した超古代文明が実際にあったら、という“夢”が描かれていたから。
飛び抜けて面白いわけではないが、毎エピソードそれなりに見所があり、評価はC~C+。最終話のラストは次の物語につながるもので、人気次第では2期もやるかも。私も陰謀論は嫌いじゃないので、やるなら見るつもり。

『ダークギャザリング』第1クール

今期最大の拾いもののホラーアニメ。こけおどしのような薄っぺらいホラーが巷に溢れる中、この『ダークギャザリング』は見かけ倒しでなない、病んだ嫌な空気感をしっかりまとってた、いい作品だ。ちゃんとしたものを作ろうというスタッフの本気度が感じられる(製作はOLM)。しかも、こういうホラー作品は回を重ねていくと話がワンパターンになってしまうものだが、『ダークギャザリング』にはそれが上手く回避されている。尺の都合からか毎回、前話の振り返りが長くてイライラさせられるが、物語の面白さはそれを補って余りある。
霊障を受けたことをきっかけに引きこもりになっていた主人公、幻橙河蛍多朗(げんとうが けいたろう)は一念発起して難関大学に合格し、家庭教師のバイトを始める。その蛍多朗が担当することになったのは、霊媒体質で現世(うつしよ)と幽世(かくりよ)を同時に見ることのできる4つの瞳を持つ小学生、寶月夜宵(ほうげつ やよい)だった。心霊スポット巡りを繰り返す夜宵に同行することになった蛍多朗は、夜宵とともに強い霊を集めるため、異界へと深入りしていくことになる。
最近のホラーアニメでは『見える子ちゃん』も面白かったが、この『ダークギャザリング』は『見える子ちゃん』をよりえげつなくした感じ。主要な登場人物がそれぞれ、いい塩梅に狂ってるのもいいし、夜宵が悪霊を狩るために持ち歩く武器がバールというのもポイント高い(そういえば『陰の実力者になりたくて』の主人公もバールを使ってたな。今、バールが「来て」るのか?)。ただ話が進むにつれてバールが使われなくなって、私としてはちょっと残念だ。
評価はB+~A-。

『文豪ストレイドッグス』5期

名目上は5期だが、実は今期は4期から続く「天人五衰」編の後半で、4期の内容を知らないと全く意味不明である。続き物だから前の内容を知らないと…というのはある程度仕方ないけれど、これまでの『文スト』は期ごとに話が切れよく終わっていたので、その点は異例だ。本来なら1つの期を2クールでやるべきところ、2クール連続の放送枠が取れなかったのか、制作上の都合で分割2クールでやらざるを得なかったは分からないが、いずれにせよ5期ではなく、4期後半とすべきだった。
4期のレビューでも書いたように、これだけ長く続いていながら、物語の整合性も崩れることなく、なおかつちゃんと面白いというのは驚異的なことだ。とはいえ、1期では「武装探偵社vs横浜ポートマフィア」という横浜ローカルの話だったものが、期が進むにつれて、アメリカからフランシス・F(フィッツジェラルド)率いるギルドが日本(というか横浜)に攻め込んできたり、ロシアの魔人、フョードル・D(ドストエフスキー)が日本(というか横浜)で暗躍したりと、だんだん話が大きくなって、ついに「天人五衰」編後半では世界を巻き込む大戦争の危機に武装探偵社が立ち向こうことになる。だが、そんな大きな話をマトモに描けるわけもなく、過去に『エヴァ』や『Code Geass』がそうだったように、『文スト』もまた「世界の危機」という大きな話をミニマムなところに収斂させることで物語を着地させている。
評価はA-~A。これで原作として出ている分は全てアニメ化されたが、実は物語はまだ終わっていない。ただ6期があるかどうかは微妙。

『ホリミヤ -piece-』(『ホリミヤ』2期)

高校が舞台で、春期の『スキップとローファー』に匹敵するような、いい作品。タイトルの由来は主人公が堀さんと宮村君だからだが、『ホリミヤ』1期は後半、堀さんと宮村君ではなく、その周囲の人たちのエピソードが主になってしまい、全然『ホリミヤ』じゃなくなってしまったけれど、それが功を奏してか、今回の『ホリミヤ -piece-』は登場人物が全員ちゃんとキャラ立ちして秀逸な群像劇になっている。
『ホリミヤ -piece-』については「高校生のどうでもいい日常をただダラダラ描いてるだけで、ストーリーも何もない」という批判もあるようだ。実際このアニメには、部活で全国大会に出場するとか恋を成就させるとかいった、何かに向かって進むような要素は皆無で、「高校生のどうでもいい日常をただダラダラ描いてるだけ」の話なのだか、だからいいのだ。高校生同士の他愛ない、そして意味のない、ダラダラした会話が、作品の中でキラキラ輝いている。「超微炭酸系スクールライフ」という惹句が象徴するように、ただ日常が続いていて行くだけの空気感が最高に心地いい。
評価はA-~A。

『ライアー・ライアー』

ゲームで得た星の数で学生同士のランクが決まる、アカデミーと呼ばれる学園島に編入してきた主人公、篠原緋呂斗は昨年度の絶対王者、彩園寺更紗(さらさ)を破り、史上最速でアカデミーの頂点“7ツ星”に成り上がった──というのは全て嘘だった。だが、ある理由から嘘でもトップに君臨し続けなければならない緋呂斗は、実は偽お嬢様だった更紗、そして最強のメイド、姫路白雪の協力の下、いかさま上等のゲーム・バトルに挑んでいく。
負ければ終わりの、いわゆるデス・ゲームもの。ゲームの設定や主人公(たち)が絶体絶命状態から逆転勝利する手などに工夫が見られるものの、似たような話である『ライアー・ゲーム』、『ダーウィンズ・ゲーム』、『賭ケグルイ』などと比べると話がヌルくて、途中何度も切ろうと思ったほど。
評価はD~D+。

『るろうに剣心』第1クール

昔(というのは1994~99年)「週刊少年ジャンプ」に連載され、過去にアニメ化、実写映画化された作品のリメイク版。私は原作も旧アニメも見たことがなく、実写映画も第1作を見ただけの人間なので、原作や過去の映像化と比べてどうかとことは分からないが、今回のリメイク版を見て思うのは「いかにも昔の『ジャンプ』の作品だな」ということ。ビジュアル面を含めたキャラクタ造形、ストーリー展開、…どれをとっても“いかにも昔の「ジャンプ」作品”という感じで、正直、今これをアニメ(それも深夜アニメ)としてリメイクする意味があるのか?と思う(実は続編となる「北海道編」が「ジャンプSQ」で連載されていて、今回はそれを視野に入れてのアニメ化らしいのだが)。
幕末、「人斬り抜刀斎」の二つ名で呼ばれ怖れられた無敵の剣士、緋村剣心。その後「不殺の誓い」を立て、るろうに(流浪人)として明治の世を生きる彼だが、その周囲では「幕末の亡霊」のような者たちがうごめき出す。
こうした物語が再び作られる、というのは、もしかしたら世界が再びテロルと暴力の時代へと向かっていることを示唆しているのかもしれない。
冒頭で“いかにも昔の「ジャンプ」作品”だと書いたが、決してつまらないわけではないので、評価もC+。

『わたしの幸せな結婚』1期

大正時代くらいの架空の日本が舞台(そいういえば時代設定が『鬼滅』と重なるな)。異能が発現しなかったが故に義母や義妹から虐げられて育った少女、斎森美世(みよ)が政略結婚のために送られたのは、当代最強とうたわれる異能を持つエリート軍人、久堂清霞(きよか)の屋敷だった。当初は美世に冷たく接した清霞だが、美世の人となりを知って彼女を深く慈しむようになる。だが、彼らは久堂家、斎森家を巡る異能者同士の戦いへと巻き込まれていく。しかも、美世と清霞の結婚を阻止せんとするものは斎森家だけではなかった…。
同名の小説が原作で、この少し前に実写映画化もされた。アニメでは美世を演じるのが上田麗奈、EDで歌っているのが伊藤歌詞太郎というのが『虫かぶり姫』と同じで、ストーリーも『虫かぶり姫』と若干被るところがあるが、ヒロインの境遇は『わた婚』の方が遥かに過酷。それだけに、清霞によって美世の運命が負から正に転じるところは見ていてカタルシスがある。
物語はやや盛り上がりに欠けるものの綺麗に終わったので、評価はB-~B。私はこれで「完」でいいと思うが、どうやら原作はまだ続いていて、アニメも2期の制作が発表された(が、私は見ないかもしれない)。


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