深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

「全体」を問う

2016-08-11 22:03:48 | 一治療家の視点

IH(インテグレイティッド・ヒーリング・キネシオロジー)勉強会を主催する諏訪紅音(あかね)さんのご厚意で、時々その勉強会でセミナーをやらせてもらっている(IHはキネシオロジーの1つの流派というか体系だが、私自身はIHについて詳しいことは何も知らない)。8月は「情報器官としての脳」というテーマで話をした。

そこで話したことの1つが、複雑系としての脳である。

脳のことを知ろうとする場合、普通は脳の解剖・生理学を勉強する。あるいは更に一歩進んで、そこに生化学を加えることもあるが、いずれにしても脳をいくつかの部位に分解して、その各部位が何をやっているのかを詳細に学び、最後にそれらを足し合わせて脳が全体としてどのように機能しているのかを知る、という寸法だ。

もちろん、それが王道であることは間違いないが、それだけで脳全体を把握することができるのか、というと、これまたそんなことはない。なぜなら脳はそれ自体が複雑系でもあるから。

複雑系についてはよく「北半球で蝶が飛ぶと、南半球でハリケーンが発生する」という「バタフライ効果」の例が出されるが、複雑系について簡単に述べると
「それを構成する各要素が全体の働きにどう関わっているのか明確に捉えることのできないシステム(=系)」
のことである。

解剖学的には神経の構造的な単位はニューロンだが、それがそのまま機能の単位である保証はない。つまり、ニューロン単位での情報のやり取りの総和が脳における情報のやり取りの全体ではないのだ。だから個々のニューロンの働きをいかに精密に調べても、脳が全体としてどう機能しているのかを知ることはできない。それが脳が複雑系であるということである。


西洋医学的な身体観は、全体は部分の総和であるというものだ。全体の状態は部分の状態を積み上げることで見えてくる、と考える。それに対して代替医療、自然療法のコンセプトは「人間全体を見る/診る」ということだと考えられている。だが、そこで言う「全体」とは果たして西洋医学的な「全体」と違うものだと言えるのだろうか。

確かに代替医療は身体をホログラフィックなシステム(=局所の持つ情報と全体の持つ情報とがほぼ同等なシステム)として捉え、脈診や舌診、脊椎のリスティング、頭蓋の動き、などの局所的な情報から全体情報を導く、ということをやっている。しかし、それは局所の情報の中に全体の情報を擬似的に映し出しているに過ぎない、という点で、実は局所の情報を積み上げて全体情報を擬似的に構成することと本質的に変わらないのだ。


そこで気づいたことがある。キネシオロジーだけが一切の局所に立脚せず、局所と全く切り離した形で「全体」の状態を問うことができる──つまり複雑系としての全体の状態を調べることができる──ということに。

もちろん、そのためには施術者が複雑系というシステムについての概念を持っていなければならない(なぜなら筋反射テストとは、それを行う人の世界観を反映したものだからだ)が、世の中に存在する他のさまざまな検査法に対してキネシオロジーに明確なアドバンテージがあるとするなら、まさにその点ではないだろうか。


──というわけで以下、セミナーのご案内。

あなたの世界観を変える「キネシオロジーの応用を学ぶ2日間の集中セミナー」、9月にやります。

1998年からキネシオロジーを学び、それを臨床で使い、いろいろもがき苦しみながら、そのさまざまな応用の形を独自に作り上げてきました。キネシオロジーという名前も少しづつ知られるようになり、基礎的なキネシオロジーの知識と技術を身につけた方も多くなってきたこともあり、20年目を前に自分の19年のキネシオロジーの集大成のようなセミナーを2日間の集中講座という形で開催することにしました。

世の中にはさまざまなキネシオロジーの流派があります。私のキネシオロジーも横浜の松原次良(じろう)先生の作ったCBS(クリニカル・バイオホログラフィック・システム)が基本となっていますが、このセミナーで述べることは私、高澤昌宏の完全なオリジナルであり、どこかで既に体系化されたものを学んできて、そのまま下ろしてくるような類のものではありません。他では決して聞くことのできない内容です(何しろ、こんな視点からキネシオロジーを使ってる人、というか使う知識や発想を持ってる人なんていないから)。

このセミナーでは、キネシオロジーによって1人の人間を時間的・空間的に捉える全く新しい視点を提供します。これにより、あなたは人体に対する世界観が変わり、これまでと全く違う視点から相手の問題が捉えられるようになるでしょう。それは取りも直さず、あなたの行う施術、セラピーが全く新しいバージョンに移行する、ということを意味します。

ただし「腰痛はこうすれば治る!」のような即物的なテクニックにしか興味のない人には参加する意味のないセミナーですので、申し込まないでください。

開催日時は、9/19(月・敬老の日)と22(木・秋分の日)の10:00~17:00で、途中1時間程度の休憩を含みます。

予定している主な項目は
第1日目―術者自身の感情が筋反射テストに及ぼす影響をエネルギー体レベルまで含めて捉える、一瞬で起こる事象をスローの状態にして調べる/長いスパンで起こる事象を早送りして調べる、人体の連続性や滑らかさを調べる。
第2日目―位相を切り替えて隠れていた問題を出現させる、情報空間としての身体の状態を象徴体系によって書き換える。

ハッキリ言って易しい内容ではありませんので、あらかじめご承知置きください。また、セミナーの成り行き次第で内容は変更になることもあります。

このセミナーは受講者が筋反射テストをマスターしている(テストの型は問いません)ことを前提として行います。

参加は2日間のうちのどちらか一日でもOK。
受講料は各回45000円ですが、2日間通して受講される場合は優待として受講料を85000円(更に8月中のお申し込みなら80000円)といたします。


このセミナーへのお申し込み、お問い合わせは、蒼穹堂治療室まで。


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