深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

もめばもむほど悪くなる

2005-09-26 11:38:28 | 症例から考える
肩こりがひどく、マッサージを好んで受けている受けている人がいる。しかし、そのひどい肩こりの原因が、実はそのマッサージだったりすることがある。特に、それが「強もみ」マッサージだったら、要注意だ。コリに強もみは最悪…なのだから。

コリの原因は実際のところよくわかっていないが、多くの場合、コリを感じる直接的な原因は、その部分に疲労物質や発痛物質が貯留してしまうことである。強くグッと押したりもんだりするとそれが軽減するのは、押すことによって貯留している物質を外に拡散させるため。だから、強く押されたりもまれると楽になる、というのは決して嘘ではない。

では、なぜ「コリに強もみは最悪」なんて言うのか?

皮膚というのは1枚ペラの構造ではなく、何枚もの組織が層状になってできていて、その層と層の間には毛細血管や毛細リンパ管は網の目状に走っている。それらが、皮膚そして筋膜組織に酸素や栄養を運び、二酸化炭素や老廃物を受け取っているワケだ。

そこを、強押し、強もみするとどうなるか。当然、毛細血管や毛細リンパ管というルートが押しつぶされることになる。もちろん、体には回復力があるから、押しつぶされた毛細血管や毛細リンパ管はすく元に戻るのだが、強い力で、長期に渡って、そのルートが押しつぶされ続けたらどうなるか…

そこで起こる起こる変化は
・押しつぶされた毛細血管や毛細リンパ管が元に戻りづらくなる。
・常に強い外力を受けるので、体がそれに対抗するため筋肉を異常収縮させる。
・皮膚も肥厚する。

その結果、以前にも増して疲労物質が産生され、しかもそれを運び去ってくれるはずのルートも潰されているので、それが益々貯留しやすくなるそして肩こりがひどくなる。(それを示す体からの警告信号が、もみ返しである。もみ返しとは炎症が起こったことを表しているのであり、決して好転反応などではない)。

つまり
肩こりひどい → 強押し、強もみされると楽 → でも、それによって益々肩こりしやすい体になって → …
という、際限のないデフレ・スパイラルならぬ、肩こりスパイラルに陥っていくのである。

もちろん、そんな人はマッサージ屋さんには最高のお客さんだ。マッサージすることで肩こりのタネを植え付けているから、いいリピータになってくれる。あなたは自分の体を壊すためにおカネを落とし、その落とすおカネは業界を潤し、日本経済を潤している。決して悪い話じゃない。

でも、それでいいんですか?

それから最後に大事な話を。肩こりが心臓疾患などの重要なサインであることもあるので、胸痛や不整脈などが合わせてある場合は、循環器の専門医を受診することもひつようかもしれない。マッサージしている最中に、患者が心筋梗塞を起こしてポックリ…なんてことになったら、マッサージ師も浮かばれないでしょうから。

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