深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

筋反射テスト考 その8

2012-12-01 11:49:37 | 症例から考える

キネシオロジーの筋反射テストを使うと潜在意識の状態も探ることができる、と言われる。私も自分のHPやブログにそう書いてきた。しかし、それは本当なのだろうか?──そんなことを考えてしまうことがあった。

というわけで、この記事のために選んでみたのはStingの『Shape of My Heart』。映画『レオン』のEDで使われた曲だ。

少し前、何かのキッカケで自分の中の「寂しさ」について調べることをした。セルフの筋反射テストで調べると「寂しさ」だけでは反応がないが、「寂しさ 両親」という言葉で反応があり、それをキネシオロジーやフォーカシングなどを使って、3日間くらいかかって70%程度まで取った。

そこで更に調べると、「寂しさ 友達」という言葉でも反応が出るので、次にそれを取ろうとしていた時、自分の中にあった大きな「寂しさ」に触れた瞬間があり、そこから「寂しさ 友達」ではなく「寂しさ」そのものを処理することになった。

それをどう処理したかは、この記事の主題からズレるのでここでは述べない。それより私にとって問題になったのは、自分の中にあるこんな大きな「寂しさ」を筋反射テストでは検出できなかった、という点だった。

自分のことを自分で調べる場合、どうしても「自分が望まない方向の結果が出ないでほしい」という心理が働くから、筋反射テストに心理的・精神的なバイアスがかかることが完全には回避できない。だから、例えば「寂しさ」という感情が、自分にとって認めたくないこと、見たくないものだったとしたら、筋反射テストをしても「寂しさ」では反応しない可能性はある。

だから上に述べたようなことも「それがセルフ・テストの限界さ」と言ってしまえないこともないが、それならなぜ「寂しさ 両親」には反応が出たのだろうという疑問があった。そこで、それについて更に調べてみることにした。


クラニオセイクラル・ワークには、人体を肉体だけでなくエネルギー体も含めた総和という視点で捉える、生体場(biosphere)という概念がある。で、それをキネシオロジーに応用して、肉体を取り巻くかなり大きな範囲までエネルギー体と見なした生体場に対して筋反射テストを行うと、ちゃんと「寂しさ」でも反応が得られましたとさ。めでたし、めでたし──



──で私の書く記事が終わるわけがない。



実は「寂しさ」だけでなく「悲しみ」「怒り」「不安」といった感情は、多かれ少なかれ基本的に人が誰しも持っているもので、生体場を大きく取れば、相手が誰であれ、ほぼ例外なく、そうした感情があることを筋反射テストで見つけ出すことができる。

見つけ出すことができる…?

当然あるべきものが、当然のようにあった、というだけのものを「見つけ出した」などと言えるだろうか? 生体場を大きく取って「あなたは今、心の中に『悲しみ』を抱えていますね。筋反射テストの結果がそれを示してますよ」などと言ったとしても、そもそも「そういう感情があることくらい、筋反射テストなんか使わなくてもわかる」のだから。

よって私の場合も、生体場を大きく取ったら「寂しさ」で反応が得られたといっても、それをもって「筋反射テストで潜在意識の状態を捉えた」などとは言えないのだ。


さて、ある感情での反応が通常の筋反射テストでは検出できず、生体場を大きく取った筋反射テストで検出できる場合、次の2つの可能性が考えられる。

1.その感情は、その人のボディマインドに著名な影響を及ぼすほどの強いものではない。つまり現時点では特に問題とすべきものではない。だから生体場の中心から離れたところにある。

2.その感情は強い/根が深いものだが、それだけにその人にとっては認めたくない/見たくないもので、遠くに押しやられて蓋をされている。

単純に筋反射テストで感情に対する反応を検出しても、それだけでこの2つのどちらなのかを判定することはできない。

もちろん「マインドで聞く」方法を使えば判定できるので、キネシオロジーとして判定する手段がないわけではないが、それを感情1つひとつに対して行うのは非常に煩雑だし、場合によってはただの時間のムダに終わることもある。

そもそも、そんな手間がかかるのであれば、「ほら、やっぱり筋反射テストを使えば潜在意識の状態までわかるんだよ」なんて言われてもねぇ…ってコトになってしまうだろ。


ただ(これはあくまで私の想像だけど)、上の2の場合、本人は認めたくない/見たくないと思っていても、いつかそれは処理し解放しなければならないものだから、たとえその感情を遠くに押しやっていても、ボディマインドはそこに至るためのパスを密かに仕込んでいるのではないだろうか。

例えば私の場合、「寂しさ」では反応がなかったのに、「寂しさ 両親」で反応があったように。

とすると、そうした隠されたバスを見つけ出せるかどうかでキネシオロジストとしての力量が問われる、ということになりはしないか。


で、現時点での一応の結論。
単に筋反射テストを使えば相手の潜在意識の状態がわかる、ということはない。筋反射テストは強力なツールではあるが、潜在意識の状態まで探ろうとするなら、筋反射テストだけじゃないスキルが問われる。


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2 コメント

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昨日 (加藤 CBS)
2012-12-10 16:18:02
お世話になっております昨日はいろいろお話できてうれしかったです、まさか「刃牙」の話であんなに盛り上がるとおもいませんでした、デビルマンは機会があったらもう一度詳しく読んでみようと思いました、永井豪の話も見てみますエヴァのアップのほうも期待しております、先生らしい独特な視点を楽しみに待っております
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来年も (sokyudo)
2012-12-11 12:38:23
>加藤CBSさん

コメントありがとうございます。またマンガの話で盛り上がってしまいましたね。
『激マン』はコミックが出ています。↓
http://www.amazon.co.jp/%E6%BF%80%E3%83%9E%E3%83%B3-1-%E3%83%8B%E3%83%81%E3%83%96%E3%83%B3%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E6%B0%B8%E4%BA%95-%E8%B1%AA/dp/4537126361/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1355196901&sr=1-1

来年もよろしくお願いします。
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