本屋大賞を受賞して話題になっていた小説の映画化。
羊はピアノのハンマーの素材、鋼はピアノの弦のこと。ピアノ調律師の話です。
原作は読んでないのだけど、物語の題材が気になったので観に行きました。
なぜなら、ビーちゃんが昔(←大昔?)
ピアノの調律師の仕事をしてたからなのです。
そういうわけなので、どうしてもそういう立場から見てしまうわけなので、ちょっと穿った見方になるかもしれないことをご了承ください
この映画を観た率直な感想は…
仕事内容のレベルが高過ぎて、現実味に乏しいということでした
いや、まあよっぽど腕のいい調律師なら、ピアノの調律にたいしての要望も音色やタッチまで注文が来ることと思います。(映画でも三浦友和さん演じる調律師は、世界的なプロのピアニストから指名されるほどだし)
フツー、ピアノの調律といったら年に一回定期的なものとして、狂った音を正しくするぐらいの家が大多数だと思うのですが、この映画に出てくる家は例外なく音色までこだわってる。
いや、みなさん凄い耳をお持ちですねと言いたくなります
もう少し、普通一般のお宅の調律風景を挿入してもいいんじゃないかと思いました。
そして、この物語でもっとも重要な姉妹のエピソード。
実際に姉妹である上白石姉妹の演技はとてもよかったし、二人の演奏も素晴らしかったです。
だけど、娘が絶対ピアニストになると決めているわけでもないのに、しょっちゅう調律&整調しに来させる家というのはどういう家なんだろうと思ってしまいました。
調律は決して安くないのに、ましてや整調までと言ったら1回に何万かかるのか…しかもグランドピアノだし…
まあ、よっぽどの金持ちなんだろうということで納得することにしましたが
(もしかしたらお得意様だから、割引なんかあるのかも?←想像)
全体的に
いい映画という雰囲気はあるのですが、もともとの原作なのか、それとも脚本なのか、演出の腕なのかわからないけれど、1シーン1シーンの表現が大袈裟すぎて、興醒めしてしまうことが多々ありました。
山崎賢人さん演じる外村が、雪の中を叫びながら走るシーンはさすがにあり得ないだろうと…
劇的にしようとして、現実感を損なっていました。
というより、“鈴木亮平さんが殺人鬼で、それに追われて必死で逃げている山崎賢人さん”というシーンにしか見えなかった
山崎賢人さんに関しては、モノローグで始まる第一声から棒読み感が感じられて、演技力もいまひとつで全編残念な感じでした(ファンの方ごめんなさい
)
この映画で、調律師という仕事が素晴らしいと感じてくれる人が増えるなら、それは嬉しいことなのだけど、映画としては印象に残りにくい作品でした。
もし監督が違ったら、かなりいい出来になるんじゃないかと思われるテーマなだけに、勿体ないな~と思いました。