南の国の会社社長の「遅ればせながら青春」

50を過ぎてからの青春時代があってもいい。香港から東京に移った南の国の会社社長が引き続き体験する青春の日々。

修学旅行で訪れるシンガポール

2006-10-28 21:04:34 | シンガポール
私がまだ高校生だった頃、修学旅行で海外に行くということは
全く考えられませんでした。高校まで私は愛知県の田舎の学校
に行ってましたが、修学旅行と言えば、小学校で京都/奈良、
中学校で東京/箱根/鎌倉、そして高校は京都/岡山/広島/
萩でした。その頃は日本の歴史には、それほど興味はなかった
のですが、今になって、その時、日本の歴史の中で重要な場所
を訪れたことを感謝しています。

最近、シンガポールに来る修学旅行が非常に増えています。
私はシンガポールで仕事をしているので、空港とか街中とかで
日本からの修学旅行の団体に遭遇すると、懐かしいやら、恥ず
かしいやら、何だか複雑な気持になります。制服の団体は、
仏教僧の団体とか、巡礼に行くイスラム教徒の集団とか、いろ
いろいるのですが、修学旅行の団体は人数でいくとかなり巨大
な団体なので、非常に目立ってしまうのです。

日本から海外に出る修学旅行の中で、シンガポールがどのくら
いの比率なのかはわかりませんが、かなり多いのではないかと
推測します。シンガポールは、安全だし、英語が通じるし、
距離的にもそれほど遠くはありません。旅行を管理する立場と
したら、非常に便利なデスティネーションです。

修学旅行中に心配なのは、生徒が盗難や犯罪に巻き込まれる事。
シンガポールの場合は、そのリスクが他の国に比べてかなり低
いと言えるでしょう。また中国などによくある反日デモなどに
遭遇する危険もありません。手軽に、安全に、外国旅行体験が
できる場所としてシンガポールの優位性は圧倒的です。

これからはグローバル社会ですから、高校生のうちから海外を
体験するということは教育上それなりの意義はあると思います。
私が高校生のときに、修学旅行で海外に行けるということに
なっていたら、驚喜して喜んだでしょう。

しかし、考えて見れば、例えば広島の原爆資料館などは、修学
旅行がなければ、まず訪れるチャンスがありませんでした。
高校生の時に、そこを訪れていたことは、今から思えば非常に
有意義でした。核の恐ろしさというものをあれほど強烈に示し
ている場所は他にありません。今の私の日本人としての歴史
認識は、修学旅行の時に実際に訪れた場所がかなり貢献してい
るような気がします。

そういうこともあるので、日本人として知っておくべき事を
スキップして、いきなり海外に行くのもどうかという気持も
あります。しかしながら、また同時に、若いうちから海外を
経験しておくことも、グローバル感覚を養うこともまた意義
のあることもまた重要です。教育的に見て、どちらがいいの
かということは、なかなか断言できません。そのバランスが
大切なのですね。

シンガポールに来てただ漫然と遊んで帰るだけの生徒も多い
のかもしれませんが、いろいろ勉強になることも多いので、
是非いろいろと吸収していってもらうといいのかなと思いま
す。いろんな人種や宗教や文化が調和して共存しているとい
うことだとか、英語を話しているのが欧米人だけではないと
いう事実だとか、機能的な交通システムだとか、あるいは
日本の製品がこんなに海外に浸透しているという事だとか、
はたまた、日本ではあまり見られないブランドがこんなにも
いろいろあるということだとか、そんな部分を若い感性で
感じ取ってもらえれば、修学旅行としての意味も十分果たせ
られるんだろうなと思います。

なんだかえらそうな事を言ってしまいました。
高校生の皆さんがもしこれを読んでいたら、「余計なおせっ
かいだよ」と思うかもしれませんね。でも私たちの時代には
できなかった夢の体験だけに、その経験を無駄にしてほしく
ないというのが私の気持です。

ところで、私の妻が最近、飛行機でシンガポールから
日本に行ったときの話しです。たまたま修学旅行の
高校生の団体といっしょの飛行機だったそうです。
シンガポールでの修学旅行を終えて、飛行機に乗り込んで
来た生徒の皆さんは、座席を移ったりして、ざわざわしてい
ました。座席を替わったりするのもまた楽しいですよね。
そのとき、生徒たちがなかなか静かにしなかったものだから、
引率の先生が大きな声で生徒達を叱ったのだそうです。
「お~い!みんな自分の席に戻れ~!
飛行機が落ちたとき、席の番号が違ってたら、
死体の確認がちゃんとできんじゃろ~が!」


この飛行機に乗っていたのは、修学旅行の生徒だけではなく
て、当然、他の乗客もいっぱいいました。この教師の言い方
は、かなりの不快感を与えたようです。生徒たちは、その教
師の指示に素直に従ったということですが、他の乗客の心情
はどうだったのでしょう。

もしも飛行機事故の遺族の方などがこの飛行機に乗り合わせ
ていて、この教師のデリカシーのない発言を聞いたとしたら
この教師につかみかかって殴り倒していたかもしれません。
「教師だったらもうちょっとうまく言ってほしかった」と
私の妻も嘆いておりました。

教師の立場からすると、ざわついた状態を即座に沈静化した
かったのでしょうが、不用意に余計なこと言っちゃいました
ね。生徒が飛行機内でうるさくするのも迷惑ですが、こうい
う教師がいるということは社会的にはもっと迷惑です。教育
的には有害です。教師は誰からも怒られることはないので、
こういうのも一生気付かないのでしょうが、こういう教師から
教わる日本の生徒たちはかなり不幸といえるでしょう。

よく言われることですが、家に帰るまでが修学旅行です。
帰りの飛行機での教師の発言も、教育にとってはおろそかに
できない重要な部分です。教育に携わる人には、それを十分
自覚してほしいと思います。そういう教師は、世界の恥にな
るので、修学旅行では海外に出ないでほしいと思います。

たまたまこの飛行機に乗っていた学校の生徒のみなさ~ん、
こういう先生は「反面教師」です。こういう人には絶対に
ならないようにしてくださいね~。このような発言を海外
ですると、国際問題に発展しかねないので気をつけましょ
うね

まあ生徒以外にも、我々もいろいろと勉強になる修学旅行
です。