日曜日の新聞に、花嫁花婿募集広告のセクションがありました。ヒンドゥス
タンタイムズ(主にインド北部地域に強い英語の新聞)のニューデリー版な
のですが、6ページにわたってびっしりと広告が掲載されています。
このセクションのタイトルは、Matrimonial(マトリモニアル)となってい
ますが、これは「結婚に関する」という意味の英語で、結婚相手を募集する
広告を「マトリモニアル広告」と言います。モノクロの小さな広告が多い
ですが、6ページすべてカラー印刷で、目立とうとしている人たちは色や、
特別なデザインを使って工夫をしているというのがわかります。
インドでは、お見合い結婚が一般的。同じカースト同士、同じ出身同士、
など相手に対する複雑な条件があるため、親が決めるお見合い結婚が主流に
なっているのです。この新聞の"Grooms Wanted"というページは、娘を持っ
ている家から、花婿募集をしている広告がぎっしり出ています。またよく
見るといくつかのセクションに別れていて、カースト別や、生業別、出自別
に区分けされているのがわかります。
"Brides Wanted"というのは、息子を持っている家からの花嫁募集の広告の
セクションです。どっちも同じくらいの数の求人がありますね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/2d/cdb3e13f39c3622abacf3ccdac3ffbe9.jpg)
この上の写真の左ページの下は、この募集広告の応募要項です。
ここに広告を出すには、モノクロの文字で5行が基本単位になっていて、
デリー地域版だけでよいということなら1330ルピー(約2700円)で広告
が出せます。行数が増えたり、色やデザインを追加したり、地域を広げた
場合はその都度追加料金となるようです。
で、広告の内容はどんなことが書いてあるのかという例ですが、例えば
こんなのがあります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/63/8fcc58d8f77af3e1a0ed0b47a200e718.jpg)
中央ちょっと左寄りの黄色の広告の文面は、「ステータスの高い、デリー
の著名な実業系のシーク教アローラの一家が、その非常に色白で、
可愛くて、スリムな学歴のある娘(22才、身長160CM)のための花婿
を求めています。その条件は...」というような感じ。
自分ところの娘を、色白で、可愛くて、スリムと宣伝するのは、ちょっと
どうなのかと思うのですが、この一家が特殊なのではなく、どの広告も
みな、色白だの、非常にビューティフルだの、非常にハンサムだのと恥ず
かしげもなく堂々と書いています。インド恐るべしです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/5c/ab0033a53dcb99ee7a64b58f66fc187b.jpg)
こちらは花嫁募集の広告の例。「スリムでビューティフルな相手求む。
当方ハンサムで学歴のある建築家」とか「スリムで背が高い相手を
パンジャブのクシャトリア階級に属する息子(31才6フィート)」など
と書かれています。家系の条件と外見が多いですね。性格とかは二の次。
キーワードになる条件を拾ってみると
男性は圧倒的に「ハンサム」と「教育がある」こと。「ハンサム」という
言葉、映画の「ハンサムスーツ」で聞いたときもちょっと気恥ずかしい
言葉でしたが、こういうところで使われるのも我々からするとすごい
インパクトですね。
女性は「色白」、「美しい」、「スリム」という感じですね。写真もない
ので実際のところ確認できないのが怖いですが、ちょっと誇大広告ばかり
のような気がしますね。写真と履歴書送れと書いてあるのですが、写真を
見て考え直すケースも多いんでしょうねきっと。
あとこれを見ていてところどころ目についたのが"Caste no bar"という
表現。カースト不問ということなのでしょう。カーストを気にしない見合
いも出て来ているんだなとわかります。しかし大半がカーストとかを前提
にしているらしいですが。
さてこちらの広告、花婿募集広告ですが、この人も「カースト不問」です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/01/ce3ab2fd23d17a217181391f519a7fce.jpg)
「デリー首都圏在住のとっても美しく、非常に色白でスリムな31才の
5フィート6.5インチ、学校は常に最優秀の成績。アメリカ系の太平洋
地区での出版社でフリーのジャーナリスト兼リスクアナリストとして成功。
父親はエンジニア系の偉い人。相手の希望は、非常に高収入で、非常に
ハンサムで、色白で、スリムで、背の高い(5フィート10インチ以上)
有能なドクターか、エンジニアか、銀行家、しかも思いやりがあり、野心
もある方。できればアメリカ国籍保持者希望。カースト不問。ダウリー
(持参金)なし」ってあんた、ちょっと条件つけすぎじゃないの?
インドってここまで主張しないとダメなんでしょうか?こういう人と結婚
したら後が大変なような気がしますけどどうなんでしょう。
インドでは、女性がダウリー(持参金)を嫁入り先に持っていかなければ
ならず、そのために娘を持った親は苦労するらしいのですが、この人は
「ダウリーないよ」と堂々と言っています。こういうケースも多くなって
いるんでしょうか?
こういうのを眺めていると、インドの複雑さと、なりふり構わぬ厚顔無恥
さと、結局は個人恋愛ではなく家と家とのマッチングを第一に考えている
のだという感じがひしひしと伝わってきます。こういうのが一流新聞の
紙面で行われているというのもインドならではですね。
新聞だけでなく、ウェブもいろいろとあるようです。こちらはその一つ。
http://www.matrimonialsindia.com/
なんかいきなり細かな個人情報が出て来てしまいますが、こういうの
大丈夫なんでしょうか?人ごとながら心配してしまいます。くれぐれも
詐欺にあったり、だまされたりしないように。皆さんの幸せをお祈りして
おります。