南の国の会社社長の「遅ればせながら青春」

50を過ぎてからの青春時代があってもいい。香港から東京に移った南の国の会社社長が引き続き体験する青春の日々。

シンガポールは今日も雨だった

2009-10-31 23:58:18 | シンガポール
シンガポールに到着しました。飛行場からタクシーで街に向かう
イーストコーストパークウェイ(ECP)は土砂降りのスコール。
こういう雨の降り方こそいかにも南国なんですね。タクシーの
運転手が笑いながら「これじゃあ前が見えんぞ」みたいなことを
英語で喋っております。

2007年の途中までシンガポールにいた私は、こういう雨の中を
車で運転していたんだなあと思うと、すべての景色が懐かしく
なります。シンガポールで教習所に通って、車の免許を取り、
二年半くらいこの街で運転していました。なんせ生まれて始めて
運転するのが、シンガポールで、ハイウェイを飛ばすのが楽しく
て、用事もないのにドライブしていたのですが、何だか自分で
この街で車を運転していたなんて信じられない感じです。

ハイウェイ沿いのブーゲンビリアの花。余計な看板のない奇麗
な道。よくローラーブレードをしに来ていたイーストコースト
パーク。久々に見る景色は、懐かしさでいっぱいです。

街中に入ると、まだ10月なのにクリスマスの飾りつけが始まっ
ていました。そうそう、この時期は、クリスマスの飾り付けを
見て、季節のないなかでの季節の変化を感じたものでした。
クリスマスの飾り付けには徹底的に気合いを入れているところ
は、とても好感が持てます。

道行く人々も、香港の雰囲気とは全然違って、リラックスして
いる感じだし、笑顔が溢れている感じがしました。
My Wifeがシンガポールにもう一度戻りたいとよく言っている
のですが、そういう気持ちがよくわかります。

懐かしい部分もあるのですが、どんどん変化している部分もあり、
オーチャードのION(アイオン)の中を見たときは、その店の
多さにびっくりしました。今年の7月にできたので、前に来た時
はまだ工事中でした。まさかこんなでかいものを作っていたなん
て。

VIVOシティができたときもびっくりしましたが、オーチャードに
こんな大きなショッピングモールができちゃうなんてびっくり
です。高島屋や、伊勢丹、Paragonや、Tangsなどが何か
ちっぽけに見えてしまいます。人が溢れる店内を見てみると、
不況だなんて嘘のように思えてきます。もうこういうところでは
すでに経済発展がどんどん進んでいるのだという気がしました。

そいえば、もうじきシンガポールでAPECなんですね。
世界の要人がこのシンガポールに集まってきます。
国際都市シンガポールから、どんなニュースが発信されるので
しょうか?

Facebookを騙ったフィッシング・メール

2009-10-30 18:26:43 | Weblog
以前、DHLを騙ったフィッシング・メール(Phishing Mail)について
書いたら、いまだにその記事へのアクセスが多いです。ということは
フィッシング・メールは結構問題になっているのだと思います。
御参考までに、このブログでフィッシング詐欺について書いたページ
は以下の通りです。

フィッシング詐欺には、くれぐれもご用心

DHLを騙った迷惑メール

9月の26日に最初の『DHLを騙った迷惑メール』という掲載をしたの
ですが、このときにはこれを「フィッシング」という詐欺メールだと
いうのさえ知りませんでした。

『フィッシング詐欺には、くれぐれもご用心』の中で、多少この詐欺
手口の概要に関して記載したのですが、「なりすまし」と言いましょう
か、有名な会社のふりをして、クレジットカードやパスワードなどの
個人情報を盗み出す極悪非道の手口であります。オンライン社会の中で
無防備で、疑うことを知らない善良なユーザーを狙って、手当たり次第
に攻撃を仕掛けてくるので、我々はこういう手口について知っておく事
が重要です。そうすれば余計な被害は未然にくいとめられます。

最近、立て続けに受信したのが、冒頭の画像にある、Facebookからの
メールです。差出人は"The Facebook Team"、アドレスは、
"confirmation@facebook.com"となっています。「お客様の安全を
おまもりするために、このたびあなたのパスワードを変更しました。
添付ファイルに新しいパスワードが入っています」
と書いてあります。

Facebookは世界的の大手のソーシャル・ネットワーキング・サービス
です。2004年にハーバード大学の学生だったマーク・ザッカーバーグ
が始めたもので、当初は大学生の間のネットワークだったものが、
高校生に広がり、世界的に拡大したもののようです。2008年には日本
版もスタートしていたんですね。私も登録したと思うのですが、ほとん
ど活用しておりませんでした。

ですので、パスワード変更と聞いたときに、ついつい信じそうになって
しまったのですが、このメールの書き方なんか怪しいぞ、と思ってみた
ら、DHLのときと同じようなパターンです。本当のところを確かめては
いないのですが、おそらくフィッシング・メールだと思います。

確かめたい気になりますが、触らぬ神に祟りなしです。余計なことは
しないほうがよいでしょう。こういうの、知らないとついひっかかって
しまいますね。あぶない、あぶない。

この手のメールは、何度か受け取っているので、何となく雰囲気でわか
るようになったのですが、パターンとしては、なんかファイルが添付
されている、冒頭の挨拶が"Hey"とか言って、やたらなれなれしい感じ、
手紙の締めも"Thanks"とかいう感じでカジュアル、そして名前を
名乗っていない。こういうのは無視するに限ります。

もう本当に、下手に信用していたらとんでもないことになりますね。
ネットの世界を生き抜くのは、ある程度人間不信(メール不信)になら
ないといけません。

ところで、まだたまにDHLからの偽メールが届きます。



こちらは最近届いたものですが、Manager Judson Mcdermottという
差し出し人です。でもメールアドレスはservices@dhl-usa.com。
住所が間違っているので、クーリエ会社が荷物を配達できない...
あれ、あんたんとこクーリエ会社じゃなかったの?DHLは配達に
どっか下請けの業者を使っているってこと?なんていろいろと疑問の
わく書き方なんですが、「このラベルをプリントしてもよりの郵便局
まで荷物を取りにきてください」って、怪しすぎる。何でDHLなのに
郵便局?どこの郵便局に行けばよいの?何でメールアドレスを知って
いるの?このメールに返信しないでって、質問があるときはどうすれ
ばいの?ってフィッシング・メールなので、質問しても意味がない
のですけどね。

この添付ファイルを開くとどういう仕掛けになっているのか、
ちょっと好奇心がわくのですが、触らぬ神に祟りなし、余計なことは
しないが一番です。

みなさん、こういうメールにはくれぐれもお気をつけくださいませ。

香港の日本産たまごとヴェブレン効果

2009-10-26 00:57:32 | HONG KONG
先日、NHKのテレビを見ていたら、『出社が楽しい経済学』という
番組をやっていて、そこで第三回『ヴェブレン効果』というテーマ
を放送していました。この番組、一見お笑い系の番組なんですが、
実に面白い。それに経済の本質が実にわかりやすく解説されている。
ということで最近注目している番組なんですが、この『ヴェブレン
効果』というのは、一言で言えば、値段が高いほどよく売れるとい
う理論なのですね。

今の世の中、苦しい家計を切り詰めるために一円でも安くないと
売れないというのが常識なのですが、実はその逆で、高いほうが
売れるという現象があるのです。それが『ヴェブレン効果』という
やつなんであります。ブランドもののファッションアイテムや、
メルセデスベンツやBMWなどの高級車などは、優越感を満たすため
に、むしろ値段が高いことをよしとするジャンルです。

消費者の見栄という要素を加味した現象なんですが、香港の日本産
たまごの流通を見ていると、これも『ヴェブレン効果』なんでは
ないかと思って、香港のスーパーをチェックしてきました。
いちおうスーパー店内での撮影は一般的に禁止されているので、
皆さん真似をしないようお願いします。

たまごの価格は、日本では非常に安く、激安のたまごがスーパーの
目玉商品になったりするのですが(客寄せように赤字で価格設定を
していることも多いようです)、香港における日本産のたまごは
かなり高価格です。

今年の3月のニュース報道によると、富山にある仁光園という
養鶏所が、今年の初旬から香港への鶏卵の輸出を始めたという
ことです。養鶏場の衛生、産卵の環境管理を徹底し、サルモネラ菌
を除去する技術で昨夏、農場版の危険度分析による衛生管理
(HACCP)の国際認証を日本で初めて取得したんだとか。

「安心・安全な卵」を前面に打ち出し、第1便は187ケース
(約1万3000個)を出荷。まず百貨店に照準を合わせ、炊きたての
ご飯に生卵をかけるなどの食べ方を提案したのだそうです。
上の写真の左に見えているのが仁光園の商品なのですが、価格は
6個で31.8ドル。日本円だと今日のレートで378円くらいです。
6個入りなので、一個あたりの値段は63円になります。日本では
かなり高い値段ですよね。

この仁光園のたまごは、富山から名古屋港に運ばれ、そこから冷蔵
コンテナ船で香港へ運ばれているんだそうです。輸送費がけっこう
かかりますから日本のように安くはできないんですね。自社の農場
(富山県小矢部市)から香港までの所要日数は約10日。たまごって
結構日持ちがするんですね。

この仁光園のたまごは、パッケージに「生食用」と書かれているん
ですが、他の日本産たまごも「生食」をアピールしているものも
あるのですが、そういうふうに書かれると、他の日本産たまごが
生食に向かないように見えてしまいます。これもまたマーケティン
グの差別化戦略です。

この仁光園のたまご、高そうに見えるのですが、茶色い殻の『地養
卵』のほうは6個入りで38ドルの値段でした。日本円で451円くら
いです。他の日本産のたまごはだいたい20ドル台のものが多いです。
博多卵というラベルのものは10数ドルなんですが、これが安いほう
です。

私たちはたまごに関しての情報が不足していますので、どのたまご
がおいしいのか、栄養があるのか、そして安全なのかの判断基準が
ありません。そういうときに浮上してくるのが『ヴェブレン効果』、
たまごで見栄をはることはないのですが、海外でおいしいたまごを
食べたいと思ったときに、なんとなく高いほうがいいのかなという
論理が働いてしまいます。もともとたまごはそんなに高いものでは
ないので、たまごレベルで贅沢気分が味わえるのならば、むしろ
かなり経済的ということができるのだと思います。

香港では、ちょっと前に中国からメラミン入りのたまごが入って
きており、中国のたまごへの不信感は残っています。そうなると
心理的に少しくらい高くても日本の安全なたまごを買いたいという
消費者真理は納得できます。実際、私は香港では日本産のたまご
以外は買おうとは思いませんが。と言って一番高いものを買うとは
限りません。

日本産のたまごは高いと思っていたのですが、今日、別のスーパー
に行ってみたらもっと高いたまごがあってびっくりしました。



この棚の上のほうにに並んでいる中身の見えないパッケージの
たまごなんですが、どこの国から来たものなのかわかりませんが、
オーガニックとかエコパックとか書いてあり、日本のものより
ワンランク高く40ドルから50数ドルします。中のたまごは
見えないのですが、こういうたまごを眺めていると日本のたまご
は全然安く見えてしまうのは不思議です。

しかし、香港は日本に近いために日本産のたまごが豊富です。
シンガポールにいたころは、日本産のたまごはあまり選択肢が
ありませんでした。日本食レストランでは、たまごかけご飯が
食べたくても、危険だからということで出してくれませんでした。
家ではときどき、日本産のたまごで、たまごかけご飯を食べて
いましたが。香港に日本からたまごがどんどん入ってくることは
大歓迎です。

消費者としては、日本のたまごは高くても30ドル台で留まって
くれているのは助かりますが、いずれものすごく高い価格設定の
たまごとか登場してくるのかも。『ヴェブレン効果』とは言っても
たまごの値段がどんどん高くなっていくのは駐在員としてはちょっ
と困りますが。

『チャレンジド』と教師になりそこなった私

2009-10-25 18:10:11 | Weblog
NHKのドラマ『チャレンジド』を二回目、三回目と続けて見て
いるのですが、初回のときの感動をなかなか超えられない展開
だと思っているのは私だけでしょうか?それなりに感動的な
エピソードが出てきて、教師としてどう教えるべきか、教育とは
何か、障害者とその周りの人間に与えられた苦難など、いろいろ
と考えさせられる事が多く、そういう意味では秀逸な内容の
ドラマだと思います。

それは何だろうなと思って考えてみると、もともとの脚本の
作りに課題があるのかなという気がしました。各人物の描き方
がステレオタイプ(いかにも典型的)な感じがするし、ストー
リー展開の進め方が時に強引な感じがするところが感じられ
ます。そういうディテールが気になってしまう私は、だんだん
と作者の泣かせようという意図には乗せられないぞという
反抗心を感じるようになってしまったのかもしれません。

じつは私は、会社に入ったばかりの頃、シナリオを勉強する
ために東京の青山にある学校に通っていたことがありました。
週に一度か二度の夜間の講座だったのですが、数人のゼミ形式
になっていて、毎回、短い作品を書いて提出しなければならず、
やがて仕事のほうも忙しくなり授業に出られなくなったので、
シナリオはすぐに挫折してしまいました。

でも、その時に教わったことは、自分の意図するエンディング
に持っていくための無理矢理な展開は避けるということでした。
このチャレンジドで言えば、二回目で副担任の先生が採点した
答案用紙を、飛ばされる危険があるにもかかわらず、カゴに
そのまま入れて、しかもいかにもという感じで転ぶところ。
川に流された答案が最後の一枚を残して見つかるという奇跡。
三回目でいえば、反抗的であった男子生徒が、盲目の教師が
走るのを見て心を寄せてくるところ。そのDVの父親が、
すぐに改悛するところなどです。他にもいろいろありますが、
ドラマを時間内に完結させなければいけないので、無理矢理
につじつまを合わせなければいけなかったのかという苦労が
しのばれます。

二回までの副担任の女の先生の描き方や、その他、教頭先生や
同僚の先生たちの描き方も何となく表面的で深みが欲しい気が
します。盲導犬のポン太は見事な演技をしていると思いますが。

じつは、こういう私も、今でこそ広告業で仕事をしているので
すが、大学を卒業する頃、学校の先生になる予定でいました。
1980年前後、その頃は安定を求めて公務員というのが大きな
流れでした。とくに私のような文学部の学生は、教師になる
くらいしか道がないように思えていました。リクルートスーツ
を着て就職活動というのをやりたくなかった私は、迷わずに
教師になることを希望しました。でも、今だから正直に告白
しますが、『チャレンジド』の主人公の先生のように教育に
対する情熱をそれほど持っていたわけではありません。
昔から教師になることを夢見ていたわけではなく、そういう
意味ではドラマの副担任のほうに似ていたのかもしれません。

大学の四年に愛知県の母校の高校で教育実習を終え、県の
公立高校英語教師採用試験にも合格し、赴任先の連絡を
待っていたのですが、一般教養の人文科目の二単位が不足
していたことが卒業間近に発覚し、留年、そこで教師になる
ことと決別することになるのです。

後から思うと、こういう自分は教師にならなくてよかった
(自分のためでもあり、教わる生徒のためでもあり)のでは
ないかという気がします。こんな中途半端な気持ちで教師に
なっていたとしたら、教わる生徒も可哀想だということで、
神様が「お前のような者は教師になる資格がない!」と
いうことで強制的に道を閉ざしてくれたのではないかと
思っております。

このドラマを見ていてつくづく思うのは、教師というのは、
教科を教えることの他に様々なことに責任を持たなければ
ならず、そういう部分は大変だなあと思うのです。生徒が
それぞれ抱えている悩み、生徒の家庭環境、親の問題、
社会の問題...もし自分が教師になっていたとしたら、
そのような問題にどのように対処できたんだろうかと思う
と恐ろしくなります。

でも、そうはいうものの人に何かを教えるということは嫌い
ではありません。むしろ大好きです。My Wifeに、よく
歴史がわからないとか、地理がわからないとか言って質問
をされることがあるのですが、複雑なことを分かりやすく
説明できたりするととても嬉しくなります。日本の航空会社
の国際便に乗って、CAの人に英語の発音がおかしいと、
徹底的にトレーニングしてあげたくなってしまいます(実際
にやったことはありませんが)。まあ、仕事でやるプレゼン
テーションなんかも学校の授業みたいなもんですからね。
まあ、年をとっても、自分は、どっかで誰かに何かを教え
ているんでしょうね。




TOBLERONEに秘められたミステリー

2009-10-18 02:20:38 | Weblog
香港のスーパーマーケットで、TOBLERONEのチョコレートを
買ってきました。今や、空港の免税店だけでなく、世界中で
売られているので、スイスのチョコレートというありがたみが
なくなってしまいました。昔、中学生の頃(今から40年も前)
に、田舎のデパートの食料品売り場で買ったときは、パッケー
ジもドイツ語、フランス語、イタリア語で三か国語で並記され
ていて、スイスっぽさが溢れていたのですが、香港で今日、
ゲットしたものは、英語と中国語並記(といっても、中国語が
書かれているのは、原材料とかの書かれている一面だけですが)
で、ちょっとスイスっぽさが薄れているのでした。

世界的なブランドのクラフト社(アメリカで最大の総合食品
メーカー)の傘下に入ってしまっているのですが、パッケージ
を見ると、MADE IN SWITZERLANDの文字が印刷されていまし
た。ホームページを検索したら、TOBLERONEはすべてスイス
の工場で製造されているのだとか。ほっと一安心。もしもこれ
がMADE IN CHINAだったりしたら、ちょっと幻滅したところ
です。

さて、この名前、正式な発音は何なんでしょう。日本語のペー
ジを検索したら、「トブラローネ」と表記されていました。
フランス語では「トブルローヌ」と発音されているようです。
自分は、イタリア語やドイツ語式に「トブレローネ」と発音
していました。まあ国によっていろんな発音があってよいと
思うのですが、日本では「トブラローネ」と表記するようなの
で、それに合わせたいと思います。

このトブラローネが誕生したのは1908年。トブラー(Tobler)
という製造会社名と、ヌガー菓子を意味するイタリア語の
「トローネ」(Torone)を合体させてできた名前のようです。
パッケージはユニークな三角形の形。幾何学ではこれを三角柱
と言いますね。そこにマッターホルンのマークと、レトロな
文字でTOBLERONEの名前。極めて印象に残るブランディング
です。

この三角形の形は、たぶんアルプスのマッターホルンを意識
してチョコレートをこの形にしたんだろうなと想像できるので
すが、実はいくつかの説があるのだそうです。クラフト社の
ホームページの中にあるブランドと歴史を見ると、
TOBLERONEの三角形の由来に関して、次のような説が紹介さ
れています。

ムーランルージュ、「パリのおみやげ」説:すてきな仮説
この仮説は、トブラローネ社の創立者セオドア・トブラーの孫が家で繰り返し聞いたことがあると言っていることから、真実である可能性はある。パリが大好きだったセオドアは、ムーランジュール(パリの有名な劇場)によく舞台を見に出かけていた。
ある夜、フィナーレでベージュと赤の衣装に身を包んだダンサーが作った人間ピラミッドに、彼は心を奪われた。このパリでの思い出が、トブラローネの三角形とパッケージカラーの起源だと言われている。 "Se non è vero, è ben trovato!"(「もし本当じゃないとしても、良い話だよね!」)


私もパリのムーランルージュに行ったことがあるんですが、
そう言われてみると、この赤いロゴの文字と金色の縁取りの
雰囲気は何となくムーランルージュっぽい。でも人間ピラ
ミッドってどんなんでしょう。見てみたいですね。

さて、もう一つのもっとミステリアスな由来はこちら。

フリーメイソン、シンボル説:秘密めいた仮説
セオドア・トブラーは若い頃メイソンロッジに参加し、熱心な会員となった。この友愛・互恵組織(フリーメイソン)の会員は特定の記号や紋章によってお互いを認識するが、その記号や紋章の多くは、中世におけるギルド(同業者組合)から受け継がれたものである。三角形はその中でも最も特徴的なシンボルのひとつである。
セオドアが新しいチョコレート型を作る際(実際彼はこの作業が特に好きだった)、フリーメイソンの一員であることを示すシンボルとして、無条件に三角形を選んだ。


フリーメイソンとはこれまた謎めいた由来。こんなんが公式
のホームページに出てていいんかいなと思うんですが、そう
言われてみるとありえそうな話。フリーメイソン・ネタが好き
なMy Wife(およびその知り合い)の喜びそうなネタです。
この組織は、チョコレートを通して、世界中の人々をコント
ロールしようとしているのだろうか、と考えるとちょっと
不気味ですが、『ダビンチコード』など見てもありそうな話。

英国で実施された最近の市場調査では、調査対象者の94%が
三角形の形態を見ただけでトブラローネだと言い当てている
ということなので、洗脳計画は着々と成果をあげているとい
うことなんでありましょうか。

ところでもうひとつのミステリー。
このトブラローネのマッターホルンのシンボルマーク。これが
実はだまし絵なんだったんですね。よく見ると、何と山の中に
熊の姿が描かれていたのです!



これは全然気がつきませんでした。さて、何で熊か?
それは、この元々の製造元のトブラー社がスイスのベルンに
あり、そのベルンのシンボルが熊だったんですね。もともと
ベルンという名前も、ドイツ語で熊のことをベールというので
何か熊とは密接な関係がありそうです。

スイスは、カカオなどの原材料が穫れるわけでもなく、チョコ
レートで有名なベルギーみたいに、アフリカに植民地を持っ
ていたわけでもないし、貿易する港もないので、何でチョコ
レート?と思ったのですが、元々水車小屋を利用した製造技術
で有名だったようです。第一次世界大戦前の頃は、世界の
チョコレートの半分を生産していたのだそうです。

スイスのチョコレートブランドと言えば、スシャールやリンツ
が有名ですが、ベルギーのノイハウスも、もともとのルーツは
スイス。スイスのチョコレートの実力は大したものです。

今、チョコレートの最大の生産国は、アメリカ、ドイツ、イギ
リスといった順番。一人あたりのチョコレート消費量が多い国
のランキングは、一位ドイツ、二位イギリス、三位スイスとい
う順番。日本の消費量は世界的にはるかに少ないんですね。
少し古いデータですが統計はこちらに出ています。

ところで、チョコレートに含まれているポリフェノールは赤
ワインよりも多いと言われていますが、いろんな効能がある
ようです。日本チョコレート・ココア協会のチョコレート・ココア健康講座
というサイトによれば、次のような効能があると出ています。

1. 動脈硬化を防ぐ
カカオ・ポリフェノールは、動脈の繊維にコレステロールがたまったり、LDL-コレステロールが酸化を受けて動脈硬化が進むのを防ぐことが、ラットや人によって確かめられています。

2. がん予防に期待
がんの発生メカニズムにはまだ不明なところが多々残されていますが、まず変異原物質が細胞のDNAに突然変異を起こし、次いで促進物質がかん化した細胞を活性化することによってがんが発生すると考えられています。
しかし、試験管内に変異原物質と同時にカカオ・ポリフェノールを加えたところ、細胞DNAの突然変異が抑制されることが確かめられました。

3. ストレスに打ち勝つ
身体的にストレス状態にあるラットにカカオ・ポリフェノールを与えたところ、ストレスにうまく適応することがわかりました。また心理的ストレスにたいしても抵抗力が強まることが確かめられました。

4. アレルギーやリウマチにも効果
アトピーや花粉症などのアレルギーは現代病のひとつとして大きな問題になっていますが、マウスにカカオ・ポリフェノールを与えたところ、アレルギーの原因となる活性酸素の過剰な働きが著しくおさえられました。さらにチョコレートを人に食べてもらったところ、おなじ効果がみられました。


なんだか、チョコレートって、子供じゃなくて、我々大人
こそ食べるべき食品のように思えてきます。

オリンピック招致における各国指導者の男の色気対決

2009-10-15 23:59:09 | オリンピック
コペンハーゲンでのIOC総会で、リオデジャネイロが2016年の
オリンピック開催地に決定されるのですが、最後に残った4つの
都市の応援のために、4人の国家主席がスピーチをします。
アメリカのオバマ大統領、日本の鳩山首相、ブラジルのルーラ
大統領、そしてスペインのサパテロ首相の4人でした。知名度
からすると、鳩山首相は他の三人に比べてまだ国際的には知られ
ていませんでした。まだ首相になって日も浅かったのでこれは
仕方のないことでしょう。

指導者のカリスマ性を計る物差しはないのですが、アメリカの
オバマ大統領、ブラジルのルーラ大統領、スペインのサパテロ
首相、この三人はカリスマ性という点ではいずれもかなりすごい
人たちだということができると思います。

最後の決戦で、リオデジャネイロと、マドリードが残ったので
すが、ブラジルのルーラ大統領と、スペインのサパテロ首相との
カリスマ対決も見事でした。

スペインのサパテロ首相は、1960年8月4日生まれ。まだ
49才という若さ。祖父はスペイン内戦の時にフランコ将軍に
処刑され、1977年、最初の民主選挙が行われたときに、17才で
社会労働党に入党するのです。2004年に首相に就任すると、
イラクからのスペイン撤兵をいち早く決定し、数々の画期的な
政策を行い、若年層の支持を集めます。また閣僚の半数を女性
にしてしまうとか、すごいんですよね。

一見、ミスタービーンのローワン・アトキンソンに似ていると
も言われていたりするそうです。相性は『バンビ』だとか。
『鳩ぽっぽ』とか『宇宙人』とか言われるよりも可愛いかも。
写真で見るとサパテロさん、ちょっとセクシーな雰囲気。

そういえば、今年、イギリスを中心にアンケート調査を行っ
ている「OnePoll」が、20カ国の女性1万5000人を対象に
「一夜を共にしたい国の男性」と「一夜をともにしたくない
国の男性」をアンケート調査を行ったのだそうです。その
結果は、最も一夜を共にしたい国の男性はスペイン人、
二位はブラジル人だったようです。奇しくも、オリンピック
招致で最後まで残った二つの都市と同じです。オリンピック
対決は男性のセクシー度対決であったのかもしれません。
そういえば、ブラジルのルーラ大統領をセクシーだとする
コメントがいくつかのブログにでていました。
いちおうこのアンケートを紹介しているサイトはこちら
→ http://news.livedoor.com/article/detail/4370475/
ちなみに日本人はランクインしておりません。

オリンピック招致の最終プレゼンで壇上に立ったサパテロ
首相は、ちょっと立派でした。まず彼は、インドネシアの
地震の犠牲者たちに哀悼のメッセージを伝えます。また2012
年のオリンピックが決まっているロンドンに対して、その
実現に向けての努力への感謝を伝えます。そして今回、最後の
選考にまで残った、シカゴ、東京、リオデジャネイロの各都市
に対してエールを送ります。この部分だけ見ても、サパテロ
首相の国際的な外交力を感じてしまいます。ちょっとこういう
部分、日本の政治家は太刀打ちできないなあと思ってしまい
ました。

さてこちらがブラジルのルーラ大統領。渋い声はセクシーな
男の魅力に溢れていました。

最後にリオが決まったときの涙もすごかったですね。貧しい
農家の息子が学歴もないまま大統領にまで登り詰めてしまうと
いうドラマチッくな人生。この人もスケール大きいですね。

オリンピック招致は、ひょっとして指導者のセクシーさと
関連がある?ロンドンが決まったときは、ブレアーさんが応援
スピーチをビデオでやっていたんですが、まあセクシーと言わ
れればセクシーでした。1953年生まれなので、僕より2つしか
違わないんですけどね。

もし日本が再度オリンピック招致を目指すのなら、その時の
首相は男の色気のある人でないと勝てないのかも...

イタリアへの想い

2009-10-14 23:56:56 | Weblog
香港のコーズウェイベイのシティースーパーに行ったら、こんな
缶入りのサンペレグリノを売っていました。そのデザインがあま
りに可愛かったので思わず買ってしまいました。オレンジ味と
レモン味です。缶のデザインを見るだけで、イタリアの明るい
雰囲気が伝わってきます。さらに注目点はこの蓋のところ。普通
の缶入りの飲料は、上の部分がむき出しになっていますが、これ
は薄いアルミでカバーがついています。これだとホコリがたまる
心配はないし、売り場で他人が触ったりしてもバイキンがつく
心配はありません。おまけにこのカバーがとてもオシャレな
デザインになっています。製造コストはちょっと高くなるのかも
しれませんが、これはとても素敵だと思いました。さすが
サンペレグリノ、さすがイタリアです。

イタリアには、サンペレグリノの他にもいろんなミネラルウォー
ターがあるのですが、世界的にはイタリアの水といえばサンペレ
グリノという感じで有名ですね。この水の原産地は、イタリア
北部のロンバルディア地方にあるサンペレグリノという小さな町。
イタリアンアルプスの南の谷間にある古くからの温泉町のようで
す。レオナルド・ダビンチもこの地を訪れて、この水を飲んだ
のだとか。

地図には極端に弱いMy Wifeは、以前友達とヨーロッパ旅行をし
たことがあるのですが、数都市を強行軍でめぐる旅だったのだ
そうです。イタリアも行ったようなのですが、駆け足だったの
で、あまり印象が残っていないようでした。それが先日、007
の映画か何かを見たらしく、「ヴェローナに行ってみたい」と
言い出しました。サンペレグリノとベローナは近くというわけ
ではないのですが、同じ北イタリアです。

また、当時ガス入りの水が苦手だった彼女が唯一覚えたイタリ
ア語が、Aqua minerale non gas per favore(ガスなしの
ミネラルウォーターをお願いします)という文章だったのだ
とか。添乗員から聞いて、必死に覚えたのだそうです。
サンペレグリノはガス入りですが、さっきこちらのオレンジ
のほうを飲んだら、とても柔らかく飲みやすかったです。

「ヴェローナ」と言えば、実は自分も学生時代に、シェイクス
ピアの『ロミオとジュリエット』を演じたことがあり、また
『ヴェローナの二紳士』という作品を日本語に翻案して、舞台
にも立ちました。どちらもイタリアのヴェローナが舞台です。
ですので、ヴェローナには昔からチャンスがあれば行ってみ
たいと思っていたのです。そんなこと忘れていました。

イタリアでは、ミラノと、ヴェネチアと、ローマには行った
ことがありますが、ヴェローナにはまだ行ったことがありま
せんでした。旅行で行く行き先としては、ハワイとか、東南
アジアのビーチリゾートとかばかりで、ヨーロッパはほとんど
忘れていたのですが、そういえばイタリアは昔から縁があった
んだよなあ、といろんなことが思い出されてくるのでした。

中学校の二年の時、英語もまだ習い始めて間もないのに、僕は
何とイタリア語を勉強し始めました。たまたま見たテレビで、
サンレモ音楽際をやっていました。ジリオラ・チンクエッティ
という歌手が、『雨』(ラ・ピオージャ)という歌を歌って
いるのを聴いたとき、あ、イタリア語って何て素敵な響きの
言語なんだろうと、魅惑されてしまったのです。

偶然にも、ジリオラ・チンクエッティはヴェローナ生まれだっ
たんですね。ネットで調べて始めて知りました。ちょっと何か
運命的です。

中学の時、「僕はイタリア語を勉強する」と言ったら、同級生
のひとりは「それじゃあ僕はフランス語だ」、もう一人は、
「じゃあ僕はドイツ語だ」ということで、中学生でありながら
英語そっちのけで外国語の勉強を開始したのです。

僕らが住んでいた愛知県の田原市の本屋には、イタリア語の
入門書など売っていませんでした。それで我々にとっては
大都会だった豊橋の駅のそばにあった精文館という本屋に
三人で出かけたのでした。

さすがにその本屋には、ドイツ語、フランス語はもちろん、
イタリア語の入門書も何冊もありました。そんな語学入門書
を買おうとして、レジに持って行ったら、おばさんに「ぼく
たち偉いねえ」と言われてちょっと照れくさかったです。
その後、僕らはデパートの食料品売り場で、スイスの三角形
のトブレローネのチョコレートの買いました。スイスなので、
ドイツ語、フランス語、イタリア語の三か国語でパッケージ
の文字が書かれていたからです。

僕らはまるで三銃士のように、英語そっちのけで外国語の
勉強に熱中しました。世の中は1970年の大阪万博を直前に
控え、国際化がブームとなっている時代でした。

それからしばらく英語に没頭するのですが、大学受験で受験
したところが、東京外国語大学のイタリア語学科でした。
結局、不合格で大学では英文学をやることになるのですが、
イタリア語の授業はとっておりました。

なんだかイタリアとは不思議な縁があったんだなあと、今更
ながら感じています。いずれヴェローナとかヴェネチアには
もう一度行ってみたいと思いますね。


まぼろしのマドリード・オリンピック

2009-10-11 21:35:48 | オリンピック
マドリードは2012年のオリンピックにも立候補していましたが、
破れ、今回再び、2016年のオリンピックに立候補して再び破れ
ました。東京も破れましたが、市民の支持率が90%近くで4都
市中最高の支持率だったマドリードの悔しさは、東京の比では
なかったと思います。

コペンハーゲンでのプレゼンテーションの時、レベッカ・ワイ
バーグというIOC委員からの「東京の地元の支持率が低かった
が、これを約30%も上昇させられたのはどのようなことでそう
なったのか、詳しく説明してほしい」という質問に、河野事務
総長は、「IOCの調査の後、かなりの盛り上がりを見せ、
最新の調査では80.9%となった」と回答しただけで、どうして
支持率向上を達成したのかは触れられませんでした。レベッカ
さんは、自分の質問の意図が正確に受け取られなかったことで
ちょっとがっかりしてしまったのではないでしょうか。

しかし、あまり盛り上がらなかった東京招致の支持率が80%
を超えていたというのはびっくりでした。でも本当かな?

しかし、マドリードはもっと盛り上がっていました。事前の
調査をみてもダントツの盛り上がりで、それはコペンハーゲン
でのプレゼンテーションにも顕著に現れていました。サマランチ
前会長をはじめ、カルロス国王、サパテロ首相がプレゼンに
参加したのを始め、招致委員会代表のメルセデス・コーゲンさん
(ホッケーのメダリスト)の説明も熱が入っていました。

この人は、自分でプロモーションビデオに登場して、マドリー
ドの素晴らしさをレポートしていくのですが、これがなかな
かよくできていました。各施設が具体的に映像、あるいはCG
で説明されていて、マドリードで開催することが全く問題ない
という雰囲気は非常によく伝わってきておりました。
しかしスペインは奇麗な人が多いですね。

また東京がアピールした環境に関しても、マドリードは自らを
「グリーンシティー」と称し、2016年のオリンピックを通して
街をさらに環境に適応した緑の街に生まれ変わらせるという
明確な計画を打ち出していました。

マドリードのプレゼンのコンセプトは、“Human Touch"そして
"We Believe"というキャッチフレーズでした。人間的な情熱と
それを信じる気持ち、極めて人間的な部分をアピールしていま
した。プレゼンのために用意された5つのビデオ映像もそれぞ
れ秀逸でした。ギターをベースにした音楽もよかったし、編集
もまた見事でした。スペインは広告の世界でもかなりレベルが
高いのですが、ひとつひとつの映像の作りはかなりよかったと
思います。

そして、最後の映像がすばらしかったです。2017年という
タイトルで始まるこの映像は、マドリードで行われる2016年
のオリンピックを通して、様々な人がどのように変わったのか
を描いたものです。すべてはマドリードでオリンピックが開催
されたらとう仮定に基づいているのですが、オリンピック選手
らしき人、オリンピックの観客、ごく普通の市民など様々な
人物が、スペイン語で、「私は~した」という短い言葉で語り
ます。

この女性は、「私は理解した」と言います。何を理解したのか
不明ですが、スポーツの大切さを理解したというのでしょうか。
こういう感じで、いろんな人々が登場してきます。
「私は見た」「私は感じた」「私は乗り越えた」「私は変わっ
た」などいろんな人が、いろんなコメントをしていきます。
その中に、こんな人たちも出てきます。

「私は跳んだ」とこの老人は言います。画面が引いていくと、
この老人は車椅子に乗っていて、とても跳べる感じはしません。
左のほうにテレビが見えてきます。そうかこの老人はオリン
ピックの中継を見て、跳べるはずのない自分も跳んだ感覚を
経験したのだな、ということがわかります。

夜のマドリードの街を走るバスにたたずむ一人の女性が振り
向くと、テロップに"I shouted"(私は叫んだ)という文字。
彼女は聾唖者のようで言葉を発することができません。
それでも彼女は、マドリードオリンピックで、肉体的には
不可能な叫びを経験したと言っているかのようです。

そしてこれが最後のコメントです。「私は忘れない」。
この青年は、マドリードオリンピックのことを一生忘れない
だろうと言います。

2016年に、マドリードでオリンピックが開催されたら、
こんなにもいろんな素敵な奇跡が起きる。街が変わるだけ
じゃない。マドリードの市民の一人一人の心が、スペイン
人に一人一人の心が、世界の人々の心が変わる。それほど
までに素敵で、影響力のあるマドリード・オリンピック。
そんなメッセージが、伝わってきます。

プレゼンの会場では、このビデオ映像の後で割れんばかり
の拍手が起こっていました。まるでアンコールとかいわん
ばかりの雰囲気のように聞こえました。マドリードが最後
のリオデジャネイロとの決戦まで残ったのは、しかも
ロンドンの次にまたヨーロッパはないのではというハン
ディを乗り越えて残ったのは、それだけの理由があったの
だと思います。

日本が、サッカーのワールドカップを誘致しようとして
立候補を宣言したようです。オリンピック誘致が失敗に
終わって、会場設備的に問題があります。また、東京が
再びオリンピックに立候補しようとする動きがあります。
広島と長崎が、平和をアピールするためにオリッピック
招致に向けて立ち上がるというニュースも入ってきました。

これから招致プレゼンを準備しようとされている組織、
団体の皆様、是非、過去のプレゼンを研究されて、国際的
に競争力のあるプレゼンをしていただきたいと思います。

ドラマ「チャレンジド」に感動

2009-10-10 23:59:58 | Weblog
NHKのテレビをつけていたら、土曜ドラマの「チャレンジド」と
いう番組が始まりました。何気なく見ていたら、主人公の学校の
先生が目が見えなくなっていくという設定。思わず、見入ってし
まいました。そして最後は感動して、めちゃくちゃ泣けてしまい
ました。こういう設定、すごく弱いんですよね。

このドラマのタイトルが「チャレンジド」ということも知らずに
見ていて、見終わった後で、「チャレンジド」というタイトルだ
ということを知りました。同僚英語教師、山崎ロビンソン武役の
川平慈英さんが、障害者のことをアメリカでは「チャレンジド」
と言うんだと説明する場面が番組の終わり頃にあるのですが、
実は私もこの言葉、始めて知りました。聞いたことはあったの
ですが、はっきり意味を理解していなかったのです。

障害者というと"Disabled"という英語がよく使われますが、これ
だと、ちょっとネガティブ。「障害」というのもそうですね。
劣っているというのではなく、「試練を与えられている」という
感じで"Challenged"という言葉が使われるようになったのですね。
しかしこの辞書の定義に出ているような「努力を必要とする」と
いう解釈だと、ちょっと逆に顰蹙を買いそうな気がしますが。
まあこれは辞書の日本語の定義だけの問題ですが。

さて、このドラマ、塙啓一郎(佐々木蔵之介)という国語教師が
38才の若さで全盲になり、仕事を辞め、リハビリを受けるが、
全盲でも教師を続けられることを知り、様々な苦難を乗り越えて
静岡の中学校に勤め始めるという話です。

彼を支える奥さん役の富田靖子さん、いいですね。何か久しぶり
にテレビで見た感じです。旦那さんが全盲になっても、しっかり
明るく支えてくれている。盲導犬のポン太といい、主人公の
塙先生は、まわりの支えがあってとてもラッキーです。普通
だったらこんなに運良く回りのサポートは受けられないんだと
思います。

そして中学校の校長先生役の西郷輝彦さん。現場の教師の反対を
押し切って、塙先生の採用を決める。ここでも塙先生は運が
良いです。彼の好きな「走れメロス」のように、決してあきらめ
なかったからこそ道が開けたということなんでしょうか。

最初、同僚教師たちが、塙先生に冷た過ぎるのですが、これも
ドラマのパターンですからまあよしとしましょう。川平慈英
さんとか、体育教師役のくわばたりえさんとか結構いい味出し
ていると思います。

そして、パニック症候群で教室にはいれなかった女子生徒が、
全盲でもがんばる塙先生に刺激されて、教室に入ってくる場面、
泣けてしまいますよね。佐々木蔵之介さんの演技も最高です。

これからの展開が見物です。


フィッシング詐欺には、くれぐれもご用心

2009-10-09 19:05:42 | Weblog
フィッシングという言葉をちゃんと知ったのは、ここ数日の事
です。なんとなく消費者を騙すメールのようなものをそう言う
のかなとは薄々思っていたのですが、この国際的な犯罪行為が
"Fishing"ではなく"Phishing"(ともに発音はフィッシング)と
正式に命名されていて、きちんと定義付けをされていたと知っ
たのは本当に昨日今日のことです。何という勉強不足!こうい
うのを知らずに、フィッシング詐欺に会ってしまう人は、これ
から続々と出てくるのではないかと思うので、このブログで
警鐘を鳴らしておきたいと思います。(と言っても、影響力の
微小なこのブログでは役に立たないかもしれませんが、ないよ
りましだと思います)

フィッシング(Phishing)とは、いわばEメール版「オレオレ
詐欺」のようなもので、海外の有名銀行や、オンライン決済
サイトなどの名前を騙って、罪のない消費者から、クレジット
カードのナンバーや、パスワードなどの情報を騙して引き出
す手口ということのようです。

以前からAOLなどでこの手口を使った詐欺が流行っていたらし
いのですが、2000年台になって欧米を中心にこの被害はどん
どん増えてきているようです。最近は日本でも徐々に増えて
いるようです。

私は、香港にいて、英語のメールも日常茶飯事で使っているし、
海外のサイトでのクレジットカードによる決済もたびたび行っ
ています。というわけで、私のところには、フィッシングの
メールがたびたび送られてきています。
たとえば、こちら。

アメリカのウェスタン・ユニオンの名前を騙ったメールです。
ウェスタン・ユニオンは国際送金サービスの世界最大手で、
世界200カ国をカバーする金融サービス会社。国際送金だけ
でなく小切手の現金化や外国為替、クレジットカードや
プリペイドカードなども取り扱っている有名会社です。

差出人の名前とアドレスがいかにも怪しげですが、
「5765米ドルの送金がありました。お金はすぐに引き出し
可能です。このメールに添付されたファイルで送金番号と
詳細をご確認ください。ウェスタン・ユニオン顧客サービス
センター」
Helloという書き出しから、差出人がウェスタン・ユニオンの
ドメインのメールを使っていないことまで、かなり怪しいです
が、日常的にウェスタン・ユニオンを使っている人は、騙され
てしまうかもしれません。

こちらも同じくウェスタン・ユニオンからのメール。

こちらは差出人がWestern Unionとなっていて、しかもメール
アドレスが、services@westernunion.comとなっています。
いかにも本物っぽい。「3140米ドルの送金がありました」と
いう内容。今度は金額が微妙に違いますが、金額としては多す
ぎもせず、少なすぎもせず、なんとなく現実にありそうな金額
です。しかも、もしお金に困っていたりすると、藁にもすがり
たくなる気持ちで、期待をしてしまいそうです。でもこれが
フィッシングの典型的な手口。

この添付書類は開いていませんが、おそらくクレジット情報を
提供しないとお金が受け取れない仕組みになっているのだと
思います。しかも、お金は受け取れるはずはなく、そのクレ
ジット情報を使って、さらにお金を騙しとられるということに
なります。

こちらはCHASEを騙ったフィッシング。

こちらも世界的に有名な銀行ですが、こちらはメールにロゴが
ついています。これだけで信用したくなってしまいますが、
これもおそらくフィッシング。「セキュリティー対策の一環と
してCHASEのお客様は以下のフォームに早急に描き込んでくだ
さい」とのこと。幸いにも私はCHASEは全く利用したことが
なかったので、これにはひっかからないですみました。もし
これが自分の口座を持っている銀行とかだったらどうでしょう。
こういうメールでかなりの人が騙されているんじゃないので
しょうか。

さてこちらは先日もこのブログで紹介したDHLからのメール。
久々に今日また届きましたので、ご紹介します。

先日ブログを書いたときは、添付メールがウィルスか何かだと
思ってあわててウィルス駆除をやったのですが、これもフィッ
シングだったんですね。その時はこの名前も知りませんでした。
先日のメールでDHLのメールに添付されたファイルをウィルス
性のものとコメントしてしまいましたが、それは事実と違うと
思います。(あやふやなコメントしてしまい申し訳ありません
でした)

パターンはほぼ同じですので、今では決して騙されませんが、
もしもこういうメールを受け取ったことのないユーザーが、
始めてこんなメールを受け取ったとしたら、騙される人も多い
んじゃないんでしょうか?恐ろしいです。

このフィッシングは、ウィルスメールとかとは違って、確実に
金を奪い取ろうとする詐欺の手口なので犯罪行為なのですが、
この犯罪被害はどんどん増えています。困ったものです。

フィッシングのメールを、自分なりに分析してみますと、
以下のような特徴があります。
(1)アドレスが怪しい(仮に銀行名や企業名があっても疑っ
てかかるべし)
(2)書き出しが、Hello.とかDear Customerという一般的な
書き出しは怪しい。重要なお知らせならば個人名で来るはず。
(3)メールの締めに差出人の名前がないのもあやしい。
(4)添付メールがいかにもあやしい。決して開くべからず。
何となくフィッシングのパターンがあります。これもまた新た
な手法が開発されてしまうかもしれませんが。

さて、このフィッシング、英語のPhishingの語源は何かと思っ
て調べてみました。日本では、Sophisticatedのphをとって
Phishingという言葉ができたという説が何故か流布しています
が、海外のサイトを見てみますと、次のような説明が一般的で
す。

1960年台に電話を使って詐欺を行うハッカーがいて、自分たち
のことを"Phone Phreaks"(フォーン・フリークス)と名乗って
いたのだとか。フリークというのは、通常は"Freak"なんですが、
さすがに反社会的なハッカーともなると、スペルも独特のもの
を使いたがります。こういう伝統(?)がハッカーにあり、
FishingをPhishingと綴るようになったというようです。
意味としては、「釣」のフィッシングと同じです。善良な
市民から、クレジット情報をつり上げて、ついでにお金も儲け
ちゃうというわけですね。こういう釣は許すべからざる犯罪で
あります。

そういえば、先週、日本の三菱UFJ-NICOSの方から突然、私の
香港の携帯電話に電話がかかってきました。私のクレジット
口座から不正に引き落としをしようとした形跡が認められたと
いうのです。それはYahoo!のなんたらかんたらbusという
サイトらしいのですが、クレジット会社の人は、その取引は
不正取引ではないかと気付いて、私に連絡をしてきたようです。
不正引き落としはおかげで未然に防げました。

すぐにそのカードは無効にして、新しいカードを発行してもら
いましたが、ひょっとしてその電話の女性も詐欺だったらどう
しようと思ったのですが、今日、無事にカードが書留で配達さ
れてきたので、ほっと安心しました。

クレジット会社の人には感謝です。

ネットが発達すると、こういった犯罪がどんどん増えていき
ます。クレジット会社の人も、またフィシングに利用される
銀行や大手企業の人たちも大変な事態に巻き込まれていきます。
アメリカを食いつくたハッカーたちは、お人好しで騙されや
すい日本市場を次のターゲットにして日本語を勉強している
かもしれません。要注意です。

フィッシングについてわかりやすく解説してあるサイトが
ありましたので、さらにお知りになりたい方はこちらを
ご参照ください。

フィッシングの基礎知識

これでいいのか、日本人の国際プレゼン能力!

2009-10-07 00:36:52 | オリンピック
この上の写真は、デンマークでの東京のプレゼンテーションの中
で、15才の少女が喋っている時に、スクリーンに登場してくる
写真です。かなり不気味な写真です。この写真は、スクリーンに
数秒間投影されるので強烈に記憶に残ります。映画『ダビンチ・
コード』の中で、トムハンクスがいくつかの写真をスクリーンに
見せて説明をしているシーンを何となく思い出してしまいました。
この不気味な少女の写真は、何か不吉なメッセージが隠されてい
るのだろうかとさえ思いました。見れば見るほど不快感を与える
写真です。オカルト映画のワンシーンのような不気味さです。

おそらく未来は、不安に満ちているというコンテキストの中で、
未来の不安を象徴するという意味で、この写真が選ばれたのだと
いうことは理解できますが、どうしてここまで暗い写真を選ぶ
必要があったのでしょう。こういうビジュアルの選択のおかげ
で東京のプレゼンが、最初からネクラな感じになったのではない
かという気がしています。今回、冒頭の写真のセレクションだけ
でなく、全体的にビジュアルの使い方があまりうまくなかったと
いう印象があります。英語にハンディがあるのなら、むしろ効果
的なビジュアルで勝負という方法もあったかと思います。他の国
のほうがよほどうまくビジュアルを使っていたように思います。

またこういった写真も出てきます。

これも見ていて心地よい写真ではありません。社会のひずみを
説明するための画像です。写真としての質も低く、目を背けたく
なるようなシチュエーションです。

そしてこの地球温暖化を象徴する氷河が崩れ落ちる写真。

氷河の崩壊と地球温暖化との関係がどうなのか正確なところが
よくわかりませんが、ちょっとこれは大げさな感じがします。
たしかに地球温暖化の問題はあり、我々としても、様々な行動
をする必要があるのはわかっています。しかし、オリンピックに
無理矢理、温暖化というテーマをかぶせたのは、ちょっと無理が
あったのではないかという気がしています。

いろいろな人のブログのコメントを見ていると、相変わらず、
東京のプレゼンはよかった、シンプルでよかった、技術的には
一番よかった、というコメントが並んでいます。私は香港に
いるのでよくわかりませんが、石原都知事というのはそれほど
までに絶大な人気を持っているのでしょうか?かなり多くの
ブログが「誰に聞いても東京のプレゼンが格段によかったと
いうんだよね」という石原都知事の持論に無条件賛成をして
いるようなのですから。

また冒頭の15才少女のプレゼンに関しては、英語が流暢で、
堂々としていて、感動した、泣けた、というコメントが目に
つきます。私は先日からこのブログに書いていますが、みな
さんとは違った感想を持っていました。ひょっとして自分が
間違っていて、じつは東京のプレゼンもよかったのではない
かと思って、もう一度、映像を見てみました。でも、見れば
みるほど、こんなプレゼンに満足していたら、日本の未来は
ないし、日本の国際プレゼン能力の成長は期待できないと
思うのでした。日本人よ、目をさませ!

参考までに、マドリッドのプレゼンも見てみました。あらため
て東京のプレゼンに何が足りなかったのかがよくわかりました。
正直言って、マドリッドのプレゼンは、リオデジャネイロより
も勝っていた部分もありました。ビデオ映像はリオデジャネイ
ロのものよりも感動的でした。見ていて泣けてくるほどで、
これを見たら、自分はマドリッドに投票したかもしれないとさえ
思えました。それに比べたら、日本の映像は、ちょっと論外な
感じがしました。こんなビデオの制作に巨額の税金を使っている
のは、税金をどぶに捨てるようなものです。このお金でどれほど
の介護施設や、保育園や、医療施設が救えたかと思うと悲しくな
ります。(ビデオ制作費だけでは限界はありますが、トータルの
誘致プロジェクトにかかった費用は相当なものです)

このプレゼンでは、オリンピックの実行能力のプレゼンと同時
に、いかにこの世界的なイベントを盛り上げられるかを示さな
ければいけなかったのかと思います。リオやマドリッドのプレ
ゼンはそれが見事に表現されていました。マドリッドのプレ
ゼンは、またあらためてレポートしたいと思いますが、東京の
プレゼンには、東京で開催した場合の盛り上がりのイメージが
ほとんど表現されてなかったと思います。

この冒頭の映像もそうですし、15才少女のコメントもそうなの
ですが、オリンピックというお祭りの盛り上がりよりも、未来
の恐怖感が全面に出ていました。そうなると、こんな都市で
オリンピックをしてもあまり面白くないなという気がしてくる
のではないかと思います。

「私は世界中に (all over the world) 友達がいますが、スポーツ
に興味を持てない人が多いです。それはいろいろな問題があるか
らです」少女は、気象の異常とか、善悪の問題、社会的な疎外の
問題、ドーピングなどによる不正などいろんな問題を列挙して
いくのですが、冷静に考えてみると、それらの問題のために
スポーツをする人が少なくなっているという因果関係は成立しな
いのではないかと思えてしまいました。スポーツを楽しめない
人が増えている(ということさえ事実として証明できないと思い
ますが)、もしそれが事実だとしたらそれは、大きな社会問題の
せいであり、それは東京でオリンピックをやったからといって
解決できる問題ではもちろんありません。

未来は、スポーツをする場所もなくなっているかもしれませんと
15才少女は警鐘を鳴らすのですが、世界はマドリッドやリオの
ようにおおらかにスポーツを楽しもうとしている人々は山ほど
いるわけで、国際的に見ると、この少女が訴えていることはまさ
に東京が抱えている問題なのではないかと思えるのでした。
マドリッドやリオの映像を見ていると、スポーツが都市のなかに
溶け込んでいる感じがしました。

東京は環境を強調していましたが、マドリッドや、リオのほうが
よほど都市が緑に溢れていて、環境と一体化している感じがあり
ました。競技施設や選手村などの周辺も、緑に溢れたプランを
出していました。東京のほうは、環境を理念では訴えながらも、
具体的なものは太陽熱エネルギーのスタジアムくらいしかなかっ
た気がします。

地球温暖化を防止するために、なぜオリンピックが必要なのか
(おそらくこの因果関係は証明できないと思います)、また
なぜそれが東京でなくてはならないのかが不明確で、この15才
少女をはじめ、東京のプレゼンターの皆さんの説明の中には
数々の論理矛盾が内包されていて、それが未消化のまま表面上
の形だけを整えたのではないかと思います。そのため、東京の
プレゼンは、オリンピックを盛り上げようという情熱よりも、
未来の問題についてのお説教のような感じがして、小賢しい
と思われたのではないかという気がします。

東京と逆に、ヒューマンタッチを全面に出したマドリッドの
見事なプレゼンを見て、あらためてそう感じたのでした。
ちょっと厳しい意見ですが、これも日本の国際プレゼン能力
を何とかしなければと思うからこそです。

あと、蛇足ですが、「東京のプレゼンの内容が、イギリスの
エージェントを通して他国に事前に漏れていた」という報道
があり、それが理由で東京が不利になったということのよう
ですが、漏れてようが、漏れてなかろうが、これは全く関係
なかったと思いますよ。

架空のオリンピック招致プレゼン・お笑いパロディ版

2009-10-06 00:45:01 | オリンピック
東京のプレゼンに関して、どのように改善をしたらよかったの
かを考えているうちに、こんなものが出来てしまいました。
かなりふざけてしまいましたので、きっと様々な方面からお叱
りをちょうだいするのではないかと恐れております。従って、
まずこれを読むにあたっての注意事項を述べておきたいと思い
ます。

事前の注意事項
●オリンピック招致委員会の関係者の方は読まないでください
●生真面目な性格の方は決して読まないでください
●最近のお笑い番組が嫌いな方は読まないでください
●東京のプレゼンが最高と思っていた方は読まないでください
●以下の内容は現実の人物、事実とは全く関係がございません
●検索されないように固有名詞はイニシャルでぼかしてあります

よろしくお願いいたします。

架空のオリンピック招致プレゼンテーション

会場内から少しよどんだ水色のレオタードを来た新体操の選手らしき女性が、リボンの演技をしながらステージに駆け上がる。サプライズとして直前までその起用が極秘に伏せられていたお笑い芸人「いとうA子」の登場である。会場の選考委員たちにとって、彼女のそのそれほど魅力的でもない外観は、期待を裏切られたという感じで、本来の意味でのサプライズ(=びっくりすること)となった。

「朝倉南、もうすぐ40才!アイ・アム・アラフォー。実現の見込みもないのに、いつまでも夢にしがみついている人々の世界最大級のグループを代表して、今日私はここに来ました。この歳になると、人にいくら無理だよって言われたって気にしない。そんなんでくじけてたら、世の中生きていけない。支持率が低くたって、へっちゃら。だって、南これまでに実現した夢はゼロ。さて選考委員の皆さんに質問です。東京が決まる確率と、私が結婚できる確率、どっちが高いと思いますか~?(一瞬の間の後、笑顔で頷きながら)もちろん、東京が決まる確率よね?よかった。じゃあSee you in Tokyo!」
リボンの演技で颯爽と去っていく朝倉南こと「いとうA子」であった。その天真爛漫な自虐性が委員たちの同情を買っているようにも見受けられた。

その次に登場してきたのは、何とアントキのIの木。ジャケットを着ているが、お決まりの赤いタオルをマフラーのように首に掛けている。
「元気ですか~!元気があれば、オリンピックもできる。支持率なんて気にしない。オリンピックに一番必要なものは、現金ですか~!そうです。先立つものは金。金メダルのキンではなくて、カネ、カネ、カネですよ!東京は経済力抜群!それに環境!このままだと地球温暖化のために、オリンピックは継続できなくなってしまいます。それを食い止めるには、オリンピックは東京でやらなければダメ!東京には寒いギャグのお笑い芸人がいっぱいいます。それこそ温暖化防止の秘策。これからは寒いギャグで、お笑いも地球温暖化防止に貢献していきます。1、2、3、ダーッ!」
選考委員たちは同時通訳を介して彼のプレゼンテーションを聞いていたのだが、同時通訳があまりうまく通訳できなかったのか、首を傾げている人々が多かった。しかし、会場に流れている寒々とした空気は、奇しくもアントキのIの木の意図した結果に一致していた。結果オーライである。

次に、大きな段ボールを引っ張りながら登場してきたのは「もうC学生」である。「少々お待ちを~、しばしご歓談を~」と言いながら、段ボールをセットしている。「段ボールリサイクルリサイタル」というプレゼンテーションは、日本が強調するエコを具現化したものに違いないと、各国の選考委員は固唾を飲んで見守っていた。やがて準備が整ったのか、「もうC学生」のプレゼンテーションが始まった。
「コント、2016年東京オリンピック!」
おいおい、コント仕立てでプレゼンをするのかよと、各国委員の興味はさらに高まるのであった。もうC学生は、三つ折りになっていた大きな段ボールを広げた。会場から一斉に驚きの声があがった。そこには東京の地図と各競技場の施設の詳細が奇麗に描かれていたのだ。
「今回の東京オリンピックの設備は、周囲8キロの円の中に入っているんだって~。だから選手やお客さんも一つの会場から別の会場にすぐに移動することができるんだよ~。便利だね~。それに環境をすごく大切にしているんだよ~。首相も環境をとても重用視しているからね。地球も喜ぶオリンピックなんだよ~。タメになったね~、タメになったよ~」
最後のところで登場した二羽の鳥は、H山首相にあわせて鳩になっているという細かい演出が憎かった。もちろん海外の人にはそのようなことは伝わるよしもなかった。しかし、子供の視点で東京オリンピックの構想を語らせるという見事な仕掛けには、選考委員もうなっている感じだった。

さて、次に登場して来たのは、H山首相ご本人であった。
「アイアムノットアコメディアン(私はお笑い芸人ではないんだけどね)」と英語でぼやきながら登場してきたH山首相は、金色の勝利ネクタイをしていた。「私は妻の幸とコペンハーゲンダッツまで来ることができて、とても幸せです」(一同爆笑)「タンクーベルは言いました。スポーツとは精神と肉体の友愛であると。そう、友愛こそは、実は私の理念。You & Iなんですよね。違うか?」(一同大爆笑)「(まじめな顔をして)だから、私は、ものいいじゃないですよ」(さらに爆笑)
そこに響(Hびき)のみつ子が、小谷M子さんやA木田裕子さんが着ていたのと同じ衣装で登場してくる。
「先輩!先輩~!」
H山「私、あなたの先輩じゃないですけど」
みつ子「私の人生の大先輩!結婚してください」
H山「おっと突然ですが、私には妻の幸がいるし...」(と会場内に目配せ)
みつ子「じゃあ、わかりました。せめて一つだけお願い聞いてもらえますか」
H山「私にできることならば」
みつ子「オリンピックを東京に持ってきてください!」
H山「そ、それはちょっと難しいかもしれない。以前、それは時代錯誤だと反対もしたことがあるし、M主党の仲間たちにどう税金の無駄使い防止との整合性を説明したらよいのかまだ悩んでいるし,,,」

そこに、DきDきキャンプのJバウアーのモノマネで有名な岸が登場してくる。
岸「大統領を困らせているのは誰だ!」
H山「私は大統領じゃなくて、首相、しゅしょう」
岸「日本の首相を、大統領と間違えて呼んでしまったことを.....(しばしの間) 本当に申し訳ないと思っている。わかりました首相。私が来たからには大丈夫です。おい、そこのテロリスト、首相を困らせるのはやめろ!」
みつ子「テロリストじゃないですよ~。でも、謝ればいいんですね、謝れば(怒った顔で)すみませんでした。アイムソーリー。You are 総理」(とH山を指さす)
H山「Yes, I am 総理。こんなことなら、東京にオリンピックを招致してやる~!」
岸「それではオチになりませんよ、大統領」
H山「だから、首相だってば~」
岸「We Are Sorry(総理)!」
(一同爆笑の中に「駄洒落じゃねえか」という我が家風の声が聞こえたような気がした)
なんだかよくわからない首相スピーチになってしまったがとりあえず、存在感は示せたのであった。

その後に、いがWゆり蚊が、何とチェンバル語で応援演説を行い、委員たちの度肝を抜いた。東京はチェンバル語というマイナーな言語まで使って、その国際性をアピールしたのだ。またアスリートの代表として、弾丸JャッキーとTンゲンなどがスポーツの魅力を肉体的に語った。そして東京の締めで登場するのが、詩吟師範代のT津K村である。日本を意識しての和装での登場である。
K村「詩吟師範代のT津K村です。今日は、オリンピック東京誘致を詩吟に乗せて吟じてみたいと思います。吟じます。2016年~、オリンピック開催地が~、もしも東京に決まったら~、なんだか今日いけそうな気がする~。あると思います」
選考委員から「No way!」という国際的な突っ込みが入って、会場は騒然となったが、とにかくプレゼンは無事に終了した。

このプレゼンはやはり落ちた。日本のお笑い芸は国際的には通用しなかったのか。ここで満を持して登場してくるのが、顔面リーサル・ウェポンのザブンGルの加藤だ。そして一言、言い放った。「悔しいです!」。顔を引きつらせて去って行くなか、「エリザベス!」と叫んだのは、おそらく次のオリンピック開催地のロンドンのEリザベス女王に敬意を表したのに違いない、と海外メディアは一斉に加藤の国際的センスを褒めたたえた。

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どうもたいへん失礼いたしました~!

リオデジャネイロはプレゼンテーションも見事だった

2009-10-05 00:01:03 | オリンピック
東京が負けたことで、「最初からリオデジャネイロに決まって
いた」という発言がいろんなブログで散見されていました。
「東京はプレゼンはシンプルで一番よかった、しかし政治的
判断でリオに決まった」というようなコメントも見受けられま
した。はたして本当にそうだったんでしょうか?リオデジャネ
イロは確かに事前の評価は高かったのですが、投票になってか
らも気を抜けませんでした。上のグラフで見ても、第一回投票
ではマドリッドに二票負けていました。

二回目の投票では、一回目でシカゴに投票していた人たちが、
リオデジャネイロの応援に回った感じです。同じアメリカ経済
圏なので、メリットで選択した人たちも多かったのでしょう。
もし、最初の投票で東京が落選していたとしたら、リオデジャ
ネイロはここまでの票を稼げなかったでしょう。もしもシカゴ
が最後まで残って、リオデジャネイロとの決定戦になっていた
としたら、票はどのように別れていたのでしょう。一回目の
投票でシカゴが破れたことで、リオデジャネイロは勝利が見え
たのではないでしょうか。

リオデジャネイロは、南米での始めてのオリンピックという
大義で勝ったというふうに言われていますが、プレゼンテー
ションの映像をあらためて見てみると、やはりそのプレゼン
は素晴らしいです。これと比較してみると、東京のプレゼン
の貧弱さをあらためて感じ、同じ日本人として、また本籍地
が東京にある人間として恥じ入ってしまいたくなります。
東京の敗因は、政治力学とかではなく、プレゼンが下手だっ
たことと、オリンピックを東京で開催しなければならないと
いう意義が希薄だったことによると思います。今後の参考の
ためにリオのプレゼンをレポートしたいと思います。

日本人が英語でのプレゼンテーションにハンディーを持って
いるというのなら、ポルトガル語が母国語のブラジル人たち
も条件はそれほど変わりません。しかし、国際的なコミュニ
ケーションということに関しては、日本人はどうしてこんなに
苦手なんでしょう。それに比べて、ブラジルの皆さんは、
英語の発音はものすごくなまっているのですが、コミュニケー
ションの達人です。我々は彼らから学ぶところも多いと思い
ます。

今回、リオデジャネイロのプレゼンターとしてステージに
登場した皆さんは、それぞれがプレゼンターとして秀逸でし
た。申し訳ないのですが、東京のプレゼンターと比較しても
役者が一枚も二枚も上です。全員が見事なコミュニケーター
です。政治もビジネスもこういう人たちがリードしている国
はこれからぐんぐん伸びると思います。

まず登場するのは、チームリーダー役のヌズマン氏(Carlos
Arthur Nuzman)です。

1942年生まれで、元バレーボールの選手。1964年の東京
オリンピックの時にブラジル代表で出場したのだそうです。
この人のスピーチは見事でした。母国語でないので、英語は
決して流暢というわけではありません。しかし、一言一言に
全身全霊がこもっているという感じで、聞き惚れました。

世界地図を出して、これまでにオリンピックが開催された
場所をビジュアルにマッピングし、まだオリンピックが一度
も開催されていない大陸=南アメリカ大陸での開催意義を
アピールするプレゼン手法は見事です。また500年も前の
大航海時代の比喩で、新たなオリンピックへの航海を始め
るべき時だというレトリックも見事でした。オバマ大統領
真っ青の見事な演説。また外国語であある英語を一生懸命
に喋っているという姿勢にも好感が持てました。(東京の
人たちは、上っ面のみ奇麗な英語を喋っているという感じ
がしました。)

ヌズマン氏のスピーチの後、ビデオ映像が上映されます。
このビデオは、リオデジャネイロを紹介するようなもので
サンバのリズムでカーニバルとか、観光名所とか紹介され
るのですが、これはそれほど特筆するものではありませんで
したが。

その次に登場してきたのが、セルジオ・カブラル(Sergio
Cabral)というリオデジャネイロ州知事。

リオデジャネイロって、市でもあるし、州でもあったんです
ね。しかしビデオ上映の後に登場したカブラル知事。この
人の最初の笑顔が見事でした。すごく親しみのあるおじさん
という感じで話し始めたカブラル氏、その表情は人間味に
溢れていました。プレゼンテーションの大半はその中身では
なく、表情で伝達されると言われています。そういう意味で
はこの人も見事なプレゼンターでした。(東京のプレゼン
ターたちのほとんどが極めて無表情であったのとは対照的で
す。とくに東京のプレゼンターの人たちは、目が死んでいて、
顔の表情筋をほとんど使っていませんでした)

カブラル氏は、州知事として資金の問題、交通手段の問題
などを大局的な視点で語りました。身振り手振りを交えて
情熱て的に語るカブラル知事を見て、いろんな面で一生
懸命に努力しているというのが伝わってきました。(東京
は、環境だ、コンパクトだ、安全だというだけで、夢の
実現に向けて努力をしているという姿勢が伝わってこな
かった気がします)

カブラル知事の後を受けて登場するのが、ブラジル中央銀行
総裁ののエンリケ・メイレレス氏です。

こちらはうってかわって知的な感じ。ブラジル経済が今や
世界第五位の大きさになっていること、広告ビジネスの伸び
(オリンピックの収益源としての有望性)や、石油産業など
の成長などに関しての説明をし、ブラジル経済に対する不安
材料がないことを経済面からアピールします。これも見事。

それを受けて、リオデジャネイロ市長のエドゥアルド・
パエス氏(Eduardo Paes)の登場です。

パエス氏は、オリンピック実行の具体的な計画を説明してい
きます。どこで、どのような競技が行われるのかなどの施設
の説明、交通手段や宿泊の説明など極めて具体的にプレゼン
をしていきます。どんどんオリンピックの現実味が増してき
ます。

この地図の説明から、各競技が開催される場所が次々と映像
で映し出されていきます。すでに事前に選考委員には説明し
てある内容なのでしょうが、それをもう一度おさらいします。
選考員は見ていても、テレビを見ている世界の人々は知らな
いわけなので、こういうのは重要です。ロンドンの時もあっ
たように思いますが、今回の東京のプレゼンでははしょられ
てしまっていました。

また宿泊施設に関しては、ホテルの充実もアピールされまし
たが、豪華客船も宿泊施設として利用できるようにするとい
う計画も説明されました。

何か夢が広がります。東京湾岸でコンパクトにやるという
アピールとは、魅力のレベルが段違いに違う気がします。
東京では、京都などの観光地もあるし、日本独特のお祭り
などもいっぱいあるアピールしていましたが、オリンピック
選手や応援団は観光のためにオリンピックに来るわけじゃな
いので、ちょっと訴求点がおかしい気もしていました。
ましてやカラオケって世界中で人気があるわけじゃないです
し。

そして続いてアスリートの登場です。

サベル・スワン(Sabel Swan)という女性アスリートです。
リオデジャネイロが地元のこの女性は、リオの魅力を語った
後で、サッカーの神様のペレを紹介します。

ペレはここで立ち上がり、笑顔で手を振って挨拶をするので
すが、一言も喋りません。しかし、世界中の誰もが知るペレ
なので、これだけで最高のメッセージとなります。言葉を
使わずにペレが行った瞬間のプレゼンテーションは極めて
効果的でした。

ここまでで、リオデジャネイロのプレゼンテーションは
すでに圧倒的なのですが、だめ押しとも言うべきルーラ
大統領の登場です。

この人は、1945年生ブラジルの貧しい農村の生まれで、
学歴はほとんどなく、靴磨きや、製鉄所工員から、労働
組合を経て、大統領にまで上り詰めた人物。この日の
スピーチはすべてポルトガル語。低く響く声で、リオ
デジャネイロはオリンピックの準備ができていることを
切々と訴えました。宇宙人のような鳩山首相とは違い、
その存在感は圧倒的でした。

そして二番目のプロモーションビデオ。これは秀逸でした。
リオデジャネイロの町のあちこちに、緑の服や、赤い服や、
その他、いろいろな色の服を着た人々の集団が現れます。

何となく、海外から来た選手団の一部のような雰囲気がし
ます。その人たちを、町の人々はとても暖かく迎え入れま
す。これだけでも、いい雰囲気のビデオなんですが、人々
の数がだんだん多くなって、海岸へと移動していきます。
そして、最後のコパカバーナの海岸の空撮。これまで登場
してきた無数の人々が実は、5つの色の五輪の輪を描いて
いたのがわかります。

すばらしい映像でした。この映像の後で、会場は東京の
プレゼンではなかったような拍手が鳴り響きました。
東京の映像とはあきらかに質が違います。

そして最後に、ふたたびヌズマン氏が登場して最後の
お願い。このスピーチも完璧でした。自分たちを選んで
ほしいという情熱がこもっていました。「皆様方の今日の
ボタンの一押しが、オリンピックの新たな歴史を作るので
す」という言葉、素晴らしい広告コピーです。

これがリオデジャネイロのプレゼンテーションなのですが、
全体の組み立てから、それぞれのプレゼンターのコミュ二
ケーション技術、それから個々の内容と、言葉の隅々に
至るまでよく練られている感じがあります。そして情熱が
上滑りしていない。見事なプレゼンテーションです。
東京の招致委員会の人々は、自己満足に浸っているだけで
なく、こういうところから是非、東京のプレゼンで足りな
かったものを学んでほしいと思います。時代を動かすプレ
ゼンとはこういうもなんだということがわかるのではない
かと思います。

リオデジャネイロのプレゼンの動画はこちらのサイトに
出ています。英語だけですが。
http://www.universalsports.com/mediaPlayer/media.dbml?SPSID=105707&SPID=13050&DB_OEM_ID=23000&id=651879&sid=13050

ブラジルの広告代理店に知り合いがいて、コマーシャルの
作品を見せてもらったことがあるのですが、そのスケール
が大きく、大胆な作品は見事でした。音楽が溢れていて、
人間の感情に最も響くものは何であるかを熟知していて、
まるでブラジルサッカーと同じように、パワフルで、
カラフルで、感動させられことを思い出しました。
我々はブラジルから学ぶことも多いと思いました。

本当にこれでよかったの?東京のプレゼンテーション

2009-10-04 15:03:07 | オリンピック
2016年オリンピック開催地の選考で、東京は残念ながら破れて
しまいました。一日が経過して、ニュース報道や、ブログの記事
を検索して見ていたのですが、東京のプレゼンテーションの評価
がやけに高い。不気味なくらいに「東京のプレゼンテーションは
一番よかった」とかいう発言が目につきました。石原都知事も
「誰に聞いても東京のプレゼンは圧倒的によかったと言うんだ
よね」と言っておりました。ブログの記事はマスコミ報道の受け
売りが多いのか、大半が東京のプレゼンに対して好意的な意見。
しかし、はたして、本当によかったのでしょうか?東京のプレ
ゼンがよかったとコメントした人々は、一体何を基準にそのよう
に発言していたのでしょうか?

日本のプレゼンは実はあまりよくなかったんじゃないかと感じて
いた私は、自分の感覚がずれてしまったのではないかと心配に
なってしまいました。こんな発言をしたりすると、ひょっとして
非国民として袋だたきに合ったり、ブログ炎上なんてこともある
かもしれないのですが、でもやはり自己満足に浸っている日本の
皆様に現実を見ていただかないといけないのではと思い、あえて
辛口のコメントを書かせていただきます。東京のプレゼンが
よかったと思っている方はあまり読まないほうがよいかもしれま
せん。またもしかりに2020年に向けて再チャレンジをするなど
ということがありましたら(そのような無謀なことは敢えてしな
いことを祈りますが)、その際のプレゼンの参考にしていただけ
たらと思います。

本当は、リオデジャネイロのプレゼンの分析をしようと思ってい
たのですが、東京の映像をチェックしていたら、先に東京のほう
を何とかしないといけないと思ったので、東京のプレゼンに関し
ての辛口な突っ込みを入れたいと思います。

聞くところによると、オリンピック招致関連は、某大手広告代
理店が巨額で受注し、おそらく今回のプレゼンの演出にも関
わっていると推測されるのですが、いかにもな演出だったよう
に思えます。

冒頭の写真は、石原都知事が、彼のスピーチを締めるときに
大きく両手をあげて、"Everyday!"という言葉で盛り上がりを
作ろうとしているのですが、これはちょっと滑りましたね。
それほどの拍手にはならなかった。本当はもっと大きな拍手を
期待していたのでしょうが...

この石原都知事と同じようなポーズをしたのは、荒木田裕子
さんでした。この人は1954年生まれで、モントリオール五輪で
は女子バレーボールで金メダル、新東洋の魔女と言われていた
そうなんですけど、ちょっと知りませんでした。

このポーズは、東京の楽しさを語るくだりで、「もしカラオケ
に行きたくなったら、私たちが連れていってあげるわよ~!」
と英語で言うところで出たものです。偶然にも石原都知事と同じ
ポーズ。これは演出家の指導だったのでしょうか?
しかしこのカラオケの部分は、爆笑を狙っていたのでしょうが、
小笑いにもならず、荒木田さんは完全に滑ってしまいました。
この瞬間の凍り付いた時間はちょっと恐ろしかったです。
スケート選手やスキー選手だったらよかったのですが。(汗)

さて、こういう部分の揚げ足を取っているだけでは、本格的批評
になりませんので、もう少し厳しくメスを入れていきましょう。

まず、15才少女のサプライズ登場。皆さんのブログ発言の大半は
この少女の英語力を絶賛していて、評価は非常に高いです。演出
的にはいかにも某大手代理店的な感じがしてしまうのですが、
私的には、この演出もちょっと滑った感がありました。日本人と
しては英語はうまいのですが、自分の言葉にはなっていなくて、
誰かに言わされている感じでした。気持ちが伝わってきません。
いかにも優等生的な感じです。日本の皆さんはこういうプレゼン
で感動してしまうんですかねえ。

こういう少女に、環境問題とか、ドーピングの問題とかを負わせ
るのはちょっと重すぎたんじゃないでしょうか?だいたい環境と
いうテーマを打ち出しすぎたところも問題でした。環境を出さな
ければ、東京の独自性をアピールできないという問題はありまし
たが、環境問題を口にするのなら、オリンピックなど誘致しない
のが一番です。ただでさえ混雑している大都市に、余計なものは
持ってこないのが一番です。大都市内の経済効果を狙ってさらに
規模を大きすれば、環境問題とは逆効果になる気がします。
だいたいスポーツと環境問題との関係は論理的に言って、どうい
うことなんでしょうか?ちょっとわかりにくいテーマでした。

また、もし若い世代が安心して暮らせる未来をそれほど切望する
のでしたら、オリンピックなんかを開催しないで、教育とか、
安全に投資してもらったほうがいい。日本は治安がよいという
先入観があるけれど、化学兵器を使用した無差別テロが世界で
最初に起こったのは日本(オウム真理教によるサリン事件)だ
し、通り魔殺人事件は時々起こるし、本当に治安がよいと誇れ
る国なのだろうかと疑問に思うのですね。こういう国こそ国際
テロに関してはむしろ弱い部分もあるような気もします。

さて、15才少女の次に登場してきた猪谷千春IOC副会長。この人
1931年生まれで、日本で始めて冬季五輪でメダル(銀)を獲得
した人なんですね。IOCでも重職を担っている方です。でもこの
オリンピックの招致の最終舞台でのプレゼンターとしてはちょっ
と暗い。

この前に15才少女でせっかく未来の夢を語ったのに、何だかもう
未来はなさそうな感じです。

そして登場してくるのが鳩山首相。

ぎりぎりで決まって、準備もあまりできなかったのかもしれま
せんが、ちらちらと原稿を見ながらのスピーチは、ちょっと印象
が悪かったです。一国の首相でありながら落ち着きのない印象を
感じてしまいました。

また、クーベルタンの言葉を引用して、それが自分の「友愛」の
理念に通じるところがあるという部分、これはちょっと意味不明
でした。クーベルタンは、スポーツは肉体と精神のfraternity
(融合)ということでfraternityという言葉を使ったのだと思う
のですが、この言葉には確かに「友愛」という意味もあり、でも
だから何なの?ということでわけがわからなくなってしまった
部分でした。このへんIOC委員の皆さん理解できたんでしょうか?

さて、鳩山さんの次に、東京のスポーツの歴史をアピールする
ビデオが上映されます。その導入部分の映像がこれ。

嘉納治五郎先生の偉大さはわかるんですが、はたしてこの情報
はIOC委員の人たちに対して効果的だったんでしょうか?
また、その後に続く、戦後の貧しい時代の写真ははたして意味
があったのでしょうか?東京オリンピックの写真を出すための
流れの中ででてきたのでしょうが、せっかく15才少女が未来を
語ったのに過去のノスタルジーで、あのときの東京の感動をも
う一度的なメッセージではちぐはぐな感じがしました。

石原都知事が出て、その後ビデオが入って、河野一郎事務総長の
登場となります。この人は、アスリートではなく、お医者さん
なんですね。アンチドーピングなどでは有名な人のようです。
この人、英語は結構上手なのですが、がんばってフランス語で
もスピーチしました。その時、何度かかんでしまうのですが、
フランス語の部分が終わって、大きなため息をしてしまいます。

このため息のところは、ちょっと興ざめな感じがしてしまった
のは私だけでしょうか?

また、河野一郎事務総長は、今回の東京の委員会はチームワー
クが抜群によいというようなことを言うのですが、それにして
は、衣装がバラバラ。鳩山さんは勝手な衣装を着ているし、
石原都知事は自分だけ違った襟にしている。またアスリートの
女性陣は違ったデザインだし、会場に内の応援団はグレー系の
衣装。チームワークというんだったら、もっと統一して欲し
かったように思います。

さて、荒木田裕子さんが、会場設備がコンパクトに8キロ圏内
にまとまっているという説明をするんですが、これがこの
スライド一枚だけ。

リオデジャネイロなんか、会場設備の説明ですごく奇麗なCG
画像を用意していて、非常に臨場感のある説明をしたのに、
東京のこれは何?ハイテクな映像プレゼンは日本のお家芸では
なかったの?こんなパワーポイントの一ページのような画像で
は全然やる気が伝わってきません。こういう会場の説明はリオ
のようにもう一度きちっとやったほうがよかったんじゃないの
かと思いました。でもコンパクトに8キロ圏内にまとまってい
ることで、何のメリットがあるのかがいまいちわかりにくかっ
たです。日本は家も狭いし、狭苦しい中にぎっしり詰め込まれ
たような雰囲気が伝わっちゃったような気もします。

その後、パラリンピックの河合純一さんや、砲丸投げの室伏
さん、シンクロの小谷実可子さんなどが登場して東京誘致を
訴えます。その後に三つ目のビデオが挿入されます。

しかしこのビデオ、東京を宣伝しているはずなのになぜ白人
モデルがメイン?国際的といえば短絡的に白人を使いたくな
るという日本の広告業界の悪い癖がこんなところに出てしま
いましたね。なんかちぐはぐな感じがしました。

そして、武田JOC会長の登場。この人は馬術選手で61才。この
人が出てきたときには、東京はまだプレゼン続けるの?という
感じがしてしました。その後にまだ、河野事務総長と、岡野氏
が続くのですが。最後のほうで、またビデオ映像が使われて、
スポーツを楽しむ世界の子供たちの映像が出てきたのですが、
これって、スポーツの楽しさは出てるけど、東京でやる必要性
は全く出てないよねって感じがしてしまいました。某大手広告
代理店さん、しっかりしてください!

最後に、壇上に登れなかった関係者たちの姿が一瞬テレビで
映りました。

おや、この中で左のほうに写っている人はひょっとして鳩山
幸夫人?何と言うド派手なスカートなでしょうか?!
これは、ひょっとして5輪の五色を配色したもの?
これじゃチームワークも何もあったもんじゃないですよね?
ところで、夫人のすぐ後ろのおじさんって、森喜朗元首相?
調べてみたらこの人、日本体育協会会長、日本ラグビーフット
ボール協会会長、日本トランポリン協会会長もやっているみた
いでちゃんとしたオリンピック誘致委員だったんですね。

東京のプレゼンがよかったというのが日本人全体のコンセン
サスだったのだとしたら、私のコメントは異端です。東京の
プレゼンがよかったというのなら、どうして拍手があんなに
まばらだったのでしょうか?リオデジャネイロのプレゼンと
比較してみると、東京のほうがよかったとはどうしても思え
ないのです。こんなことを思うのは私だけ?

勝手なことを書いてしまいましたが、ひょっとしてこんなこと
書いたらいつの日か削除されてしまっているかもしれませんね。


グッバイ、シカゴ、さよなら東京、アディオス、マドリッド

2009-10-03 01:45:00 | オリンピック
コペンハーゲンで開催されていたIOCの総会で、オリン
ピック2016年の開催地がリオデジャネイロが決まりまし
たね。南米で初めての開催となるのだとか。ブラジルは
中国、インド、ロシアと並んで4つの成長大国(BRICS)
なので非常によいんじゃないんでしょうかねえ。少なく
とも東京に決まるよりも、よかったんじゃないかと思い
ます。おめでとう、リオデジャネイロ!

一回めの投票でまず落ちたのは、意外にもシカゴでした。
オバマ大統領夫妻の演説も見事だったし、ナディア・
コマネチやオプラ・ウィンフリーなどのスーパースター
も来ていたのでで、まさか最初にシカゴが落ちるとは思い
ませんでした。

二回目の投票に東京が残ったとき、ひょっとしてひょっと
するかもとも思ったのですが、やはり落ちました。やはり
プレゼンが冴えなかったですね。きわめて地味でした。
関係者の皆さんには申し訳ないのですが、環境をアピール
するだけで、オリンピック・スピリットが忘れ去られてい
たように思います。オリンピックに環境を持ち込んだのは
はたして効果的だったのかどうか...

鳩山首相や、石原都知事が一生懸命英語でスピーチをした
のですが、やはり英語のスピーチに関してはしょせん素人、
正直言って気持ちが伝わってこなかったように思います。
鳩山さんはちょっと緊張していて、後半声がかなり高くなっ
てしまい、聞き苦しいところがあったように思います。
また、ユーモアも一切感じられず、共感する部分が少ない
ような気がしました。

ロンドンが決まった時にブレア首相がビデオでスピーチを
したのですが、このときのスピーチは非常にわかりやすく
説得力がありました。おまけに最初に慣れないフランス語
でスピーチをするということでまた好感度を高めました。

ブラジルのルーラ大統領に関しては、ほとんど知りません
でしたが、この人映画俳優のように渋い声で、すごい説得
力でしたね。スピーチはポルトガル語(ブラジル語)で
しゃべっていましたが、意味はわからなくとも、言葉が
びしびし伝わってくるという感じでした。鳩山首相の声が
キンキンしていたのとは対照的でした。

ところで、日本のプレゼンの最初にサープライズとして、
15才の少女が出てきてスピーチをしたのですが、これが
はたしてサープライズになっていたのかどうかは疑問です。
このサープライズは外国の人々を想定したもので、日本の
お茶の間の人にから見るとあまりサープライズに見えない
という言い訳付きの演出だったのですが、これは外国の人
から見てもあまりサープライズにはなっていなかったので
はないかと思います。

もちろんこの女の子は見事に大役を果たしたし、彼女は何
も悪くはありません。むしろ鳩山首相よりも効果的な
スピーチをしたのではないかと評価します。しかし演出と
して子供を使うというのは、ロンドンのときにもっとうまい
演出でやっているので、それと比較してしまうと、何か
新鮮みがないし、特に感動的なメッセージもなかったなと
いう印象です。

ロンドンの時はいくつかの映像で、世界の子供の視点から
見たスポーツの大切さを見事に表現していました。そうい
うのと比較すると、石原都知事と関係者たちは、この4年間
何を学んできたのかと喝を入れたくなってしまいます。
しかし関係者の皆さんは相当落ち込んでいると思いますの
で、まずはご苦労さんでしたと言っておきましょう。

My Wifeは地元が江東区なのですが、「まあ東京に決まらな
くてよかったんじゃない?」と言っておりました。ブラジル
の人たちの情熱的な歓びようを見ていると、リオデジャネ
イロに決まって本当によかったと思うのでした。

関係者の皆様、おつかれさまでした。若手アスリートの皆様
リオデジャネイロをターゲットにがんばりましょう。
ビジネスマンの皆さん、これからはブラジルに目を向けま
しょう。これからはポルトガル語です。これからはサンバです。
ブラジル料理です。ポン・デ・ケージョです。(何て変わり身
の早い私?)