西脇順三郎の一行(55)
詩の後半。この1行から、ものの羅列が始まる。並列が始まる。この1行が印象的なのは、ことばの運動の口火を切っていることと同時に、固有名詞と普通名詞の対比があるからだろう。
「大森の麦畑」と「白いペンキのホテル」。ホテルも大森にあるのかもしれないが、大森という固有名詞には染まっていない。「白いペンキ」という属性が「大森」と拮抗している。それが、なんとなく面白い。
麦畑は金色か、緑色か。最終講義が春先に行なわれるのとしたら、麦はまだ緑だ。苗が出たばかりかもしれない。その特定できない色と白が向き合っているのも面白い。
「最終講義」
大森の麦畑と白いペンキのホテル (67ページ)
詩の後半。この1行から、ものの羅列が始まる。並列が始まる。この1行が印象的なのは、ことばの運動の口火を切っていることと同時に、固有名詞と普通名詞の対比があるからだろう。
「大森の麦畑」と「白いペンキのホテル」。ホテルも大森にあるのかもしれないが、大森という固有名詞には染まっていない。「白いペンキ」という属性が「大森」と拮抗している。それが、なんとなく面白い。
麦畑は金色か、緑色か。最終講義が春先に行なわれるのとしたら、麦はまだ緑だ。苗が出たばかりかもしれない。その特定できない色と白が向き合っているのも面白い。