詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

西脇順三郎の一行(55)

2014-01-11 06:00:00 | 西脇の一行
西脇順三郎の一行(55)

 「最終講義」

大森の麦畑と白いペンキのホテル                  (67ページ)

 詩の後半。この1行から、ものの羅列が始まる。並列が始まる。この1行が印象的なのは、ことばの運動の口火を切っていることと同時に、固有名詞と普通名詞の対比があるからだろう。
 「大森の麦畑」と「白いペンキのホテル」。ホテルも大森にあるのかもしれないが、大森という固有名詞には染まっていない。「白いペンキ」という属性が「大森」と拮抗している。それが、なんとなく面白い。
 麦畑は金色か、緑色か。最終講義が春先に行なわれるのとしたら、麦はまだ緑だ。苗が出たばかりかもしれない。その特定できない色と白が向き合っているのも面白い。


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