8月21日の読売新聞のweb版。コロナの感染状況。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210820-OYT1T50257/
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全国の重症者、8日連続で最多更新…神奈川・愛知など15府県で過去最多の新規感染者(見出し)
国内の新型コロナウイルスの新規感染者は20日、神奈川、愛知、大阪、熊本など計15府県で過去最多となった。全国の重症者は前日から51人増えて1816人となり、8日連続で最多を更新。死者は36人だった。(記事)
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これでは、全国の感染状況がわからない。web版なので、どこかに書いてあるのかもしれないが。
探し回ると、
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210820-OYT1T50240/
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全国の新規感染者、2万5876人…3日連続で最多更新(見出し)
新型コロナウイルスの新規感染者は20日、全都道府県と空港検疫で新たに2万5876人が確認され、3日連続で過去最多を更新した。(記事全文)
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これくらいの長さなら、重症者の記事の前にくっつけて書けばいいだろう。実際、西部版(14版)は合体させている。(さらに九州の状況を追加している。)
で。問題は。
西部版の見出「重症者 最多1816人」もそうなのだが、重点が「感染者総数」ではなく「重症者」に置かれていることだ。
これは先日読売新聞が書いていた「出口戦略」、コロナ感染状況の「指数を見直す」という菅の方針の先取りである。感染者総数は気にしない。「重症者」さえ病院で治療し、「重症者」の数さえ減ればコロナ対策は成功した、という「主張」の先取りなのだ。読者の視線を「重症者」に向けることで感染拡大の印象を弱めようとしている。
2万5876人という数字に比べると1816人という数字は小さい。どんな時でもそうだが、数字は小さい方が衝撃力が少ない。特に大きな数字を見せられた後では小さな数字はより小さく見える。感染者が1万人を超えた、2万人を超えたと騒いでいるときに、「重症者1816人」と聞けば、「まだ1816人か」と思ってしまいがちだ。そんなふうに思ってはいけないのだが、どうしてもそういう印象に引きずられる。嘘を書いているわけではないが、こういうことは一種の「印象操作」なのだ。
昨日は千葉の感染女性が「入院先なく早産 男児死亡」(西部版の見出し)と報道していたが、「重症者」だけに対策の焦点をあてると、こういう悲劇が起きる。そういう悲劇を報じておきながら、翌日は知らん顔して「重症者」に焦点を絞って報道する。ここに、大きな問題がある。自宅療養者が急変して死亡したり、千葉の場合のように死産ということが起きたとき、この女性と男児は「重症者」という数字のなかでどういう位置づけになるのか、そういうことが見えてこない。統計をとっている人はそれなりの「対処/対応」をするのだろうけれど、それがどういうものか私のようなものには、その統計の実態がわからないから、不安が募る。統計が意図的に操作され、実態からかけ離れた数字が動いていくのではないか。
こんなところで菅の方針を先取りして、菅をよいしょするのではなく、「重症者」に焦点を絞ることに問題はないのか、そのことから問い直すべきだろう。
さらにこんな記事。
https://www.yomiuri.co.jp/olympic/2020/20210820-OYT1T50219/
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来日した五輪関係者、都内で入院は3人…宿泊施設での療養は132人(見出し)
東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は20日、東京都内で新型コロナウイルスの対策会議を開き、五輪に向けて来日した大会関係者で、都内では、コロナ陽性による入院が3人、宿泊施設での療養者が132人だったことなどを報告した。(記事)
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「都内では」という限定がついている。地方で合宿した選手にも感染者がいたはずだし、「拠点宿泊場所」が東京以外の選手や関係者もいるのではないのか。「都以外では」どうなっているのか、私はとても気にしてしまう。また、記事では「だった」と過去形の文章になっているが、いま入院している関係者、宿泊施設に滞在している関係者はいないのか。
パラリンピックはどうか。
https://www.yomiuri.co.jp/olympic/paralympic2020/20210820-OYT1T50124/
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選手1人含め新たにパラ関係者12人陽性…選手の陽性確認は初(見出し)
東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は20日、新型コロナウイルス検査で海外から来日した選手1人を含め、新たに12人が陽性と判定されたと発表した。
組織委が今月12日に東京パラの大会関係者の検査結果の公表を始めてから、選手の陽性確認は初めて。このアスリートは選手村(東京都中央区)には滞在していない。
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パラリンピックの選手の場合、選手によっては介助が必要なときもあるだろう。必然的に「濃厚接触者」が生まれる。「濃厚接触者」は何人なのか。
オリンピックのときもそうだったが、最初は「濃厚接触者数」を公表している。途中から公表しなくなる。数が大きくなりすぎるからだろう。
こういう公表(報道)の仕方も「情報操作/印象操作」であるということは、菅の「重症者数」でコロナ対策の「出口を探る」ということと同じである。
こんな数字のごまかしで、コロナ感染を乗り切ることはできない。
東京オリンピックは中止すべきだった。パラリンピックは中止すべきだ。高校野球も中止すべきだ。終わったことであっても、私は批判し続けるのである。そうしないと、すべては「すんだことだから」になってしまう。