安倍の「沈黙作戦」(その2)
自民党憲法改正草案を読む/番外124(情報の読み方)
安倍の「沈黙作戦」は、すでにマスコミを支配している。
読売新聞(2017年10月09日、西部版・14版)に「与野党8党首討論会」の記事が載っている。1面の見出しに、
とある。
「消費税」については、意見の対立は「見出し」からうかがえるが、「憲法」については「(議論の)応酬」があった、としたわからない。
記事を読んでいくと、もっと驚く。
憲法改正をめぐっては、前向きな自民、希望、日本維新の会の各党などと、消極的な共産、立憲民主、社民の各党間で意見が分かれた。
と書いたあと「立憲民主の枝野代表は」「共産党の志井委員長も」「公明党の山口代表は」「日本のこころの中野代表は」とつづくのだが、自民・安倍、希望・小池の主張が書かれていない。
なんだ、これは。
安倍が、どんな改憲案をもっているのか、一切語らない。そして、他党に対して「北朝鮮の脅威にどう対処するのか。自衛隊が活動できなくてもいいのか」と問いかける。
安倍は、北朝鮮の脅威に対処することを考えている。しかし、他党は考えていない。いいかげんだ、というのが安倍の「主張」である。
安倍は、実際に何を語っているか。
4面に「詳報」が載っている。安倍の発言は「北脅威に外交力発揮」という見出しで要約されてる。その具体的な部分は、こう書いてある。
ここでも具体的なこと何も書いていない。
安倍は具体的なことは「沈黙」している。それを「沈黙」のまま報道するということがすでに始まっている。
書かれていないから、私は、勝手に考える。
「外交力」とはどういうことだろうか。「対話」のことだろうか。ふつうは「外交力」とは「対話による交渉」を指す。それなら、たとえば共産党のいっていることとかわりはない。
安倍のいう「外交力」は「対話」のことではない。
だいたい「外交力」が「対話」を指すなら、「自衛隊を憲法に書き加える」と、どう関係するのか、それがわからない。自衛隊は「対話」のための組織ではない。
また、憲法に自衛隊を書き加える(合憲化する)と、北朝鮮の脅威に立ち向かえるようになるのか。憲法に書き加えないと、日本は北朝鮮の攻撃を防ぐことができないのか。国民の平和を守ることができないのか。(どう憲法を改正するのか、その「文言」も、もちろん語らない。)
具体的な関係がまったくわからない。
これを報道機関は、そのまま書いている。「沈黙」の部分を掘り返さないで、「沈黙」にしたまま、「北朝鮮は脅威だ」という安倍のことばを報道している。
私には、安倍は「軍事力」を「外交力」と言っているとしか思えない。「軍事的圧力」を前面に出して、北朝鮮の脅威に向き合う。「軍事力」を発揮し、国民の平和な暮らしを守る。そう言っているとしか思えない。
ことばがすりかえられている。
このとき「外交力(軍事力)」とは、どのように「発揮される」のか。安倍は「軍事力」をどう「発揮する」のか。
具体的に考えて見よう。
(1)北朝鮮が日本を攻撃するとき、「武器」は何か。安倍は自衛隊をどう指揮して(どんな武器をつかって)、日本を守るのか。
(2)北朝鮮が日本の領土に上陸する(陸上戦になる)としたら、どこから上陸すると考えているのか。自衛隊は、どう向き合うのか。上陸してくると想定している北朝鮮の軍隊(部隊)の数は? 防戦する日本の自衛隊の軍隊(部隊)の数は?
(3)北朝鮮が日本の領土に上陸するには、たぶん艦船で動く必要がある。その艦船に自衛隊はどう対応するのか。北朝鮮の海軍組織(艦隊)はどうなっているのか。自衛隊の艦隊は、北朝鮮と比較して、すぐに敗北するような組織なのか。
私には、日本が簡単に北朝鮮に侵略されるとは思えない。日本の軍事力がそんなに劣っているとは思えない。それに日米安全保障があり、日本にはアメリカの軍隊が常駐している。北朝鮮の軍隊と自衛隊+米軍の軍事力を比較したら、どうしたって自衛隊+米軍の方が巨大だろう。
どうして北朝鮮が「脅威」でありえるだろう。
もちろん北朝鮮の軍備が自衛隊+日本に駐留のアメリカ軍の軍備を上回っているというのなら脅威だが、そうでないなら脅威であるはずがない。具体的な軍備の実態を公表し、比較できるようにしてもらわないと、判断のしようがないのだが。
北朝鮮が「脅威」となりうるのは、次の場合である。
(4)北朝鮮が「陸上戦」ではなく、いきなりミサイル攻撃をしてくるとき、それはどうやって防げるのか。迎撃システムでほんとうに守れるのか。たぶん、守れないミサイルはどこでも攻撃できる。向きを変えるだけで攻撃地点を変更できる。迎撃システムはそれには対応できない。全国各地にミサイル迎撃システムを配備することなどできない。
では、どうするか。
いちばん簡単というか、わかりやすいのは北朝鮮のミサイル基地を破壊することである。ミサイルを使用できないようにしてしまうことである。いわば「先制攻撃」である。戦争を日本の方からしかけて、北朝鮮が軍事力を発揮するのを封じること。
この「先制攻撃をする能力がある」と誇示することを、安倍は「外交力」を発揮すると言っていることにある。「先制攻撃」をするために、自衛隊を「合憲化」する。それは「自衛隊の合憲化」は「先制攻撃の合憲化」である。そして、さきに明らかになった自衛隊の「たたき台」によれば、「内閣総理大臣(安倍)」がその指揮をするのだが、これを9条に書き加えると、憲法の「構成」がでたらめになる。
憲法は「天皇」「国民」「国会」「内閣」という順に条文が構成されている。「国民」は「内閣総理大臣」よりも上位にある。この関係を、「たたき台」は否定している。「内閣総理大臣(安倍)」が国民を支配する構造になっている。
「自衛隊を合憲化」するというだけでは、実態がわからない。「合憲化」することで、安倍は「先制攻撃」を狙い、「戦争」を引き起こすことで国民を支配する「独裁」を完成させている。
「沈黙」の奥には、その狙いがうごめいている。「沈黙」によって、その動きを隠している。このことを、報道機関はもっと掘り下げてニュース化しないといけない。
「外交力」というとき、安倍は「アメリカと協力して」ということを含んでいる。日本が単独で北朝鮮を攻撃すれば、日本が戦争を引き起こしたことになる。しかしアメリカをまきこめば、それは日本だけの責任ではなくなる。アメリカにも責任の一端をになわせる。それを「外交力」と言っているとしか、私には思えない。
安倍は、ただただ戦争がしたい。戦争をすることで「最高指揮官」としての地位をよりたしかなものにしたい、「独裁者」になりたいだけである。そのために、あらゆることを利用している。
戦争が始まれば、だれも「経済政策」の問題点を指摘しない。アベノミクスは失敗したとは言わない。失業も待機児童も教育費も問題にしない。もちん森学園、加計学園の問題などだれも語らない。死にたくない、生きたい、ということが大問題になってきて、そのほかのことはすべて「沈黙」のなかに封じ込められてしまう。
自民党の「たたき台」については「憲法9条改正、これでいいのか」(ポエムピース)に詳しく書いています。この機会に、ぜひお読みください。アマゾンで発売中です。
#安倍が国難 #安倍を許さない #憲法改正 #天皇生前退位
自民党憲法改正草案を読む/番外124(情報の読み方)
安倍の「沈黙作戦」は、すでにマスコミを支配している。
読売新聞(2017年10月09日、西部版・14版)に「与野党8党首討論会」の記事が載っている。1面の見出しに、
消費税・憲法巡り応酬/自民 「安定財源」訴え 希望 増税凍結を主張
とある。
「消費税」については、意見の対立は「見出し」からうかがえるが、「憲法」については「(議論の)応酬」があった、としたわからない。
記事を読んでいくと、もっと驚く。
憲法改正をめぐっては、前向きな自民、希望、日本維新の会の各党などと、消極的な共産、立憲民主、社民の各党間で意見が分かれた。
と書いたあと「立憲民主の枝野代表は」「共産党の志井委員長も」「公明党の山口代表は」「日本のこころの中野代表は」とつづくのだが、自民・安倍、希望・小池の主張が書かれていない。
なんだ、これは。
安倍が、どんな改憲案をもっているのか、一切語らない。そして、他党に対して「北朝鮮の脅威にどう対処するのか。自衛隊が活動できなくてもいいのか」と問いかける。
安倍は、北朝鮮の脅威に対処することを考えている。しかし、他党は考えていない。いいかげんだ、というのが安倍の「主張」である。
安倍は、実際に何を語っているか。
4面に「詳報」が載っている。安倍の発言は「北脅威に外交力発揮」という見出しで要約されてる。その具体的な部分は、こう書いてある。
北朝鮮の脅威に対して、外交力を発揮し、国民の平和で幸せな暮らしを守り抜いていく。
ここでも具体的なこと何も書いていない。
安倍は具体的なことは「沈黙」している。それを「沈黙」のまま報道するということがすでに始まっている。
書かれていないから、私は、勝手に考える。
「外交力」とはどういうことだろうか。「対話」のことだろうか。ふつうは「外交力」とは「対話による交渉」を指す。それなら、たとえば共産党のいっていることとかわりはない。
安倍のいう「外交力」は「対話」のことではない。
だいたい「外交力」が「対話」を指すなら、「自衛隊を憲法に書き加える」と、どう関係するのか、それがわからない。自衛隊は「対話」のための組織ではない。
また、憲法に自衛隊を書き加える(合憲化する)と、北朝鮮の脅威に立ち向かえるようになるのか。憲法に書き加えないと、日本は北朝鮮の攻撃を防ぐことができないのか。国民の平和を守ることができないのか。(どう憲法を改正するのか、その「文言」も、もちろん語らない。)
具体的な関係がまったくわからない。
これを報道機関は、そのまま書いている。「沈黙」の部分を掘り返さないで、「沈黙」にしたまま、「北朝鮮は脅威だ」という安倍のことばを報道している。
私には、安倍は「軍事力」を「外交力」と言っているとしか思えない。「軍事的圧力」を前面に出して、北朝鮮の脅威に向き合う。「軍事力」を発揮し、国民の平和な暮らしを守る。そう言っているとしか思えない。
ことばがすりかえられている。
このとき「外交力(軍事力)」とは、どのように「発揮される」のか。安倍は「軍事力」をどう「発揮する」のか。
具体的に考えて見よう。
(1)北朝鮮が日本を攻撃するとき、「武器」は何か。安倍は自衛隊をどう指揮して(どんな武器をつかって)、日本を守るのか。
(2)北朝鮮が日本の領土に上陸する(陸上戦になる)としたら、どこから上陸すると考えているのか。自衛隊は、どう向き合うのか。上陸してくると想定している北朝鮮の軍隊(部隊)の数は? 防戦する日本の自衛隊の軍隊(部隊)の数は?
(3)北朝鮮が日本の領土に上陸するには、たぶん艦船で動く必要がある。その艦船に自衛隊はどう対応するのか。北朝鮮の海軍組織(艦隊)はどうなっているのか。自衛隊の艦隊は、北朝鮮と比較して、すぐに敗北するような組織なのか。
私には、日本が簡単に北朝鮮に侵略されるとは思えない。日本の軍事力がそんなに劣っているとは思えない。それに日米安全保障があり、日本にはアメリカの軍隊が常駐している。北朝鮮の軍隊と自衛隊+米軍の軍事力を比較したら、どうしたって自衛隊+米軍の方が巨大だろう。
どうして北朝鮮が「脅威」でありえるだろう。
もちろん北朝鮮の軍備が自衛隊+日本に駐留のアメリカ軍の軍備を上回っているというのなら脅威だが、そうでないなら脅威であるはずがない。具体的な軍備の実態を公表し、比較できるようにしてもらわないと、判断のしようがないのだが。
北朝鮮が「脅威」となりうるのは、次の場合である。
(4)北朝鮮が「陸上戦」ではなく、いきなりミサイル攻撃をしてくるとき、それはどうやって防げるのか。迎撃システムでほんとうに守れるのか。たぶん、守れないミサイルはどこでも攻撃できる。向きを変えるだけで攻撃地点を変更できる。迎撃システムはそれには対応できない。全国各地にミサイル迎撃システムを配備することなどできない。
では、どうするか。
いちばん簡単というか、わかりやすいのは北朝鮮のミサイル基地を破壊することである。ミサイルを使用できないようにしてしまうことである。いわば「先制攻撃」である。戦争を日本の方からしかけて、北朝鮮が軍事力を発揮するのを封じること。
この「先制攻撃をする能力がある」と誇示することを、安倍は「外交力」を発揮すると言っていることにある。「先制攻撃」をするために、自衛隊を「合憲化」する。それは「自衛隊の合憲化」は「先制攻撃の合憲化」である。そして、さきに明らかになった自衛隊の「たたき台」によれば、「内閣総理大臣(安倍)」がその指揮をするのだが、これを9条に書き加えると、憲法の「構成」がでたらめになる。
憲法は「天皇」「国民」「国会」「内閣」という順に条文が構成されている。「国民」は「内閣総理大臣」よりも上位にある。この関係を、「たたき台」は否定している。「内閣総理大臣(安倍)」が国民を支配する構造になっている。
「自衛隊を合憲化」するというだけでは、実態がわからない。「合憲化」することで、安倍は「先制攻撃」を狙い、「戦争」を引き起こすことで国民を支配する「独裁」を完成させている。
「沈黙」の奥には、その狙いがうごめいている。「沈黙」によって、その動きを隠している。このことを、報道機関はもっと掘り下げてニュース化しないといけない。
「外交力」というとき、安倍は「アメリカと協力して」ということを含んでいる。日本が単独で北朝鮮を攻撃すれば、日本が戦争を引き起こしたことになる。しかしアメリカをまきこめば、それは日本だけの責任ではなくなる。アメリカにも責任の一端をになわせる。それを「外交力」と言っているとしか、私には思えない。
安倍は、ただただ戦争がしたい。戦争をすることで「最高指揮官」としての地位をよりたしかなものにしたい、「独裁者」になりたいだけである。そのために、あらゆることを利用している。
戦争が始まれば、だれも「経済政策」の問題点を指摘しない。アベノミクスは失敗したとは言わない。失業も待機児童も教育費も問題にしない。もちん森学園、加計学園の問題などだれも語らない。死にたくない、生きたい、ということが大問題になってきて、そのほかのことはすべて「沈黙」のなかに封じ込められてしまう。
自民党の「たたき台」については「憲法9条改正、これでいいのか」(ポエムピース)に詳しく書いています。この機会に、ぜひお読みください。アマゾンで発売中です。
#安倍が国難 #安倍を許さない #憲法改正 #天皇生前退位
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