goo blog サービス終了のお知らせ 

詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

「継続性」という嘘(読売新聞のことばのつかい方)

2020-09-07 09:19:23 | 自民党憲法改正草案を読む
「継続性」という嘘(読売新聞のことばのつかい方)
   自民党憲法改正草案を読む/番外389(情報の読み方)

 2020年09月07日の読売新聞(西部版・14版)は1面と3面で、自民党総裁選に関する世論調査をしている。その見出し。

「次の首相」菅氏46%/経済政策「継承を」51%/本社世論調査(1面)

総裁選「圧勝」へ弾み(3面)

 どこまでも菅「よいしょ」をつづける。一般国民は「総裁選」への投票権を持っていない。いくら国民の支持が高かろうと「総裁選」には無関係である。だいたい国会議員の支持だけで有効票の過半数を超えているのということはすでに報じられている。「勝利」が決まっている人間に対し「圧勝へ弾み」と書いてもしようがないだろう。1票差であっても勝てば総裁なのだから。
 問題は「圧勝」ということばで、菅の「安倍継承路線」があたかも正しい政策であるかのように印象操作することである。3面には、こういう見出しもある。

「継続性」で菅氏支持

 「継承」を「継続性」と言い直している。だが、そういう「言い直し」をするくらいなら、何を継承・継続するのか、その点検の方が大事だろう。
 読売新聞は、3面に「簡単」に、こう書いている。

 読売新聞社の全国世論調査で、菅官房長官への支持がライバルの石破茂・元幹事長と岸田政調会長を大きく上回った背景には、コロナ禍が収束しない中、大きな政治的な変化を望まない国民が多く、「安倍継承」を掲げる菅氏に有利に働いた面がありそうだ。

 この「政治的変化」とは何を指すのか。具体的なことがさっぱりわからない。「コロナ禍が収束しない中」国民が求めるのは、まずコロナの終息だろう。ほかのことはともかくコロナを終息させてほしい。「大きな変化を望まない」は「これ以上コロナが悪化しないでほしい」であり、「すぐにコロナが終息するという大きな変化」なら、それは大歓迎で受け入れるはずだ。コロナが悪化するという「大きな変化」は困る、というだけのことだ。抽象的なことばは、具体的に言い直してみないと、その「意味」はわからない。
 でも、菅は、何をするのか。具体的に見てみよう。
 「自助・共助・公助」という理念から推測すれば、コロナは「自己責任(個人の責任)+共同責任(夜の街の人たちの責任、夜の街を管轄している自治体の責任」であり、「国は責任を果たしている」と主張している。
 国の果たした責任というのは、「GOTO」キャンペーンのことだ。キャペーンによって経済てこ入れをした。「GOTO」はこれからもつづける=継続する。それ以外は何もしない。
 ほんとうに、こういうことを国民は望んでいるか。

 「継承/継続」は何を継承/継続するかが問題だ。
 菅は、森友学園、加計学園、桜を見る会前夜祭などは「解決済み」と言っている。「解決済み」という「政策」を継続する。つまり、何もしない、と言っているにすぎない。公文書の改竄、破棄、隠蔽は継続されるのだ。
 経済はどうか。経済はアベノミクスによる成長が嘘だったことが判明している。ごまかしきれずに失速していることが判明している。それを「継続する」とはどういうことか。国民は低賃賃金で働かされ、株の保有者だけがもうかる啓作がつづき、多くの国民の暮らしがますます悪くなるということである。
 「継続/継承」は「よいこと」を継続/継承するときにつかうことばである。
 悪いことを「継続/継承」するとは言わない。
 経済が不景気ならば、「アベノミクス」にかわる新政策を打ち出さないといけない。新政策を打ち出して失敗したら菅の責任である、と言われるから新しいことを何もせず、安倍のやった通りにする。もし、経済が悪化しても、それは「アベノミクス」のせいであって、菅のせいではない、と言い逃れるつもりだろう。国民が安倍を評価したからそれを「継続/継承」しただけだ、と菅は言うだろう。「責任逃れだ、という指摘はあたりません」というつもりなのだ。
 消費税も社会保障に必要だから下げないと言っている。これも何かをするというよりは何もしないである。
 一方で、安倍がこれから「遺産」としてのこしていく「敵基地攻撃システム」を継承(つまり構築)するならアメリカからの武器の「爆買い」も継続される。
 読売新聞は、政策をひとつひとつ取り上げて、どの政策を継承すべきかと問うたわけではないだろう。病気辞任した安倍はかわいそうという「情緒」のなか、安倍はがんばったという「印象」をつくりあげたうえで、「継承/継続」ということばをつかっている。「現実」を分析した上で、「継承/継続」と言っているわけではない。

 政治とか、経済とかの問題はむずかしいが、簡単な例で言い直せば、たとえばジャイアンツが連敗し続け、最下位であるとする。そのときだれが「前監督の方針を継続/継承する」と言って新監督に就任するだろうか。「現状を打破する」ために「新監督」が登場するのである。違う方針で戦い、スランプを脱けだすために「新監督」が必要なのだ。いままでどおりを繰り返すのなら「新監督」は必要ない。

 菅と読売新聞の言う「継承/継続」は、単に安倍の「称賛」にすぎず、いまでも「安倍頼み」で動いているということなのだ。それは、裏を返せば、いつでも安倍が再復活してきて「安倍路線」を「継承/継続する」と言っているにすぎない。なにもかわらないのなら、「頭」をかえる必要などない。安倍を再復活させるために「継承/継続」ということばをつかっているのだ。
 これは逆に言えば。
 これからも何もかわらない。国民は我慢し続けることを「継承/継続」しろ、という意味なのである。すべては「国民の自己責任」という国の責任を放棄した政治がつづくということなのだ。










*

「情報の読み方」は10月1日から、notoに移行します。
https://note.com/yachi_shuso1953
でお読みください。
 

#安倍を許さない #憲法改正 #読売新聞



*

「天皇の悲鳴」(1000円、送料別)はオンデマンド出版です。
アマゾンや一般書店では購入できません。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

ページ右側の「製本のご注文はこちら」のボタンを押して、申し込んでください。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

どうしてだれも書かないのか。

2020-09-07 06:30:52 | 自民党憲法改正草案を読む
どうしてだれも書かないのか。

なぜ、みんなが一斉に菅になびいたか。
国会議員だけでなく、あらゆるマスコミが一斉にこびはじめたのは、なぜか。


思い出そう。
前川事件、読売新聞報道。
前川は、風俗店通いをでっち上げられた。
前川にやましいところはなかったから、前川は生きのびた。
他のひとはどうなのか。


ひとに知られたく秘密を抱えているのだろう。
内調が議員や新聞社幹部の秘密を握っている、と推定すればすべて説明がつくのではないか。


前川事件の時、菅がどういう行動をしたか。
菅に質問すべき一番のことがらは、管と内調との関係だろう。


私は読売新聞しか読んでいないのでわからないが、この点を取り上げたジャーナリズムはあるのか。


ひとの秘密を調べ上げ、それをもとにひとを支配することを仕事にしている人間が、権力の頂点に立っていいのか。
すでに秘密をちらつかせる、恐怖の独裁が始まっていると見るべきだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「安倍称賛」をつづける読売新聞(のゴマのすり方)

2020-09-06 10:11:15 | 自民党憲法改正草案を読む
「安倍称賛」をつづける読売新聞(のゴマのすり方)
   自民党憲法改正草案を読む/番外389(情報の読み方)

 2020年09月06日の読売新聞(西部版・14版)の2面。

敵基地攻撃「年内結論」/安倍首相が談話発表へ

 「ミサイル迎撃体制の確立」(防衛)ではなく、「敵基地攻撃態勢の確立」(先制攻撃)を、読売新聞は、どうしても安倍の「レガシー」に仕立て上げたいようである。
 記事は、こう書いている。

 安倍首相は、「ミサイル阻止に関する安全保障政策」についての首相談話を週内に発表する方針を固めた。いわゆる敵基地攻撃能力の保有に関し、年内に結論を出すとの政府方針を示す方向だ。
 首相は当初、在任中に攻撃能力の保有を決断することに意欲を示していたが、検討は次の首相に引き継がれる。首相談話については、将来の政権により強い拘束力が生じる閣議決定を行わない見通しだ。
 政府は、米国や公明党にこうした方針を伝えた。

 菅はたしかに「安倍政治(政策)を継承する」とは語っている。しかし、私が読売新聞を読んだかぎりでは「敵基地攻撃」という問題については、安倍の政策を継承するとは明言していない。
 去っていく安倍が、日本の安全保障について「談話」を出すというのは、どういうことか。
 記事に中には「首相談話については、将来の政権により強い拘束力が生じる閣議決定を行わない見通しだ」とあり、あくまでも安倍の「談話」にすぎないかのように装っている。
 しかし、

政府は、米国や公明党にこうした方針を伝えた。

 そうであるなら、「閣議決定」以上のものなのではないか。まさか「閣議決定」のすべて、「昭恵は私人である」というようなことをアメリカに伝えるはずがない。「談話」を発表する前に、アメリカに伝えたのは、武器購入(爆買い)を忘れてはいない、必ず実行するという「言質」を与えるために伝えたのだろう。「陸上イージス」の代わりに、かならずミサイルを買う、と。
 (こういう、書かずに置けば、だれも気づかないかもしれないことを、「私はここまで知っている、政権の内部に入り込んでいる」と自慢げに読売新聞は書くので、とてもおもしろい。つまり、「ニュースの本質の先取り」がわかる。)
 だから、記事中には、「陸上イージス」を見送ったが……。

米国から購入予定の装備を転用することで、米側の理解を得やすくする狙いもありそうだ。

 と書いてある。アメリカの理解を得るために「適地攻撃システム」をつくる。それを菅に託す。菅に託すけれど、路線をつくったのは安倍である。だから安倍を忘れないで。
 その安倍の叫びを、読売新聞は後押ししている。
 そして、おそろしいことには。

防衛省は、①イージス艦の増艦②レーダーとミサイル発射装置の分離配備――などとともにさらに詳細に検討していく方針で、今月末の来年度予算の概算要求では、金額を示さない「事項要求」となる見通しだ。

 「金額を示さない」は「上限を設定しない」(いくらでもアメリカの要求のままに爆買いする)ということに他ならない。安倍は、ここまで「準備」して政権を去る。だから、トランプが再選されたら、また一緒にやれるように手を回して、と安倍は言っているのだ。

 安倍が「自己保身(と再復活)」のために言っていることを、「独自(特ダネ)」と称して紙面化し、さらにそれによって日本の安全保障を「決定」づけようとしている。
 ジャーナリズムがいましなければいけないことがらは、安倍の8年間の検証であり、また「敵基地攻撃システム」が安全保障にもたらす多様な議論の紹介であるはずだ。安倍がこう言っているから、安倍の言うままにアピールします、ということではないだろう。
 こんなにまでして安倍を「よいしょ」するのは、安倍が再復活してくる「証拠」でもあるだろう。安倍が再復活したとき「読売新聞は、安倍政権のレガシーがなんであるか、それが実現する前から報道し、応援してきた」といって、さらにすり寄るつもりなのだろう。

(このニュース、台風が接近しているため、西部版=九州地区では2面だったが、東京でも2面だったのか。1面だったのではないか、と私は危ぶんでいる。もし1面なら、この駒のすり方はいっそう異常だ。)









*

「情報の読み方」は10月1日から、notoに移行します。
https://note.com/yachi_shuso1953
でお読みください。
 

#安倍を許さない #憲法改正 #読売新聞



*

「天皇の悲鳴」(1000円、送料別)はオンデマンド出版です。
アマゾンや一般書店では購入できません。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

ページ右側の「製本のご注文はこちら」のボタンを押して、申し込んでください。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「菅1強」と読売新聞のゴマのすり方

2020-09-05 15:22:21 | 自民党憲法改正草案を読む
「菅1強」と読売新聞のゴマのすり方
   自民党憲法改正草案を読む/番外388(情報の読み方)

 2020年09月04日の読売新聞(西部版・14版)の1面。自民党総裁選の行方を予測する記事。予測するといっても、すでに多くの派閥(国会議員)が菅支持を表明しており、いま「菅総裁」に疑問を持っている国民などいないだろう。だから、

菅氏、議員票7割固める/本紙調査 全体票の過半数

 この見出しが主張したいのは、主見出しの「菅氏、議員票7割固める」ではない。2行目の見出し「全体票の過半数」である。
 読売新聞は、きのう09月04日の1面で、

全都道府県で予備選/31府県 得票応じ配分

 という記事を書いていた。きょうの記事は、その「続報」なのである。ただし、「続報」と言っても「31府県 得票応じ配分」の部分を明確にしているわけではない。つまり、「予備選」で石破、岸田、菅が何票獲得し、その結果として菅の得票がどうなるかを分析しているわけではない。
 きょうの1面の「前文」にこう書いてある。少し長いが引用する。

 読売新聞社は、自民党総裁選(8日告示―14日投開票)で、党所属国会議員(394人)の支持動向を調査した。菅義偉官房長官(71)が議員票の約7割を固め、岸田文雄政調会長(63)、石破茂・元幹事長(63)を大きく引き離している。支持議員数は都道府県連票を含めた全体の票数の過半数を上回っており、菅氏選出の流れが強まっている。
 総裁選は国会議員394票と、都道府県連代表141票の合計535票で争う。過半数の268票以上を獲得した候補が新総裁に選出される。
 調査では、衆参両院の議長を除く同党国会議員394人のうち、96%にあたる378人の意向を聞き取りなどにより確認。4日夜現在、菅氏を支持することが明確な議員は、党所属議員の69%にあたる271人に達した。

 要約すると、総裁選の「総票数は535票である。過半数は268票。菅はすでに271票を固めているから、都道府県連の141票がだれに流れても、菅の当選は動かない」。
 しかし、こんなことは菅が271票を固めた段階で(多くの派閥が支持した段階で)わかりきったことである。なぜわざわざ「全体票の過半数」を1面の見出しに掲げる必要があるのか。
 ウェブ版では「独自」と明記している。この記事が「特ダネ」であることをアピールしているが、こんな単純な「計算」と「答え」が、いまごろになって書かれる理由がわからない。まだ各派閥の支持がかたまらず揺れているときなら、都道府県連票の何%を固めたから「過半数」に達しそうという「予測」を「独自」の判断として提示できるが、きょうの「予測」は私だってできる。それもきょうではなく、派閥の支持が固まった段階で書ける。

 だから、考えてみなければならないのは、ここからである。
 なぜ、読売新聞は、こんなわかりきったことをこの日のいちばん重要なニュース(1面のトップ記事)と判断したのか。
 簡単である。
 都道府県連票への「圧力」をかけるためである。3面に、

3氏 地方票争奪選/菅氏「党員」も勝利狙う/岸田・石破氏「3位回避」

 という見出し。
 菅を支持しないと、石破、岸田のように「冷や飯」を食うことになるぞ、と脅しているのである。菅を支持しろ、と間接的に言っているのである。菅批判をすると、金をまわしてもらえなくなると考えたことはあるか、と脅しているのである。
 この国の政治がどうなるか、ではなく、菅を中心として再編成される(?)権力構造がどうなるか、地方の議員は考えなさいよ、と「暗示」しているのだ。
 地方では石破人気が高いといわれている。石破の「落選」はすでに決まっているが、その石破が地方票でトップだと困るのだ。菅の「面子」がつぶれてしまう。そうならないようにするために、読売新聞は「いまさら石破に投票したって、意味がないよ」と言っているのだ。わかりきっているのに「死に票」を投票するより、菅に投票しろと言っているのだ。
 この主張は、たしかに「独自」である。ジャーナリズムは、そういう「圧力発言」をすべきではない。

 しかしねえ。

 政党内の権力闘争は別にして、ジャーナリズムさえが、突然「菅1強」を受け入れ「よいしょ合戦」をはじめたことに驚く。ここで「よいしょ」しておかないと、切り捨てられると感じているのか。
 必死さの度合いが「安倍1強」のときよりも激しいのは、菅がどこまで支配するかつかみきれていないからだろう。
 「マスコミ」ということばのなかには「マス」はあるけれど「個」がない。しかし、どんなことばも「個」が出発。「個」を捨て去って「マス」であることを追いかけるとき、それは「言論」とは言えない。







*

「情報の読み方」は10月1日から、notoに移行します。
https://note.com/yachi_shuso1953
でお読みください。
 

#安倍を許さない #憲法改正 #読売新聞



*

「天皇の悲鳴」(1000円、送料別)はオンデマンド出版です。
アマゾンや一般書店では購入できません。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

ページ右側の「製本のご注文はこちら」のボタンを押して、申し込んでください。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「アリバイづくり」をはじめた読売新聞。

2020-09-04 09:07:44 | 自民党憲法改正草案を読む
読売新聞のずるさ(社説の書き方)
   自民党憲法改正草案を読む/番外388(情報の読み方)

 すでに「決定済み」の自民党総裁選。これを、どう報道するか。2020年09月04日の読売新聞(西部版・14版)は、非常に「ずるがしこい」報道の仕方をしている。
 1面に、

全都道府県で予備選/31府県 得票応じ配分/3陣営本格始動

 と全国の県連の動き。どうして党員が投票できないのだ、という批判が高まっている。それに対する動きを紹介することで、少し「ガス抜き」という感じ。読売新聞は、党員の不満にも耳を傾けています、というポーズ。
 2面に、

コロナ・経済に力点

 という見出しで、石破、岸田、菅の「主張」を紹介している。「コロナ対策」「外交」「憲法」の三項目を一覧表にしている。
 でも、「安全保障」がない。安倍の「辞任会見」以降、ぜんぜんかわりばえのしない「コロナ対策」よりも「安全保障(敵基地攻撃システム確立)」の方が話題になっているのに。
 さらに、菅は「安倍の政策を継承する」と主張しているが、その「継承」のなかには、公文書改竄も含まれるのか、という問題があるのに、そのことについては書いていない。石破は、安倍政権下で起きた問題解明に取り組むと言っているが、この問題を「争点」として取り上げていない。一種の「情報操作」である。問題を「コロナ」だけに向けようとしている。
 と、思ったら。
 「社説」に「政策の継承だけでは物足りぬ」という見出し。

 長期政権では、公文書の改ざんのほか、記録の廃棄や杜撰(ずさん)な扱いが次々に発覚した。国民に不信感が広がったのは事実だ。
 菅氏がいずれの案件も「決着済み」で済ませているのは疑問である。仮に新首相となっても、政権への信頼が揺らぎかねない。政策決定や文書管理のあり方を検証し、改善を図る責任があろう。

 一応、菅に注文をつけている。
 でも、この「アリバイづくり」がずるいのだ。
 「国民に不信感が広がったのは事実だ」「政策決定や文書管理のあり方を検証し、改善を図る責任があろう」と「菅総裁」に注文をつけるのはいいけれど、石破、岸田がこの問題にどう発言しているのか、それを明確にしないといけない。肝心の点を隠したまま、菅にだけ注文をつけることで、読売新聞はこの問題を忘れていませんとアピールしている。
 でも「公文書問題」が重要だと考えるならば、石破、岸田、菅がどういう姿勢を打ち出しているか、それを鮮明にし、総裁選びの判断材料として提供すべきなのだ。すでに菅で決まっているから、菅の「大勝利」に傷がつくようなことはしない。でも、「指摘だけはしました」というための社説だ。
 「社説」は紙面の重要な記事だが、残念ながら、社説を読む人はそんなに多くない。そんな読者の目をひかないところでアリバイづくりをしてどうするのだ。「社説できちんと指摘している」というのは、安倍が「改憲は公約に書いてある。改憲は国民に支持された」と選挙で勝つたびに言うのに似ている。「改憲」を公約のトップに掲げ、それを争点にして来なかったのに、選挙が終わればそれが争点だったと言い張る。読売新聞も、菅総理誕生後、公文書問題が再燃したときは「社説で批判してきた」というつもりなのだ。

 安倍が批判されてきたのは、コロナ問題だけではない。コロナは突然発生した「感染症」であり、その対策がうまくいかないとしても、ある程度仕方がないものがある。各国とも手さぐりしている。アメリカやブラジル、インドのように感染が爆発しているところもある。それは「行政」だけの力ではどうすることもできない部分もある。しかし、公文書の管理はそうではない。行政で完全に支配できる問題である。すべてが「人為」の問題である。
 安倍はコロナを利用して、「公文書問題」を隠蔽しようとさえしている。その政策を菅は引き継ごうとしている。それは簡単に言い直せば、安倍が逮捕されないようにするということだ。安倍を逮捕させないための政権づくりが進んでいる。こういう動きをジャーナリズムはどこまで追及できるかが問われている。
 「政策決定や文書管理のあり方を検証し、改善を図る責任があろう、と指摘した」。だから「読売新聞は責任を果たした」という「逃げ道」をいまからつくっていて、いったいどうするつもりなのだ。これを「ずるがしこい」と言わずに、なんと言えばいいのだろうか。








*

「情報の読み方」は10月1日から、notoに移行します。
https://note.com/yachi_shuso1953
でお読みください。
 

#安倍を許さない #憲法改正 #読売新聞



*

「天皇の悲鳴」(1000円、送料別)はオンデマンド出版です。
アマゾンや一般書店では購入できません。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

ページ右側の「製本のご注文はこちら」のボタンを押して、申し込んでください。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

よみがえる恐怖

2020-09-03 16:50:06 | 自民党憲法改正草案を読む
 2016年07月の「参院選」の1週間前の日曜日。私は新聞社の仕事をしていた。その日は「参院選の当落予測」を報道する紙面をつくっていた。ふつう、こういうとき新聞社は「活気」がある。しかし、その日は違った。静まり返っている。だれも「世論調査」の「数字」を気にしていない。自民党が圧勝することはわかりきっている、だれが当選し、誰が落選するか、「予測」してみる必要もない、という感じだった。
 そして、その「予測される結果」に対して、だれも何も言わない。「批判」も「肯定」もしない。「残念」とも「よかった」ともいわない。静かに受け入れている。それ以後、衆院選でも同じような状況がつづいた。まるで、私だけが「脚本」を手渡されずに、現実という「芝居」に投げ込まれている感じ。みんな「結末」を知って、それにあわせて機械のように動いている。アドリブがないのはもちろんだが、ほんの小さな言い回しのミスさえないという感じの静かな雰囲気。

 いま、私は年金生活で新聞社ではどんな雰囲気で人が働いているか知ることもできないのだが、紙面や何かから感じられる「奇妙な絶対的静かさ」(予測される結果に対する批判のなさ)は、16年の夏以上だ。
 いまは、参院選(あるいは衆院選)ではなく、安倍の「病気辞任」後の「総裁選」前なのだが。
 その「総裁選」の「予測」ははやばやと報道されて、「予測」を超えて、事実になってしまっている。

 それにしても、おそろしい。
 安倍が「辞任会見」語ったことを要約すれば、「コロナ対策にかける金を減らし、その分を敵基地攻撃にまわす(ミサイルを買う)」。
 あの日、なぜ出席していた記者が問い詰めなかったのか、私は疑問に思いつづけている。
 その後の、読売新聞の「敵基地攻撃構想」の「特ダネ」、各社の後追い(28日の「辞任会見」で言っているのに、なぜ、「31日にわかった」のような「後追い」の書き方をするのかわからないが)、さらに菅総理への自民党の一致団結ぶりを見ていると、なんだか読売新聞だけが安倍の片棒担ぎをしているのではなく、あらゆるマスコミが片棒担ぎに連携しているとしか思えない。
 「事実」は「シナリオどおり」に動いている。知らないのは、私だけ。
 ほかの読者(国民)は、どれだけ知っているのだろう。いわゆる「識者」たちは、何を知っていて、何を隠しているのか。
 私にはあらゆることが「隠されている」としか思えない。
 「コロナ対策にかける金を減らし、その分を敵基地攻撃にまわす(ミサイルを買う)」という政策を、「問題はありません」「その指摘はあたりません」「あなたの質問に答える場ではありません」と言い続けた菅が、行政の長となって推し進めるのである。「コロナに感染しても軽症なら治療費は自己負担。仕事を休んでも、それは予防対策をとらなかった自己責任。政府には関係ありません」と国民は切り捨てられるのだろう。

 みんな、こわくないのか。
 こわくない人がいるということが、また、こわい。
 私はもともと病弱で、いまは年金生活である。言い換えると、余命がそんなにあるわけではない。どうせ死ぬのだとわかっているが、こわいなあ。死も、この世の中の動きも。







*

「情報の読み方」は10月1日から、notoに移行します。
https://note.com/yachi_shuso1953
でお読みください。
 

#安倍を許さない #憲法改正 #読売新聞



*

「天皇の悲鳴」(1000円、送料別)はオンデマンド出版です。
アマゾンや一般書店では購入できません。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

ページ右側の「製本のご注文はこちら」のボタンを押して、申し込んでください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

情報操作の仕方(読売新聞の場合)

2020-09-03 08:36:08 | 自民党憲法改正草案を読む
情報操作の仕方(読売新聞の場合)
   自民党憲法改正草案を読む/番外388(情報の読み方)

 2020年09月03日の読売新聞(西部版・14版)は菅の自民党総裁選出馬の記事でいっぱい。1面の見出し。

菅氏、安倍路線を「継承」/自民党総裁選 出馬正式表明/感染防止と経済活動を両立

 私は「記者会見」を見ていないし、その際、記者がどれだけ踏み込んで質問しているのかも知らないのだが、読んだ瞬間に「情報操作の仕方があくどい」と感じた。
 緊急の「課題」として「感染防止と経済活動を両立」をあげているのは、たしかに「安倍路線」の継承である。
 しかし、安倍が「辞任会見」で主張したのはコロナ対策だけか。そうではない。こう言っている。https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0828kaiken.html

 コロナ対策と並んで一時の空白も許されないのが、我が国を取り巻く厳しい安全保障環境への対応であります。北朝鮮は弾道ミサイル能力を大きく向上させています。これに対し、迎撃能力を向上させるだけで本当に国民の命と平和な暮らしを守り抜くことができるのか。一昨日の国家安全保障会議では、現下の厳しい安全保障環境を踏まえ、ミサイル阻止に関する安全保障政策の新たな方針を協議いたしました。今後速やかに与党調整に入り、その具体化を進めます。
 以上、2つのことを国民の皆様に御報告させていただいた上で、私自身の健康上の問題についてお話をさせていただきたいと思います。

 そして30日の読売新聞の「特ダネ」以降、方々で「迎撃だけではだめだ、敵基地を先制攻撃する必要がある」という安倍の主張にもとづく「安全保障政策」が問題になっている。
 この問題を菅は、どう「継承」するのか。そのまま推進するということだろう。そのことが、紙面のどこを見ても書いてない。書いているのは「普天間基地」のことだけである。
 これは、どういうことか。
 これ以上踏み込むと、安倍とアメリカの「密約」がばれるからだ。私は河井問題で安倍が逮捕されるのを避けるために、アメリカに「ミサイルを買うから助けて」と安倍が泣きつき、アメリカは「安倍はまだまだつかいがってがある(すぐに金を出す)から助けてやろう」と手を回したのだと思う。田中角栄逮捕のときも、本当かどうか知らないが、立花隆の告発(金脈列島)が引き金のように見えるが、裏でアメリカが動いたといわれる。立花の情報なら新聞記者はみんな知っていた。知っていて書かなかった。田中はベトナム戦争への自衛隊派兵要請を拒否したから、アメリカから「切り捨てられた」と一部で言われている。そのアメリカの「情報操作能力」(日本の捜査機関にどれだけ情報を提供し、それによって何をするか)ということを頼りにしたのだと思う。
 こんなふうに「泣きついてくる人間」は操作しやすい。石破は「泣きつき型」の人間ではないように見える。防衛についても、タカ派だが、かならずしもアメリカの思惑どおりには動かないだろうと思う。自分の方針を打ち出すと思う。そういう人間ではなく、いつでもアメリカの言いなりになって「金をばらまく人間」をアメリカは求めているのだ。
 沖縄から基地を撤退させると「公約」していた鳩山が首相になったとき、鳩山がつまずいたのが、「日米委員会」であった。首相の決断より上に「日米委員会」がある。日本はアメリカの属国から脱けだせない状態がつづいている。「日米委員会」の「決定」にしたがいながら、日本の政治(アメリカの世界戦略)を動かしている。鳩山が感じたのは「首相の限界」だったのだ。
 安倍はどうか。安倍の「主義主張」はたったひとつ。「ぼくちゃん、何も悪いことをしていない。ぼくちゃん、金をばらまき、みんなからありがとう。安倍ちゃん、大好きといわれたい」。これだけなのだ。逮捕されたら、ストレスで病気が悪化して、それこそたいへんかもしれない。いま泣きつかないでどうする。それで「敵基地を攻撃できるミサイルを買うからなんとかして」と間接的にアピールしたのが「辞任会見」である。その「間接的アピール」が新聞などで報道されなかったために、大慌てで読売新聞に「リーク」し「特ダネ」を書かせた。他者が追いかけ、安倍の訴え(約束)が嘘ではないことがわかり、アメリカは安倍逮捕回避に動いた。
 そういうことが自民党内で明確になった。まだまだ安倍の時代なのだ。だから、あっという間に、菅総裁で一致したのだ。
 菅総裁は、単に菅総裁ではなく、石破つぶし、岸田つぶしでもある。石破や岸田が総裁になれば、安倍は復活できない。安倍を復活させるためには、石破、岸田をつぶす必要がある。それには菅で団結するしかないのだ。

 私の書いていることは「憶測」にすぎないが。
 なぜそんな「憶測」をするかというと、「敵基地を攻撃するシステム」問題について、菅はどう考えているのか。その「路線」を継承するのかどうか、どこにも書いていないからである。
 アメリカと安倍の「密約」がないのなら、「辞任会見」でわざわざ語り、また、その後急浮上してきた問題について触れないのは、不自然としかいえない。「感染防止と経済活動の両立」はもう使い古された「キャッチコピー」である。しかも、その「両立」というのは「国民の自己責任」のように言われている。国の政策が悪いのではなく、ひとりひとりの行動に問題がある、と。そういう「自己責任論」を展開するために、最初に利用されたのが「夜の街」という考えである。「批判できる対象」を見つけ出し、それを「排除」する。「差別」を持ち込むことで、国民を団結させる。権力の力で差別を確立し、国民を差別する側で団結させ、「悪いのはあいつらだ」と叫ばせることで鬱憤晴らしに手を貸す。
 これはすぐわかるように、「北朝鮮は敵だ。北朝鮮は日本へ侵略してくる」と主張し、国民を不安にさせ、団結させる手口に似ている。その手口で防衛費を増やす。つまり、アメリカへ武器の代金を支払う。武器の「爆買い」。安倍は、それをいつでもやってくれる。安倍がいるかぎりアメリカの軍需産業は不況知らずなのだ。
 このアメリカからの武器の「爆買い」を菅は継承するのか、どうなのか。そのことについては、ひとことも書いていない。
 「情報操作」には2種類ある。ひとつは「書く」こと。30日の「特ダネ」のように。もうひとつは「書かないこと」。知らせないこと。きょうの読売新聞は「書かない」を選択している。
 そして、念入りにも。
 4面には菅の総裁選出馬に関係して、細田・麻生・竹下の3派閥が共同会見を開いたと報じている。このニュースは、この会見に二階が出席していないと伝えることで、自民党内で「主導権争い」が起きていると言うのだが、「狙い」は、そんなことではない。自民党内の「主導権(権力争い)」など、国民には直接関係がない。そういう「なまぐさい」ものへの好奇心を刺戟することで、「菅総裁」そのものを決定事項にすると同時に、「適地攻撃ミサイル」のことも忘れさせようとしているのだ。「ほら、こんなふうに自民党内で争うが起きている。おもしろいでしょ? 知らないでしょ?」というわけだ。これは「書く」ことで、国民の関心を「適地攻撃ミサイル」からそらさせるという作戦なのである。
 「書く」と「書かない」を巧みにつかいわけている。










*

「情報の読み方」は10月1日から、notoに移行します。
https://note.com/yachi_shuso1953
でお読みください。
 

#安倍を許さない #憲法改正 #読売新聞



*

「天皇の悲鳴」(1000円、送料別)はオンデマンド出版です。
アマゾンや一般書店では購入できません。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

ページ右側の「製本のご注文はこちら」のボタンを押して、申し込んでください。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

安倍辞任と新防衛戦略(新聞報道への疑問)

2020-09-02 17:11:09 | 自民党憲法改正草案を読む
安倍辞任と新防衛戦略(新聞報道への疑問)。
   自民党憲法改正草案を読む/番外387(情報の読み方)

 すでに書いたことだが、私は安倍辞任会見で非情に疑問に思ったことがある。安倍は、まず、コロナ対策について語り、つづいて安全保障について語り、その後「病気」について語った。
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0828kaiken.html

 コロナ対策と並んで一時の空白も許されないのが、我が国を取り巻く厳しい安全保障環境への対応であります。北朝鮮は弾道ミサイル能力を大きく向上させています。これに対し、迎撃能力を向上させるだけで本当に国民の命と平和な暮らしを守り抜くことができるのか。一昨日の国家安全保障会議では、現下の厳しい安全保障環境を踏まえ、ミサイル阻止に関する安全保障政策の新たな方針を協議いたしました。今後速やかに与党調整に入り、その具体化を進めます。
 以上、2つのことを国民の皆様に御報告させていただいた上で、私自身の健康上の問題についてお話をさせていただきたいと思います。

 すでにブログで書いたことだが、記者との質疑応答のとき、北朝鮮対策として「安全保障政策の新たな方針を協議いたしました。今後速やかに与党調整に入り、その具体化を進めます」という部分に対して、誰からも質問が出なかった。
 たぶん、記者たちは 用意してきた自分の質問ができるかどうかしか考えておらず、安倍が何を言うか注意していなかった。そのため「聞き漏らした」のだろう。
 だから、あわてて「政府関係者」が読売新聞に「リーク」し、新しい「安全保障政策」を「特ダネ」として書かせた。(30日の読売新聞1面。)
 その後、各報道機関が、後追いをはじめた。まるで、初めて聞いたニュースかのように。安倍が辞任会見で表明しているにもかかわらず、である。

 ここで、疑問。
 なぜ、政府関係者は読売新聞に「リーク」して記事を書かせたか。国民に知らせるためではないだろう。アメリカ向けの対策だ。アメリカに対して、日本はミサイルを買う、ということを「国民に知らせた」。つまり、それくらい「ミサイル購入」は「真剣」なのだ、とアピールするためだ。
 6月に河野が「陸上イージス廃止」を表明したとき、それがたまたま山本太郎の都知事選表明と重なったため、私は「アメリカは安倍を捨てた。山本に乗り換えた」と思ったのだが、「山本に乗り換えた」は間違っていたが、やはり「安倍を捨てた」はあたっていたのだ。
 捨てられた安倍は大慌てで、「ミサイル購入」を計画し始めた。それを次期政権にやっと引き継ぐことができた。そうアピールしたのである。これは、安倍の「ぼくちゃんをすてないで」というアメリカへのメッセージなのだ。だからこそ、それを「日本の報道機関」をとおしてアメリカに伝える必要がある。「日本国内でその政策が定着している」とアピールする必要がある。それがつたわれば、アメリカは安倍を大事にしてくれる。

 ここからである。問題なのは。重要なのは。
 この報道と重なるようにして、次期総裁に菅が急浮上し、あっという間に「圧勝ムード」になってしまった。いったい何があったのか。
 私が思うに、アメリカは「安倍切り」を変更したのだ。やっぱり、金をつぎ込む安倍で行こうと決めたのだ。それが安倍に伝えられたのだ。
 石破が総理になってしまうと、安倍の復活は絶対にあり得ない。石破は、安倍政権時代の森友、加計、桜を見る会、さらには河井議員への1億5000万円問題を追及する。そうなると安倍は絶体絶命である。石破にアメリカの兵器を買わせる方法もあるが、安倍の方が「言うことを聞く」と判断したのだ。
 田中角栄逮捕のとき、結局、ベトナム戦争への派兵を拒否した田中に見切りをつけたアメリカが指示したという「説」が流れた。今回、もし、安倍が河井問題で逮捕されるとすれば、どうなるか。もうアメリカは安倍を金づるとして利用できない。だからこそ、私は、逮捕されないのではないか、と読んでいる。つい先日までは逮捕されるだろうと思っていたが、辞任会見、ミサイル防衛あたりから違うと感じ始めた。アメリカが背後で動き、安倍を逮捕させないと決めたのだ。(これが、安倍に伝えられた。)まだまだ安倍が「金づる」として利用できるとアメリカに安倍はアピールし、それがどうやら通じたみたいなのだ。
 だから安倍が「ミサイルで適地攻撃をする」という報道が全面展開すると同時に安倍は急にはしゃぎだした。これで安倍の気持ちがアメリカにつたわる。アメリカはきっと助けてくれると思ったのだ。読売新聞が、支持率が上がったことを、一緒になって手放しで喜んでいる記事が最近載った(これもブログにすでに書いた)が、それにあわせる形で、「次期総裁・菅」が急浮上し、自民党があっというまに団結した。
 この「団結」の速さは、きっと「裏事情」がある。安倍が逮捕されることはない。アメリカは、また「安倍支持」で一致した。安倍についていないと、選挙資金を出してもらえない、と国会議員は悟ったのだ。
 自民党員の投票をやめるのも、関係している。地方の党員にまで、「裏事情」を説明している時間はないということだろう。だいたい、地方がどうなろうが、国会議員には関係がない。自分の給料とは関係がない。国家議員として当選できるかどうかだけが、彼らの関心事なのだ。
 菅のあと、安倍はきっと復活してくる。病気は、治療によって克服できると言い出すだろう。首相に返り咲かないまでも、「院政」を目指すだろう。安倍の手下になって菅が働くという今までの構図が繰り返される。
 そういう手筈がととのったのだろう。最近の読売新聞の「はしゃぎ方」をみているとそうとしか考えられない。安倍がアメリカにすり寄って「助けて、何でも買うから」と言ったように、「安倍ちゃん、応援するから忘れないでね」と言っているように感じられる。
 河井議員問題(1億5000万円問題)で、安倍が逮捕されれば、また事情はかわるが、これはないだろうなあ、と私は安倍のはしゃぎようと「菅総理」報道を見て感じてしまうのだ。安倍は岸田に総理を「禅譲する」とまで言われていたのに、岸田が総裁選に立候補するというと、知らん顔をした。岸田が総理になれば、安倍の復活はまた消えてしまうからである。禅譲した人間が、その地位を奪い取るのはありまにも不自然だからね。
 それにしても、アメリカは露骨だなあ。安倍や、その他の国会議員も露骨だなあ。
 そして、ジャーナリズムも変だなあ、と思う。「病気辞任」の会見で、そのとき問題になっているコロナ対策について語るのは当然として、なぜ「安全保障(ミサイル購入)」が唐突に(全体にしめる量が少ない)語られるのか。それを問題にしなかったのはなぜなのか。
 さらに。
 そのとき見落としていた問題を、いま、大げさに語るのはなぜなのか。安倍はアメリカから武器を購入する手筈だけは忘れていないとアメリカに伝えることが、そんなに大事なのか。ほんとうに日本の安全を考えるならば、「適地攻撃」がどんなに危険か、その問題をもっと展開すべきだろう。いまの状態は、マスコミ総動員で「安倍擁護」しているとしか思えない。
 このまま、「ぼくちゃん病気、かわいそうなんだ。もっと同情してよ」作戦にのって、安倍の8年間のデタラメが封印されるとしたら、ジャーナリズムの責任は非情に重い。安倍に頼って、電通から広告をまわしてもらえないと生きていけないから、安倍をヨイショするというのは、あまりに情けない。









*

「情報の読み方」は10月1日から、notoに移行します。
https://note.com/yachi_shuso1953
でお読みください。
 

#安倍を許さない #憲法改正 #読売新聞



*

「天皇の悲鳴」(1000円、送料別)はオンデマンド出版です。
アマゾンや一般書店では購入できません。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

ページ右側の「製本のご注文はこちら」のボタンを押して、申し込んでください。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

読売新聞の嘘のつき方(その4)

2020-09-02 10:00:36 | 自民党憲法改正草案を読む
読売新聞の嘘のつき方(その4)
   自民党憲法改正草案を読む/番外386(情報の読み方)

 2020年09月02日の読売新聞(西部版14版)。1面「総括 安倍政権」(最終回)の署名記事。きょうは論説委員・尾山宏。見出しは、

ウィング広げ 安定図る

 記事は「安倍首相は『タカ派』『右派』と呼ばれ続けた。実際にどうだったかは、野党の対応が物語っていよう」と書き始められ、こう展開される。

安倍内閣は、社会経済政策で、リベラルに近い中庸な路線を志向し、野党の主張を取り込んだ。
 首相は、かつて野党が求めていた最低賃金1000円の実現に奔走した。労働組合の代表のように、経済界に賃上げを迫った。働き方改革や教育無償化を含め、従来の自民党とは一線を画す政策を推進したのは、明らかである。

 でも、最低賃金のアップ、教育無償化は、はたして「ウィング(右派、左派)」の問題なのだろうか。労働問題や教育問題、その「金銭」にかかわる問題は「右派、左派」の問題ではないのではないか。「貧乏人の味方か、金持ちの味方か」という問題だろう。そして、貧乏人にも右翼と左翼がいるし、金持ちにも右翼と左翼がいることを考えるならば、尾山の指摘していることは「ウィング」とは関係ないだろう。
 というか、「金銭」に隠れている「ウィング(右派、左派)」の問題(いわゆる野党=左翼が指摘している問題)は「最低賃金がアップした」「教育無償化が進んだ」と安倍が宣伝していることをそのまま鵜呑みにしては見えてこない。つまり、尾山は、野党(左翼)が指摘している問題を隠蔽する形で「論理」を展開していることになる。
 現実に即してみてみよう。
 「最低賃金」はたしかに上がったが「最低賃金1000円」は全国一律に実現しているわけではない。東京、神奈川で実現されているだけだ。(まず、ここに読売新聞の「大嘘」がある。実現していないことを、実現しているかのように書いている。)さらに、「最低賃金」だけではなく、あらゆる「賃金」に目を向けるとどういうことがわかるか。大企業の正規社員と、それ以外の人との「賃金格差」が拡がっている。その拡がった「格差」に対して、安倍は、どう向き合っているか。「格差拡大社会」を利用している。「賃金が少ないとしたら、それは自己責任。大企業に就職できない人間の努力が足りない」と低賃金労働者を差別していないか。
 「教育無償化」に目を向けると、もっとむごたらしいことがわかる。教育無償化から朝鮮学校を除外している。教育はだれでも受けることのできる平等の権利であるはずなのに、国籍、民族によって差別をしている。これは、いわゆる「右翼思想」の典型ではないか。
 安倍のやったことは、「野党の提案」を採用するふりをして、実は「差別の拡大」に利用したにすぎない。「幸福」の一方に「不幸」をつくりだし、「不幸」になりたくなかったら(差別されたくなかったら)、安倍の提案に従え、と言っているにすぎない。
 誰が誰に、どういう教育をするか。誰が誰から、どういうことを学ぶか。それは各人の自由である。そういう「保障」を安倍はしていない。これは「超右翼」の発想である。
 こういう基本的なことを除外して、安倍は野党の求めているものを実現したから「右翼ではない、左翼にも配慮している」(ウィングを広げた)とはいえない。
 尾山は、「最低賃金アップ」「教育無償化」に触れたあと、こう書いている。

 高齢層に支持されているという自民党の印象を変え、若い世代にもウィングを広げることに成功した。読売新聞社の世論調査では、20~30歳代の安倍内閣支持率はおおむね5~6割あり、他の年代よりも高い。支持層の拡大は、長期政権を築くのに不可欠だ。

 若い人の支持率が拡大したのは、安倍の主張する「自己責任論」に恐怖を感じているからである。
 だれでもいい、大手の会社の正規社員ではなく、子会社の非正規社員、嘱託社員、あるいはパートやアルバイトで懸命に生活費を稼いでいる人に声をかけてみるといい。「安倍批判のデモにいかない? 安倍批判の映画を見に行かない?」「忙しいから、いけない」という返事とともに「そんなことをしているのが見つかっても大丈夫?」「そんなことをしたら、損にならない?」という返事がぽつりと返ってくるはずだ。私はある人から、会社の待遇について不満を訴えた。すると部長から、そんなことを会社に言うと損をするよ、と言われた」と打ち明けられたことがある。一部かもしれないが、労働者が労働者の権利を主張すると「損をするぞ」と脅しをかける管理職がいるのだ。これが現実なのだ。そういう圧迫のなかで、若者は萎縮している。仕事がなくなれば暮らしていけない、と不安で「安倍批判」ができない。「安倍支持」と言うしかないのである。高齢者は、まだ、それまで生きてきた過程で「経済的蓄積」が少なからずある。だから安倍批判ができる。でも、経済的に余裕の少ない若者は安倍を支持するしかない。
 「20~30歳代の安倍内閣支持率はおおむね5~6割」というのは、恐慌政治(独裁政治)がはじまっている証拠なのである。

 「右翼」「左翼」でいちばん問題になるのは、世界的な紛争をどう解決するかというときだろう。安倍は、どれだけ「ウィング」を広げたか。核兵器廃絶を求める被爆者の声にさえ耳を傾けていない。条約に署名することを拒んでいる。沖縄では、県民が反対しているにもかかわらず辺野古基地建設を強行している。「陸上イージス」を撤回したと思ったら、それは「敵基地を先制攻撃するミサイル」を導入するためだった。(これは、これから出てくる問題だが。)
 安倍が北朝鮮の「危機」をあおり、予算を軍需費に投入している(アメリカの軍需産業に金をばらまく)。「最低賃金」や「教育費」をはるかに上回る予算が投入されている問題について触れないで、「野党の提案を汲んだから、安倍は右翼ではない=ウィングを広げた」というのは、まやかしの論理である。

 最終回なので、「総括」めいたことを書く。読売新聞の今回の連載の特徴は、「ことば」を恣意的にゆがめていることである。問題の本質を微妙にずらす。ずらしたなかで「論理」だけを完結させる。そのとき「なんとなく、耳障りのいいことば」をつかう。今回の「ウィングを広げる」もそうだが、戦争法の強行採決を「戦後外交に区切り」と言い換える。(安全保障問題は、「外交」問題ではない。)「共感力」というのも、即座に「批判」すべき点が見つからないことばである。このずるい(こざかしい?)ことば、安倍に媚を売ることばを、しっかりと批判していかないといけない。安倍の独裁は終わっていない。菅を後継者にすることで、さらに支配力を強めるのだ。「ぼくちゃん、首相じゃないから、知らない」と逃げながら支配する。ある意味では、安倍の理想がひとつ実現するわけである。「ひとつ」と書いたのは、安倍の最終目的は「悠仁天皇」を誕生させ、「悠仁天皇」生みの親として権力をふるう(国民を支配する/独裁する)というのが安倍の最終的な夢だと私は判断しているからである。平成の天皇の強制生前退位(天皇を沈黙させる作戦)から、ずーっと、変わらずにつづいている姿勢だ。河井事件(河井公判)を乗り切れば、「治療効果が持続するようになりました」と言って、もう一度首相に返り咲くつもりなのだろう。二度あることは、三度ある。私は、そう思っている。きっと読売新聞の記者たちもそう思っている。だから、こんなふうに媚を売りまくっているのだ。国民をたぶらかすことに一生懸命なのだ。

 急に思い出した。
 いちばん上手な嘘のつき方を知っていますか? ある本には「ひとつだけ本当のことを言う」と書いてあった。今回の記事でいえば「野党の提案している最低賃金1000円を実現した」である。たしかに東京、神奈川では実現した。それは「本当」である。しかし、その本当の影に、無数の嘘が群がっている。読売新聞は、「いちばん上手な嘘のつき方」を利用している。
 そして、安倍の「病気辞任」もきっと同じ。「病気が悪化」したのは事実だろうが、尾を引くような悪化ではない。「辞任後」完全に元気を取り戻している。支持率が回復したと喜んでいるではないか。自民党全体が、「石破総裁」拒否へ向けて一致団結しているのは、石破が総理になれば安倍が復活できないからである。岸田がなっても復活できない(安倍後継と言われていたから)。安倍が「三度目の復活」をするには菅氏かないのだ。










*

「情報の読み方」は10月1日から、notoに移行します。
https://note.com/yachi_shuso1953
でお読みください。
 

#安倍を許さない #憲法改正 #読売新聞



*

「天皇の悲鳴」(1000円、送料別)はオンデマンド出版です。
アマゾンや一般書店では購入できません。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

ページ右側の「製本のご注文はこちら」のボタンを押して、申し込んでください。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

読売新聞の嘘のつき方(その3)

2020-09-01 09:15:29 | 自民党憲法改正草案を読む
読売新聞の嘘のつき方(その3)
   自民党憲法改正草案を読む/番外385(情報の読み方)

 2020年09月01日の読売新聞(西部版14版)。1面「総括 安倍政権」の署名記事。きょうは編集委員・伊藤利行。見出しは、

頻繁な選挙 政策足踏み

 安倍が頻繁に国会を解散し、そのために政策の実行が遅れた、と批判しているように見える。しかし、具体的な指摘ではない。
 こう書いている。

惜しまれるのは、自民党が2012年衆院選、13年参院選と連勝し、安倍氏は次の参院選まで国政選挙のない「黄金の3年」を過ごせたのに、14年の抜き打ち解散で自ら機会を潰したことだ。戦後2度だけの希少な時間を使えたなら、もっと成果を残せたのではないか。

 これだけでは、この間の「政策の実行」が何だったのかがわからない。すぐに12年の衆院選、14年の衆院選に何がテーマであったかわかる読者がどれだけいるかわからない。安倍の「選挙乱発」をどう批判しているのかわからない。
 選挙には、いつも「争点」があるはずだ。「社会的背景」があるはずだ。
 私のおぼろげな記憶では、12年の衆院選は、野田が「消費税増税と社会保障改革」の実現のために、安倍に持ちかけたものだ。国会の党首討論で、突然、決まった。「14年に消費税を8%に、15年に10%に再増税する」という合意のもとでおこなわれた選挙だ。
 このときは、「消費税増税」問題よりも、東日本大震災のあとの進まない復興の方に国民の目が集中し、民主党への批判が高まり、自民党が圧勝した。
 伊藤は、このときの圧勝のまま政策実現に向けて活動すべきだった、と言っているのだろうが……。
 安倍はなぜ14年に「抜き打ち解散」をしたのか。12年の衆院選には圧勝したが、16年の参院選の予測はつかない。15年に10%増税すると、16年の参院選は敗北するかもしれない。それを回避するため、10%増税を先のばしにすると主張、その判断の適否を国民に問うという名目で14年年末に、抜き打ち解散をしたのだ。野党との合意(それは、国民との合意でもあるだろう)を無視して、選挙を実施した。「増税回避」に反対する国民は少ないから、もちろん自民党が圧勝した。
 野党との合意を無視し、政策を実行しなかった。「政策足踏み」ではなく、政策を反故にしたのだ。「参院選に負けた」と批判されたくないという理由だけで、「負け」の原因になりそうな消費税増税を延期するという方針を掲げて、衆院選をおこなったのだ。(参院選では、当然、それを引き継ぎ「消費税増税先送り」を「争点」として掲げ、圧勝した。ついでに言えば、その圧勝を受けて「自民党改憲案」が支持された、と言い放った。そして天皇を沈黙させる作戦がはじまるのだが、これは「天皇の悲鳴」で書いたことなので、ここでは触れない。)

 「頻繁な選挙」について触れるなら、もうひとつ、絶対に触れないといけない「解散」がある。17年の衆院選だ。
 何があったか。国会では加計学園問題が取り上げられていた。安倍が加計に便宜を図ったという疑惑だ。国会が閉会したあと、臨時国会を求めたが安倍は拒否した。(背景は違うが、今年の状況と非常によく似ている。)そして、定例の秋の臨時国会の冒頭、「北朝鮮の驚異が高まっている、国難だ」と叫んで、国会を解散した。「北朝鮮の驚異にどう立ち向かうか」、それを国民に問うというわけである。しかし、「加計問題隠し」が狙いだろう。
 安倍は、責任追及をさけるために選挙を利用しているのである。繰り返すが、14年の選挙も「16年の参院選で敗北したら、責任を追及される」と恐れてのものである。
 いまは、森友(財務省職員自殺)、加計、桜を見る会、河井議員1億5000万円問題など、安倍を追及する「材料」が山積している。臨時国会は、とうぜん開かない。秋の国会での追及をさけるために、安倍が辞任し、自民党総裁選びの方に国民の関心をそらせようとしている。
 安倍は病気を抱えているのは事実なのだろうが、病気のために辞任するというのなら、議員も辞めて治療に専念すべきだろう。治療のために辞任したのではなく、国会で安倍の責任を追及されることをさけるために辞任したのだ。
 安倍は、「評価されたい」というよりも、「批判されたくない」という気持ちの方が強いのだ。だからこそ、必死になって「民主党時代は悪夢だった」と批判する。他人を批判することで、安倍への批判を回避しようとする。「あんな人たちに負けるわけにはいかない」と安倍批判をする国民まで批判する。
 傑作なのは、2面に「『官邸主導』教訓継承を」という見出しで、次のように書いていることだ。

 政治主導をめざし、内閣人事局を設け、中央省庁の幹部人事を官邸が差配すると、薬が効き過ぎ、官僚が官邸の意向を「忖度(そんたく)」し、行政の公正性や透明性を損なう事案も相次いだ。「桜を見る会」や森友学園問題での公文書の不適切な扱いは、行政全体への不信感を高めた痛恨事だ。

 まるで官僚が忖度し公文書を廃棄した。悪いのは官僚であって、安倍は何も悪いことをしていない、という感じだ。「薬が効きすぎ」とは、いったいだれを批判するためのことばなのか。
 もし「官僚が悪いのであって、ぼくちゃん(安倍)は何もしていない」というのなら、ホテルニューオータニに残っているだろう「桜を見る会」に関する「契約書」「領収書」や「決算書」を提出するよう、ホテルに頼んで、安倍の潔癖を証明すればいいだろう。「森友学園」を巡る財務省職員自殺の問題も再調査すればいいだろう。

 安倍は「批判に耐えられない」「批判されるのが大嫌い」というだけの人間であることは、別の記事からもうかがえる。
 2面に「ドキュメント ポスト安倍」という記事がある。「首相 吹っ切れた表情」という見出し。その最後の部分。

首相に、うれしい誤算があった。一部の報道機関が週末に実施した世論調査で、内閣支持率が約20ポイントも上昇し、5割を回復したことだ。
 「びっくりした。こんなことがあるんだね」
 首相は周辺にこう漏らしたという。31日夕、官邸を後にする首相の足取りは軽かった。

 なんともはや。いま、安倍は批判されなくなって(病気が同情されて)、「うれしい」のだ。
 それを「よかったね、安倍ちゃん」という感じで伝える読売新聞に違和感を覚える。
 もう権力の監視役を、完全に放棄している。








*

「情報の読み方」は10月1日から、notoに移行します。
https://note.com/yachi_shuso1953
でお読みください。
 

#安倍を許さない #憲法改正 #読売新聞



*

「天皇の悲鳴」(1000円、送料別)はオンデマンド出版です。
アマゾンや一般書店では購入できません。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

ページ右側の「製本のご注文はこちら」のボタンを押して、申し込んでください。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

読売新聞の嘘のつき方(安倍へのゴマのすり方)

2020-08-31 08:47:13 | 自民党憲法改正草案を読む
読売新聞の嘘のつき方
   自民党憲法改正草案を読む/番外384(情報の読み方)

 2020年08月31日の読売新聞(西部版14版)。1面「総括 安倍政権」の署名記事。きょうは編集委員・飯塚恵子。

戦後外交に区切り

 という見出し。そして、真っ先に書いているのが、これである。

 特筆されるのは、安全保障政策だ。集団的自衛権の限定的行使を可能にする新たな憲法解釈を行い、2015年、安全保障関連法を制定した。
 日本の近海で警戒監視にあたる米艦が突然攻撃されても、日本は何もできない。果たして米国民はこれを許すだろうか――。日米安保体制のこうした制約に、歴代政権は手を出せなかった。安倍政権は戦後の法制度に風穴を開け、海上自衛隊は平時から米艦を防護できるようになった。

 だが、これは「外交」なのか。「外交」の「交」は「交渉」である。外国からなんらかの「利益」を引き出すのが「外交」だろう。日本はどの国から、どんな「利益」を引き出したのか。
 北朝鮮や中国が、「日本が集団的自衛権を確立したから、日本へは攻撃しません」と文書で約束したのか。
 だいたい「集団的自衛権」は「日本近海」だけで行使されるのではない。アメリカが攻撃されれば、どここであれ、アメリカへの攻撃を「日本の存亡の危機」ととらえ、外国まで自衛隊を派遣し、アメリカ軍と一緒に(アメリカ軍と集団になって)戦うというものである。アメリカ軍一緒にというよりも、アメリカ軍の指揮下に入って戦争するということである。
 「戦争法(安全保障関連法)」は、だれの利益にあるかからみていけば、さらにはっきりする。「米艦を防護できるようになった」と書いてあるように、アメリカ軍の利益になるだけである。日本の利益はどこにあるか。「米国民はこれを許すだろうか」ということばが象徴的だが、「米国民から非難されない」というだけの利益である。
 いいかえれば「戦争法」は「安倍は何をやっているんだ」とアメリカから叱られたくないから、安倍が強行採決したのだ。「ぼくちゃん、アメリカから叱られたくない」というためのものにすぎない。
 「戦争」は、「外交」が失敗したときに起きる。戦争のすすめは「外交」とは相いれない。飯塚が書いているのは、「外交」ではなく「安全保障」の問題である。「戦後の安全保障のあり方」を変更したのが「戦争法」なのだ。そして、それは「憲法」を踏みにじっている。
 そして、このとき安倍は「国民」に対して何をしたか。「国会」で何をしたか。議論を封じ、強行採決をした。国内でさえ「議論封じ」でしか「自己実現」できない人間が、外国相手に「交渉」できるわけがない。国民と憲法は、安倍によって踏みにじられた。それが「戦争法」の制定である。
 「外交」でもなければ、「内交」(こんなことばがあるかどうか知らないが)でもない。「独裁政治」の強行である。つまり、「独裁」という「内政問題」が、このとき露顕したのだ。「独裁」がこのときから暴走し始めたのだ。

 2面には、こんな見出し。

北方領・拉致 解決遠く

 北方領土と拉致問題は、ロシア、北朝鮮が「交渉」の相手である。そういう具体的な「交渉」では何一つ安倍は引き出していない。
 北朝鮮とは「交渉」すらできていない。トランプに「ぼくちゃんのかわりに、金に言って」とアメリカに頼んでいるだけだ。
 ロシアとの交渉も傑作である。「経済協力」の名目で金をつぎ込んだ。そして見返りに北方領土4島のうち2島を返還して、と「交渉」しようとした。ところが、安倍の地元・山口での首脳会談直前、ラブロフが「金をロシアが要求したわけではない(だから、これは交渉ではない。2島返還はありえない)」と「交渉経過(裏話)」を明らかにして、プーチンとの階段前に「決裂」してしまった。だから共同声明も出せなかった。「外交」とはことばで成立させるものなのに、どんなことばも共有できなかった。
 金さえばらまけば、「交渉」に応じてくれるという安倍の「金ばらまき外交」はロシアには通じなかった。
 これが「安倍の実力」である。

 そして、この「金ばらまき外交」という点から、最初に書いた「戦争法」を見つめなおせば、なんのことはない、安倍は「アメリカ軍(と軍需産業)」にもっと金をばらまくと約束しただけなのだ。
 それは、いまもつづいている。「陸上イージス」は飼わないことにしたが、きのうの読売新聞はそれにかわる「ミサイル防衛体制」を報道していた。ミサイルをどう調達するか書いていないが、アメリカから買うのだろう。アメリカに金をばらまきつづけ、アメリカに「安倍はよくやっている」とほめてもらう。これが安倍のやっている唯一の「外交」である。「安倍の利益」のための「金のばらまき」である。

 「外交」の「定義」もせずに、ただ安倍をもちあげることだけを考えて書いているから、こんなでたらめな「評価」になるのだ。そして、このむちゃくちゃな「評価」は、結局、読者に対して嘘をつくことなのだ。
 傑作は、

首相が辞任表明した28日、モリソン豪首相は長文の声明を発表した。「安倍首相は世界を代表する政治家であり、開かれた貿易の積極的な推進者である。日本が誇る傑出した外交官でもある」とし、特に、首相個人の「指導力とビジョン」をたたえた。

 である。
 首相が辞任すれば、よほどのことがないかぎり、ひとは安倍を称賛する。オーストラリアのように、日本が大事な貿易対象国(交渉相手)であれば、なおさらである。豪州牛を買ってくれなくなったら困る。だから「開かれた貿易の積極的な推進者」と讃える。モリソンはちゃんと、「自己主張のことば」を盛り込んでいる。こういうことを「外交」というのだ。

 飯塚は、「外交」とは何か、すぐれた外交にはどういう具合にことばがつかわれているか、それから学びなおすべきだろう。安倍の「外交」を称賛するなら、安倍の「ことば」を引用すべきだ。どういう「ことば」でどういう「成果」を引き出したか。「外交」は武力ではなく「ことば」でおこなうもの。「名言」ひとつ提示できない「すぐれた外交(官)」は存在しない。
 









*

「情報の読み方」は9月1日から、notoに移行します。
https://note.com/yachi_shuso1953
でお読みください。
 

#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位 



*

「天皇の悲鳴」(1000円、送料別)はオンデマンド出版です。
アマゾンや一般書店では購入できません。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

ページ右側の「製本のご注文はこちら」のボタンを押して、申し込んでください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「共感」とは何か(読売新聞の嘘)

2020-08-30 09:11:50 | 自民党憲法改正草案を読む
「共感」とは何か(読売新聞の嘘)
   自民党憲法改正草案を読む/番外382(情報の読み方)

 2020年08月30日の読売新聞(西部版14版)。1面に「総括 安倍政権」というカットつきで編集局次長・矢田俊彦がコラムを書いている。見出しは「脱デフレへ強い決意」。アベノミクスによって、株価は2倍に上がり、雇用率も改善し(失業率は2%台)、日本企業の利益は2期連続(いつかは明記していない)で過去最高を更新したと、安倍の宣伝をそのまま繰り返している。
 そのあと、「伸び悩む賃金や格差拡大もあり、景気回復の恩恵を感じないとも言われ続けた」と書き、アベノミクス批判も認識しているように装っている。
 そして、ここから「大嘘」が始まる。
 まずアダム・スミス「道徳感情論」を引用する。「自由競争の前提として、自己の利益だけでない『共感』を求めていた。人間には、他人の幸福を見ることを快いと感じさせる何かがあると」。
 さらに一橋大名誉教授の野中郁次の「共感経営」を引用する。「共感の力がドライブや推進力とッて、分析だけでは描くことのできないゴールに到達する」。
 念押しは、矢田のことば。

 政策も、享受する国民と響き合ってこそ効果が発揮される。アベノミクスには「共感力」が足りなかった。

 「共感」(アダム・スミス)が「共感の力」(野田郁次)をへて「共感力」と言い直されている。途中に「政策」と国民の関係を「響き合う」というあいまいなことばで表現し、論理を「叙情的」にごまかしている。そのあとで、アベノミクスには「共感力」が足りなかったと批判するのだが、いったい「共感(力)」って何? 政策における「共感(力)」って何?
 好意的に解釈すれば、国民が感じている苦しみや怒りに「共感」し、それを政策に反映させる力ということになるのだろうが、このことばのつかい方には問題がある。
 こういうときは「政権に共感力がない」ではなく、安倍には国民の苦しみ、怒りを「理解する力」がなかった、というべきなのだ。「理解力」がないのだ。「感じない」どころか、「理解できない」のだ。それはたとえば「夫の月収が50万円で、妻がパートで月25万円稼げば……」というような国会答弁に現れていた。「共感」の前に「理解する力」がなかったのだ。言い直すと、国民の現実を無視していたのだ。
 これは、こう言い直すことができる。
 政策によって実現できるものがあるとすれば、「共感」ではない。「平等」である。だれが何を感じているかではなく、具体的な「平等」である。税そのものが所得の再配分という「平等」を意識したものである。その「所得再配分」を「平等」に近づけていくためには、低所得者の税軽減、高所得者の税負担を重くする、好業績の企業に法人税をしっかり払わせる、などの方法がある。さらには、同一労働同一賃金も「平等」につながる。しかし実際はどうか。親会社と子会社の「賃金格差」、正規社員と非正規社員の「賃金格差」、日本人労働者と外国人労働者の「賃金格差」。あるいは、男女間の「賃金格差/待遇格差」など、「経済問題」だけに限って言っても、多くの「平等」が実現されていない。「格差拡大(平等の否定)」をつづけてきたのがアベノミクスなのだ。
 安倍の実現した「経済的平等」は「消費税増税」だけである。高額所得者も低額所得者も、ものを買えばものの値段にあわせて「消費税」を「平等」に負担する。
 アベノミクスは、本来の「平等」のための政策は何も実行せず、「平等」を獲得できないのは「自己責任」だと国民の間に格差を広げた。「大企業の正規社員」になれないのは、その人が「一流大学」を卒業するための努力をしなかったせいだ。努力をしてこなかった人間が「所得の再配分」を求めるのはおかしい。さらには、税金をおさめてもいない人間が平等を要求するのはおかしい、という主張を後押しした。社会には、差別が横行している。それをアベノミクスは推進した。言い直すと「共感力」を育てるのではなく、差別意識を正当化したのである。権力側が何度も何度も「自己責任」ということばを発していることが、その証拠である。

 問題なのは、「共感力」ということばのつかい方だ。
 矢田は、アベノミクスには共感力が足りなかったと、一応、安倍を批判する形でつかっているが、共感とはもともと権力(政権)と非権力者(国民)が共有するものではない。国民は政権を支持するか、支持しないかであり、それは「共感」ではない。ましてや権力が国民に「共感」するということなどあり得ない。「民意にしたがう」といいながら「民意を無視する」のが政権(権力)の姿であることは、沖縄の基地問題を見るだけでも明らかだ。
 アダム・スミスを私は読んだことがないから「誤読」かもしれないが、アダム・スミスの言っているのは自由競争をする企業の「心構え」のことである。企業は資本の利益にだけ集中してはならない、労働者、国民の利益にも配慮しないといけない。労働者も自己の利益だけではなく、社会の利益を考え、社会と「共感」するためのことをしないとけいないという意味だろう。
 「共感」とは、働くもの同士(国民同士)が共有するものなのだ。

 そして、このことは、もう一つの問題を明るみに出す。矢田が読売新聞の読者に要求しているのは、安倍への「共感」なのである。病気なのに一生懸命働いてきた。批判してはいけない。ここからさらには、国民はみんな一生懸命働いている。批判し合うのではなく、一致団結して安倍のめざしている社会のために努力しよう。そうすれば経済復興ができる、ということなのだ。言い直すと、安倍批判をしているときではない、というのが矢田の主張なのだ。政策への「共感」が国民に足りなかったとは矢田は書かないが、「共感」ということばをつかうかぎりは、そこにそういうものが動いている。
 権力への「追従」が矢田のことばを動かしている。読者を権力批判ではなく、賢慮苦にす追従するように誘導するための「大嘘」が巧みに隠されている。

 それにしても、矢田の要約しているアダム・スミスのことばはおもしろい。「人間には、他人の幸福を見ることを快いと感じさせる何かがある」の「人間」を「安倍」に「他人」を「安倍のお友達」にかえると、こういう文章になる。

安倍には、安倍のお友達の幸福を見ることを快いと感じさせる何かがあると

 安倍は自分の快感だけを求めていたのである。お友達が幸福になる。それは「快い」。なぜか、お友達が安倍を讃えてくれるからである。お友達に与えた幸福が、自分に跳ね返ってくる。
 これは「自己責任」ではなく「自己満足」である。
 安倍は、国民には「自己責任」を押しつけ、「自己満足」を追い求めただけなのだ。だから、批判されるとがまんができずに、「ぼくちゃん、もう辞めた」と責任を放り出す。だが辞職をすれば「責任」がなくなるわけではない。「責任追及」から逃れられるわけではない。
 「平等」を基本とした民主主義を破壊し、お友達優遇の様々な政策を実行し、政策を点検するための資料である文書を次々に廃棄した「責任」を安倍は負わないといけない。ジャーナリズムは安倍を追及しないといけない。その「出発点」といういうときに、「共感力」などというあいまいなことばを持ちだしてくる読売新聞の論調が、ころからどう展開するのか、見つめ続けたい。










*

「情報の読み方」は9月1日から、notoに移行します。
https://note.com/yachi_shuso1953
でお読みください。
 

#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位 



*

「天皇の悲鳴」(1000円、送料別)はオンデマンド出版です。
アマゾンや一般書店では購入できません。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

ページ右側の「製本のご注文はこちら」のボタンを押して、申し込んでください。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

読売新聞の忖度

2020-08-30 07:56:53 | 自民党憲法改正草案を読む
読売新聞の忖度
   自民党憲法改正草案を読む/番外383(情報の読み方)

 2020年08月30日の読売新聞(西部版14版)。1面に

適地攻撃 施設に限定/政府検討 移動式発射台 除外

 という見出し。
 安倍が辞任会見で「迎撃態勢をととのえるだけでは不十分だ」というようなことを言った。そして、そういう認識を共有できたので辞任する、と、北朝鮮を引き合いに出して語ったと記憶している。
 その辞任会見での安倍の「遺言」を追認する記事である。こう書いてある。

 新たなミサイル防衛での「敵基地攻撃能力」の保有を巡り、政府が、攻撃対象を敵国領域内のミサイルに関連する固定施設に絞る方向で検討していることがわかった。複数の政府関係者が明らかにした。

 しかし、「敵基地攻撃」がなぜ「防衛」なのか。「迎撃では不十分」という安倍の会見でのことばにしたがって解釈すれば、これはどうしたって「先制攻撃」だろう。「防衛」を逸脱しているだろう。

政府は固定目標への攻撃について、「敵の誘導弾等の基地をたたくことも憲法が認める自衛の範囲に含まれ可能」としてきた従来の政府見解の範囲内だとしている。

 読売新聞は、簡単に「従来の政府見解」だからと追認している。これでいいのか。新聞の役割を果たしているといえるのか。これでは政府の宣伝紙だろう。
 さらに、これだけでは、「移動式」を除外する理由がわからない。だいたい「敵国」が日本攻撃のための軍備を「基地」に固定するとは限らないだろう。日本が「固定施設」しか狙わないのだとしたら、すべてを「移動式」にしてしまうだけだろう。そういう疑問を、この記事を書いた記者はもたなかったのか。

 いったい、これは、どういうニュースなのだ?

 読売新聞は、とてもおもしろい解説を書いている。(番号は、私がつけた。)

①敵基地攻撃を巡っては、人工衛星や偵察機による目標探知、電子戦機による相手レーダーの妨害などの装備体系を整えなければならないとの指摘がある。特に、TEL(移動式ミサイル発射台)の位置把握には、新たな衛星や無人偵察機など、より能力の高い装備品が必要となるとみられていた。
②政府は、敵基地攻撃に必要なこれらの装備品全てを独自に保有することはせず、限定的な攻撃能力の保有にとどめる方針だ。日米同盟内での連携を重視し、主要な打撃力を米国に依存する役割分担も維持する。
③こうした方針により、敵基地攻撃能力に慎重な公明党の理解を得やすくする狙いがあるとみられる。首相は辞意を示した28日の記者会見で、「今後速やかに与党調整に入り、その具体化を進める」と述べ、改めて実現に意欲を示した。

 ①は「移動式施設」は攻撃がしにくい。②もし、それを実現しようとすると金がかかるので、アメリカにまかせる。そして③大半はアメリカにまかせるということを明確にすることで公明党の「理解を得る」。
 なんだか、「ご都合主義」というか、この論理でアメリカも公明党も納得するのか。アメリカは武器さえ売れれば、それで満足だろうけれど。
 おそらく「政府関係者」が「リーク」したままに、そっくり一字一句「コピー」しているのだろう。
 批判の視点が完全に欠如しているから、コピーでおわっても気にならないのだ。
 なぜか。
 「日本の防衛」を安倍の「レガシー」にしたいからである。安倍は「戦争法案」によって平和憲法を踏みにじったのだが、読売新聞はそれを逆に言おうとしている。安倍は日本の安全を考えていた。そういいたいのだ。
 そのために、わざわざ「安倍の意欲」を強調している。辞任を伝える新聞では、そのことを書いていなかったにもかかわらず、である。
 「防衛」「憲法」に関する「負の問題」を点検せず、安倍がやろうとしていたことだけを今後の方針として提出する形で、安倍を評価する。読売新聞の「安倍忖度」は、こういう形で引き継がれ、次期政権でも「忖度記事」を書き続けるのだろう。
 (他紙を見ていないのでわからないのだが、おそらく読売新聞の「特ダネ」だろう。そして、「特ダネ」というのは、たいていが「リーク」なのだ、ということがとてもよくわかる記事だといえる。「特ダネ」は政府宣伝であり、政府に協力することで次の「見せ掛けの特ダネ/リーク記事」を「おねだり」しているのだろう。)











*

「情報の読み方」は9月1日から、notoに移行します。
https://note.com/yachi_shuso1953
でお読みください。
 

#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位 



*

「天皇の悲鳴」(1000円、送料別)はオンデマンド出版です。
アマゾンや一般書店では購入できません。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

ページ右側の「製本のご注文はこちら」のボタンを押して、申し込んでください。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

安倍はなぜやめたか

2020-08-29 11:39:26 | 自民党憲法改正草案を読む
安倍はなぜやめたか
   自民党憲法改正草案を読む/番外382(情報の読み方)

 2020年08月29日の読売新聞(西部版14版)。1面。

安倍首相辞任表明/コロナ下 持病悪化

 私は、この「見出し」を鵜呑みにはできない。
 私の見るところ、安倍のいちばんの欠点は批判に耐えられないことである。国会答弁などでも批判されるとムキになる。
 安倍がいちばん批判されたくないことは何か。
 「病気」ではないだろう。「病気」はみんなが同情してくれる。今回の辞任前後の動きを見ても、みんなが同情している。麻生、甘利の訴えは異常なくらいである。

 何がいちばん原因なのか。
 いま起きている「コロナ」で何がいちばん問題なのかは、私から見れば「感染の拡大」である。しかし、安倍(政権)はそうは考えていない。それは、28日に発表されたコロナ対策の「政策パッケージ」を見れば明らかである。(安倍は、会見でいちばん最初に、政策パッケージのことを語った。)
 この政策のいちばんのポイントは、(読売新聞が2面で掲載している「ポイント」の最初に書かれているのは、

軽症者・無症状者は宿泊療養を徹底し、医療資源を重症者に重点化

 このまま読めば、特におかしい点はないのだが、なぜ軽症者・無症状者は「入院」ではなく、「宿泊療養」なのか。「入院」だと何が困るのか。病床が足りなくなる、ということが考えられるが、これは中国がやったように病棟を建設すればすむ。それができないのはなぜ?
 簡単に言えば、金がないのだ。
 軽症者・無症状者が入院しては、病院ももうからない。「医療資源を重症者に重点化」というのは聞こえはいいが、「重症者」は病院で受け入れるしかないが、その他は経営圧迫に拍車がかかるので入院してもらっては困る、ということだ。
 これはコロナが発生したときから、「医療崩壊が起きる」ということばで間接的に語られたことである。コロナは金儲けにならない。実際、コロナ患者を受け入れたために、経営が悪化したという病院が続出した。
 でも、国民の健康が第一ではないのか。税金を医療に投入するときではないのか、と私は思うのだが。

 ここで思い出したいのが、アベノミクスということばでアピールし続けてきた「景気拡大」の嘘。
 安倍は、安倍政権になって以来、景気はよくなったと言い続けた。一時は、戦後最大の景気拡大期間が盛んにいわれた。ところが、コロナ拡大の真っ最中の7月に、内閣府の「景気動向指数研究会」が、実際には18年10月に景気は景気後退に転じていたとの判断を下した。アベノミクスによる「戦後最長景気」は、嘘だった。
 コロナが始まる前から景気は後退している。その後退期間は、もうすぐ「2年」になる。今年の10月には「後退期間2年」になってしまう。しかも、コロナの影響で、その「後退幅」は拡大している。
 金(税収)をどうするんだ。
 この問題が、これから大きくなってくる。それは言い直せば、アベノミクスとは一体なんだったのだ。ことばだけの嘘だったのではないか、ということが検証されるということだ。
 安倍は、この追及(批判)に耐えられないのだ。自分でつくりだした「アベノミクス」が批判されることに我慢できない。
 森友学園、加計学園、桜を見る会。一連の文書改竄、文書廃棄。こういう問題は、「ぼくちゃん知らない。ぼくちゃん何もしないない。官僚が勝手にやったこと」と言い逃れることができる。実際、「文書」がないので、追及できない。
 ところが「景気(税収)」は、「記録」が残っている。すでに「戦後最長の経済拡大期」が嘘だとわかってしまった。これから、つぎつぎにアベノミクスの嘘が発覚する。
 金を投入できないから、嘘がばれてしまう。

 このことを裏付けるように、コロナのさなかだというのに「GOTOキャンペーンをしないと経済が回らない」とか「消費税を上げる必要がある」という議論が出ている。
 金が、ほんとうに、ないのだ。
 金がないだけではなく、どうやって金を工面すべきか、安倍には考えられないのだ。
 私は、簡単に、防衛費をゼロにして、それを全部医療にまわせと言ってしまうが、そんなことをすれば、アメリカから「武器購入の約束はどうした」と批判される。アメリカからの批判に安倍は耐えられない。金をばらまかなければ、アメリカから批判される。
 これが、安倍には耐えられない。
だからこそ、辞任会見でも「安全保障」について、北朝鮮の驚異を引き合いに出して、これからは「迎撃防衛ではダメだ」と主張している。それを次期政権に引き継ぐと言っている。これは「先制攻撃のための武器をアメリカから買う」ということだ。そうすることでアメリカの歓心を買うということだ。辞任したあとも、安倍はアメリカから評価されることを期待しているのだ。

 前回の突然の「病気理由辞任」のときも、実はアメリカとの「交渉(約束)」が期限までに国会を通らないことが原因、と一説でいわれた。(そういうような記事を読んだ記憶がある。具体的に「交渉ごと」が何だったか記憶していない。)そのときも、安倍はアメリカからの批判に耐えられず、後任に「丸投げした」といわれた。
 安倍は、金ですべてを解決してきた人間なのだろう。だから、金が工面できないのはおまえのせいだ、と批判されると、どうしていいかわからなくなるのだろう。
 安倍の「持病」はストレスが要因ともいう。経済後退が18年10月に始まっていたという指摘(批判)こそが、安倍を窮地に追い込んだのではないか、と私は思っている。経済の落ち込みがコロナだけによるものなら、きっと安倍はアベノミクスは批判されないし、「GOTOキャンペーン」も「成果があった」と言えただろう。たぶん、「GOTOキャンペーン」にいちばん期待したのは観光業者ではなく、安倍自身だったのだ。でも、成果がなかった。安倍の経済政策はことごとく失敗し、国に金がなくなっている。
 これが原因なのだ。

 だから。
 これから、ほんとうにたいへんなことが起きる。
 安倍は「働きながら、コロナ対策をする」という政策を、次期政権に引き渡したのだ。あとは「ぼくちゃん病気だから治療に専念する。次のひと、よろしくね」と逃げたのだ。時期首相の「候補」から麻生がさっさと身を引いているのも「しもじもの貧乏人のことなんかめんどう見ていられるか」ということだろう。「財政通」であるはずなのに、今後の金の問題なんか、知らない、と逃げているのだ。安倍と二人三脚で逃げ出したのだ。
 インフルエンザかコロナ感染か、あるいはふつうの風邪(?)なのかわからないまま、国民は日々の生活を守るために働き続けるしかない。国は金持ちの面倒しか見ない、という時代が始まる。










*

「情報の読み方」は9月1日から、notoに移行します。
https://note.com/yachi_shuso1953
でお読みください。
 

#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位 



*

「天皇の悲鳴」(1000円、送料別)はオンデマンド出版です。
アマゾンや一般書店では購入できません。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

ページ右側の「製本のご注文はこちら」のボタンを押して、申し込んでください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

安倍辞任会見のお粗末さ

2020-08-28 18:24:57 | 自民党憲法改正草案を読む
安倍辞任会見をNHKのネット配信で見た。

記者との質疑応答(記者の連携のなさ)にちょっとあきれかえったが。
安倍の「最後の主張」で聞き捨てならない点が2点あった。
その問題にしていないことも驚くばかりである。
①コロナ対策について、安倍は感染症の分類を見直す旨の発言をしている。いままでの「2類」指定を見直すことで、インフルエンザ治療と共存させる。つまり、コロナ感染者も「自宅治療」になる、というようなことを言った。(正確にはわからない。あす新聞で確かめる)
これはむちゃくちゃ。市中感染がどこまでも拡大する。
②国家安全対策について、安倍は「迎撃態勢をととのえるだけでは不十分だ。次期政権に引き継ぐ」というようなことを言った。(これも正確にはわからないが。)
これは「専守防衛」という憲法の規定を踏み外し、「先制攻撃」を想定するということである。北朝鮮の名前を出しながら明言している。
この2点をとりあげ、問題視しなかったのは、あまりにもおそまつ。
「安倍病気辞任」にふりまわされている。
辞任説はすでにでまわっていたのに、「辞任会見」でどういうことが語られるか、記者団はだれもその「内容」を想定していなかったということだろう。
記者の準備不足が目立つ「会見」だった。

上に書いた2点を質問しなかったのは、なぜだかわからないが、きっと事前に質問することを決めて、会見に臨んでいるからだろう。
「聞きたいこと」を安倍がどういうか、それしか考えていないから、その場での反応ができないのだ。
そんななかで、「事前に準備していたまともな質問」は東京新聞の清水、西日本新聞の川口のふたり。
「負の遺産」を追及したのがふたりだけとは情けない。
森友、加計、桜を見る会。
これに付随する公文書廃棄。
安倍は「政権の私物化はない」と決まりきったことばで逃げた。
それぞれが聞きたいことがあるのだろうけれど、連携が取れないのかといつも疑問に思う。
もうひとり、だれだったか、メディア対策(会見質問の事前提出)の問題を追及したが、追加質問が封じられているので、迫力に欠ける。
ジャーナリストも連携を模索する必要があると感じさせる会見だった。
フリーの江川昭子はひっかけて「IT政策の遅れ」を問題にしていたが、いま聞くべきことからは外れているなあ。

(明日の新聞で、どう会見が「要約」されているか。それが楽しみだ。)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする