goo blog サービス終了のお知らせ 

詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

中井久夫訳『現代ギリシャ詩選』読む(26)

2023-08-24 22:34:36 | 中井久夫「ギリシャ詩選」を読む

 「テオドトス」。

よっく用心しろ、自分の偉くなる時には。

 このことばは、少しずつ変形しながら、何度か繰り返される。「偉いと思ったらお終いさ。」「だからといってないとは限らぬ/今みたいなこと、恐ろしい目覚ましいことが。」
 「偉くなる」「偉い」「目覚ましい」。それは自分が自分でなくなる、つまり「恐ろしい」ことでもある。だから「用心しろ」。「よく」ではなく「よっく」。この強い口語と「偉い」という口語がとても似合う。
 「具体的な地位」ではなく「偉い」という一言が、なんともいえず「人間的」だ。人間的な、あまりにも人間的な、悲劇が待っている。

**********************************************************************

★「詩はどこにあるか」オンライン講座★

メール、skypeを使っての「現代詩オンライン講座」です。
メール(宛て先=yachisyuso@gmail.com)で作品を送ってください。
詩への感想、推敲のヒントをメール、ネット会議でお伝えします。

★メール講座★
随時受け付け。
週1篇、月4篇以内。
料金は1篇(40字×20行以内、1000円)
(20行を超える場合は、40行まで2000円、60行まで3000円、20行ごとに1000円追加)
1週間以内に、講評を返信します。
講評後の、質問などのやりとりは、1回につき500円。

★ネット会議講座(skypeかgooglemeet使用)★
随時受け付け。ただし、予約制。
週1篇40行以内、月4篇以内。
1回30分、1000円。
メール送信の際、対話希望日、希望時間をお書きください。折り返し、対話可能日をお知らせします。

費用は月末に 1か月分を指定口座(返信の際、お知らせします)に振り込んでください。
作品は、A判サイズのワード文書でお送りください。
少なくとも月1篇は送信してください。


お申し込み・問い合わせは、
yachisyuso@gmail.com


また朝日カルチャーセンター福岡でも、講座を開いています。
毎月第1、第3月曜日13時-14時30分。
〒812-0011 福岡県福岡市博多区博多駅前2-1-1
電話 092-431-7751 / FAX 092-412-8571

オンデマンドで以下の本を発売中です。

(1)詩集『誤読』100ページ。1500円(送料別)
嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072512

(2)評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料別)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073009

(3)評論『高橋睦郎「つい昨日のこと」を読む』314ページ。2500円(送料別)
2018年の話題の詩集の全編を批評しています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168074804


(4)評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』190ページ。2000円(送料別)
『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073455

(5)評論『天皇の悲鳴』72ページ。1000円(送料別)
2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

 

 

問い合わせ先 yachisyuso@gmail.com

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中井久夫訳『現代ギリシャ詩選』読む(24)

2023-08-20 15:08:36 | 中井久夫「ギリシャ詩選」を読む

 「朝の海」。エーゲ海の美しい朝。青と金色の輝き。光。

ここに立たせておいてくれ。こういうもの皆を見るふりをさせといてくれ。

 ほんとうに見ているのは「朝の海」ではない。「ふり」をしている。ほんとうは別のものを見ている。そういう詩なのだが、それを強調するのが「皆」である。ほんとうに見ているのは「ひとつ」なのだ。
 その「ひとつ」とは何かは最終行であきらかにされるのだが、「ふり」からわかるように、それは肉眼では見ることのできないものであり、同時に肉眼に刻み込まれたものなのだ。ことばが加速して、気持ちが強く響いてくる。いらだちを含んだ、とりかえしのつかない悲しみがあふれる。そばにいる友人に言っているのではない。自分のこころに、あるいは理性に、そう呼びかけているのだ。そうするしかないのだ。
 声のわずかな変化、意味を超える変化を聞きとる中井の聴力、声にシンクロする中井の人間の力を感じる。

 

**********************************************************************

★「詩はどこにあるか」オンライン講座★

メール、skypeを使っての「現代詩オンライン講座」です。
メール(宛て先=yachisyuso@gmail.com)で作品を送ってください。
詩への感想、推敲のヒントをメール、ネット会議でお伝えします。

★メール講座★
随時受け付け。
週1篇、月4篇以内。
料金は1篇(40字×20行以内、1000円)
(20行を超える場合は、40行まで2000円、60行まで3000円、20行ごとに1000円追加)
1週間以内に、講評を返信します。
講評後の、質問などのやりとりは、1回につき500円。

★ネット会議講座(skypeかgooglemeet使用)★
随時受け付け。ただし、予約制。
週1篇40行以内、月4篇以内。
1回30分、1000円。
メール送信の際、対話希望日、希望時間をお書きください。折り返し、対話可能日をお知らせします。

費用は月末に 1か月分を指定口座(返信の際、お知らせします)に振り込んでください。
作品は、A判サイズのワード文書でお送りください。
少なくとも月1篇は送信してください。


お申し込み・問い合わせは、
yachisyuso@gmail.com


また朝日カルチャーセンター福岡でも、講座を開いています。
毎月第1、第3月曜日13時-14時30分。
〒812-0011 福岡県福岡市博多区博多駅前2-1-1
電話 092-431-7751 / FAX 092-412-8571

オンデマンドで以下の本を発売中です。

(1)詩集『誤読』100ページ。1500円(送料別)
嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072512

(2)評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料別)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073009

(3)評論『高橋睦郎「つい昨日のこと」を読む』314ページ。2500円(送料別)
2018年の話題の詩集の全編を批評しています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168074804


(4)評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』190ページ。2000円(送料別)
『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073455

(5)評論『天皇の悲鳴』72ページ。1000円(送料別)
2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

 

 

問い合わせ先 yachisyuso@gmail.com

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中井久夫訳『現代ギリシャ詩選』読む(23)

2023-08-19 16:35:16 | 中井久夫「ギリシャ詩選」を読む

 「はるかな昔」。青春時代の、恋人を思い出す。

 

眼だけは思い出せる――青――だったと思う。

 

 「思う」ということばに触れて、私は、とてつもない悲しみを覚える。西脇風に、淋しさ、と言ってもいいかもしれない。

 なぜ、「青だった」ではないのか。

 「思う」とことばを重ねるとき、青という色だけではなく、「思う」その気持ちが動く。「思う」ということを、したいのだ。その青に対し、どう思ったのか。もう一度、「思い」たいのだ。その「思った時間」というか「思う」のなかにある時間が、西脇の言う「淋しさ」のように、そこに存在するのだ。存在して「くる」のだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中井久夫訳『現代ギリシャ詩選』読む(22)

2023-08-18 22:31:06 | 中井久夫「ギリシャ詩選」を読む

 「店のためには」。店のためには、のあとにはどんなことばがつづくのか。店のためにはいいことなのか、悪いことなのか。
 それは、気にしないのだ。彼は貴金属店で働いている。そこで、装飾品を包んでいる。たぶん、彼自身がつくったものを。

おのれの好み、おのれの思うとおりに、

 繰り返しがてともいい。「おのれの」が繰り返され、「好み」が「思うとおり」と言い直されて繰り返される。そのあと、もう一度「おのれの考え」と繰り返される。
 好み、思い、考えとことばが動いていく。
 ことばは動かずにはいられないものなのだ。動きながら、深まっていく。
 ひとによっては、同じことを繰り返すな、一回にしろ、簡潔に書けというかもしれない。しかし、動きを動きのまま、正確に伝えるというのは大事なことだ。
 ことばの動き、その変化を追いながら、その奥にあるものをつかみ取る(再現する)というところに、中井久夫の臨床医の意識が反映されているかもしれない。

 


**********************************************************************

★「詩はどこにあるか」オンライン講座★

メール、skypeを使っての「現代詩オンライン講座」です。
メール(宛て先=yachisyuso@gmail.com)で作品を送ってください。
詩への感想、推敲のヒントをメール、ネット会議でお伝えします。

★メール講座★
随時受け付け。
週1篇、月4篇以内。
料金は1篇(40字×20行以内、1000円)
(20行を超える場合は、40行まで2000円、60行まで3000円、20行ごとに1000円追加)
1週間以内に、講評を返信します。
講評後の、質問などのやりとりは、1回につき500円。

★ネット会議講座(skypeかgooglemeet使用)★
随時受け付け。ただし、予約制。
週1篇40行以内、月4篇以内。
1回30分、1000円。
メール送信の際、対話希望日、希望時間をお書きください。折り返し、対話可能日をお知らせします。

費用は月末に 1か月分を指定口座(返信の際、お知らせします)に振り込んでください。
作品は、A判サイズのワード文書でお送りください。
少なくとも月1篇は送信してください。


お申し込み・問い合わせは、
yachisyuso@gmail.com


また朝日カルチャーセンター福岡でも、講座を開いています。
毎月第1、第3月曜日13時-14時30分。
〒812-0011 福岡県福岡市博多区博多駅前2-1-1
電話 092-431-7751 / FAX 092-412-8571

オンデマンドで以下の本を発売中です。

(1)詩集『誤読』100ページ。1500円(送料別)
嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072512

(2)評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料別)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073009

(3)評論『高橋睦郎「つい昨日のこと」を読む』314ページ。2500円(送料別)
2018年の話題の詩集の全編を批評しています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168074804


(4)評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』190ページ。2000円(送料別)
『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073455

(5)評論『天皇の悲鳴』72ページ。1000円(送料別)
2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

 

 

問い合わせ先 yachisyuso@gmail.com

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中井久夫訳『現代ギリシャ詩選』読む(21)

2023-08-17 22:56:33 | 中井久夫「ギリシャ詩選」を読む

 「せめて出来るだけ」。同じことばが何度も出てくる。一度だけ書かれることばもこころに残るが、きょうの私は、

人生の品質を下げぬようにと。

 この一行の中にある「人生の品質」ということばの前で立ち止まる。
 「人生の品質を下げぬ」ために何をすべきか。私は「本を読む」を選ぶ。「ことばを読む」。せめて、できるだけ。

 

 

**********************************************************************

★「詩はどこにあるか」オンライン講座★

メール、skypeを使っての「現代詩オンライン講座」です。
メール(宛て先=yachisyuso@gmail.com)で作品を送ってください。
詩への感想、推敲のヒントをメール、ネット会議でお伝えします。

★メール講座★
随時受け付け。
週1篇、月4篇以内。
料金は1篇(40字×20行以内、1000円)
(20行を超える場合は、40行まで2000円、60行まで3000円、20行ごとに1000円追加)
1週間以内に、講評を返信します。
講評後の、質問などのやりとりは、1回につき500円。

★ネット会議講座(skypeかgooglemeet使用)★
随時受け付け。ただし、予約制。
週1篇40行以内、月4篇以内。
1回30分、1000円。
メール送信の際、対話希望日、希望時間をお書きください。折り返し、対話可能日をお知らせします。

費用は月末に 1か月分を指定口座(返信の際、お知らせします)に振り込んでください。
作品は、A判サイズのワード文書でお送りください。
少なくとも月1篇は送信してください。


お申し込み・問い合わせは、
yachisyuso@gmail.com


また朝日カルチャーセンター福岡でも、講座を開いています。
毎月第1、第3月曜日13時-14時30分。
〒812-0011 福岡県福岡市博多区博多駅前2-1-1
電話 092-431-7751 / FAX 092-412-8571

オンデマンドで以下の本を発売中です。

(1)詩集『誤読』100ページ。1500円(送料別)
嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072512

(2)評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料別)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073009

(3)評論『高橋睦郎「つい昨日のこと」を読む』314ページ。2500円(送料別)
2018年の話題の詩集の全編を批評しています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168074804


(4)評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』190ページ。2000円(送料別)
『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073455

(5)評論『天皇の悲鳴』72ページ。1000円(送料別)
2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

 

 

問い合わせ先 yachisyuso@gmail.com

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中井久夫訳『現代ギリシャ詩選』読む(20)

2023-08-16 15:08:14 | 中井久夫「ギリシャ詩選」を読む

中井久夫訳『現代ギリシャ詩選』読む(20)

  「教会にて」の「にて」ということばのつかい方は、私には何かしら古風なものに聞こえる。「口語」ではなく、「文語」だね。意味は即座にわかるが、私は会話で「にて」をつかったことがない。
 この「文語」の響き、歴史を感じさせることばが、次の行にとても似合う。

私の思いは返る、我が民族の偉大に。

 「返る」という動詞につきうごかされて、過去に、歴史に返る。「民族の偉大」。そして、それには「我が」ということばがしっかりと結びついている。
 この緊密な緊張感が「にて」から始まっている。「にて」に呼応して「私の思いは」が動いている。「私」と書き始めて「私たちの」ではなく「我が」と動いていく。この変化が、とてもおもしろい。「私」と「我」のつかいわけが、とても強く響いてくる。

 

 

**********************************************************************

★「詩はどこにあるか」オンライン講座★

メール、skypeを使っての「現代詩オンライン講座」です。
メール(宛て先=yachisyuso@gmail.com)で作品を送ってください。
詩への感想、推敲のヒントをメール、ネット会議でお伝えします。

★メール講座★
随時受け付け。
週1篇、月4篇以内。
料金は1篇(40字×20行以内、1000円)
(20行を超える場合は、40行まで2000円、60行まで3000円、20行ごとに1000円追加)
1週間以内に、講評を返信します。
講評後の、質問などのやりとりは、1回につき500円。

★ネット会議講座(skypeかgooglemeet使用)★
随時受け付け。ただし、予約制。
週1篇40行以内、月4篇以内。
1回30分、1000円。
メール送信の際、対話希望日、希望時間をお書きください。折り返し、対話可能日をお知らせします。

費用は月末に 1か月分を指定口座(返信の際、お知らせします)に振り込んでください。
作品は、A判サイズのワード文書でお送りください。
少なくとも月1篇は送信してください。


お申し込み・問い合わせは、
yachisyuso@gmail.com


また朝日カルチャーセンター福岡でも、講座を開いています。
毎月第1、第3月曜日13時-14時30分。
〒812-0011 福岡県福岡市博多区博多駅前2-1-1
電話 092-431-7751 / FAX 092-412-8571

オンデマンドで以下の本を発売中です。

(1)詩集『誤読』100ページ。1500円(送料別)
嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072512

(2)評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料別)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073009

(3)評論『高橋睦郎「つい昨日のこと」を読む』314ページ。2500円(送料別)
2018年の話題の詩集の全編を批評しています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168074804


(4)評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』190ページ。2000円(送料別)
『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073455

(5)評論『天皇の悲鳴』72ページ。1000円(送料別)
2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

 

 

問い合わせ先 yachisyuso@gmail.com

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中井久夫訳『現代ギリシャ詩選』読む(19)

2023-08-05 21:24:45 | 中井久夫「ギリシャ詩選」を読む

中井久夫訳『現代ギリシャ詩選』読む(19)

 「帰ってくれ」というタイトルは、なかなか難しい。二つの意味に取れる。ギリシャ語では、二つの意味になるかどうかわからないが、日本語では二つの意味になる。ひとつは、「もうここから帰ってくれ」という拒絶。もうひとつは「ここへ帰って(来て)くれ」という願望。
 二行目は、こう書かれている。

帰って来て私を捉えてほしい感覚よ。

 これが、またまた、難しい。「帰って来て(くれ)」と呼びかけられているのは「感覚」である。感覚って、だれの感覚? 基本的には自分の感覚だろう。他人の感覚に対して「帰って来てくれ」と呼びかけるとしたら、それはたとえば死んだひとに対してであろう。生きているひとの感覚に対して「帰って来てくれ」、そして「捉えてほしい」というのは、もう一度愛してほしいという意味だろうか。ども、それなら「感覚」というよりも「感情」だろうなあ。
 そして「感情」なら、もう一度「愛してくれ」ではなく、「もう一度愛したい」という欲望かもしれない。いま愛している誰かではなく、いまここにいない誰かを「愛したい」。「愛した」ときの、あの「感覚よ」、帰って来てくれ、だとしたら、それはどういう意味になるだろうか。
 深追いするのはやめよう。
 何か、いいしれない矛盾がある。そして、それは矛盾しているけれど、対立しているというよりもからみあって解けない矛盾、渾沌のようなものかもしれない。
 「(もう)帰ってくれ」「(ここへ)帰って来てくれ」というのは、愛しながら拒絶した誰かに対する深い矛盾、絡みついた情念のようなものかもしれない。さらに、もう一度愛したいとなると、それは、いま愛している人を裏切ることにもなる。
 どう理解すればいいのか難しいが、何か、そのことばに出会った瞬間に「わかってしまうもの」というか、「あ、こういう体験をしたことがある」と思い出させる不思議な「からみつき」が隠れている。読めば読むほど「理解」したことを説明できないし、説明したくはないのだが、「わかる」という実感が残ることばである。
 中井が、これをどこから見つけ出してきたのか。いったい、「だれ」の声を思い出したとき、この「帰ってくれ」ということばになったのか。誰かを思い出しているに違いないという強い実感がある。

 

 


**********************************************************************

★「詩はどこにあるか」オンライン講座★

メール、skypeを使っての「現代詩オンライン講座」です。
メール(宛て先=yachisyuso@gmail.com)で作品を送ってください。
詩への感想、推敲のヒントをメール、ネット会議でお伝えします。

★メール講座★
随時受け付け。
週1篇、月4篇以内。
料金は1篇(40字×20行以内、1000円)
(20行を超える場合は、40行まで2000円、60行まで3000円、20行ごとに1000円追加)
1週間以内に、講評を返信します。
講評後の、質問などのやりとりは、1回につき500円。

★ネット会議講座(skypeかgooglemeet使用)★
随時受け付け。ただし、予約制。
週1篇40行以内、月4篇以内。
1回30分、1000円。
メール送信の際、対話希望日、希望時間をお書きください。折り返し、対話可能日をお知らせします。

費用は月末に 1か月分を指定口座(返信の際、お知らせします)に振り込んでください。
作品は、A判サイズのワード文書でお送りください。
少なくとも月1篇は送信してください。


お申し込み・問い合わせは、
yachisyuso@gmail.com


また朝日カルチャーセンター福岡でも、講座を開いています。
毎月第1、第3月曜日13時-14時30分。
〒812-0011 福岡県福岡市博多区博多駅前2-1-1
電話 092-431-7751 / FAX 092-412-8571

オンデマンドで以下の本を発売中です。

(1)詩集『誤読』100ページ。1500円(送料別)
嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072512

(2)評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料別)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073009

(3)評論『高橋睦郎「つい昨日のこと」を読む』314ページ。2500円(送料別)
2018年の話題の詩集の全編を批評しています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168074804


(4)評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』190ページ。2000円(送料別)
『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073455

(5)評論『天皇の悲鳴』72ページ。1000円(送料別)
2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

 

 

問い合わせ先 yachisyuso@gmail.com

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中井久夫訳『現代ギリシャ詩選』読む(21)

2023-07-26 23:18:17 | 中井久夫「ギリシャ詩選」を読む

 「アレクサンドリアの王たち」。クレオパトラの子ども(兄弟)がアレクサンドリアにやってくる。王になるために。市民は歓迎する。だが

これはみんな言葉、みんな芝居さ。

 新しい王に捧げられたことば、歓迎のことば。それはことばにすぎない。芝居だ。意味は、そうなるのだが。
 私には、その前に書かれた王の服装が「言葉」「芝居」に感じられる。ふたりには何の人間的魅力もない。だから服装を華麗なことばで語るしかないのである。市民の態度よりも、詩人の態度(詩の書き方)が、「真実」を雄弁に語っている。
 それにしても、不思議。
 最終行では「空っぽの言葉」という表現がつかわれているが、その「批判」が強ければ強いほど、私はなぜか、その「芝居(空っぽの言葉)」の美しさに惹かれてしまう。そこには、何か陶酔がある。それは二人の兄弟が味わった陶酔かもしれないと感じてしまう。権力者は陶酔のなかで失墜する、ということも思ってしまうのだった。陶酔を誘うことばは危険だ。それとも陶酔することが危険なのか。

 

 

**********************************************************************

★「詩はどこにあるか」オンライン講座★

メール、skypeを使っての「現代詩オンライン講座」です。
メール(宛て先=yachisyuso@gmail.com)で作品を送ってください。
詩への感想、推敲のヒントをメール、ネット会議でお伝えします。

★メール講座★
随時受け付け。
週1篇、月4篇以内。
料金は1篇(40字×20行以内、1000円)
(20行を超える場合は、40行まで2000円、60行まで3000円、20行ごとに1000円追加)
1週間以内に、講評を返信します。
講評後の、質問などのやりとりは、1回につき500円。

★ネット会議講座(skypeかgooglemeet使用)★
随時受け付け。ただし、予約制。
週1篇40行以内、月4篇以内。
1回30分、1000円。
メール送信の際、対話希望日、希望時間をお書きください。折り返し、対話可能日をお知らせします。

費用は月末に 1か月分を指定口座(返信の際、お知らせします)に振り込んでください。
作品は、A判サイズのワード文書でお送りください。
少なくとも月1篇は送信してください。


お申し込み・問い合わせは、
yachisyuso@gmail.com


また朝日カルチャーセンター福岡でも、講座を開いています。
毎月第1、第3月曜日13時-14時30分。
〒812-0011 福岡県福岡市博多区博多駅前2-1-1
電話 092-431-7751 / FAX 092-412-8571

オンデマンドで以下の本を発売中です。

(1)詩集『誤読』100ページ。1500円(送料別)
嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072512

(2)評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料別)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073009

(3)評論『高橋睦郎「つい昨日のこと」を読む』314ページ。2500円(送料別)
2018年の話題の詩集の全編を批評しています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168074804


(4)評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』190ページ。2000円(送料別)
『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073455

(5)評論『天皇の悲鳴』72ページ。1000円(送料別)
2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

 

 

問い合わせ先 yachisyuso@gmail.com

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中井久夫訳『現代ギリシャ詩選』読む(17)

2023-07-20 10:59:54 | 中井久夫「ギリシャ詩選」を読む

 中井久夫の訳語の魅力を、私は口語に感じている。貨幣かメダルかわからないが、何かのデザインについて書かれた「愛希家」も口語が生き生きしているが、この詩のなかに、突然「愛希家」という、聞いただけではわからないことばが出てくる。文字を読んではじめて理解できることばである。

「愛希家」と上品な字体で加えてくれ。

 「あいきか」と読む。ギリシャを愛したひと。ギリシャを、希臘と書いてあるのを見たことがあるが、いま、これを漢字で書けるひとはいないだろう。そういうことばが突然出てきて、世界を凝縮させる。「秘密」が隠される。
 「上品」という注文が、その秘密の匂いを強くする。多くのひとにわからなくて結構、「上品なひと」、つまりギリシャの「上品」を愛するひとにさえわかってもらえればいい、そういう「意図」が隠されている。逆に言えば、ローマの手先の「権力者」にわからなくてもいい、と言っているのである。
 ギリシャの「文化」を理解するひとこそギリシャ人なのだ、という矜持である。

 

 

**********************************************************************

★「詩はどこにあるか」オンライン講座★

メール、skypeを使っての「現代詩オンライン講座」です。
メール(宛て先=yachisyuso@gmail.com)で作品を送ってください。
詩への感想、推敲のヒントをメール、ネット会議でお伝えします。

★メール講座★
随時受け付け。
週1篇、月4篇以内。
料金は1篇(40字×20行以内、1000円)
(20行を超える場合は、40行まで2000円、60行まで3000円、20行ごとに1000円追加)
1週間以内に、講評を返信します。
講評後の、質問などのやりとりは、1回につき500円。

★ネット会議講座(skypeかgooglemeet使用)★
随時受け付け。ただし、予約制。
週1篇40行以内、月4篇以内。
1回30分、1000円。
メール送信の際、対話希望日、希望時間をお書きください。折り返し、対話可能日をお知らせします。

費用は月末に 1か月分を指定口座(返信の際、お知らせします)に振り込んでください。
作品は、A判サイズのワード文書でお送りください。
少なくとも月1篇は送信してください。


お申し込み・問い合わせは、
yachisyuso@gmail.com


また朝日カルチャーセンター福岡でも、講座を開いています。
毎月第1、第3月曜日13時-14時30分。
〒812-0011 福岡県福岡市博多区博多駅前2-1-1
電話 092-431-7751 / FAX 092-412-8571

オンデマンドで以下の本を発売中です。

(1)詩集『誤読』100ページ。1500円(送料別)
嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072512

(2)評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料別)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073009

(3)評論『高橋睦郎「つい昨日のこと」を読む』314ページ。2500円(送料別)
2018年の話題の詩集の全編を批評しています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168074804


(4)評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』190ページ。2000円(送料別)
『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073455

(5)評論『天皇の悲鳴』72ページ。1000円(送料別)
2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

 

 

問い合わせ先 yachisyuso@gmail.com

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中井久夫訳『現代ギリシャ詩選』読む(16)

2023-07-19 15:57:41 | 中井久夫「ギリシャ詩選」を読む

 「イタカ」を目指す船。いったい何があるか。

「冒険がうんとあるように」

 「うん」という口語がおもしろい。「たくさん」よりも、もっと砕けている。ひらがなで書くと二音だが、口語ではほとんど一音だろう。この短さがとてもいい。こころが、そのまま声になって出てくる。ことばにする前の、あるいは、ことばが不要の欲望。さらにいえば、ことばとして整えられる前の欲望と夢。
 この反対の、とても長い行がある。
 一行だけの紹介という「ルール」を破って、書いておこう。邪魔者が来るとしたら……。

来るとしたらきみの心に棲んでいる奴。きみが自分の行く手に奴らを置くのさ。

 他人が語っているようにも読むことができるが、どちらも主人公が語っている。一人で対話している。だからこそ、「心」ということばもある。「こころの中の対話」。そのときの、ことばの「長短」がおもしろい。不安と期待と祈り。こころの揺れが、音、リズムとして動いている。

 


**********************************************************************

★「詩はどこにあるか」オンライン講座★

メール、skypeを使っての「現代詩オンライン講座」です。
メール(宛て先=yachisyuso@gmail.com)で作品を送ってください。
詩への感想、推敲のヒントをメール、ネット会議でお伝えします。

★メール講座★
随時受け付け。
週1篇、月4篇以内。
料金は1篇(40字×20行以内、1000円)
(20行を超える場合は、40行まで2000円、60行まで3000円、20行ごとに1000円追加)
1週間以内に、講評を返信します。
講評後の、質問などのやりとりは、1回につき500円。

★ネット会議講座(skypeかgooglemeet使用)★
随時受け付け。ただし、予約制。
週1篇40行以内、月4篇以内。
1回30分、1000円。
メール送信の際、対話希望日、希望時間をお書きください。折り返し、対話可能日をお知らせします。

費用は月末に 1か月分を指定口座(返信の際、お知らせします)に振り込んでください。
作品は、A判サイズのワード文書でお送りください。
少なくとも月1篇は送信してください。


お申し込み・問い合わせは、
yachisyuso@gmail.com


また朝日カルチャーセンター福岡でも、講座を開いています。
毎月第1、第3月曜日13時-14時30分。
〒812-0011 福岡県福岡市博多区博多駅前2-1-1
電話 092-431-7751 / FAX 092-412-8571

オンデマンドで以下の本を発売中です。

(1)詩集『誤読』100ページ。1500円(送料別)
嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072512

(2)評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料別)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073009

(3)評論『高橋睦郎「つい昨日のこと」を読む』314ページ。2500円(送料別)
2018年の話題の詩集の全編を批評しています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168074804


(4)評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』190ページ。2000円(送料別)
『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073455

(5)評論『天皇の悲鳴』72ページ。1000円(送料別)
2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

 

 

問い合わせ先 yachisyuso@gmail.com

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中井久夫訳『現代ギリシャ詩選』読む(15)

2023-07-18 18:18:42 | 中井久夫「ギリシャ詩選」を読む

中井久夫訳『現代ギリシャ詩選』読む(15)

 「神 アントニウスを見捨てたもう」。男の悲劇。それを自覚する男。

計画は全部駄目になった。一生の--な。

 「失敗した」ではなく「駄目になった」が、強い。まるで、庶民のような「口語」である。そして、それに追い打ちをかけるような、「な」の念押し。嘆きが、ぽつりと漏れる。そうか、偉人と呼ばれる男も、我々と同じように嘆き、諦め、自分に言い聞かせるとき、こんなふうに「な」と念押しをするのか。
 そして、この「な」は次々に否定の「な」となって繰り返される。「これは夢だと言うな」の「な」、「もたれかかるな」「祈るな」「口にすな」と動く。しかも、繰り返されるたびに、否定しないことには嘆いてしまう声が漏れるのだ。だから、それを殺すために「な」と否定していることがわかる。
 ひとは誰でも、こんなふうに後悔してみたことがあるだろう。偉人も、ふつうの人も、それは変わらないのだと共感を誘う「な」である。

 

 


**********************************************************************

★「詩はどこにあるか」オンライン講座★

メール、skypeを使っての「現代詩オンライン講座」です。
メール(宛て先=yachisyuso@gmail.com)で作品を送ってください。
詩への感想、推敲のヒントをメール、ネット会議でお伝えします。

★メール講座★
随時受け付け。
週1篇、月4篇以内。
料金は1篇(40字×20行以内、1000円)
(20行を超える場合は、40行まで2000円、60行まで3000円、20行ごとに1000円追加)
1週間以内に、講評を返信します。
講評後の、質問などのやりとりは、1回につき500円。

★ネット会議講座(skypeかgooglemeet使用)★
随時受け付け。ただし、予約制。
週1篇40行以内、月4篇以内。
1回30分、1000円。
メール送信の際、対話希望日、希望時間をお書きください。折り返し、対話可能日をお知らせします。

費用は月末に 1か月分を指定口座(返信の際、お知らせします)に振り込んでください。
作品は、A判サイズのワード文書でお送りください。
少なくとも月1篇は送信してください。


お申し込み・問い合わせは、
yachisyuso@gmail.com


また朝日カルチャーセンター福岡でも、講座を開いています。
毎月第1、第3月曜日13時-14時30分。
〒812-0011 福岡県福岡市博多区博多駅前2-1-1
電話 092-431-7751 / FAX 092-412-8571

オンデマンドで以下の本を発売中です。

(1)詩集『誤読』100ページ。1500円(送料別)
嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072512

(2)評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料別)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073009

(3)評論『高橋睦郎「つい昨日のこと」を読む』314ページ。2500円(送料別)
2018年の話題の詩集の全編を批評しています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168074804


(4)評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』190ページ。2000円(送料別)
『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073455

(5)評論『天皇の悲鳴』72ページ。1000円(送料別)
2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

 

 

問い合わせ先 yachisyuso@gmail.com

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中井久夫訳『現代ギリシャ詩選』読む(14)

2023-07-13 20:36:15 | 中井久夫「ギリシャ詩選」を読む

 「三月十五日」。たぶん、ギリシャ人なら「三月十五日」と聞いただけで、記憶が騒ぎ出すだろう。私は、それを知らないが、たぶんギリシャ人の誰もが知っているに違いないと感じさせることばで、第一行が始まっている。

わが魂よ、用心だ、栄光と栄華にゃな。

 「栄光と栄華」を持った誰かが殺された(暗殺された)日だろう。そして、その日を誰もが知っていると感じさせるのは、末尾の「にゃな」という口語の口調である。
 砕けた口調には、なんというか、大衆との「共通感覚」がある。大衆(国民)が彼のことを、まるで自分のことのように知っている。これが改まった口調、「栄光と栄華には」だとしても意味は変わらないが、その主人公は何か国民からは遠い。「気持ち」が遠い。
 「にゃな」が主人公を、遠い存在ではなく、自分そばにいる人間にしてしまう。そして、その偉大であるはずの人間が、自分と同じようなことばをつかって自分をいましめ、それでも油断して殺されてしまう。ああ、ほんとうに自分そっくりだ。
 そして、歴史の人物が、自分と同じとわかったとき、ドラマはいっそう強く迫ってくる。そんなことを感じさせる。
 中井久夫は、主人公が言いたいことばも、大衆(国民)というか読者が聞きたいと熱望している声も知っている。そして、それを訳語に定着させる。私は、そこに魅了される。


**********************************************************************

★「詩はどこにあるか」オンライン講座★

メール、skypeを使っての「現代詩オンライン講座」です。
メール(宛て先=yachisyuso@gmail.com)で作品を送ってください。
詩への感想、推敲のヒントをメール、ネット会議でお伝えします。

★メール講座★
随時受け付け。
週1篇、月4篇以内。
料金は1篇(40字×20行以内、1000円)
(20行を超える場合は、40行まで2000円、60行まで3000円、20行ごとに1000円追加)
1週間以内に、講評を返信します。
講評後の、質問などのやりとりは、1回につき500円。

★ネット会議講座(skypeかgooglemeet使用)★
随時受け付け。ただし、予約制。
週1篇40行以内、月4篇以内。
1回30分、1000円。
メール送信の際、対話希望日、希望時間をお書きください。折り返し、対話可能日をお知らせします。

費用は月末に 1か月分を指定口座(返信の際、お知らせします)に振り込んでください。
作品は、A判サイズのワード文書でお送りください。
少なくとも月1篇は送信してください。


お申し込み・問い合わせは、
yachisyuso@gmail.com


また朝日カルチャーセンター福岡でも、講座を開いています。
毎月第1、第3月曜日13時-14時30分。
〒812-0011 福岡県福岡市博多区博多駅前2-1-1
電話 092-431-7751 / FAX 092-412-8571

オンデマンドで以下の本を発売中です。

(1)詩集『誤読』100ページ。1500円(送料別)
嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072512

(2)評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料別)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073009

(3)評論『高橋睦郎「つい昨日のこと」を読む』314ページ。2500円(送料別)
2018年の話題の詩集の全編を批評しています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168074804


(4)評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』190ページ。2000円(送料別)
『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073455

(5)評論『天皇の悲鳴』72ページ。1000円(送料別)
2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

 

 

問い合わせ先 yachisyuso@gmail.com

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中井久夫訳『現代ギリシャ詩選』読む(14)

2023-07-12 17:34:20 | 中井久夫「ギリシャ詩選」を読む


  「イオニア」。「神」ということばが何度か出てくる。その「神」ということばよりも、強烈に「神」を感じさせることばがある。「暁」だ。

八月の暁がきみの番をしている時、

 この「暁」が「神」を感じさせるのは、それにつづくことば「番をしている」ということばの強さのためだ。「番をしている」は「見張っている」。そして、それは「見張っている」よりも強く響くのは、「番をしている(番をする)」が口語というか、肉体を感じさせるからだろう。
 ほかのひとは「番をしている」をどうつかうか知らないが、私はこどものとき、よく親から「火の番をしていてくれ」とか「豚の番をしていてくれ」と言われた。「番をする」には、何か「順番に何かの面倒を見る(世話をする)」というような響きがある。それは「私」を「他人」につなげる。「見張る」にもつながりがあるだろうけれど、私は「番をする」に、それを強く感じる。「火の番をする」とき、私はこどもではなく、父と同じように家を守る、その父につながる感じ。
 この「つながり」の感じが、とてもいい。
 「神」を信じる、信じないはひとそれぞれだが、「神を信じる」とは「神」とつながることだ。そして、それはこの詩の場合(私の引用した一行だけではわからないと思うけれど)、「神」が人を見捨てないというつながりをも生み出す。幾人もの「神」が順番に、「きみの番をしている」。その書かれていないが「幾人もの」というつながりが「暁」の光のなかに広がっている。「暁」は、毎日毎日、あきらめることなく、きみのところへやってくるのだ。それは、けっして終わることのない、永遠だ。


**********************************************************************

★「詩はどこにあるか」オンライン講座★

メール、skypeを使っての「現代詩オンライン講座」です。
メール(宛て先=yachisyuso@gmail.com)で作品を送ってください。
詩への感想、推敲のヒントをメール、ネット会議でお伝えします。

★メール講座★
随時受け付け。
週1篇、月4篇以内。
料金は1篇(40字×20行以内、1000円)
(20行を超える場合は、40行まで2000円、60行まで3000円、20行ごとに1000円追加)
1週間以内に、講評を返信します。
講評後の、質問などのやりとりは、1回につき500円。

★ネット会議講座(skypeかgooglemeet使用)★
随時受け付け。ただし、予約制。
週1篇40行以内、月4篇以内。
1回30分、1000円。
メール送信の際、対話希望日、希望時間をお書きください。折り返し、対話可能日をお知らせします。

費用は月末に 1か月分を指定口座(返信の際、お知らせします)に振り込んでください。
作品は、A判サイズのワード文書でお送りください。
少なくとも月1篇は送信してください。


お申し込み・問い合わせは、
yachisyuso@gmail.com


また朝日カルチャーセンター福岡でも、講座を開いています。
毎月第1、第3月曜日13時-14時30分。
〒812-0011 福岡県福岡市博多区博多駅前2-1-1
電話 092-431-7751 / FAX 092-412-8571

オンデマンドで以下の本を発売中です。

(1)詩集『誤読』100ページ。1500円(送料別)
嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072512

(2)評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料別)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073009

(3)評論『高橋睦郎「つい昨日のこと」を読む』314ページ。2500円(送料別)
2018年の話題の詩集の全編を批評しています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168074804


(4)評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』190ページ。2000円(送料別)
『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073455

(5)評論『天皇の悲鳴』72ページ。1000円(送料別)
2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

 

 

問い合わせ先 yachisyuso@gmail.com

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中井久夫訳『現代ギリシャ詩選』読む(13)

2023-05-29 15:56:27 | 中井久夫「ギリシャ詩選」を読む

中井久夫訳『現代ギリシャ詩選』読む(13)

  「総督領」は「総督領」をもらう(だろう)ひとの友人が、彼に語りかける形でことばが動く。気持ちを推し量っている。そんなもの、ほしくはないだろ? ほしいのは、もっとほかのものだろう?

だが、やけくそのきみはどうせ同じさと押し頂く

 「やけくそ」と「押し頂く」の組み合わせが強烈だ。それは相いれない組み合わせだ。そして、相いれないからこそ、そこに「激情」が動いていることがわかる。矛盾のなかには、いつも激しい感情がある。
 そして、私は、こんなことも思う。これは「友人」が語りかけているスタイルをとっているが、ほんとうは「総督領」のことばだろう。「激情」を隠すために、友人に語らせているのだ。
 この「語りの構造」はカヴァフィスのものか。中井の翻案か。私は原文を読んでいないのでわからないが、中井の翻案のような気がしてならない。もし翻案ではないとしても、「やけくそ」と「押し頂く」を組み合わせたのは、とてもすごい翻訳だと思う。

 

 

 

**********************************************************************

★「詩はどこにあるか」オンライン講座★

メール、skypeを使っての「現代詩オンライン講座」です。
メール(宛て先=yachisyuso@gmail.com)で作品を送ってください。
詩への感想、推敲のヒントをメール、ネット会議でお伝えします。

★メール講座★
随時受け付け。
週1篇、月4篇以内。
料金は1篇(40字×20行以内、1000円)
(20行を超える場合は、40行まで2000円、60行まで3000円、20行ごとに1000円追加)
1週間以内に、講評を返信します。
講評後の、質問などのやりとりは、1回につき500円。

★ネット会議講座(skypeかgooglemeet使用)★
随時受け付け。ただし、予約制。
週1篇40行以内、月4篇以内。
1回30分、1000円。
メール送信の際、対話希望日、希望時間をお書きください。折り返し、対話可能日をお知らせします。

費用は月末に 1か月分を指定口座(返信の際、お知らせします)に振り込んでください。
作品は、A判サイズのワード文書でお送りください。
少なくとも月1篇は送信してください。


お申し込み・問い合わせは、
yachisyuso@gmail.com


また朝日カルチャーセンター福岡でも、講座を開いています。
毎月第1、第3月曜日13時-14時30分。
〒812-0011 福岡県福岡市博多区博多駅前2-1-1
電話 092-431-7751 / FAX 092-412-8571

オンデマンドで以下の本を発売中です。

(1)詩集『誤読』100ページ。1500円(送料別)
嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072512

(2)評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料別)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073009

(3)評論『高橋睦郎「つい昨日のこと」を読む』314ページ。2500円(送料別)
2018年の話題の詩集の全編を批評しています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168074804


(4)評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』190ページ。2000円(送料別)
『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073455

(5)評論『天皇の悲鳴』72ページ。1000円(送料別)
2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

 

 

問い合わせ先 yachisyuso@gmail.com

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中井久夫訳『現代ギリシャ詩選』読む(12)

2023-05-24 16:25:51 | 中井久夫「ギリシャ詩選」を読む

中井久夫訳『現代ギリシャ詩選』読む(12)

  「市」はタイトルに鉤括弧がついている。まち、とルビが振ってある。ここではなく、よその土地へゆく。

「別の海がいい」「いつか、おれは行くんだ」と。

 そう男が言っている。このことばのなかの「別の海」が強烈だ。「海」はつながっている。もちろん大地もつながっているが。しかし、そのつながっている海、ひとつの海が、やはり別の場所では違って見える、という以上の意味がある。
 「街」の違いは「ひと」の違いである。でも、「海」は「ひと」抜きで違う。「別の海がいい」というとき、そこには「ひと」はいない。「ひと」を振り切りたい、というこころがここに動いている。
 もちろん「ひと」とは、ひとが呼び寄せるものだから、どこへ行っても「ひと」にであう。自分に出会う。だから「別の海がいい」というときは、自分を「別の自分」にしたいという意味が含まれている。その「孤独」の声がいい。「別の海」、ひとに汚れていない海。この、きっぱりした音。

 

 

 

**********************************************************************

★「詩はどこにあるか」オンライン講座★

メール、skypeを使っての「現代詩オンライン講座」です。
メール(宛て先=yachisyuso@gmail.com)で作品を送ってください。
詩への感想、推敲のヒントをメール、ネット会議でお伝えします。

★メール講座★
随時受け付け。
週1篇、月4篇以内。
料金は1篇(40字×20行以内、1000円)
(20行を超える場合は、40行まで2000円、60行まで3000円、20行ごとに1000円追加)
1週間以内に、講評を返信します。
講評後の、質問などのやりとりは、1回につき500円。

★ネット会議講座(skypeかgooglemeet使用)★
随時受け付け。ただし、予約制。
週1篇40行以内、月4篇以内。
1回30分、1000円。
メール送信の際、対話希望日、希望時間をお書きください。折り返し、対話可能日をお知らせします。

費用は月末に 1か月分を指定口座(返信の際、お知らせします)に振り込んでください。
作品は、A判サイズのワード文書でお送りください。
少なくとも月1篇は送信してください。


お申し込み・問い合わせは、
yachisyuso@gmail.com


また朝日カルチャーセンター福岡でも、講座を開いています。
毎月第1、第3月曜日13時-14時30分。
〒812-0011 福岡県福岡市博多区博多駅前2-1-1
電話 092-431-7751 / FAX 092-412-8571

オンデマンドで以下の本を発売中です。

(1)詩集『誤読』100ページ。1500円(送料別)
嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072512

(2)評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料別)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073009

(3)評論『高橋睦郎「つい昨日のこと」を読む』314ページ。2500円(送料別)
2018年の話題の詩集の全編を批評しています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168074804


(4)評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』190ページ。2000円(送料別)
『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073455

(5)評論『天皇の悲鳴』72ページ。1000円(送料別)
2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977

 

 

問い合わせ先 yachisyuso@gmail.com

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする