ひとひらの雲

つれづれなるままに書き留めた気まぐれ日記です

恵方巻と恵方参り

2020-01-19 19:15:23 | 日記

 お正月も終わりましたね。クリスマス、お正月、と年末商戦が慌ただしく過ぎたと思ったら、次は節分ということで恵方巻の予約合戦。スーパーに誘導されて一年を過ごすような気がします。何も考えなくても、スーパーの御膳立てによってすべての行事が滞りなく行われる、といいますか、その時にしか必要な商品が置いてないことも多いので、乗っかるしかありません。お盆など、旧盆の時期にはあるのですが、新暦のお盆の時には商品が置いてないところも多くなりました。

 さてその恵方巻ですが、起源についてはよくわかりません。ただ大阪発祥の風習といわれています。節分の夜に恵方に向かって無言で丸かじりすると、願い事がかなうというのですが、これにも諸説あるようです。

 恵方巻は節分に食べるものですが、節分は本来大晦日に行われていた宮中の年中行事です。「追儺(ついな)」、「儺やらい」、「鬼やらい」などともいわれ、儺(な)という疫鬼(えきき)を駆逐する儀式でした。方相氏(ほうそうし)が盾や矛をもって疫鬼を追い、殿上人も桃の弓、葦の矢をもって鬼を射ました。それがいつしか豆まきに変わったんですね。以前にも何かで書いたと思うのですが、「源氏物語」にも追儺のことが出てきます。「幻」の巻の最後の方ですが、「年暮れぬとおぼすも心細きに…」とあって、若宮が「鬼やらいをしようと思うけれど、どんなことをしようか」といって走りまわる様子が描かれています。そして読者はこの一年が終わるとともに、ほどなく終わるであろう光源氏の一生を予感するわけです。

 光源氏最後の風景ですけれど、ここにはまだ恵方巻は出てきません。いつ頃から登場したのでしょうね。江戸時代には節分に巻き寿司を食べる風習はあったようです。節分は概ね大晦日と重なったため、大晦日の豆まきが済んで鬼を追い払ってから新年を迎えるというのが旧暦での順序でした。元旦はグレゴリオ暦(新暦)の立春と概ね重なるので、今でも年賀状には「新春」と書きますよね。中国では今でも旧暦のお正月を春節といって盛大に祝います。

 ともかく民間の行事になってからは節分と重なる大晦日に豆をまき、巻き寿司(当時、恵方巻とは呼ばれていない)を食べて年を越し、立春と重なる元旦には恵方参りをしました。恵方というのは歳徳神(としとくじん)の来る方角で、その方角にある神社仏閣にお参りをするのが普通でした。今では恵方に関係なく、初詣として神社仏閣にお参りするようになりましたけれど…。歳徳神はその年の福徳を司る歳神(としがみ)様のことで、その神様のいらっしゃる方向に向かって事を行えばすべてに縁起がよいそうです。因みに今年(2020年)の恵方は西南西だとか。

 豊広・豊国画「堀之内妙法寺恵方参之図」

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