ひとひらの雲

つれづれなるままに書き留めた気まぐれ日記です

安楽死という希望

2014-11-19 18:18:57 | 日記
 ちょっとした風邪で寝込んでいる間に、枯葉の舞う季節になってしまいました。今年の風邪は咳がでるようで、私も久しぶりに38度越えの熱を出し、二週間近く不調に悩まされました。たかが風邪、されど風邪です。年をとると肺炎が心配されるというので、風邪で初めて病院へ行きました。お蔭で大事には至らずに済みましたけれど、今シーズンはもう結構、お断りといった感じです。

 こんな風邪でさえしんどいのに、激痛の走る病気になったらと思うとぞっとします。先日悪性の脳腫瘍で余命半年と宣告されたアメリカのブリタニーさんが安楽死を遂げ、話題になりました。助かる見込みのない末期がんの患者が、その苦しみから逃れるために安楽死を選ぶということに対して議論が巻き起こったようですが、私も大いに議論してもらいたいと思っています。

 想像のつかない激痛にただ耐えるだけの余生をなおも生きろというのは残酷な話ですし、少しでも楽にしてあげるのが人道的だと思いますけれど、自殺を禁じている宗教もあります。また余命半年と宣告された人が十年以上生きたという例もありますので、何が正しい判断なのか迷うところではありますが、本人がもう耐えられないから死なせてくれというのなら、それはそれで選択肢として認められてもいいのではないでしょうか。

 ただそうなると悪用する人が出てくるのも事実で、公然と殺人が行われるということにもなりかねません。残念ながら、今の日本のモラルはそれほど低下しています。それ故住民票ひとつ取るにしても、本人確認できるものを提示させられるギスギスした世の中になってしまいました。最近では顔写真入りの免許証かパスポートがないと受け付けてもらえない自治体も多くなりましたけれど、免許証のない人はどうするんでしょうねぇ。

 儒教精神を捨て去った日本の道徳教育は、誰を信じたらいいのかわからない人間不信の社会を生みました。そして技術革新に頼った結果、犯罪者とセキュリティー対策のいたちごっこが続いています。昔は家の鍵なんかかけなくても、ご近所の目があれば安心していられたものです。ところが最近、玄関の鍵をかけなかったばかりに殺されてしまった人もいるのですから、何といってよいのかわかりません。「ホジュン」などを見ていると、やはり根本は人間だよね~と思ってしまいます。

 とにかくちゃんとしたモラルを持った医者が育つ社会であれば、安楽死を認めることもできる筈です。「医は仁術」ではなく「算術」になってしまうために安楽死が認められないという社会は早く終わりにしなければ。安楽死を望む人はアメリカの5つの州か、スイスやオランダ、ベルギーなどへ出掛けていかなければなりません。スイスなどは私が生まれる前から合法化されていたというのですから驚きです。苦しむ人にとって、安楽死は一つの希望なのです。安心して死ねる世の中になって欲しいですね。

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初しぐれ…

2014-11-05 18:12:24 | 日記
 最近雨がよく降りますね。予報にないような通り雨があって、建物から出てくると道路が濡れていたりしますが、季節的にはこれを時雨というのでしょうか。今週の金曜日(7日)は立冬ですしね。

 初しぐれ 猿も小蓑(こみの)を ほしげなり
 『猿蓑』に収められた芭蕉の句ですけれど、現代でもこの時期はコートが欲しくなる季節ですから、冷たい雨に濡れている猿を見て蓑を着せかけてやりたいと思ったのでしょうね。芭蕉さん、優しい!

 どこかに猿がいるイメージ

 『猿蓑』には他にも
 なつかしや 奈良の隣の 一時雨(曽良)
 鳶の羽も かいつくろひぬ 初しぐれ(去来)
 だまされし 星の光や 小夜時雨(羽紅)
 と、芭蕉のお弟子さんたちが時雨を詠んだ句がありますけれど、やはり芭蕉さんのが秀逸です。

 時雨は俳句によく出てきますが、
 しぐるるや 我も古人の 夜に似たる(蕪村)
と、明らかに芭蕉さんを意識している句もあります。後世の俳人は多かれ少なかれ芭蕉の影響を受けているんですね。

 しぐるるや いつまで赤き 烏瓜(子規)
 時雨というのは晩秋から初冬にかけて降る雨なので、まわりは冬枯れの季節になりつつあるのですが、そうした世界に烏瓜の真っ赤な色が印象的に映ったのでしょう。クローズアップしてくるところが子規らしいですね。

 しぐれつつ 大原女(おほはらめ)言葉 かはしゆく(虚子)
 楠の根を 静かにぬらす 時雨かな(蕪村)
 旅人と 我名よばれん 初しぐれ(芭蕉)

 時雨は静かに降り注ぎつつ、「もうすぐ冬だよー」と季節の移ろいを知らせる雨でもあるので、ちょっと寂しく感じますね。いっそ冬になってしまえば、あとは春を待つだけなので希望が見えてくるのかもしれません。「冬来たりなば春遠からじ」ですから。

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