ひとひらの雲

つれづれなるままに書き留めた気まぐれ日記です

春の嵐

2017-02-26 19:14:11 | 日記
 春一番が吹いてからよく強風が吹き荒れますね。日差しは春らしくなっていますけれど、この時期の風が私は大の苦手。花粉が飛んでいるせいもあるのでしょうが、埃っぽくて嫌ですね。巻き上げるように吹くので、時々大寒の頃より寒く感じます。幼児を抱っこしてバス停で待っているおばあさんの顔が歪んでいるように見えました。
 桜の花が咲く頃にも風は吹きますけれど、今は梅。折角咲き始めた梅の花が散ってしまいそうです。

 梅の花弁  枯れ枝

 そんな春の嵐、昔の人はどのように感じていたのでしょうか。『枕草子』の作者は少し変わったところがあって「風は、嵐。木枯」がよい、「三月ばかりの夕暮に、ゆるく吹きたる花風、いとあはれなり」と花散らしの風を愛でています。当時は蔀戸(しとみど)でしたから、さぞかしガタガタと音がしてうるさかったと思うのですが、昔の人は四季の移ろいを肌で感じ、楽しんでいたのかもしれません。

 花散らしといえば、すぐに思い浮かぶのが孟浩然(もうこうねん)の「春暁(しゅんぎょう)」。「春眠暁を覚えず」で始まるあれです。昨夜は一晩中風雨の音がしていたが、花も随分散ってしまったのではないだろうかという著名な五言絶句です。今ではサッシというものができて、風が吹いてもすきま風が入り込んでくるようなことはなくなりましたけれど、私が子供の頃は木枠にガラスを嵌めこんだだけの窓でしたから、嵐が来ると風だけでなく雨水がしみてきて大変でした。

 日本の和歌にもいろいろありますね。
 よしの川 きしの山吹 ふく風に そこのかげさへ うつろひにけり(紀貫之)
 行く春の 嵐ぞあそぶ 若葉垣(わかばがき) しきりに花の こぼるる夕べ(太田水穂)

 まだまだありますけれど、私が好きなのは源義家の
 吹く風を なこその関と おもへども 道もせに散る 山桜かな
 という歌です。「来る勿(なか)れ」と書いて「勿来(なこそ)」。風よ来てくれるなと思うけれども、道を塞ぐばかりに山桜の花が散っていることよ、くらいの意味でしょうか。

 義家はいうまでもなく八幡太郎義家です。武人ですね。後三年の役で活躍しましたが、一時憂き目にあい、のち武士としては初めて昇殿を許されました。源頼朝の先祖ということもありますが、武家政権の祖といわれ、武士の世界では神様のような存在になった人です。そんな武人義家は配下をよく遇し、風流にも通じていたところが崇められる所以(ゆえん)かもしれません。

 何はともあれ、風はそよそよと吹いて欲しいものです。

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ハワイの大聖堂

2017-02-12 18:27:21 | 日記
 先日「ハワイの虹」でも書きましたけれど、昨年末に息子たちの結婚式があってハワイまで行ってきました。リゾート地としては著名なハワイですが、最近ではウエディングも多いようで、いろいろな国の方たちが結婚式のためにやってくるんですね。ヒルトン・ハワイアン・ビレッジの中にも小さな教会があって、私たちが行った時は韓国の方が結婚式をしていました。

 息子たちはホテルから少し離れたところにあるセントアンドリュース教会で式を挙げました。日本にキリスト教が伝来したのはご存じのとおり1549年、フランシスコ・ザビエルによるものですが、ハワイへの布教は1862年のことだったとか。カメハメハ4世の時ですね。そしてカメハメハ5世の時にこの教会の建設が始まり、1886年に完成しました。その後も何度か改修が行われ、現在は米国聖公会8管区ハワイ教区の主教座聖堂になっています。

 ホノルルのダウンタウンにあって、目抜き通りである南ベレタニア通りに面したこの大聖堂は総石造り。イオラニ宮殿などの建造物と並んでひときわ存在感を放っています。そこへ新郎新婦がリムジンに乗って登場(私も乗ったことないのに)。純白のドレスが真っ青な空に映えていました。

 セントアンドリュース   新郎新婦

 エントランス全面に輝く高さ15メートルのステンドグラスは、新郎新婦の幻想的なシルエットを醸し出します。神父さんの前に進んでいく二人の姿には、何ものも侵しがたい清楚な美しさがありました。ずっとずっとこのままで…。
 式後、風格ある南国ムードの庭園で息子からレイをかけてもらい、ハグしてもらった感激はまた一入(ひとしお)。いい思い出になりました。

 ステンドグラス   教会内部

 神父さんはあちらの方でしたが、お世話をしてくださったのは日本人移民でした。結婚して移住された方も多いようです。ですからすべて日本語で、何の不安もなく進行できたのは有難いことでした。アメリカの指導者が代わっても、日本人移民の暮らしが変わらないことを祈るばかりです。

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