長かった梅雨が明けて猛暑。蝉も鳴きはじめました。夏の音です。ただ蝉はペットにするわけにもいかないので、ご近所の庭木に飛んできて、鳴き声を聞かせてくれるのは嬉しいですね。林の中まで行けば蝉しぐれも聞けますけれど、街路樹などで鳴いているのも結構いいものです。子供の頃、蝉をとってきて虫籠に入れていたことがありますが、すぐに死んでしまうので可哀想。ペットにしてはいけません。今やペットブームで、変わった生き物を飼われている方もいるようですが、基本的にはやはり犬か猫。犬派、猫派に分かれているようです。
家にいる時間が長くなって、益々ペットの需要が増えているのではないでしょうか。江戸城大奥も外出はままなりませんでしたし、男性と会う機会もほとんどなく、ストレスはたまる一方でしたから癒しが必要でした。当然のこととしてペットブームが巻き起こります。ただペットが飼えるのはランクが上の奥女中に限られていました。犬や猫は勿論、文鳥や鶯などの小鳥も人気があったようです。変わり種の金魚は大人気で、高価なガラスの入れ物に入った金魚が大奥の各部屋で泳いでいたとか。
徳川氏奥向きの図
他に鈴虫や松虫も、手軽なペットとしてその鳴き声を楽しみました。季節のものなので、一時的に大量に必要になったりします。鈴虫や松虫を調達したのは大奥に出入りする御用達(ごようたし)商人ではありません。江戸近郊農村の農民たちが数百匹単位で調達することになっていたそうです。農民も大忙しですね。
犬の中でも狆(ちん)は人気がありました。今でも結構飼われている方も多いのではないでしょうか。大名屋敷の奥向きでも人気があったようで、狆を抱いた大名家の御姫様を描いた錦絵などが散見されます。狆に限ったことではありませんが、ペットは贈り物としても使われました。高価な小動物は、武士や商人たちのポストや利権獲得のために奥女中に贈られたようです。
狆を抱いた大名家の御姫様
一方、妊娠すると大騒ぎになるのが猫。飼い主の奥女中の機嫌を取り結びたいという目論見から、生まれる子猫が欲しいという希望者が殺到するのだそうです。子猫が生まれると、飼い主の奥女中は貰い主に対して生活用品一式を贈るの慣例で、何かと物入り。貰い主の方も、誕生日には飼い主の奥女中を接待しなければならないのでこれまた大変なのですが、人脈を得るためでもありますから面倒も何のそのというわけです。行動の自由が束縛されている女の園大奥では、こうした儀式も楽しみのひとつだったのかもしれません。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます