美人を形容するのによく「クレオパトラか楊貴妃(ようきひ)か」なんて言いますよね。それほどの美女だったとされる楊貴妃は西施(せいし)、王昭君(おうしょうくん)、貂蝉(ちょうせん)と並ぶ中国四大美人の一人でもあります。そして何といっても傾国の美女ですね。唐の玄宗皇帝は楊貴妃を愛したために、国を衰運に導いたといわれています。
権力者はどうしても愛する人の一族を重用し、反対勢力の反発を招いてしまうんですね。公平にするというのは難しいことです。そして権力者に愛され過ぎたがために悲劇的な最期を迎えるのが美女。そんな悲劇を歌ったのが白居易(白楽天)の長恨歌です。
漢皇(かんおう)色を重んじて傾国を思う
で始まるこの長いなが~い漢詩は玄宗が楊貴妃と華清宮(かせいぐう)で出会うところから始まります。そして、
後宮の佳麗三千人、三千の寵愛一身にあり
でその寵愛ぶりが語られます。兄弟姉妹こぞって諸侯となるほどの出世をし、世の人々は男子より女子を産むことを重んずるようになるのですが…。
やがて安禄山の乱が起こると玄宗は都から逃れることになり、途中馬嵬(ばかい)というところで、兵をなだめるために楊貴妃を殺さなければならなくなってしまいます。
中国土産の楊貴妃人形
天巡り地転じて乱が収束し、玄宗は長安の都へ帰ってきます。しかし悶々として楽しむことができません。楊貴妃のことが忘れられないんですね。そして眠れない夜を過ごすのですが、楊貴妃は夢にさえ現れてくれないのです。
悠々たる生死別れて年を経れど、魂魄(こんぱく)かつて来たりて夢にだも入らず
そこで道士をして楊貴妃の魂を探させるんですね。さんざん探した挙句、見つけた楊貴妃は梨の花が春雨に濡れたような風情で現われます。そして道士に思い出の品を持たせ、こう言います。天にあっては比翼の鳥となり、地にあっては連理の枝となろうと誓いましたのに、と。
そして白居易はこの七言古詩の最後をこう結ぶのです。
天長地久時ありてか尽くるも、この恨みは綿々として絶ゆるときなからん
天地が尽きることがあっても、二人が添い遂げ得なかった恨みは消えることがないだろう、というまさに長恨歌ですね。誰しもこんなふうに愛し愛されてみたいものです。
日本にもこれに似たようなお話がありました。韓流時代劇「トンイ」に見るような宮廷ドラマでもありますが、さまざまな人の思惑に翻弄される愛の物語です。『薬子伝』、是非読んでみてください。
マイホームページ おすすめ情報(『薬子伝』出版しました!)
権力者はどうしても愛する人の一族を重用し、反対勢力の反発を招いてしまうんですね。公平にするというのは難しいことです。そして権力者に愛され過ぎたがために悲劇的な最期を迎えるのが美女。そんな悲劇を歌ったのが白居易(白楽天)の長恨歌です。
漢皇(かんおう)色を重んじて傾国を思う
で始まるこの長いなが~い漢詩は玄宗が楊貴妃と華清宮(かせいぐう)で出会うところから始まります。そして、
後宮の佳麗三千人、三千の寵愛一身にあり
でその寵愛ぶりが語られます。兄弟姉妹こぞって諸侯となるほどの出世をし、世の人々は男子より女子を産むことを重んずるようになるのですが…。
やがて安禄山の乱が起こると玄宗は都から逃れることになり、途中馬嵬(ばかい)というところで、兵をなだめるために楊貴妃を殺さなければならなくなってしまいます。
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天巡り地転じて乱が収束し、玄宗は長安の都へ帰ってきます。しかし悶々として楽しむことができません。楊貴妃のことが忘れられないんですね。そして眠れない夜を過ごすのですが、楊貴妃は夢にさえ現れてくれないのです。
悠々たる生死別れて年を経れど、魂魄(こんぱく)かつて来たりて夢にだも入らず
そこで道士をして楊貴妃の魂を探させるんですね。さんざん探した挙句、見つけた楊貴妃は梨の花が春雨に濡れたような風情で現われます。そして道士に思い出の品を持たせ、こう言います。天にあっては比翼の鳥となり、地にあっては連理の枝となろうと誓いましたのに、と。
そして白居易はこの七言古詩の最後をこう結ぶのです。
天長地久時ありてか尽くるも、この恨みは綿々として絶ゆるときなからん
天地が尽きることがあっても、二人が添い遂げ得なかった恨みは消えることがないだろう、というまさに長恨歌ですね。誰しもこんなふうに愛し愛されてみたいものです。
日本にもこれに似たようなお話がありました。韓流時代劇「トンイ」に見るような宮廷ドラマでもありますが、さまざまな人の思惑に翻弄される愛の物語です。『薬子伝』、是非読んでみてください。
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