ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 133ページ目 第四話 人型ソムリエロボットの実力は?  

2012-06-19 22:36:26 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【133ページ】


「承知しました。アジミーの実力が発揮できるワインを選びます。」

「それから、アジミーのソムリエとしての立ち振る舞いの完成度をさらに高めてほしい。」

「わかりました。」と味川が言った。


 二ヶ月後、深川博士のプライベートワイン会が開催され、和音が招待された。

そして、テイスティング対決も申し込まれているが対戦相手のことは聞かせれていない。

和音が、博士の自宅を訪れると、居間に通された。



「今夜は、シャトー・マルゴーを楽しんで頂きたいと思います。」と深川博士が言った。

「それは、楽しみですね。それと博士の開発した新型ロボットも見せていただけるのですね?」

「はい。私は人型ロボットで機能を限定させたロボットを開発し、家庭教師ロボットや受付ロボットをヒットさせ、

最新の大ヒット作はコンビニレジロボットです。」

「コンビニレジロボットですか? そんなに需要がありましたか?」

「予想以上に。コンビニのレジのアルバイト料を自給900円とすると、1日24時間で21,600円になります。

一年間だと7.884.000円になるのです。」

「高価なコンビニレジロボットでもコスト的にペイするわけですね?」

「その通りです。」


深川博士は、少し自慢げな表情を見せた。


「今日、和さんに見て頂く新型ロボットは、商用ロボットではなく、私のプライベートロボットとして開発したものです。」

「そのプライベートロボットはどのような機能を持っているのですか?」

「30万件のワインのデータをインプットされた人型ソムリエロボットです。

今彼女を呼びますね!」

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 132ページ目 第四話 人型ソムリエロボットの実力は?  

2012-06-18 22:33:58 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【132ページ】


 深川博士はテーブルに置かれたシャトー・マルゴー2,000年のグラスに近づき、


「味川さん、我々もシャトー・マルゴー2,000年をいただきましょう。」と言った。

「はい」


 深川博士は、ワインを一口飲むと、本題の話に入った。


「味川さん、2ヶ月後にプライベートワイン会を開催するので、ワイン選んだりするのを手伝ってほしい。」

「ええ、もちろん」


味川は即座に返答した。


「アジミーの披露ですか? 何名招待されるのですか?」

「アジミーの実力を試そうと思っている。 招待は一人で、彼にテイスティング対決を申込みます。」

「招待客は男性で、その方とアジミーが勝負するのですね?」


味川は、ちらっとアジミーの方に目をやった。


「その方はトップソムリエ?」

「いや、和音 通という名前を聞いたことないかな?」

「深川博士が以前話をされていたトップソムリエもテイスティングにかけては敵わない人ですか?」

「そうです。」


深川博士は、シャトーマルゴー2,000年のグラスを飲み干した。


「さすが、このワインはボルドーの格付けシャトーの同業者もシャトー・マルゴーの2,000年は最高傑作だと

褒め称えるだけのことはある」


深川博士は、マルゴーが入ったワインセラーを指さしながら、


「プライベートワイン会で飲むワインは、あの中から選びます。テイスティング対決に使うワインは味川さんが選んでください」

スミレの育て方6月 スミレの閉鎖花の採取 お茶パックで種の採取成功! 

2012-06-16 20:38:45 | スミレの月別育て方
 お茶パックでのスミレの種の採取に成功しました。






 今まで、ゆうぎりやヒゴスミレは鉢植えのスミレのこぼれ種から発芽した苗を植え替えしていて、

この方法は簡単にスミレを更新していく方法のひとつですが、親のスミレと同じ品種かどうかは

花が咲くまでわかりません。

何種類かのスミレの鉢があると、他のスミレの種が飛んできて、発芽している場合もあるのです。

実際、今年アメリカ黄スミレの鉢に、ゆうぎりらしき苗がいくつも発芽していました。


 その点、お茶パックで種を採取する方法は、品種を確定することができます。

次は種蒔きをして、発芽に成功させることができれば、私のスミレの育て方のレベルがワンランクアップします。

秋になれば、種蒔きをしようと考えています。 

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 131ページ目 第四話 人型ソムリエロボットの実力は?  

2012-06-12 21:18:38 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【131ページ】


「はい、テイスティングをさせて頂きます。」


アジミーは、ワイングラスを手に取り、色を確認した。


「色は濃い紫色です。」


彼女は、次に香りを確かめた。


「ブラックベリー、クレーム・ド・カシス、新樽のような微妙な香り、そして亜鉛のようなアロマも感じることができます。」


そして、グラスを口に近づけ、一口飲んだ。

アジミーの口にワインが入った瞬間に、ワインの成分、タンニン、酸味等が即座に分析された。


「このワインは、カベルネ・ソーヴィニヨン90%、メルロ10%の比率です。

タンニンはとてもしなやかで、舌触りはセンセーショナルで、口に含むとそびえ立つスカイツリーのようなワインで、

重かったり、ちぐはぐだったりすることはない。シャトー・マルゴー2000年は、すべてのヴィンテージの中でも

最高の出来栄えのひとつだと思います。」


「アジミー、シャトー・マルゴー2000年の公表されているテイスティングコメントはそびえ立つ

摩天楼のようなワインじゃなかった?」


味川がアジミーに訊いた。


「深川博士がイメージしやすいようにアレンジしました。」


「味川さん、摩天楼をスカイツリーと置き換えても、高名なワイン評論家のテイスティングコメントは、

結局どんなワインかよくわからないなあ?

アジミーが、分かりやすいテイスティングコメントをできるように改善してほしい。」

「承知しました。 少しづつ改善していきますので、数か月時間をください。」

「わかった! よろしく頼みます。」

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 130ページ目 第四話 人型ソムリエロボットの実力は?  

2012-06-11 20:49:01 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【130ページ】


 大型のワインセラーには、深川博士のお気に入りのシャトー・マルゴーが100本以上並べられていた。

ボルドーのメドック地区の格付けワインとしての1級の五大シャトーは、約8,000あるシャトーワイン

の中の頂点である。


 シャトー・マルゴー、シャトー・ラフィット・ロートシルト、シャトー・ラトゥール、シャトー・ムートン・ロートシルト、

シャトー・オーブリオンの五大シャトーの中でも、ワインセラーに置いているのはシャトー・マルゴーのみである。


 アジミーは、ワインセラーの中のシャトー・マルゴーのヴィンテージをすべて記憶している。


「シャトー・マルゴーの2,000年は5本ありますが、どれを選びましょうか?」


アジミーが訊いた。


「深川博士の指示は、シャトー・マルゴー2,000年を1本飲みたいということです。」

「はい。それでは、右端のシャトー・マルゴー2,000年を選びます。」


 アジミーは、ワインセラーからシャトー・マルゴー2,000年を1本取り出した。

そして、味川と共に深川博士のところに戻った。


「すぐ、お飲みになりますか?」

「ああ、三つのワイングラスにシャトー・マルゴー2,000年を注いでください」


 アジミーは、ワイングラスを三つテーブルに並べた。

そして、人間のソムリエのように滑らかな手つきでシャトー・マルゴー2,000年を抜栓し、グラスに注いだ。


「味川さんの手つきとそっくりだね?」

「ええ、最近私の分身のように感じるわ!」

「さて、我々がいただく前に、アジミーにテイスティングをさせてみるよ。

アジミー、先にこのワインをテイスティングして、コメントを聞かせてくれないか」