ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 131ページ目 第四話 人型ソムリエロボットの実力は?  

2012-06-12 21:18:38 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【131ページ】


「はい、テイスティングをさせて頂きます。」


アジミーは、ワイングラスを手に取り、色を確認した。


「色は濃い紫色です。」


彼女は、次に香りを確かめた。


「ブラックベリー、クレーム・ド・カシス、新樽のような微妙な香り、そして亜鉛のようなアロマも感じることができます。」


そして、グラスを口に近づけ、一口飲んだ。

アジミーの口にワインが入った瞬間に、ワインの成分、タンニン、酸味等が即座に分析された。


「このワインは、カベルネ・ソーヴィニヨン90%、メルロ10%の比率です。

タンニンはとてもしなやかで、舌触りはセンセーショナルで、口に含むとそびえ立つスカイツリーのようなワインで、

重かったり、ちぐはぐだったりすることはない。シャトー・マルゴー2000年は、すべてのヴィンテージの中でも

最高の出来栄えのひとつだと思います。」


「アジミー、シャトー・マルゴー2000年の公表されているテイスティングコメントはそびえ立つ

摩天楼のようなワインじゃなかった?」


味川がアジミーに訊いた。


「深川博士がイメージしやすいようにアレンジしました。」


「味川さん、摩天楼をスカイツリーと置き換えても、高名なワイン評論家のテイスティングコメントは、

結局どんなワインかよくわからないなあ?

アジミーが、分かりやすいテイスティングコメントをできるように改善してほしい。」

「承知しました。 少しづつ改善していきますので、数か月時間をください。」

「わかった! よろしく頼みます。」