ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 136ページ目 第四話 人型ソムリエロボットの実力は? 

2012-06-27 20:19:09 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【136ページ】


「和さん、このシャトー・マルゴーのヴィンテージは・・・あっ!」


深川博士は、和音にヴィンテージを訊ねようとして思い出した。


「テイスティング対決の時以外は、ただおいしくワインを飲むのが和さんの流儀でしたね?」

「そうですね。」

「あっ!」


 味川も小さく叫んだ。彼女は、深川から以前聞いた話を思い出したのだ。

和音は、ワインの感想を述べている中で、偶然かどうかは判らないが、ヴィンテージに符号する

言葉が含まれている場合がある。


「シャトー・マルゴーにとって、重要な年がいくつかありますね? まず1855年」


和音は、味川に向かって話しかけた。


「パリ博覧会で目玉企画として、メドックワインのランク付けされた年で、シャトー・マルゴーは1級に

格付けされました。」


味川は、和音との会話をスムーズにおこなった。


「次に1934年。この年は?」

「1929年~1933年の世界大恐慌の影響を受けて、1934年にシャトー・マルゴーはジネスト家の所有になりました。

ジネスト家は、ブドウ畑の拡大や醸造設備の充実に取り組みました。

ところが1960年~1970年にかけて一時期名声を落とします。

さらに1973年~1974年にかけてワインが大暴落して、大損失を受けるのです。」


和音は、味川をじっと見つめた。


「そして1976年。この年は?」