ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 130ページ目 第四話 人型ソムリエロボットの実力は?  

2012-06-11 20:49:01 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【130ページ】


 大型のワインセラーには、深川博士のお気に入りのシャトー・マルゴーが100本以上並べられていた。

ボルドーのメドック地区の格付けワインとしての1級の五大シャトーは、約8,000あるシャトーワイン

の中の頂点である。


 シャトー・マルゴー、シャトー・ラフィット・ロートシルト、シャトー・ラトゥール、シャトー・ムートン・ロートシルト、

シャトー・オーブリオンの五大シャトーの中でも、ワインセラーに置いているのはシャトー・マルゴーのみである。


 アジミーは、ワインセラーの中のシャトー・マルゴーのヴィンテージをすべて記憶している。


「シャトー・マルゴーの2,000年は5本ありますが、どれを選びましょうか?」


アジミーが訊いた。


「深川博士の指示は、シャトー・マルゴー2,000年を1本飲みたいということです。」

「はい。それでは、右端のシャトー・マルゴー2,000年を選びます。」


 アジミーは、ワインセラーからシャトー・マルゴー2,000年を1本取り出した。

そして、味川と共に深川博士のところに戻った。


「すぐ、お飲みになりますか?」

「ああ、三つのワイングラスにシャトー・マルゴー2,000年を注いでください」


 アジミーは、ワイングラスを三つテーブルに並べた。

そして、人間のソムリエのように滑らかな手つきでシャトー・マルゴー2,000年を抜栓し、グラスに注いだ。


「味川さんの手つきとそっくりだね?」

「ええ、最近私の分身のように感じるわ!」

「さて、我々がいただく前に、アジミーにテイスティングをさせてみるよ。

アジミー、先にこのワインをテイスティングして、コメントを聞かせてくれないか」