ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 124ページ目 ロワール川巡り① 

2012-06-05 23:10:26 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【124ページ】


 良子は、カベルネ・ダンジュを手に取り香りを嗅いだ。

和音は、良子のその仕草を眺めながらカベルネ・ダンジュを飲んでいる。


「わっ、ラズベリーやイチゴの気品のある香りがするわ!」

「それは、カベルネ・フラン種由来の香りだと思うよ」 


良子も、カベルネ・ダンジュを口に入れた。


「果実味が豊かで、とてもソフトな味わい。こんなにおいしいロゼ初めてだわ!」

「これは、長期熟成タイプのカベルネ・ダンジュだと思う」

「ええ?ロゼワインにも長期熟成タイプがあるの? マスターそう?」

「これは、1979年のカベルネ・ダンジュです。」

「30年以上前のワイン?」


良子は溜息をついた。


「酸化防止剤無添加ワインは、こんなおいしいワインを否定するのだわ・・・・・」

「今夜の良子さんは、おいしいワインを飲んでも酸化防止剤無添加ワインに結びつけてしまうのだね?」

「あっ、ごめんなさい!」

「マスター、アンジュのロゼ以外に珍しいワイン置いていない?」


和音が、マスターに訊いた。


「貴腐ワインはいかがですか?」

「貴腐ワイン?」


良子は、思わず訊き返した。

貴腐ワインと言えば、ボルドーのソーテルヌ地区の貴腐ワインが有名で、アンジュにも貴腐ワインがあったのか?

と思ったからだ。