ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 137ページ目 第四話 人型ソムリエロボットの実力は? 

2012-06-28 22:44:27 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【137ページ】


「1976年とはに答える前に、ひとつお尋ねしてもよろしいですか?」

「何でしょうか?」


和音は、まるで女性のソムリエと会話している錯覚を覚えた。


「1973年~1974年のワインの大暴落はなぜ起こったかご存知ですか?」

「大きな要因は、オイルショックでした。それに追い打ちをかけたのがワインゲート事件です。」

「ワインゲート事件?それはどんな事件だったのですか?」


深川博士にとっては、初耳の事件であった。


「それは、ワイン商がニセボルドーワインをつかまされた事件です。面白いエピソードが残っているのですよ!

裁判で、裁判官から、それがどうしてボルドーワインだと判らなかったのですか?と訊かれて、そんなことは

誰にもできませんと答えたそうです。」


「アジミーだったら見分けられると思う。」

「ええ?、味川さんでは?」


和音は、思わず聞き返した。


「味川さんは、私の専属ソムリエですよ!」

「味川さん、失礼しました! 手を触ったり、胸やお尻を触ろうとしてしまいました。」

「いえ、OKを出した博士が悪いのです。」


味川は、深川博士を睨みつけるふりをした。


「話の続きですが、シャトー・マルゴーにとって1976年とはでしたね?」


和音は、うなずいた。


「ワインの大暴落の後、熱意を失ったジネスト家からメンデロブロス家に所有者が替わった年です。」