ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき セカンド(改訂) 114ページ目 タブレットを操るソムリエ サントーバン  

2014-01-05 22:46:48 | ワインバーでのひととき2改訂三話まで完
【114ページ】 


 紙を取り払われて、出てきたワインはサントーバンであった。

サントーバンは、白ワインの最高峰モンラッシェを産するピュリニーモンラッシェ村

とシャサーニュモンラッシェ村とに隣接する村である。


 しかしモンラッシェがあまりにも有名なので、その影に隠れていて、ちょっとした

ワイン通でもコストパフォーマンスに優れたサントーバンのワインを知らない人が多い。


「和音さんと引き分けることができたと思ったのですが・・・」


 滝川社長は、サントーバンのラベルを和音に見せながらいった。


「いや引き分けでいいのではないですか?

私が2本目のワインがムルソーではなく、サントーバンであるとはっきり指摘した

訳ではないので」

「いえ、負けを認めます。」



 テイスティング対決が終わると、滝川社長は、おみやげに用意したワインを和音に手渡し、

玄関まで見送った。

そして、彼が部屋に戻ってくると、秋月がなにやら呟いていた。


「秋月さん、ご苦労さんだったね」

「あっ滝川社長!

負けてしまって申し訳ございません。

和音さんがワインの情報を事前に入手しているという私の推測は間違いだったようです。」

「そのようだね?

テイスティング対決を見ていて感じたのだが、秋月さんの実力ならトリックを使わずに

勝負した方が良かったのでは?」