君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
二次小説とオリジナル小説の置き場となっています。
同人に傾いているので入室注意★

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☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

『君がいる幸せ』 五章「時の在り処」 六話「追憶の破片」

2012-02-14 23:24:52 | 『君がいる幸せ』本編五章「時の在り処」
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
 <用語>
惑星ノア 大戦時ミュウが陥落させた人類の首都星 今は人類に返還している
軍事基地ペセトラ 人類の軍事拠点 戦後十二人の代表で議会制になる 
惑星メサイア ミュウが移住した惑星
育英都市スメール フィシスとカナリア達が住む都市
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム(シャトル所有)

   『君がいる幸せ』 五章「時の在り処」 六話「追憶の破片」

  現在・Shangri-La
 敵船ギリギリのワープアウトと同時に主砲を撃つという離れ技をしたシャングリラ。
 アルビオンを停船させるつもりだったシドは「やはり気付かれたか」とつぶやいていた。
 シドはアルビオンのワープ先を算出しつつ、飛び出して行ってしまったブルーをジョミーとトォニィが救出する映像を見ていた。
「トォニィがやっぱりいたね」ソルジャーズのジョミーが言う。
「ジョミーのいた部屋の前のミュウ部隊に知った顔がって言うか、知ったオーラを感じたからね…。彼はトォニィの直属なんだ」
「これからどうするの?」
「いくら精鋭でも、どうせ人間。さっきの転送と今の攻撃で限界がきている者がいるはず、ここからはミュウとして追わせてもらう。ジョミー。一人になったけど出来るよね?」
「僕を何だと思っているの?」 とジョミーは前を見据えた。
 やがて、シャングリラがワープ出来るようになり、跳んだ目の前に、待ち構えるようにアルビオンがいた。
 正面に全砲門を開いた状態の戦艦アルビオン。
「大きな敵を倒すには一点集中で穴を開けて…突破口を開く…か」と思いつつシドは方向を変える事なく突っ込んでゆく。
 二隻とも速度を落とす事無く進んだ。
 射程ぎりぎりでアルビオンの主砲が撃たれる。
 シャングリラの防御バリアがそれをはじく。
 やがて双方のバリアが接触し悲鳴をあげる。
 バリアが先に解けたのはアルビオンの方だった。
 シャングリラの右上空へと回避したアルビオンは急速反転をしてシャングリラを狙う。
 シャングリラも転回しアルビオンを狙っていた。
「降参です。ジョミーそしてトォニィ。彼を放してあげてください」
 シャングリラの船内モニターには、トォニィに捕まったソルジャーズのジョミーの姿があった。
 さっきの接触の時にトォニィが乗り込んで来たのを、どのセンサーも捉える事が出来なかったのだ。
「これは僕の船だもの。気付かれずに出入りする事ぐらい出来るさ。シド、遊びは終わりだよ」
 とトォニィが言った。
「ソルジャー。遊びなんかじゃない!僕はジョミーが船を降りるのを、また黙って見送る事が出来なかっただけだ。今、追わないと、僕はもう二度と彼の前に立てなくなる」
「シド…」

「これで演習は終わりですね」
 と両艦にジョミーの声が静かに伝わる。
「若い兵士は対ミュウ戦を知らないからといって、ミュウ同士の戦いを演習に組み込むのは、無茶な提案ですよ。セルジュ。我々は仲間同士で海戦などした事がないのですから」
「ジョミー…あの…」
 セルジュが言い出すのをジョミーはそっと笑顔で制した。
「知らされていなかったのは僕とシドだけですか…。しかし、知らなかったとはいえ…。先程、僕はコードジュピターを発動させてしまった。本当に申し訳ない。けれど、アルビオンクルーの素早い対応に驚いた。良い船だ」
 ジョミーは戦艦アルビオンのクルーに軍式の礼をした。
「ブルーは僕が連れて行きます。後はお願いします」
 そう言って艦橋から出る時、ジョミーはセルジュにそっと話しかけた。
「君の心遣い。嬉しかった。ありがとう」

 シャングリラに乗っていたセルジュの部下とアルビオンのミュウ達の移動が済んだ二隻はお互いのクルーが見送る中、星に消えていった。

  Shangri-La
 シャングリラ内部でも今回は演習だったと伝えられた。
 有志だけでここまで来たシャングリラは人員が少なく、ガランとしていた。
「やはり、君にはそこが似合っているね」
 艦橋に来たジョミーがトォニィと一緒にいるシドに声をかける。
「短時間で集めた人員で、あれだけの戦闘をやってみせたんだ。凄いと思うよ」
「僕をベルーガから降ろすつもりですか?」
「そうした方が良いと思うけど…」
「まだ何も出来ていません。まだ傍に置いて下さい」
「ジョミー。…ベルーガでいいんじゃない。あれは彼が操縦するのを考慮して作られたのでしょう?」
 トォニィが提案する。
「…了解した…」
 ベルーガの修理がスメールでも出来そうなら、このままスメールへ向かうよ。とトォニィがシドに聞いた。シャングリラはスメールへ向かいワープした。
 スメールでトォニィはもう一度ジョミーを問い詰めようとしたがはぐらかされ、彼は渋々メサイアへ戻って行った。


  Sumeru
 スメールに戻ったジョミーはソルジャーズのブルーを誘いスメールの市街地の公園に来ていた。
「ジョミー…今日は眠くない?」
 自分一人が誘われた事に不安を感じつつ、ベンチに座りさっきから何も言ってこないジョミーにブルーが声をかけた。
 声をかけられたジョミーはチラッとブルーを見たが、育英都市らしいスメールの子供たちが遊ぶ風景を眩しそうに眺めながら答えた。
「ああ、今日は大丈夫」
 ブルーはベンチには座らず立ったままジョミーと同じように子供達を眺めていた。
「話ってなに?」
 ブルーが聞いた。
「ノアの事件から七ヶ月…いや、八ヶ月になるね。カナリア達と暮らして君は何を思った?」
「えっと…仲良くなれてよかったな。くらいかな」
「そうか…」
 ジョミーは目を伏せた。
「普通の答えだな」
「それでいいんじゃないの?」
「…カナリア事件からは二年だね。あの時、カナリアを脅して強制的に意思統一をしたのは君だろう。それには責任は感じていないのかい?」
「……」
 カナリア事件の時の事はソルジャーズがした事だとわかっていたが、皆がその話題を避けていたので、今まで責められる事は無かった。
「あれは…」
「カナリア達が不完全な統一で大変な思いをしているのは知っているね」
「普通に見えるカナリア達が夜中に泣いたりしてるのは…知ってる。でも…でもあれは」
「自分の所為ではない。と?」
「やらされただけだから…」
「君たちが生き残るのに必死だったのはわかる。だけど…自分のした事には責任を持たないといけないよ。彼らは命の危機でもないのに、赤子に還る所だったんだ…ちゃんと話をして普通でいられるようになるのに一年かかった」
「でも、僕だって好きでしたんじゃない!」
 とブルーが大きな声をあげたので、近くにいた子供が驚いて逃げて行った。
「…もし、今、僕がカナリア達に同じ攻撃をするように命令したら、君は出来る?」
「ジョミーはそんな命令をしない…」
「…そうかな…」
 ジョミーは前を見ていたが、顔をゆっくりとブルーに向ける。
 その目は光を帯びていた。
「じゃあ、命令を変えよう…」
 そう言ったジョミーの手に黒い銃が握られていた。
「安全装置は外してある。サイレンサー付きだ…。誰も自分が死んだ事さえ気が付かないまま死ぬ。一発で殺せる。これで、あの子供を撃ってみて」
 さっきまで傍にいた子を指さし、銃をブルーに渡した。
「…な、なぜ撃たないといけない……」
「君の声で逃げたから…あの子は…きっと君が嫌いなんだよ。さぁ、殺してごらん…」
 ジョミーの声に導かれるように銃を持ったブルーの右手が上がり子供に狙いをつけた。
「…嫌だ…」
「撃って」
 静かにジョミーが言った。
「嫌だ。出来ない」
 ジョミーがブルーの後にまわり、照準が落ちそうになっている右手に自分の手を添える。
 そしてこう言った。
「じゃあさ、何故今日は君だけだと思う?」
「え…な、何…」
「ソルジャーズのブルーの弱点は同じクローンのジョミー。そうでしょ?さぁ、あの子を撃って…。でないと…」
「…嫌だ…銃じゃ…嫌だ…」
 その言葉を聞いてジョミーはブルーの手から銃を取った。
 暗示が溶けたブルーは肩で息をしていた。
「この銃は、僕がジュピターの時に使っていた物だ。大きさも重さも僕が扱い易いようにしてある。つまり、狙いは外さないと言う事だ…」
「ジョミーが使っていた?人を…殺したの…」
「ああ、殺している」
 そう言ってジョミーは真横からブルーに銃口を向けた。
「この距離じゃ防げないでしょ?」
「ジョミー…」
「正直に答えて欲しい。ブルー。君は人間を恨んでいるね」
「……」
 ブルーは答えられなかった。


  続く




『君がいる幸せ』 五章「時の在り処」 (閑話)「バレンタイン」SP

2012-02-14 02:46:58 | 『君がいる幸せ』本編五章「時の在り処」
☆バレンタインなので即興で考えてみました。
来年はもう書いてないだろうし、Xmasも何かすれば良かったな。と思ったりしています。

 五章「時の在り処」閑話「バレンタイン」 
※時間軸フリーです
☆CPトォニィとセルジュ

 暇を見つけてジョミーがクッキーを作っているので、日頃の礼もかねて、トォニィがクッキーを焼いてセルジュに届けることになった。
 作ったのは普通のバタークッキーとチョコの二種。
 ペセトラ軍基地での行事に参加する為にやってきたトォニィは早速セルジュの宿舎を訪ねた。
 自分の部屋にトォニィが訪ねてくる事など考えてもいなかったセルジュは何事かと構えていた。
 そして現れたトォニィを見てセルジュは驚いた。
「え…」
「…何黙ってるんだよ…。どこか変?」とトォニィ
 彼はいつものソルジャー服ではなく、ジョミーがジュピターの時に着るようなスーツを着ていた。
 しかも、色は黒ではなく、白だった。
「え…あ…変じゃない…ですが…」
「が、何?」
「白いスーツにオレンジの髪…やっぱり君は派手だなぁ。今日は結婚式に出るって訳じゃないんだろう?」
「結婚式なんかじゃないよ。ここに来るのにこっちの方が目立たないと言われたんだけど…目立つの?」
「あぁ、(何を着ても君自身が目立つからね…)でも、ここに来るにもソルジャー服でいいんじゃないの?」
「だって、正式じゃないんだし、その、友人の所に訪ねるならちゃんとしないとってジョミーが…」
「……」
 そうか。
 彼はこんな風に友人の家に遊びに行くという事をしたことがなかったんだとセルジュは思った。
「では、どうぞ」とトォニィを招き入れた。
 ジョミーに教えてもらってクッキーを作ってきたと言うので紅茶を用意しつつ、ジョミーがラッピングもしてくれたクッキーを受け取ったセルジュはそこに添えられたカードを見つけた。
 カードにはこう書いてあった。
「2.14に君の所に「チョコ」クッキーを作って行くと言うので、ドレスアップさせてみたが、いかがなものかな? Jomy」
 以前、二人で焚き付けたお返しをのし付きでされた気がするセルジュだった。
「人類ナイズされ過ぎですよ。ジョミー」


☆CPジョミーとキース
「バレンタインなんて…」と思いながらジョミーはトォニィを見送った。
 それでも、その日は以前から知っていたけれどチョコはママからもらっただけだったと少し凹んでいた。
 どうせ、キースの所には山ほどのチョコが届いているのだろうし…今日はキースはペセトラには来ていなかった。
 それでも…。
「会いたいな…」

 何日かしてからキースからお礼の文が届いた。
 彼のデスクにクッキーが置いてあったと言うのだ。
「誰にも知られずに置いていくなんてお前しか出来ないだろう」とキースは言った。

 たかが、菓子を届ける為に何光年も跳んで行く程僕は暇じゃない。
 そうさ、そんな事…してない。
 そうさ、したなんて言ってやらない。



 五章「星の在り処」(閑話)「バレンタインディ・キス」(甘くないデス)

☆CP ジョミー×2
 (半年ほど前/Sumeru)
 カナリアのマリアとブルーがキスしたと噂になった。
 僕はそれが面白くなかった。
「ジョミーちょっといい?」
 と僕はジョミーの部屋を訪ねた。
 僕は彼、ジョミーのクローンで彼の心の動きに敏感で、でも、それを別に気にする事もなく暮らしていた。
 けれど、最近はちょっと彼の心が見えなくなっていた。
 だから、彼が何故、ブルーにキスを教えるなんて事をしたのかが不明だった。
「ブルーに呑まれたんだよ」とジョミーが答える。
「それじゃ、納得がいかない」
「だよね」と笑う。
 彼は僕なのに、僕は彼がわからない。
 なんで…ううん。多分、僕は僕がわからないんだ。
「ジョミー、僕とキスしてみようか?」
「…ええ?」
「自分にキスするなんて、滅多に出来ないチャンスだ」
 ジョミーは僕の肩をつかんだ。
 そしてそのまま唇が重ねられる。
 彼と自分は同じだと言っても、僕はまだ十四歳で彼は二十歳前後まで成長しているので、背の低い僕が彼を見上げる形になる。
 唇が触れただけのキスの後で、ジョミーが言った。
「…いい?キスより先も教えてあげようか…?君は僕じゃないんだ」とジョミーが言ってもう一度唇を重ねてきた。
 二度目も優しいキスだったけれど、唇が離れた後、彼の唇が頬から耳元へ耳から首筋へ移動する。 肩をつかまれたままな僕は身をすくめるしか出来なかった。
「…う……」
「同じじゃないと言っても感じる所は同じなんだね…」
 とジョミーが言う。
 その言葉に僕は真っ赤になった。
「嫌だ」と慌てて彼を手で跳ね除けた。
 それでもまだ肩を掴まれたままだった。
 ジョミーは僕を見て抱きしめた。
「ブルーはね。早く大人になりたいと思っているんだ。だから色々と焦っている。君達は癒しのキスをした事があるね…」
「……あの時はブルーが…」
「誤って人を殺した…。君は彼を救おうとした」
「はい…」
「その時から、ブルーの中で君は守るべき対象になった。君はそこから出て自分で生きようとしている。その事に今、彼は苦しんでいる。彼はまだ何をすれば良いのかが見えてないんだ」
「僕はどうすれば…」
「君たちは特別な存在だ。今までは一緒だった。けれど、これからは自分を見つめて生きて。そして、ゆっくり二人のこれからを築き上げていけばいいんだ」
「…はい」
「さっきのキスは僕からの餞別。ブルーからされても嫌なら嫌だって言えよ。ジョミー」
と笑った。
「…されてもって…」
「僕はね嫌じゃなかった。だから…僕は流されたんだ。彼は、僕の人生を変えた人だから…僕は彼が好きで、そして怖いんだ。彼は僕を壊せるんだ…」
「…ジョミー」
「君は流されないで」
 と僕を抱きしめた。
 僕も彼を抱きしめた。



  閑話  終

  星の在り処 7へ続く(本編に戻ります)


☆皆様、良いバレンタインをお迎え下さい☆