趣味の日記

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マリー・アントワネット

2007-02-17 23:58:54 | Weblog
昨日の名古屋行きで新幹線に揺られた振動が響いたのか、今日は肋骨が痛みます(汗)。
動くのにはだいぶ慣れてきたんですが、どうもお腹の底からビリビリ響くようなものは、骨にも来るみたいです。
とはいえ、痛いなぁ~と胸をさすりつつ、梅田芸術劇場の「マリー・アントワネット」を観てきました。

アントワネットといえば、やはり「ベルばら」イメージが強く、さらに知識としても私はやっぱり「ベルばら」から得たことしか知らないんだなぁと、つくづく思いましたね(笑)。どんな場面を観ていても、マンガではこう描いてた~という絵面が浮かびます(苦笑)。
今回のミュージカルでは、アントワネットと同じ「M.A.」のイニシャルを持つ貧しい娘のマルグリット・アルノーが見たフランス革命という視点になってますね。
とはいえ、アントワネットとマルグリットの運命が交錯していく中で、語り手はまったく別の、劇作家ボーマルシェ。さらに全ての事件を見つめている錬金術師カリオストロと、革命を背後で操るオルレアン公とがいて、物語の比重的にちょっと散漫な印象が残ります。
マルグリットの理解者として修道女のアニエス、アントワネットの傍らにはフェルセンがいますが、それも存在の意味が中途半端なような。
遠藤周作さんの原作はどんなものなのか知らないのですけど、作品としての方向性は本来、フランス革命そのものへの疑問と皮肉な視点、その中でアントワネットの存在が象徴するもの、そういったことじゃないかと思うのですが。
カリオストロは、「エリザベート」でいえばトートのような役割を担うべきなのでしょうけど、それにしてはアントワネットだけでなく、ほかの誰にもほとんど絡まない。ただ回り舞台の真ん中で歌っては消えていくだけ(苦笑)。
ボーマルシェも、語り手ではあるけどルキーニのように自分で動き回ることもあまりなく、傍観者に徹してる。
それならいっそ、マルグリット一人の視点に絞って、マルグリットを主役にしちゃえば?と思うんですけど、アントワネットにもフェルセンとのやりとりがあったりして、どうもまとまらない。
各々の人物をそれぞれ動かしすぎじゃないかとも思うんですけどね。
音楽も、リーヴァイ氏だけあって凝ってますけど、「エリザベート」や「モーツァルト」みたいに強烈に印象に残るナンバーはなかったです。
小池先生の演出じゃないのも、違和感の要因のひとつなのか?一番描くべきところに手が届いてないような、もどかしさがあります。

アントワネットのカナメさん、相変わらずツルツルの玉子肌で、年齢不詳(笑)。王妃になったばかりの贅沢三昧で我儘放題のアントワネットと、革命が起こってからもなお王妃のプライドを強烈に主張するところが、誇り高さよりも高慢に見えるのが、良いのか悪いのか。単なる悲劇の王妃として描く作品でないので、民衆から見て‘イヤな女’であるのも正解だと思いますが、かといってマルグリットが革命に疑問を持つに至る過程としてアントワネットの存在がある以上、ある意味でのアントワネットの正しさみたいなものもあっていいと思うんですが。
マルグリットは笹本玲奈ちゃん。歌も上手いしちゃんと存在感もありますね。本来主役のはずのマルグリットが、周りの人物達にただ振り回されていいように使われてるだけに見えてしまうのは、周りの役者陣の個性が強すぎるのか、演出のせいなのか。
カリオストロの山口祐一郎さん。・・・何のための存在なのかがよくわからない(爆)。
ボーマルシェの山路和弘さんは上手いですね。とはいえ、語り手のみに徹しすぎちゃってるので、劇作家としての皮肉な革命観みたいなものをもっと描く場面があればいいのに。
お得だったのはオルレアン公の高嶋政宏さん。ルキーニの印象が強いせいもあるでしょうが、実際に民衆を動かして革命を操る黒幕なので、トートとルキーニを足したような存在に見えます(笑)。
フェルセンの井上君。アントワネットを愛するあまりに自己を追い詰めていく青年、という風情は似合ってましたね。とはいえ、この作品の中でのフェルセンの役割が、今ひとつ見えてこない。
アニエスの土居裕子さんも同様。一貫して神の愛を説き、革命への疑問を投げかけてますが、そのわりに誰もアニエスの言うことを聞いてない(爆)。
ルイ16世の石川禅さんが、人の好い誠実な国王様で、革命の虚しさと悲劇を一番よく象徴していたと思います。

一足先に観た姉が、「もっとシビアに描くべき作品が、東宝らしい甘い演出になってる」と感想を述べてましたが(苦笑)、何となくわかる気がしました。
ドイツでロングラン公演決定!とロビーだったかに書いてありましたけど、正直、このままじゃ無理だろうと思ってしまいました(汗)。

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