連日報道されるウクライナの街の破壊と市民への非道の数々は、われわれの人間に対する認識を大幅に超えて、ほとんどの人に衝撃を与え続けている。
早々と投降するだろうと読んだプーチンの思惑に反して、ウクライナ軍の抵抗はすさまじく、加勢する西側のEUやNATOの結束は、当初よりも数段強くなってきた。
特にロシアと国境を接しているフィンランドやスウェーデンは、次は自国が狙われると身の危険を感じ、NATOへの加盟を真剣に考え始めた。
プーチンの野望が明らかになった以上、現実に危機が迫ってきたのは明らかで、中立であることを存立の基盤としてきた各国が警戒するのは当然である。
その結果、最近NATO加盟の可能性を強く表明したフィンランドのマリン首相とスエーデンのアンデション首相の共同記者会見が注目を集めた。
左・アンデション首相 右・マリン首相
(画像は毎日デイリーから)
両国はいずれも女性が首相を務めていて、ひと昔前では考えられない陣営になっている。
記憶に新しいドイツのアンゲラ・メルケル前首相に続いて、現在ヨーロッパでは政治・経済をけん引する女性指導者が注目されている。
数えてみると、前出の
フィンランドのサンナ・マリン首相
スエーデンのマグダレーナ・アンディション首相
ほか、複数の国で女性指導者が誕生している。
デンマークのメッテ・フレデリクソン首相
リトアニアのイングリダ・シモニーテ首相
アイスランドのカトリン・ヤコブスドティル首相
ノルウェイのエルナ・ソルベルグ首相
エストニアのケルスティ・カリユライド大統領
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長
スコットランド自治政府の二コラ・スタージョン氏
など、いまや大きな潮流となっている。
なぜ、ヨーロッパ各国民は女性指導者を選ぶのか。
推察するに、平和を願う気持ちや公平感、協調性により深い理解が感じられるせいではないだろうか。
いわば、「知の指導者」である。
そうした女性の判断力が、今回のロシアによるウクライナ侵攻で素早い反応を見せた。
プーチンが自らの願望を卑劣な手段で実現しようとする現実に、もはや中立という立場は存在しないと確信したのだ。
NATOに加盟することが、唯一無二の防衛手段だと判断した。
当然プーチンは逆上するだろうが、旧ソ連圏の国々や国境を接する中立国をそのままにしておいて、いずれ侵攻しようという魂胆が見え見えなのだから、現時点での最良の選択になるだろう。
当初は、ロシアを刺激しないように自国の中立を宣言しかけたウクライナのゼレンスキー大統領だが、ブチャでの大量殺戮をその目で見て、再度NATO加盟へ舵を切ったようだ。
果たしてNATOの判断はどのように下されるのか。
国際社会は、後のないプーチンと対峙する勇気があるのかどうか、今こそ試されている。
(了)
2人共若い女性なので、何故だろうと、不思議な気がしました。
日本では、急死した政界のボスの娘が、弔い合戦とか何とか言って議員に当選したのは見たことがありますが、首相というのはビックリです。
確かに、利権からみの匂いがせず、公平感があり、演説も分かり易い印象は受けます。
今回のロシアによるウクライナ侵攻で、女性の判断力が素早い反応を見せたので、プーチンにとっては、予期せぬ”オウンゴール”になりましたね。
最後に勝つのはどっちか、おのずから見えてくいる気がしますが、プーチンの怖さはまだ全貌を現わしていません。
ウクライナが一段落したら、こんどは我が国がターゲットになる可能性が強いですね。