近ごろ誤変換が多くて参っている
多くはこちらのうっかりミスだが
物覚えの悪いパソコンの怠惰な態度にも原因がある
もう5年も付き合う仲だろうオレに慣れろや
例えば「百舌の贄」など類似語がなければ間違わない
褒めた途端に「なければ」を「泣ければ」には泣かされる
どうして普段使う言葉を誤変換するのだい
単純に前の使用例をなぞるのはやめてくれ
こんなことだと . . . 本文を読む
我が家にやってきた自走掃除機ル〇バ
広々としたフロアを念頭に作られたんだろうに
机や椅子の脚だらけの部屋で
あっちへ行っちゃゴツンこっちを向いちゃゴツン
2~3日ですっかり気の毒になってしまった
おまえ傷つかなかったかい?
ぼくは丸い性格だからぶつかっても大丈夫
相手もぼく自身も傷つかないように設計されているんだ
障害物に引き留められて立ち往生はするけど
動ける隙 . . . 本文を読む
ムサビとあだ名したあの男は
いつも絵の具で汚れたジーパン姿で
ぼくの部屋にふらりと現れた
最近画いたというルオーに似た絵を提げ
絵の具代でいいから買ってくれという
ぼくも同じような境遇だから気安く応じた
フランスに留学するのが夢だったが
ある日とうとう実現しそうだと告げに来た
同期のお嬢様が応援してくれるのだそうだ
いかにもムサビら . . . 本文を読む
(朝の酔芙蓉)
画像は(RORTI)より
太陽の化身 ひまわりも
酷暑に咲く 仏桑華(ハイビスカス)も
戦争という悲劇に 巻き込まれた
玉音放送を 項垂れて聴いた人びとは
沖縄の悲惨を あまり知らなかった
ハイビスカスを 仏桑華と呼ぶことも
美しさの代名詞でもあった 芙蓉の花
火炎放射器に焼きただれた沖縄には
仏桑華(芙蓉)は 似合い . . . 本文を読む
筏葛(ブーゲンビリア)
(季節の花300)より
初夏の光は 希望の使者
ほら 筏に乗ってあなたのもとへ
意味ありげな秋波が送られる
ああ あか紫の誘惑よ
イカダカズラのいたずら心だろうか
18世紀にリオデジャネイロで発見された
南米ブラジル原産の情熱的なつる性常緑低木よ
紫 赤 黄 橙 白などの花を携えて
ようこそ日本に来てくださいました
. . . 本文を読む
キランソウ
(ウェブ画像)より
聞いて驚くなよ 皆の衆
オイラの異名は医者殺しっていうんだ
まるで凶悪きわまりない殺人犯みたいだろ?
でもさあ ほんとは誉め言葉なんだって
医者いらずとか医者泣かせと同じ意味
それなら納得だが ちょっとキツイよな
ほかに地獄の窯の蓋とも呼ばれている
やっぱり憎まれていそうな不安があるが
いやいやそ . . . 本文を読む
特別急行「にちりん」
ただいま大分から戻りました
報告した自分の声に気づいて目が覚めた
ええーッ? 俺は何処へ行ってたんだ
いったい誰に報告しているんだ・・・・
リタイアして30年も経つのに
ぼくの記憶はしばらく霧の中をさまよった
乳白色に霞んだ森の奥が明るみ初め
そこに暈を伴なった日輪が現れた
暈は虹色に変化し眩しさに目を細める
そうかJR九 . . . 本文を読む
シャガ
四月に入っていっぺんに暖かくなった。
ちらほら咲きかけていたシャガが、われもわれもと花開いた。
チューリップ
最初の球根から、今年で6年目の子孫である。
ずいぶんイジケているが、咲いて見せる根性には恐れ入りました。
スイセン
そろそろ終わりに近い感じだが、最後の光芒を放っている。
ひと月ぐ . . . 本文を読む
ハコベ
(ウェブ画像)より
薄暗がりからぼーっと浮かび上がる
清楚な姿のあなたは誰?
春を待たずに起きだして
しあわせを運ぶメッセンジャーですか
それとも花の王冠をしずしずと運ぶ
王室づきの侍女でしょうか
もう広場には多くの人が集まっています
戴冠式を待ちのぞむ素朴な民たちでしょうか
朝 . . . 本文を読む
スズランスイセン
(ウェブ画像)より
ある日きみから一通の手紙をもらった
東京の下町から近県に疎開して15年経っていた
ぼくの住所をどのように探り当てたのか
戦火を逃れて互いに町を離れていたのに
手紙を手にして最初に感じたのは
なつかしさというより戸惑いだった
だってぼくは一緒に遊んだはずのきみを
あまりはっきりとは思い出せないんだ
  . . . 本文を読む
カタバミ
〈ウェブ画像〉より
六月は家庭に何かが起こる月
エミちゃんは父さんに子犬を捨てられた
マンションのクローゼットに隠しておいたのに
父さんの出勤前に見つかってしまった
母さんには内緒にするように頼んでおいた
ちょっとの間だけよと見逃してもらったが
シロがクンクン鳴いたので
父さんが気づいてしまったのだ
ここでは犬も猫も飼 . . . 本文を読む
ヒトリシズカ
(ウェブ画像)より
陽のあるうちに壺阪山の宿に入ると
川を見下ろす座敷に煎茶と葛菓子が待っていた
せせらぎの音を聴きながら一服していると
八十歳目前で逝ったSさんとの思い出が甦ってきた
Sさんは小さな出版社の社長だった
ぼくがその零細企業の社員第一号だった
一番の思い出は木更津まで歌集の納品に行って
帰り道でミゼットのライトが点か . . . 本文を読む
〇 新庄に 「お前は悔しいくらい可愛いな」〈故野村監督のことば〉
〇 野球のセオリー とらわれない剛志を大抜擢〈日ハムの首脳陣やったね〉
〇 捨てる神〈トライアウトでどの球団もノー〉あれば 拾う神あり〈まさかの日ハム監督〉
〇 野村監督さん 広い天から 僕の采配・選手指導を見ていてください〈新庄剛志〉
〇 大谷は 大リーグ選手にまで愛されて〈選手間投票による年間最優秀選手に選ばれる〉
〇 . . . 本文を読む
ああ 秋が恋しい
秋はどこへ行ったの?
えっ どうしたの
秋なんて 目の前にあるじゃないか
どこに?
見えないよ
そうか 君は
秋を特別なものに思っているんだ
そりゃそうさ
高い空 澄み切った空気
心地よい風 揺らぐ野の花
晴れ晴れとした気分
う~ん たしかにな
あるいは君の . . . 本文を読む
海が咲いた 空が咲いた
国営ひたち海浜公園のはるかな地平に
幸せの国が浮かんでいる
空が咲いた 海が咲いた
なんというブルーだ
吸い込まれるアクアの青だ
海が咲いた 空が咲いた
世界の花々がいっせいに息を呑む
それほど特別の青の賜物だ
海も空も咲かない公園は
どんよりと心が萎える
こんな気持ちを人はなぜブルーというのだろう
& . . . 本文を読む