視聴率20%台をキープし、好調のNHK大河ドラマ「龍馬伝」。主人公・坂本龍馬役の福山雅治(41)や、三菱グループ創始者・岩崎弥太郎役の香川照之(44)をすごみのある芝居で食った名脇役がいる。土佐藩の開国派の参政・吉田東洋を演じる田中泯(みん、64)だ。お茶の間ではまだまだ知られていないが、その正体は?
「わしは殴ってもいいがじゃ。天才じゃき」
「何の力もないもんは黙っちょるしか仕方ないがじゃ」
21日の放送で、庄屋からワイロをもらう奉行の不正を訴える弥太郎と龍馬を、東洋が叱る場面は強烈だった。
酒宴の席で土佐藩当主の山内家ゆかりの旗本の振る舞いに怒り、頭を殴ったという東洋の気骨の強さを知り、理解してもらえると期待していた弥太郎と龍馬は、失意のどん底に突き落とされる。
東洋の憎々しいまでの傲岸不遜(ごうがんふそん)な表情は、迫力満点。映画評論家、おかむら良氏は「まるで、部下を虫けら扱いするパワハラの固まりのような重役。絶対に上司にしたくないタイプ」と評する。
演じる田中は、もともとは1960年代から国内外で活躍する前衛舞踏家としてその道では有名だ。オペラ、美術、音楽でもマルチに才能を発揮している。
「1981年から舞踏グループを率いて山梨県白州町で農業生活をしていて、今流行りのエコなライフスタイルを先取りしているような人」(おかむら氏)という。
映画は遅咲きで、初進出したのは2002年の山田洋次監督「たそがれ清兵衛」。真田広之演じる主人公に討ち取られる敵役で、数々の映画賞を受賞した。
山田監督の「隠し剣 鬼の爪」(04年)では一転、剣道の指南役に。犬童一心監督「メゾン・ド・ヒミコ」(05年)では、妻子を捨ててゲイバーのママとなり、ゲイのための老人ホームを設立する男を好演。企業買収を描いたNHKドラマ「ハゲタカ」(07年)では、電機メーカーの特殊技能士を渋く演じるなど役柄は幅広い。
「龍馬伝」のチーフ演出は、「ハゲタカ」と同じ大友啓史氏。「圧倒的な存在感を大友氏に買われ、再起用された」(NHK関係者)というわけだ。
田中の素顔についておかむら氏は「自分からペラペラしゃべるタイプではないが、聞いたことにはちゃんと答えてくれる。身長があるし、背筋がピンと伸びて姿勢がよく、身のこなしにムダがない。姿勢がいいからどんな衣装も自分のものにしてしまう」とインタビューの様子を振り返る。
田中本人は「僕は演技の専門家ではないから、監督にうまく引き出してもらって物語の中に存在したい」といたって謙虚だといい、吉田東洋とは正反対のキャラクターのようだ。
「龍馬伝」では、物語が進むにつれ、東洋はおいの後藤象二郎(青木崇高)や弥太郎ら有能な人材を登用し、龍馬にも一目置くようになる。が、尊王攘夷を唱える武市半平太(大森南朋)の土佐勤王党と対立。最後は志士に暗殺される。
隠し味のようにピリリと効いてくるいぶし銀の演技を今からチェックしても遅くない。
2/24 夕刊フジ
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「わしは殴ってもいいがじゃ。天才じゃき」
「何の力もないもんは黙っちょるしか仕方ないがじゃ」
21日の放送で、庄屋からワイロをもらう奉行の不正を訴える弥太郎と龍馬を、東洋が叱る場面は強烈だった。
酒宴の席で土佐藩当主の山内家ゆかりの旗本の振る舞いに怒り、頭を殴ったという東洋の気骨の強さを知り、理解してもらえると期待していた弥太郎と龍馬は、失意のどん底に突き落とされる。
東洋の憎々しいまでの傲岸不遜(ごうがんふそん)な表情は、迫力満点。映画評論家、おかむら良氏は「まるで、部下を虫けら扱いするパワハラの固まりのような重役。絶対に上司にしたくないタイプ」と評する。
演じる田中は、もともとは1960年代から国内外で活躍する前衛舞踏家としてその道では有名だ。オペラ、美術、音楽でもマルチに才能を発揮している。
「1981年から舞踏グループを率いて山梨県白州町で農業生活をしていて、今流行りのエコなライフスタイルを先取りしているような人」(おかむら氏)という。
映画は遅咲きで、初進出したのは2002年の山田洋次監督「たそがれ清兵衛」。真田広之演じる主人公に討ち取られる敵役で、数々の映画賞を受賞した。
山田監督の「隠し剣 鬼の爪」(04年)では一転、剣道の指南役に。犬童一心監督「メゾン・ド・ヒミコ」(05年)では、妻子を捨ててゲイバーのママとなり、ゲイのための老人ホームを設立する男を好演。企業買収を描いたNHKドラマ「ハゲタカ」(07年)では、電機メーカーの特殊技能士を渋く演じるなど役柄は幅広い。
「龍馬伝」のチーフ演出は、「ハゲタカ」と同じ大友啓史氏。「圧倒的な存在感を大友氏に買われ、再起用された」(NHK関係者)というわけだ。
田中の素顔についておかむら氏は「自分からペラペラしゃべるタイプではないが、聞いたことにはちゃんと答えてくれる。身長があるし、背筋がピンと伸びて姿勢がよく、身のこなしにムダがない。姿勢がいいからどんな衣装も自分のものにしてしまう」とインタビューの様子を振り返る。
田中本人は「僕は演技の専門家ではないから、監督にうまく引き出してもらって物語の中に存在したい」といたって謙虚だといい、吉田東洋とは正反対のキャラクターのようだ。
「龍馬伝」では、物語が進むにつれ、東洋はおいの後藤象二郎(青木崇高)や弥太郎ら有能な人材を登用し、龍馬にも一目置くようになる。が、尊王攘夷を唱える武市半平太(大森南朋)の土佐勤王党と対立。最後は志士に暗殺される。
隠し味のようにピリリと効いてくるいぶし銀の演技を今からチェックしても遅くない。
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