黒船来航から江戸幕府滅亡までの出来事を、旧美濃路の起宿(現一宮市)に残された史料で紹介する「幕末の起宿」展が、一宮市の尾西歴史民俗資料館で開かれている。記録を通して、時代の激動が地方の宿場にも大きな影響を及ぼした様子がうかがわれる。8月31日まで。月曜休館。
当時、庄屋だった起宿脇本陣林家に伝わった古文書などを基に、「黒船来航」「桜田門外の変」「皇女和宮の下向」「将軍家茂(いえもち)御進発」に分けて考察している。
黒船来航では、1853(嘉永6)年にペリーが幕府に開国を迫ったころ、尾張藩が防御のため宿場一帯の村々から人夫を徴用したことを示す「村方願達留」を展示。この地方でも黒船に対する不安が広がっていたことが垣間見える。
また、1860(万延元)年3月3日に起きた桜田門外の変については、林家に伝わる「桜田門外一件」に詳細な記述がある。大雪の中、赤いかっぱやずきんを着けた水戸藩の浪士らが大老・井伊直弼の行列を襲撃。直弼は乗っていたかごに刀を突き刺され、左側に転がり落ちた後、首を取られたなど、詳細に記されている。
このほか1865(慶応元)年5月に長州征伐のための家茂の大軍が宿泊した際の宿割りを、絵図を基に再現した展示もある。
7月30日 毎日新聞