いろは丸事件が解決し、長崎から兵庫に向かう船中(土佐藩船夕顔)で龍馬が後藤象二郎に示した大政奉還論とその後の政策案。横井小楠の「国是七条」の思想が色濃く反映されている。
6月12日朝、兵庫に上陸して14日に京都に入った後藤は早速これを諮問し、同日夜には武力討幕論と公武合体論のはざまにあった土佐の藩論と決定され、10月3日には大政奉還の建白書が幕府に提出される。
原文書も写本も現存せず、詳しい成立過程を証明する史料もないため、青山忠正や松浦玲などの歴史家は、龍馬が作成に関わっていない可能性があることを指摘している。また、もともとのオリジナルは上田藩士で軍学者の赤松小三郎の構想とも、真木和泉(水天宮宮司、久留米藩士、禁門の変で自刃)が1861年(文久元年)に著した『経緯愚説』とも言われている。
船中八策の他に『新政府綱領八策』というものが存在する。近年の学説では『新政府綱領八策』こそが象二郎に提案したものであるとの見解がある。しかし、『新政府綱領八策』は慶応3年(1867年)11月に龍馬の直筆で書かれているので、時期的にみれば『新政府綱領八策』は新政府の構想会議用資料として複数作られたものと推測できる。
なお現在、『新政府綱領八策』は国立国会図書館と下関市立長府博物館に保存されている。
内容は以下の通り
一 天下ノ政権ヲ朝廷ニ奉還セシメ、政令宜シク朝廷ヨリ出ヅベキ事。
一 上下議政局ヲ設ケ、議員ヲ置キテ万機ヲ参賛セシメ、万機宜シク公議ニ決スベキ事。
一 有財ノ公卿諸侯及ビ天下ノ人材ヲ顧問ニ備へ官爵ヲ賜ヒ、亘シク従来有名無実ノ官ヲ除クベキ事。
一 外国ノ交際広ク公議ヲ採り、新ニ至当ノ親約ヲ立ツベキ事。
一 古来ノ律令ヲ折衷シ、新ニ無窮ノ大典ヲ撰定スベキ事。
一 海軍亘ク拡張スベキ事。
一 御親兵ヲ置キ、帝都ヲ守衛セシムベキ車。
一 金銀物貨宜シク外国ト平均ノ法ヲ設クベキ事。
以上八策ハ方今天下ノ形成ヲ祭シ、之ヲ宇内万国ニ徴スルニ、之ヲ捨テ他ニ済時ノ急務アルナシ。筍クモ此政策ヲ断行セバ、皇運ヲ挽回シ、国勢ヲ拡張シ、万国ト並立スルモ亦敢テ難シトセズ。伏テ願ワクハ公明正大ノ道理ニ基キ、一大英断ヲ以テ天下ト更始一新セン。
この船中八策が新政府綱領八策となり明治政府の大きな柱となるが、実際にはこの八策が実現できたのはいつ頃のことなのか?
天下ノ政権ヲ朝廷ニ奉還セシメ、政令宜シク朝廷ヨリ出ヅベキ事。
→1867(慶応3年)年 大政奉還
上下議政局ヲ設ケ、議員ヲ置キテ万機ヲ参賛セシメ、万機宜シク公議ニ決スベキ事。
→1890年(明治23年) 第1回帝国議会開催
有財ノ公卿諸侯及ビ天下ノ人材ヲ顧問ニ備へ官爵ヲ賜ヒ、亘シク従来有名無実ノ官ヲ除クベキ事。
→1885年(明治18年) 内閣制度を制定
外国ノ交際広ク公議ヲ採り、新ニ至当ノ親約ヲ立ツベキ事。
→1899年(明治32年) 治外法権の撤廃
古来ノ律令ヲ折衷シ、新ニ無窮ノ大典ヲ撰定スベキ事。
→1889年(明治22年) 大日本帝国憲法を発布
海軍亘ク拡張スベキ事。
→1872年(明治5年) 陸海軍省を設置
御親兵ヲ置キ、帝都ヲ守衛セシムベキ事。
→1872年(明治5年) 近衛兵を設置
金銀物貨宜シク外国ト平均ノ法ヲ設クベキ事。
→1911年(明治44年) 関税自主権の回復
龍馬の考えた近代国家像は明治44年に完成した。
「国是三論」
横井小楠が万延元年に著した、越前藩の藩論一定のための提言書。国政改正のための基本策として、富国、強兵、士道の三点を説いている。富国とは、国を富ませることが民を富ませることになるとして、対外貿易の必要性を訴え、強兵は海軍振興論となっている。挙国一致の軍によって外国の侵略を防ぐとともに、海外に進出して貿易と先進技術の修得を目指す。士道では文武一体論を説き、武士が動乱に対処するには武はもちろんのこと、その方法論を文に求めなければならないとし、そのためには強制的な教育ではなく、士道を尽くそうとする自主性を求めている。つまり開国の進言であって、越前藩主松平春嶽の大政奉還論の基礎となったといっていい。
「国是七条」
横井小楠が、文久2年の松平春嶽の幕府政事総裁就任にともなって幕閣に建白した公議論で、次の七条からなる。
順に、将軍の朝廷への謝罪、参勤交代の廃止と夫人の帰国、外様・譜代にとらわれない人材の登用と公議政治の断行、海軍の設置、官による交易を求めたもので、幕藩体制を否定し、諸藩連合による政治と富国強兵を唱えている。原案にはさらに「廃金銀鋼座、公貨幣」と「開天下金礎」の2ヶ条もあって、幕府の専権を放棄させるものであったが、過激なために削除された。龍馬の「船中八策」の原案となった。
一、大将軍上洛謝列世之無礼
一、止諸侯参勤為述職
一、帰諸侯家室
一、不限外藩譜代撰賢為政官
一、大開言路、与天下為公共之政
一、与海軍強兵威
一、止相対交易、為官交易
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