ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

帰り道

2010-09-14 22:16:38 | Weblog
高知最終日、意地で、空港でカツオの丼を食べた。


おいしかった。

羽田空港から、今日はリムジンバスで新宿まで帰ってきた。

羽田から首都高を通って新宿へ帰って来る道が好きだ。
出張から帰ってきて、ふと自分に戻る時間、
電車での帰り道は、明る過ぎる。

暗い車内で、外のネオンを眺める。
ふと、自分の中の野生を感じる。
これは、コンクリートとネオンに囲まれた人工の闇と光の中だからこそ感じる野生だ。
暗く、孤独。

小さいころ、よく父に連れられて、父の仕事現場に行った。
当時、父はテレビドラマをやっていた。
六本木、赤坂、よく父の運転する車で、首都高を通って行った。
母は、赤プリの大きなカーブを下るのが好きだった。
父は、まあまあかっこよくて、かなりドジだった。
母は、とても知的で美しく、でも融通がきかなかった。

私は、後部座席に座って、外の都会の風景を眺めながら、
前から聞こえて来る父と母の、なんだか哲学的に聞こえる論議を、
なんとなく聞いていた。
あのころ、窓から見上げる東京のビルを眺めるのがすごく好きだった。
父の仕事現場のことは、あまり覚えていない。
でも、首都高の風景はよく覚えている。

今日、高知でお世話になった方と、一緒にお昼ご飯を食べたとき、
嬉しそうに食事をしてくれてよかった。
そして、あなたはどこへ行ってもぶれない。
自分の意見をもっているから、大丈夫な人なんだね、と言ってもらった。

帰り道、暗い首都高で、私は離れたくても離れられない、
いや、離れたいとは思っていない。
この首都高から見える風景に、思い出がいっぱい詰まっているから、と思った。

母がいつも夜遅くに泣きながら思い出す帰り道は、
冷たい雨が降る瀬田の唐橋だった。
私が思い出す帰り道は、両親の楽しい思い出が満ちている。
両親ともに、すでにいないことが信じられないけど、
心の底から感謝している。


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