ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

日本語講座

2014-04-23 22:06:06 | Weblog
旅行の続きを書くところなのだが、
仕事中にあったことを書きたいので、旅行ネタは1回休み。

人の相性というのは、国籍や性別、年齢にあまり関係なく、
ダメな人は、ダメなものだ。お互いに。

私の部下の中国人は、基本的に日本語ができない。
だから、日本人とメール連絡をするときには、相手の言語能力に合わせて、
使える限りの日本語と、中国語や英語を組み合わせ、何とか連絡事項を伝えようとする。
この気合いは素晴らしい!

ただ、その努力を汲み取ってくれない心のせまい日本人もいて、
やれ、礼儀がなってないなどと「いちゃもん」を付けてくる人がいる。
私は、そういう人に対して、まずはあなたが中国語をマスターしたら?
それに翻訳ソフトにかけたときに、正しく翻訳されるようなシンプルな日本語を使うのが、
せめてもの相手に対する礼儀というものだろう。
礼儀がなってないのは、お前のほうだ!と思う。

かねてより、「日本の礼儀作法」と言う
その人流のバーチャル礼儀を中国人に教えるのが生きがいらしい日本人がいて、
例によって、部下が怒られた。

私がそのメールを読んでみると、たいへんしっかりした中国語の文章語で書かれており、
まるで先生に提出する報告書のような美しい文章だったので、
この格式がわからないようなら、この人、中国語は無理なんだな、と思わざるを得なかった。
中国語でもOKと言ってたくせに。

要はあれだ。
中国人の若い女性に、理路整然と説明されたのにカチンと来た日本のオッサン、という図だ。

部下が、しょんぼりしているので、彼女が間違えたことを1つ指摘した。
前にも少しトラブルがあったので、
メールを送る前に必ず私に確認すること、と言っていたのに、
今回は、私が旅行中であったこともあり、邪魔しては悪いと思った彼女は、
そのステップを省いた。

だから、こう説明した。
私は身内、しかも仕事を休んで旅行をしている。
相手は社外の人、通常の出勤日にメールしてきている。
どちらに対して、より気を使わなければならないのか、その順番付けを間違った。
これは、私の休暇を邪魔してでも、私に相談すべきことだ。
その判断を間違ったことで、結果、いま私の仕事はより複雑になっている。
こじれたら、日本人の私だって修正するのは難しい。
だから、その判断ミスは今後絶対に繰り返してはいけないことだ。
確かに、中国人の感覚では、上司の休暇を邪魔しないというのは、
他社に迷惑をかけてでも守るべきポイントだと、私もわかってる。
でも、私は日本人なのだから、今後は必ず連絡すること、と。

そして次に、日本語と中国語は文法が違うように、論理の展開方法が違う。
この文章だと、中国語力が低い日本人は誤解する可能性がある。
中国人のあなたが推測してるポイントとは違う点で、相手は誤解したんだ、と説明した。

すると、「私もう、日本人と仕事したくない」と言う。
(おいおい、私も日本人だよ)と言いたいところだったが、
「それでもいいよ。でもそうしたら、あなたの仕事の範囲は狭くなって行くね」と言った。
彼女はグッと言葉を呑み込んで、私の顔をジッと見つめながら、
ぽろぽろと大粒の涙をこぼした。

で、1つひとつ、メールの中身を一緒に整理して行った。

まあ、相手の日本人が、かなり偏屈なオヤジであることが根本的な問題なので、
説明し終わって、「ほらね、あなたが言っていることは間違っていない。
単に語順の問題だけなんだよ。日本人のことは、この順番で説得すること。
これは、徐々に慣れていけることだし、技術で乗り越えられる単純なことだね」と言ったら、
「うん、わかった。次は気をつけてみる」と言う。

ようやく気持ちも収まったところで、思わず私が、
「それにしても、こいつなんなんだ。バカヤローだな」(バカヤローだけ日本語)と
言ったら、それまでシーンとしていた中国人の部下全員がドッと笑った。
部下に「バカヤローって知ってるでしょ」と聞くと、
「うん、最初に覚えた日本語」との返事。。。

そこで、ミニ日本語講座をやった。
「ぴんぽんぱんぽーん。本日の日本語講座。バカヤローの用法」
バカヤローは誰かを罵るときに使う言葉です。
力を込めてバカヤロー!と、大声で言ってもいいですが、
男性はともかく、女性にはちょっと使いづらいですね。
そこで、嘲笑の意味を込めて、軽めに「バッキャヤロー」とアレンジすることもできます。
「バッキャヤロー」ですね。表情にも注意です。
はい、「バッキャヤロー」。これであれば、若い女性でも十分に使えますね。
特に、イヤな感じの日本のオッサンに言ってやりましょう。
はい。よろしいですね。それでは仕事に戻りましょう。

次に部下全員の元気な「好的!(はい!)」という返事が返ってきた。
いままで、仕事をしましょうと言って、こんなにいい返事だったことないぞ。

きっとこの先、中国のテレビで放送されている抗日ドラマで、
無辜の中国人民が日本軍人に「バカヤロー!」と殴られるシーンを見るたびに、
日本人に対する怒りボルテージがマックス!となるべきところを、
彼らはきっと、ふと今日のことを思い出して、クスクス笑ってしまうだろう。

どうだ。抗日ドラマ。
毒をもって毒を制す、だろう、これは。
うーん。でも日本人、イヤな感じのままだな。やっぱり。


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