ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

スイッチ

2013-01-12 12:04:56 | Weblog
1993年に留学していた頃、名前を知らない女性を呼ぶときには
「小姐(シャオジエ)」と呼んでいた。
意味は「お嬢さん」で、どう見ても「お嬢さん」ではない女性のこともそう呼んでいた。

いまは、「小姐」と呼んでも、誰も振り向いてくれない。
夜のお店で働く女性のことを「小姐」と呼ぶことが多いので、
普通のお店で働く人たちは、「私、そんなじゃないわよ」というプライドとともに、
無視される。
その場合は「服務員(フーユーユエン)」と呼ぶのが普通だ。

あともう1つの呼び方は「美女(メイニュー)」だ。
「服務員」よりも「美女」と呼んだほうが、確実に反応がいい。
そして「美女」は、友だち同士や会社の同僚の間柄でも使う。
「おっ。今日はきれいだね。これお願い」みたいな雰囲気で。

ということで、いつも他部署に行く時は、
元気よく、「へい! 美女」と呼びかけながら入って行くことにしている。
そうすると、中国人の女性スタッフが数人「お呼びかしら?」と乗ってくれる。

これは、日本の会社だと怒られるかもしれないけれど、
中国人と一緒に働く職場では、意外と効き目があるコミュニケーション方法だ。
日本人は、相手や周囲の人の邪魔にならないように小さな声で、
「あの~、いまよろしいでしょうか~」と声をかけるが、
それだと中国の人は「話をする」スイッチが入らないので、逆に驚かせることになる。
これは先日、中国人の同僚がある日本人のことを
「さっきさ~、目の端に大きな虫が見えた!と思って、驚いちゃったよ~!!!」と
爆笑していたことから学んだ。

男性の場合は、「率哥(シュアイグー)」と呼びかける。
これは「かっこいいお兄さん」という意味で、
呼びかけながら席まで行くと「もしかして、ぼくのこと?」と乗ってくる。
すると、みんなでわいわいやる国民性なので周囲の女性から、
「調子に乗るからやめてよ」「え、うそ~、どこが~」などと突っ込みが入る。

とはいえ、仕事中だから、ダラダラと話すことはない。
ほんの30秒くらいのことだ。
というのも、これはコミュニケーションのスイッチなので、
毎回同じような会話が繰り返されるわけだから、ダラダラはしない。
みんなわかっている。

ただし、この段階で周囲の人もなんとなく会話に参加しているから、
その人たちに関係する仕事の依頼だった場合に、巻き込みやすくなっている。
「ねえねえ、これって、もっと何とかならないかな~」
「やり方、変えられる?」「そうだな~、例えば」と話がつながる。

いきなり、これは仕事だから協力してください、と言うと、
中国人はなかなか動かない人たちだけど、
これは、スイッチの入り方が日本人と違うからで、
決して仕事をしたくないからではない。

とはいえ、これはかなり年上の人や社長クラスの人には通じない。
そこはやはりかしこまるのが、中国人でも常識だ。


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