ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

消費社会の神話と構造 普及版

2009-04-15 21:29:45 | Weblog
ジャン・ボードリヤール著、今村仁司、塚原史訳、紀伊國屋書店刊。

原著は、今から約30年前に書かれた。
消費生活では。モノは他人との差異をあらわす「記号」になる、ということを、
いろいろな角度から書いている。

今から30年前か。
確かに、うちにカラーテレビが来たときには、
カラーの映像が見られる、ということよりも、
他の家よりもほんの少し早く、うちにカラーテレビが来た、
ということのほうが重要だったような印象がある。

身の回りのものをブランドでかためる人も、
従来自分が属していた「社会」への決別と、あこがれている「社会」に同化したいという
願望のあらわれ、とも思う。

そういえば、結婚相手の選び方も、そんなふうに思えるときがある。

そうだ。自分を記号化していることはよくある。
先日、転職活動している友人が、いかに見栄えのする職務経歴書にするか苦心していた。
確かに資格は便利な記号だけど、私はその人の人間性がとても好きなので、
なんだかとても、複雑な気持ちだった。
大卒じゃなくたって、国家資格を持っていなくたって、
私は、一緒に働きたいと思う人だから、仕事を楽しんでほしいと思う。

でも、ある程度のステータスがないと、本人が納得しないんだよな。
難しい。

それにしても、今から30年も前に、こんな分析をする人がいたんだ。
すごいなあ。

でも、人間は、生まれたときにゼロからスタートするものだし、
人の賢さや精神性は、それぞれが短い人生で育むものなのだから、
30年前だろうが、1000年前だろうが、あまり変わらないか。