ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

探偵小説は「セカイ」と遭遇した その2

2009-02-18 22:00:29 | Weblog
笠井潔著、南雲堂刊。

今日は後半。
まず『容疑者Xの献身』について。

私もホームレスの下りで、「ここか。わかりやすいな」と思ったので、
私の探偵小説を読む目は、かなり笠井さんの影響を受けているのかもしれない。

それに、献身的な愛を捧げる数学オタクの男性。
正直なところ、純愛とは思えず、かなり気持ち悪いイヤなヤツ、と思ってた。
だいたい、あんなことまでして好きな人の人生に自分を「刻印」するなんて、
なんだか自分勝手だし、ストーカーに近い。
はっきり言って、最後も泣けるどころか、「きも~い」以外の感想をもたなかった。
作者がちりばめているキーワードを集めたら、あの最後はじゅうぶんに予測できるから、
ほぼ全編にわたって「気持ち悪い人の話」と思って読んだので、
当然、泣けるわけないんだよね。

でも、きっと著者は、そんなことも全部「お見通し」で、
あの小説を構築していると思えたから、プロットとしてしっかりしてる、と思った。

笠井さんは、私のこんな感情論とは違って、しごく論理的に文章を進めている。
いやはや、笠井さんの読書量は本当にすごい。いったい一日に何冊読むのだろう。
評論を書きながら小説を書くなんて、本当にどんな頭の構造をしているのか・・・。
とにかく影響を受けてます。

さて、話は変わって、
今日、テレビ番組「相棒」を見たら、岸恵子さんが出ていた。

岸さんは、いくつになっても美しい色気があるなあ。
岸さんというと、私は昔むかしに見た「悪魔の手毬唄」を思い出す。
本当に美しい人だと思った。

確かに今日ひさしぶりに見て、容姿は、年齢を感じるところもあったけれど、
あの身のこなしは、本当に若々しい。

女性の年齢が出やすいのは、下り階段。
どんなに美しく化粧をしてごまかしていても、年齢を重ねると、ついつい下り階段で膝があいてしまう。
あの姿は、本当にガッカリする。
でも、ラストシーンで階段を下りて来る岸さんの足のさばき方は、
まさに妙齢の女性そのものだった。

改めて尊敬。