ringoのつぶやき

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SQ前後に先物主導で大きく動く理由とは?

2012年03月09日 16時26分50秒 | ケンミレコラム

 

■今回のまとめ

1)SQをきっかけに、日経平均が1万円を回復した。
2)日経平均の寄り付きだけが高いと「幻のSQ」になることがある。
3)今日の大幅上昇は「幻のSQ」を見込んだ売り方の買い戻しの影響もある。

日経先物オプションのSQをきっかけに、日経平均が一時1万円の大台を回復しました。今回は、SQに絡んだ需給要因についてレポートします。

世界的な金融緩和で流動性相場といわれて上昇をつづけてきた日経平均ですが、今週は相場関係者の多くが9800円を上値に調整入りしたのではないかと感じていたのではないでしょうか?

しかし、SQ前日(先物・オプションの最終売買日)の昨日の大引け直前に、日経先物主導で一気に上昇しました。

市場関係者の間では、「オプション取引のリスクヘッジにより、先物取引主導で上昇した」のではないかといわれていました。

SQ当日の寄り付きに、日経平均採用の225銘柄にSQ絡みの売買が集中して、日経平均の価格とSQ値が大きく離れることがあります。SQ値が日経平均の高値と安値の間にないことから、「幻のSQ」といわれることがあります。

■「幻のSQ値」とは?

前場段階では、寄り付きに現物の買いが集中し、SQ値が当日の高値を大きく上回るという「幻のSQ」で取引を終了しました。

外部要因としては、ギリシャ債務交換の実現が確実となったことで、海外市場の全面高や円安傾向もあり、必ずしもSQに絡んだ買い注文ではないと思いますが、それでもSQ値が日経平均よりも高い状態で終わると、市場関係者は「幻のSQ」でSQ値を超えずに調整するというジンクスのようなものがあります。

結果的には1万円を回復し、「幻のSQ」にはなりませんでしたが、大引けではSQ値を下回りました。

「幻のSQとは何か?」と疑問に思われる方もいらっしゃると思いますが、ここは初心にもどって、「どうして日経平均の寄り付き値とSQ値で差がでるのか?」について簡単におさらいします。

SQは特別清算指数のことで、日経先物とオプション取引の権利行使決済をするときの清算値となります。日経先物の場合、SQ日に日経平均と日経先物が同じになる契約で売買するのですが、厳密にいうと日経平均ではなく、「日経平均の採用銘柄の寄り付き値」で清算する約束になっています。

一般的に日経先物、オプションともに反対売買して決済することが多いですが、機関投資家や裁定業者などは、最終売買日までに決済をせずSQ値をもって権利行使の決済を行うことがあります。

例えば、本日決まったSQ値は9946円46銭ですが、この数値は「日経平均の採用銘柄の寄り付き値」です。一方、日経平均の寄り付き値は「9911円」ですので、「35円の差」がありました。

日経平均は1分ごとに気配値も含めて計算されるのですが、寄り付きで「買い気配」になっている銘柄はSQ値の計算にはこの時点でははいりません。225銘柄が全て寄り付かないとSQ値は計算されませんので、先に寄り付いた銘柄が下がってしまうと、「日経平均の寄り付き値とSQ値で差が出てしまう」ことになります。寄り付きだけが高いと、「当日の日経平均の価格にはないSQ値が計算される」ことになります。

225銘柄のうち、1銘柄だけでもストップ高などで寄り付かないと、SQ値の算出が大引け後になることもあります。

日経平均先物3月限のラージを9500円で1枚買っていたとしますと、昨日が「反対売買」の最終期日でしたので、SQ値を基に損益を計算することとなります。

【損益計算式】
9946円46銭-9500円×1枚×1000倍=446,460円の利益ということになります。
(最終売買日の終値で反対売買していたら、9760円-9500円で26万円の利益でした。)

また、オプション取引に絡む取引については、昨日の相場上昇を例にしますと、権利行使価格9750円と10000円のコールオプションを売建している投資家が、予期しない相場上昇によって仕方なく先物を買うことになったことがその要因として指摘されていました。

なぜ、コールオプションを売建てている人が先物を買うことになるのかといいますと、コールオプションの売り建て玉を決済したくても自分の買戻しでオプション価格が更に上がってしまうため、それを避けるため先物を買ってコールの売り建て玉の決済の代わりにするからです。

このように、SQが近づくと、投機的、思惑的な取引によってしばしば予期しない相場変動を起こすことがあります。

そして、SQを通過しますと、相場の強弱を測る上でSQ値を意識する市場関係者も多いことから、SQ前後で大幅上昇となったケースをチェックしてみました。

▼SQ前日から上昇に転換したケース

▼長期上昇から押し目を入れSQ当日から反騰したケース

今日、SQが高く決まり、すぐに「幻のSQ」→上値の重い展開→利益確定の売り→本格的な調整といった図式を思い浮かべた方も多かったと思います。本日の相場では、朝方、幻のSQと思い込んだ人たちが来週からの調整を見込んで先物を売ったところに、先物に大量の買いが入り、売っていた人の「買戻し」が原因で10000円までつけてしまったとの見方もあるようです。

SQ後はSQ値を節目と見る関係者もいますので、来週以降、SQ値の9946円が意識される可能性もありそうですし、取引時間中に1万円の大台を回復し、大引けにかけて失速したことから、目標達成感も強くなっているかもしれません。

いずれにしても、2日で400円近く日経平均が急騰した背景が「SQに絡んだ需給要因」もあるかもしれませんので、「上昇中の銘柄の高値を追いかけて買う」のは控えた方がよいと思います。

レポート担当:ケンミレ株式情報 新美 文康



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