金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

50:白井かなこ 『真夏の風船』

2005-07-09 19:32:22 | 05 本の感想
白井かなこ『真夏の風船』(講談社F文庫)

小説を読むとき、会話のリアリティというのをよく考える。
中高生が口にする「愛」をわたしは信用していないし、
「ミヤの恋はなぁ・・・!」
とか叫ぶ男子高校生には近づきたくない。
以前に東野圭吾『片想い』を読んだせいか、
ケイのエピソードのあっけなさにはびっくり。
おじいさんの話もケイの話も、それだけで一冊かけそうな感じなので
もったいないな、と思いました。
アミ先輩とか、スポットライトをあてたらすごく魅力的になりそうだし。

この表紙と、文章のトーンは、すごく好き。

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49:山田風太郎 『飛騨忍法帖』

2005-07-07 19:31:06 | 05 本の感想
山田風太郎『飛騨忍法帖』(文春ネスコ)
★★★☆☆

こんな不快な主人公、はじめて!
軽いタッチでぱったぱったと人は死んでいくは、
主人公の片恋の相手は人形みたいで好感もてないは、
最初の30ページで投げ出しそうになった。
心を揺さぶられなければならないはずの主人公の片思いも、
こうなるともう気色悪いだけ。
ストーリー展開はたいへんおもしろかったです。
善悪の描き方が一方的で、勧善懲悪な物語ですが。

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48:乙一 『失踪HOLIDAY』

2005-07-06 19:29:17 | 05 本の感想
乙一『失踪HOLIDAY』(角川スニーカー文庫)
★★★☆☆

「しあわせは子猫のかたち」は「らしい」話。
犯人は初登場の段階ですでにあやしさ満点だった。
表題作「失踪HOLIDAY」はお嬢様である主人公が狂言誘拐をする話。
ずっと前に立ち読みでオチを読んでしまったのが悔やまれる。
一人称小説でありながら視点が徹底して大人。
十四歳女子中学生らしさはまるでないのだけど、
キャラクターとしてはおもしろい。
継母キョウコの赤い糸の話で笑った。

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47:寺山修司 『寺山修司詩集』

2005-07-05 19:27:56 | 05 本の感想
寺山修司『寺山修司詩集』(ハルキ文庫)
★★☆☆☆

「書物の王国」シリーズにあった「サファイア」という詩が好きで、
寺山修司の名前はずっと頭にありました。
正直にいうと、この詩集に入っているものの大半は毒が強すぎて、
わたしには受け入れられなかった。
ただ、「書物のなかに海がある/こころはいつも航海をゆるされる」
からはじまる「あなたに」という詩は好きです。
本を好んで読む人にとって読書というものはこういうものだ、
と的確にあらわしている気がする。

以前、読書体験というものの共有について話していたとき、
本(小説)を読まない人に、
「読んだ本について君が語ってくれればいい」と言われ、
「受け取るものは人によってちがうのだから、
 読んでいない人に語っても意味がない」
と答えたことがありました。
そのときはものすごい非論理的な反論をされて話が終わったのですが、
おそらく根本にあるのは、読書というものに対する見解の相違。
わたしの個人的な考えでは、本というのは娯楽のひとつ。
娯楽があふれている昨今、なにを選ぶかは人それぞれ。
わたしは読書をなにかを得ることもある娯楽だととらえているけれど、
相手は知識を得るツールだと思っていたのだと思います。
本を読む・読まないというのは、良し悪しの問題ではなく、
単純に嗜好の違いではないかと思うのです。

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46:デビッド・バーニー 『「知」のビジュアル百科 樹木図鑑』

2005-07-03 19:19:49 | 05 本の感想
デビッド・バーニー『「知」のビジュアル百科 樹木図鑑』
(あすなろ書房)
★★★★☆

わたしがこよなく愛する「ビジュアル博物館」シリーズ(同朋舎)
とまちがえて借りてきた。
表紙も中身もそっくりなんだもの。
「ビジュアル博物館」は、写真がおもしろいのと、超マニアック
であるところがツボなのだけど、
(「ミイラ」とか「スパイ」とか「旗」とか)
ひょっとしたらもともとの版権はいっしょなのかしら?
値段はこっちの方が1500円ほど安いので、
手元においておこうと思ったらこっちがよいね。
「単葉」と「果実」のページが楽しかった。
アサノハカエデとハナズオウの葉っぱが可愛い。
コアラが食べるやつだろ?としか思っていなかったユーカリも、
葉っぱが丸くてまじまじ見てしまった。
また植物園に行きたくなりました。

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45:桜井亜美 『クロム・ハート』

2005-07-02 19:18:34 | 05 本の感想
桜井亜美『クロム・ハート』(幻冬舎文庫)
★★☆☆☆

この人の本は、蜷川実花さんの写真とカバーデザインが素敵で、
いつも本屋でいいなあと眺めているのですが・・・
援助交際だのドラッグだのはもういいかな、と。
はっとするような表現もあるし、勢いもある。
「誰もが誰かを傷つけて生きている」というテーマも
明確に伝わってくるのだけど、リアルではない。
作品世界に入り込めないのは、わたしがすでに女子高生でなくなって
久しいからかも。
そして、これは個人的な好みの問題なのだけど、
天ヶ瀬宙だとか詩仙院翔だとか、
やたらときれいな男の子の名前は勘弁してほしい。
(『The 2nd Lovers』は好きですよ)
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44:あさのあつこ 『NO.6(ナンバーシックス)#1』

2005-07-01 19:17:23 | 05 本の感想
あさのあつこ『NO.6(ナンバーシックス)#1』(講談社)
★★★★☆

苦痛や欲望が取り払われた近未来都市、という設定の物語を読むと、
いつもロイス・ローリー『ザ・ギバー 記憶を伝える者』を思い出す。
理想を極めた先にあるユートピアのたどる道って、
結局は破綻なのかしら?
写真はないほうがいいと思った。
そして男の子どうしの身体接触が必要以上に多いと感じるのは
気のせいだろうか・・・(『バッテリー』もしかり)。
奇妙な病に、お母さんからの暗号めいたメッセージ、
ネズミが憎むNO.6の人物・・・と謎が盛りだくさん。
2巻に期待大。

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